カテゴリー別アーカイブ: 日記

孫娘らとテニスで遊ぶ

土曜日晴れ

キリンちゃんが春休みに帰ってくるという。ひさしぶりのできごとに、いそいそと二人で空港に迎えに行くと10分前に到着していた。帰りはさくらの観賞できる隘路をさがして遠回りしてみた。

昼過ぎリリちゃん達も来て久しぶり賑やかになる。土日のコートの空きは皆無だろうと諦めていたが、ままよとタクマに電話してみると4時から6時に1面空いていますと言うのでびっくりした。ピッタシの時間帯だった。
夕方、春爛漫のテニスコートで2時間4人で遊んだ。

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◆日本で女優継続のシャーロットに心配の声「好きなうちに帰って」
◆【世界遺産】姫路城「平成の大修理」完成!期間5年半!費用24億円!職人15000人!

カテゴリー: 日記 | 投稿者ていちゃん 22:21 | コメントをどうぞ

シングルスの感触確かめる

金曜日晴れ

何時もならチャリのところ、体調をかんがみてバスで街まで、それもちがった景色を見てみようと東バイパス経由のバスに乗ってみたら1時間くらい十分についやしていた。用事を済ませて長塀の近くを散策するとここでも観光客は中国、韓国人とおぼしきひとたち。これも円安効果なのだろうか。何となくさびしくなった。

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戻るとあーちゃん、不在味噌ラーメンを作ってかっ込みコートへ出かける。女子の大会があつているとかで人影はまばら、2コートで仲間がたむろしていたのでしばらく雑談、そこには肩を痛めたKさんも、手術はしないから意外と早く復帰できるかもしれない。かもが復帰してくれないとぼくの自信は喪失して行くばかり。

A氏と練習を軽く始めるとG氏からケイタイ、コートにいるから、どうどとケイタイを切る。前回は負けていた、今の体調を計るにはナイスタイミングだった。3本のラケットを取り替えながら感触をつかみながらのワンセット、もう一つと懇願していたが、断った。1セットが精一杯に思えた。体力を消耗するだけなのだ。
それから男子ダブルスを一つ、タイブレークまで楽しんでから帰途についた。

◆奈良くるみ 2015.03.27 マイアミは2回戦も勝ちましたー!!
◆WTA(女子ツアー) 2015.03.27 「12歳の頃から倒すのが夢だった」とガブリロワがシャラポワを倒して3回戦に進出 [マイアミ・オープン]

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空中のサーカス団 〜冷笑する道化師〜私のネタ帳の一部

俺はいつものように地上へと遊びに降りていた。地上の星はとても綺麗で好きだったからだ。
宣伝と勧誘を兼ねているが、本命は夏の星。
俺たちの星は移動しないので年中同じく場所から動かない。
つまらないのだ。
ふわふわと、空気を踏み台にしながら下っていると小さな人影が見えた。
地上の時間ではもう人間の活動時間は過ぎているだろうに、何をしているのだろう。
近づいてみると、幼い子供のようだった。
泣いている、のか?
「レディースエーンドジェントルメーン!」
俺が遠くからそう呼び掛けると、ビクッと体を震わせ俺を見た。
恐ろしく無表情な子供だった。
「そこのおチビさん、ひとりなの?」
空気に座って、子供に俺は聞いた。
「おにぃちゃん、誰?」
無表情な子供は俺に聞き返した。
「お…、私かい?私は道化師フリーズ!空中の大サーカス『エア』の支配人さっ!」
子供は少し不思議そうに首を傾げるだけで、何も言わなかった。
大人びているのか、それとも心が死んでしまったのか。無表情で無感情な目、この目はいままで何を見てきたのか、俺には分かる余地はない。
「おにぃちゃんは、ひとり?」
「ん?」
口を開いた子供は、もう一度反復して言った。
「ひとり?」
さっと俺の中の何かが覚める音がした。
「何が、いいたいんだい?」
なので、俺は聞き返した。何か、昔にもこんな事があった気がしてならなかった。
「僕が、独りぼっちだから」
その瞬間、子供に変化があった。
無気力だった目が悲しみと恐れに変わり、救いを求める視線へと変化した。
「…俺が、1人かって?」
手を伸ばそうとする子供に、俺は手を差し伸べることにした。
俺の子供の頃と重なった。
俺は子供の頭を乱雑に撫でた。
「大切な仲間が、いるんだ」
俺は、仲間がいる。あの空に、あの雲の上に。
前には到底望めなかった、信頼できる仲間達だ。
その機会をくれたのは2代目エア支配人『フリー』、男とは思えない真っ白な髪と真っ白な肌。それに合わせた美しい笑顔。
太陽のような人だった。

