火曜日、晴れ。
昨日は一日テニスを休む。テニスをやりたいという気持ちがわいてこなかった。今朝になっても気力がわかなくて少し心配。ねんりんも控えていることだし病院に行ったらとあーちゃんが言う。そこまではないとおうむ返ししたが、時計を見ると10時過ぎ、1時からのレッスンには間に合うだろうと近くの掛りつけにチャリを走らせた。
問診では昨日今日の体調を話し、週末ねんりんに出かけるので、みんなに迷惑を掛けたくないので念のために来たことを告げた。血圧を測定して聴診器で体の前と後ろを聴診し、ベッドに横たわりおなかを押さえながら触診。そんなことでぼくの病巣が見つかるとは思えなかった。夏の疲れが出てきたのかなとつぶやく。
血液を採取して栄養剤を注入してもらう。頭のMRIを撮ってみようかなと先生が突然言い出す。たしかにぼくは血液さらさらにする薬を処方してしてもらっているから、なぜと頭によぎったがあまり抵抗せずに了解した。ここにあるんですかと尋ねると、近くの総合病院の名を告げた。あとで思ったが「脳ドッグ」という言葉を先生が使っていたら、ぼくは考えたかもしれない。
かなり以前の話、文芸春秋を毎月購入していたころ、そこに専門の先生の口から赤裸々に現実が語られていたのが印象深く残っている。MRIが全国つつうらうらにばらまかれ、それを償却するために脳ドックなるものが奨励され始めた。血管が膨らんでいるのが見つかり、手術するか否かでノイローゼにおちいって死んだ人、よしんば手術しても元通りになるということは皆無、なんらかの障害が残るかもしれないという。
脳の血管に風船が見つかりどうされますかと現実を突きつけられたら、ぼくもノイローゼになるかもしれない。
今日の1時半に予約が取れました。いいですねという。びつくりした。大きな総合病院ではかなりの待ちがあるように耳にしていたからだ。
ぼくはレッスンをキャンセルしてチャリで10分もかからない病院へと走らせた。
ホームコートへの道すがらにあって老人病院と思っていた。受付に紹介状を出すとしばらくして案内があった。奥行もあって思っていた以上に規模の大きさを受付からMRI室まで歩いて行きながら感じていた。
腰をCTスキャンしたことがあったので、要領はだいたい分かっていた。30位かかること、耳元で音がすることなど技士は問診をしながら伝えてくれた。ゴンゴンゴとかチリチリとか夢心地の中で音がしていたが、しばらくして終わっていた。
渡されたチャリの前の籠に入りきれない大きなフイルムを折り曲げて入れ、掛りつけの医院に戻り一式を渡した。
映画のシーンによく見かける白板のようなボードの上部にレントゲンフィルムを幾枚も貼り付けて、ぼくを呼んだ。異常はみあたらないですなあと首をかしげた。