俺は子供に沢山の人形を与えた。人形師としての道を歩むように。
名は『ロンリー』のロン。孤独な人形師。
でも、そんな孤独もこいつは乗り切るだろう。
俺の自慢の仲間達がいるのだから。

それは13年前、俺の前にフリーは現れた。
「おい、チビ。元気ないなー?」
裏山に小さなツリーハウスを作っていた俺は、毎日夜になると家を抜け出してそこに行っていた。
木の上から見る星は遮るものがなく、どこまでも見据えることができるのだ。
特に夏の星は大好きで、空が曇っていようが双眼鏡を持ち出していた。
母は看護師で殆ど家にはいない、きちんと会ったことは数えるほどしかない。
父は事故で死んだ。目の前で。
えぐいものだった。大型トラックに弾き飛ばされてした死体は人間の形をなしていなかった。
残ったのは幼い妹と俺。妹の面倒も家事も全部俺の仕事だ。
星を眺め始めたのはその頃からだ、最初は死んだ父に会えたらいいなとか、そんなファンタジーなことを考えてのことだった。
でもあの頃は優しかった父が死んでしまったことを受け入れられなかった。
フリーが現れたのは父が死んで、3年ほど経ってから。8歳のときだ。
「いい趣味してんねー」
ツリーハウスの屋根に寝転んで星を見ていた俺の後ろにフリーは立っていた。
「あ、びっくりしたー?」
ニコニコ笑うフリーは俺の横に座った。へんてこな帽子を被っていた。
「誰だ、あんた」
「え、あ、僕?」
フリーは星に見入っていたようで、ワタワタしながら俺に応じた。
「僕はね、空中でサーカス団をしている道化師フリー。一応支配人をまかされてまーす」
また男はにこっと笑った。
「フリー?」
「そう、フリー」
と、フリーは足をパタパタさせながら答えた。星が気に入ったようだった。
「いやー、地上の星はこんなに綺麗なんだねえ。うちのとこなんかやる気ない星たちしかいないからさー」
フリーはしみじみと言った。
「でも、近くに星があるのはいいことだと思います」
俺は慣れない敬語で応えた。率直な本音だった。
「そうだね、そうかもしれないね」
フリーは立ち上がった。
「じゃあ僕達の星を見に来るかい?」
「え?」
見上げた俺は夏の星空をバックに太陽を見た。

俺は雲の上に行ったことがある。
別にそう不思議なことはなく飛行機で、だ。
雲といっても水分の塊で、歩けないし触れない。
が、俺は今雲の上に立っている。
「あー、勝手に出てきちゃったから怒られるかもなー…」
フリーは少し困ったように言った。
勝手に出てきたのなら怒られて当然だと思う。
「フリーぃぃぃ!」
遠くからフリーを呼ぶ声がした。
走ってこちらに向かってくるのは赤毛の女の人。
「げ、ファースト…」
「忙しい時にどこいってんの!」
パコんっとファーストと呼ばれた人はフリーの頭を叩いた。
「いて…っ」
「支配人としての自覚あんのー?この自由人馬鹿」
「いやいや、慣れなくてねぇ」
フリーは叩かれた頭を摩りながら、ペコペコと謝った。
「…誰」
「え、ああ。ファーストっていってね、初代支配人だよ。偉い人」
「ふーん」
と、俺はファーストを見上げた。
まだ若いお姉さんって感じだった。少し焦がした肌と赤毛、モデル顔負けなスタイル。
美人だな。
「ん?何この子」
「えー?連れてきちゃった」
「ふーん…」
ファーストは俺を遠慮なく眺めた。
「いーんじゃない?あんたが面倒見なさいよ」
「僕でいいの?後継者欲しいって言ってたじゃん」
「そんぐらい自分で見つけるわよ。早く地上に戻りたいしね」
それだけいうと、ファーストはひらひらと手を振り、どこかへ行ってしまった。
「じゃ、僕の部屋行こうか。名前決めてあげる」
「…名前?そんなのもう…」
…あれ、名前、なんだっけ。
「何にしようかなー」
陽気に鼻歌なんかも歌いながら歩き出すフリーを追いかけながら、俺は自分の名前を思い出せないでいた。

「フリーズ!仕事!」
「あ、はいっ」
俺の名前はフリーズとなり、フリーの補佐として働いていた。
フリーは道化師でいわばサーカスの要。最初にどれだけ盛り上げられるかが全てフリーに掛かっている。
どおりでテンションが高いわけだ。
納得のいく話だった。
そういえば、あの初代支配人・ファーストは狙撃手らしい。とても目がいいとかで、1キロ先まで見えるとか。
「フリーズ、今日はフリーズが舞台に出る?」
「え?」
片付けをしていた俺にフリーは言った。
「いや、俺なんて…」
「経験は大事だって、やってみようよ」
「ハァ…」
唐突に決まってしまった初舞台。フリーに髪型やメイク、服なども全てやってもらい開演時間がきた。
「さあ、フリーズ出番」
フリーに背中を押され、カーテンの影から転ぶように出た。
「あ…ぁ」
そこは別世界だった。
沢山の顔、手、音。
一気にセリフがぶっ飛んで立ち尽くした。
沈黙。
全身から汗が吹き出す。服の裾を握り締め、したを向いた。
恥ずかしい、帰りたい。
皆の舞台を台無しにしてしまった…。
「さあ、皆さん本日は空中大サーカス団エアに足を運んで頂きありがとうございまーす!」
ざわっと、観客が座喚く。
後ろにはフリーが立っていた。
フリーは俺の肩に手を置いて耳元で言った。
『これを付けてて』
フリーがかぽっと俺の頭に被せてきたのは、真っ白な仮面だった。
俺は咄嗟にその仮面で顔を隠した。
「皆さんびっくりしましたかー?あのフリーが小さくなったと思ったでしょー?」
フリーはどこから出したのか、細いバトンを取り出しくるくると回してみせた。
「なんと新人のフリーズといってねー、可愛い可愛い新人道化師ですー。皆さんどうか御贔屓宜しくお願いしますー!」
ついでに宣伝までして、その日の仕事はフリーによって終了した。

「よかったねー、常連さんに顔覚えられたよ」
夜中、明日の準備をしている俺にフリーは言った。
「拗ねてんの?」
と、俺はフリーが伸ばした手を弾き返した。
「拗ねてんじゃん」
「拗ねてない」
「拗ねてる」
「拗ねてないって!」
ぶんっと、大きく振った手がフリーの顔に当たった。当たるなんてもんじゃなくて、思いっきり。
「あ、ごめんっ…」
向けていた背を翻して正面からフリーを見ると、フリーの頬から血が滴っていた。
「いってて…、まったく力がつよいねーえ」
打撲じゃ血は出ない。爪が掠ったのだろう。
「っ…」
俺は走り出した。
走ってテントを抜け出した。
罪悪感に押しつぶされそうだった。
後ろからフリーの声がしたが、振り向かなかった。
地上に帰ろう。
最近地上への戻り方を教えてもらったばかりだった。
この雲の地面には穴があって、そこから地上に戻れるそうだ。
戻ると降りるは違う。
降りるは、フリーのように遊びに来るような感じ。戻るは、地上に残してきた肉体にもどる。
そう、戻ろう。
雲の端まできた。
あと一歩進めば戻れる。
俺は若干の喜びを覚えていた。普通の生活に戻れる喜びだ。
俺は踏み出した。
するとすぐに目を開けることができて、視界には大量の木目が見えた。
天井のようだ。
「お、お兄ちゃん!」
「…え」
ふと、女の子の顔が視界を占領した。
「お兄ちゃんが起きた!」
お兄ちゃん…?嗚呼、妹の「明」か。
でも、少し大きくなりすぎじゃないか…?
「よ、よかったっ、もう起きないかと思ったよ!5年も寝てたんだから」
「5年!?」
俺は寝かされていたベッドから飛び起きた。
でも、筋肉が機能せず、すぐに倒れてしまう。
しかし何故だ。3ヶ月くらいしかいなかったはずなのに5年も経ってしまっている。
(そうだよ)
と、頭に声が響く。頭に直接話しかけられているような感覚だ。
(エアと地上じゃ、ちょっと時間の流れが違う。今回はたまたま5年しか経っていなかった。もしかしたら10年かもしれないし2秒もたっていないかもしれない)
それはフリーの声だった。
いつもとは違う真面目な口調に俺は少し身構えた。
(帰ってこいよ)
いやだ、あんなところ。
(帰ってこないのか)
当たり前だ。
すると、世界が一回転して場所が変わった。
冷たい風が髪を撫でる。
ここは俺とフリーが初めて会ったツリーハウスだ。
振り返るとそこにはフリーが立っていた。顔には大きなガーゼが貼ってあった。
俺はそれを見て、顔を背けた。見たくなかった。
「このガーゼは大袈裟だよ、メスがやり過ぎたんだ」
それでも、あの綺麗な顔に傷をつけたことには変わりない。
「僕の顔なんてどうでもいいんだよ」
俺は知ってしまった。フリーが自分をどれだけ嫌っているか。
今まで少し自分に対して槍投げなところはあった、だがここまで自分を軽蔑するような言葉は言わなかった。
「僕は道化師だ。自分の感情を押し殺すのが仕事だよ。でも、だから僕には人の感情が読み取れる。フリーズ、君は寂しかったんだよな。誰かに自分を理解して欲しくて、でも誰も気づいてくれなくて」
フリーは大きく息をついて、また続けた。
「だけどね、フリーズ。それじゃ誰も気付いてくれないよ。理解しようとすると君から離れていくんだ。僕は君を君が思ってるより信用しているんだよ。他の皆もそうだ、失敗することぐらい皆したことあるよ。ほら、毒使いのポイズンなんて自分の毒で死にかけたこともあるんだぜ?」
それでいいんじゃないの、と、フリーは笑って言った。珍しく心からの笑顔だった。
すると、フリーは思いっきり俺の頭を撫でた。乱暴に、乱雑に。
「帰るよ」
その言葉が、思っていたより重く感じた。帰る。俺にはまだ帰る場所がある。その事実がたいへん嬉しかった。
溢れてくる目からの塩水を拭おうともせず、垂れ流したまま雲の上へと
“帰還した”

フリーはファーストの引退と共に地上に戻った。残してきた大事なものがあるのだそうだ。
俺はフリーから支配人の帽子と仮面を引き継ぎ、ここにいる。
皆、特に大先輩のポイズンなんかに迷惑かけたりしたが、どうにか支配人としての役職を自分なりに全うしている。
フリーがエアを去ったあと、罪悪感と自己嫌悪に押しつぶされ、自分の顔を切ったりした。医者の”メス”に綺麗に縫製され、若干跡が残る程度だった。
今は若い子も増えた。
人形師はもちろん、ナイフ使いなんて。
とても私に似た人形師は、不器用ながらも一生懸命でレギュラーも遠くないだろう。同じ部屋のナイフ使いが上手くやってくれているようだし、それよりポイズンが目をかけている。幸せなやつだ。

それから3年ほど経ったある日、俺は朝礼を終えて練習場を見回っていた。
その時だ、人形師の放った人形によって加工されたナイフが暴走しているのが目に入った。
ぐるんぐるんと宙を舞い、動きが明らかにおかしい。人形師は目をつぶり気づいていないようだ。
と、全てのナイフが人形師の方へと方向を変えた瞬間、俺の足は人形師に向かって2歩も3歩も踏み出していた。

気づくと俺は、真っ白なベッドに寝かされていた。
何があったんだっけ…。
「あっ、やっと起きたねっ。フリーズ、元気かい?」
なんとなくデジャブだ。
「メス…、何があったんだっけ」
「ええっ!覚えていないの?そんな大怪我負ったのに」
見ると着替えさせられた寝間着からちらちらと包帯が伺えた。
「え、なにこれ…ぃててっ」
「そんな動いちゃだめだよー、傷口が開くよ?」
どうやら、肩、脇腹、太もも、足首に傷があるようだ…。
「当分道化師の仕事はお休みだね。今道化師フリーズしかいないけど、誰かに代わってもらわなきゃね」
「…あ、ああ」
痛む脇腹を撫でながら、俺は目をつぶった。

気づくと、寝てしまっていたようだ。
体を起こすとベッドの周りに人形師の人形達が集まっていた。
「どうした?ご主人のところにいなくていいのか?」
しゅんとしたを向いている人形達の頭を撫でた。
「ろんがしんぱいしてる。フリーズがけがしたからしんぱいしてる」
シルバーが言った。
「あやまらせてあげてね」
「…うん」
前にもあったな、こんなこと。
昔のことを思い出しているうちにまた俺は眠りについた。

ガチャっという扉の開く音で目を覚ました。人形達が揺れていることが伝わってくる。
「フリーズ」
「…ロン」
人形師が扉の前でたっていた。
「ロン、大丈夫?」
人形師はすっと目を細めた。少し怒っているようにも見えた。
「フリーズ…ごめんなさい…」
人形師は少し目を伏せるように言った。
「いいよ、俺なんて」
ああ、前にもこんなことを言った人が居たな。自分の事が大嫌いな人が。
「ロン、おいで」
と、俺はベッドをポンポンと叩いた。
人形師は緊張したように、遠慮ガチに座った。
そんな人形師の頭を俺は思いっきり撫でた。
「ぅ…」
そんな小さな声をあげながら、目で抗議してくる人形師。その人形師は小柄で、会った時よりは伸びた身長だがそれでもまだ低いほうだ。
「ぁはは、ロンはちっちゃいなぁ」
「…」
「初めてあった時と変わってない」
と、俺は徐ろに人形師を抱きしめた。
人形師は俺の分身のように似ている。だから憎たらしくて、可愛い。
「フリーズ…?」
「ロン。ロンに俺の仮面あげる」
「え?大事な商売道具でしょう?」
人形師が俺の腕の中でモゾモゾと動いた。
「んー…、そうなんだけど、もういいや」
「それ、どういうこと?」
ああ、きっとこの人形師を見るのも最後になるだろう。この可愛い弟のような人形師を撫でるのも最後になるだろう。
じゃあね、”ロンリー”。

人形師が帰ったあと、人形達に作ってもらった小さなメモに詳細を書き、荷物をまとめた。
ここに来るのもあの日以来だ。
自分が嫌になって地上に戻ったとき、ここから降りた。
振り返ると、沢山のテントの灯りがゆらゆらと揺れていた。
「いってきます」
そういって、サーカス団エアを後にした。

がたっと、体が落下する感覚と共に目が覚めた。目に映ってきたのは一面真っ白な世界。
ああ、違う。ここは病室だ。真っ白なベッドと壁、床と天井。
帰ってきたんだな、地上に。
もう会えないんだな、仲間たちに。
ふと泣きそうになり俺は思いっきり体を起こした。
すると、小さなお婆さんが俺のベッドのふちでパイプ椅子に座り寝ていた。
「ん…」
誰だろう、と思っているうちにお婆さんは目を覚ました。
お婆さんは俺を見て大きく目を開くと、そのまま大粒の涙をこぼした。
「お兄ちゃんっ…」
「明、ただいま…」
俺はそのお婆さん、いや、妹を抱きしめた。
「おかえり、おかえり、お兄ちゃん」
「うん、ただいま」
すっかり歳をとってしまった妹を抱きしめながら背中を撫でた。
そのとき、やっと自分の名前を思い出した。
サーカス団ではない、地上の名前。
“影陰 銀次”
意味は、次の星の光。
俺は新しい星を見届けられただろうか。
冷笑する道化師と幻のサーカス団の小さな世界。
頭上で起きるちょっとした出来事。
空中と地上の物語。

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試合近づくにモチベーションあがらず

木曜日晴れ

天気は良さそうだが表へ出ると風は冷たい。まだまだ油断大敵だが、体はコートへ行きたそうだ。11時ごろ出かけたがその気にはなれない、壁打ちを試みたがおたおたしてボールをコントロールできないが、しばらく壁コーチに教えを乞うた。

6番コートでは珍しく女性陣がアラブの女に変身して練習していた。7番コートは空いていたので、一人で練習に出かけるとN氏が屋内コートから現れたので一緒にしばらくストロークの練習、あんずるより産むがやすしでなんとか納得に近いストロークができていた。

それから九州毎日60歳代ペアーにダブルスの挑戦を受けた。2ゲーム取れたのでまずまずであろう。

ぼくの九州毎日、一週間後に迫っているが臨場感は感じられず、シングルスの練習もほとんどしていないが、しようともしていない自分がいる。なんでかしらずモチベーションは上がらない上に、体調はかばかしくなし。

◆錦織「優勝の可能性ある」 相性いいマイアミOPへ意気込み
◆「マッサン」玉山鉄二「遠距離恋愛になる」シャーロットとの別れを惜しむ
◆王貞治もビックリ! 「やるからには世界一」に孫正義が込めた夢

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アットホームな ライブハウスで

水曜日晴れ

昨日はチャリでタクマへ行き2時間練習、それからホームコートへとチャリをとばした。暑そうで寒そうで分かりにくい気候に体はついて行けずに家に戻ると鼻水が止まらなくなっていた。ぼくにとっては風邪の前触れの症状なのだ。やばいと夕食を済ませて7時頃ベットインした。そしてうつらうつらと朝7時まで床にいた。12時間もいた。鼻水も止まり、機敏なケアが功を奏したようだが、体は本調子には戻っていないのは確かだった。
来週の試合を控えて無理は禁物とI氏にことわりのメールを送る。昼飯の焼き肉昼食の約束はどうしょうと、迷っていたが昼前には体調も少し回復に思えたので、コートまで車をとばしてN夫妻と焼き肉をほうばり満腹で家に戻ったが、またそのままベッドへ、夕方階下へ下りて行くとあーちゃんが電話があったとメモを手渡した。
・・・・・・・・・・・・
4/2にカナダへ帰る
今日夜8時~
ジャズ
上通りの
BAHIAというところで
よかったらおいでください。
15,45TEL
・・・・・・・・・・・・・・
そういえば2回目のシングルスをした折、そんなことを言っているのを思いだした。今日だったのかと、その時招待するとか言っていたが行くつもりはなかった。

帰ると聞いて百聞は一見にしかず、一期一会のえんだと思い直して、冷え込む夜の街へ完璧な冬支度でさまよった。下通りの入り口が変わって見えた。上通の商店街を奥へ奥へと進んで、いつも立ち寄る古本屋の近くの路地に小さな案内をようやく見つけて、小さな急な階段をとんとんと上って行った。

◆錦織効果で松岡修造氏が異例のVIP待遇







 


カテゴリー: 日記 | 投稿者ていちゃん 23:54 | コメントをどうぞ

BNPパリバ・オープン ウイナーやはりジョコビッチ

月曜日晴れ 風強く三寒四温の寒

決勝戦、情況を知りたくないと追っかけ録画を見ていた。ファーストはジョコビッチが取りセカンドもワンブレークでジョコビッチ優位に進み時間設定どおりセカンドで終わると安心して見ていると、終盤フェデラーがブレークして44、それからタイブレークへと突入するも先行して逃げ切るかと思いきや、ばん回されるも54でジョコビッチのサービス。

録画の時間もほとんどなくなり、ここで決めてくれるのだとばかり見入るとなんとダブルフォールト2本、大事な自分のサービスを落とす、百戦錬磨のジョコビッチもかと少し安心したが、録画設定時間がきているので56から、フェデラーのサービスを破るのかと思ったが、このチャンスフェデラーが逃すわけがなかった。セットカウント11、ファイナル行くところで録画は終わっていた。

パソコンで確認するとジョコビッチがファイナル62で取りウイナーとなっていた。
そのジョコビッチを昨全米、ファイブセットの大会で錦織圭が破ったのだから・・・・・・・・・・。

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(ウイナー ジョコビッチ)
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(ウイナー ハレプ)
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(ダブルスウイナー 日本とのデ杯で活躍したカナダのPOSPISIL and 米のSOCK)
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(女子ダブルス ウイナー例のHINGIS and MIRZA)

◆ジョコビッチがフェデラー下し連覇、BNPパリバ・オープン
◆ハレプ、元女王のヤンコビッチ破り優勝 BNPパリバ・オープン

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春めく運動公園 くま壮会

日曜日晴れ 暖かい

春めくこの頃、三寒四温の暖かい日々、運動公園は各競技場フル回転で駐車場は満杯の事前通告あり、それで久しぶりチャリにまたがり、やっとこさで会場にたどり着いていた。
参加者90名(男子63名 女子27名)、松Aは13名、日傘がほしくなる陽気の中、8,7番コートでいつものスライド式6ゲーム先取4試合が行う。

パートナーに恵まれていたと思われたが今日も2勝2敗、少なくとも3勝しないとゲットの権利は遠のく。
松Bにでも格下げにならなければ入賞は困難だ、さびしいけれど脳裡に去来。

BNPパリバ・オープン、準決勝戦ジョコビッチはマレーを62 63と一方的に下し、期待の若手代表のラオニチはフェデラーに果敢に挑戦するも57 46で敗れ去った。ジョコビッチの断言、いかに努力しているかをうかがい知る言葉だ。安定したサービス、フットワークにストロークどれ一つをとっても完璧に近い。

◆ジョコビッチ断言「我々ビッグ4と錦織には差がある」「まだ練習を積む必要がある」

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ラオニチ、ようやくナダルに土をつける

土曜日晴れ

8時からの朝ドラマッサンを見て、囲碁棋聖戦深夜の10分間の録画、3敗から3勝と星を戻した挑戦者山下敬吾、七番勝負の最終局、挑戦者に期待したが無念の涙をのんでいた。井山裕太は土俵際でタイトルを死守した。

そしてナダルとラオニチのベスト4を掛けての録画をオンする。録画はまだ続いているランプは点っていたが最初から見ることにした。まだ録画中とは接戦が続いている証拠だ。

ファーストはワンブレークでナダルが64で取るがセカンドはタイブレークにもつれこみ、双方にマッチマインとセットポイントはあったが互いにしのいで、10 10。そこからラオニチが2ポイントと取り12 10でセカンドを76でもぎろり、勝敗はファイナル、3セット目に持ち越された。

二人のテニスに違いが現れ始める。セカンドであと一ポイントで勝利をつかまんとしていたナダル。セカンドの接戦をせいしたラオニチは肩の力が抜けたようにのびのびとプレー、ショットもサービスもショットも良くなっていた。
ラオニチが押し気味に見えたが55まで試合は進み、そこでラオニチがようやくナダルのサービスをブレークすると、サービングフォーマッチのラオニチ。冷静に持ち味のサービスを要所で決めて逃げ切った。
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ビッグフォーがベスト4へ首を並べるのかとさびしく思っていたが、その一角をラオニチが崩してくれた。
うれしい限りだ。圭がマレーをやっつけてその一角を占めると期待し予想していたが、ラオニチが代わりに頑張ってくれた。めでたし、めでたし。

ぼくはそれを確認してから、そそくさと用意してテニスへ出かけた。

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ロペス圭にリベンジしてマレーに敗退、 残念

金曜日晴れ

今日も暖かい、陽気に誘れてコートは午前中からにぎわっていた。シングルスワンセット、ダブルス3セットにストローク等今日も一日たんのうする。

BNPパリバ・オープン、錦織圭を撃破したロペスはマレーに36 46と短時間で敗退していた。圭とマレーの対戦を見られないのは返す返すも残念。昨年末のワールド・ツアー・ファイナルで圭は勝星のなかったマレーに快勝したのを思いだす。

◆マレーが英男子歴代最多通算497勝目で4強入り、BNPパリバ・オープン
◆ダブルス最強ペア コンビ解消
◆錦織、ボールに負けた…「重く感じ、変なバウンドをする」/テニス
◆尚子さんも代表選考に理事会で異議 陸連の「異論無し」説明と食い違う

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Fw: Re:

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空中のサーカス団 〜孤独な人形師〜

あの日、星が綺麗で僕は近所の必死に手を伸ばしていたのを覚えている。
幼かった僕の一番空に近い場所といえば、すべり台ぐらいしかなかった。
夏とはいえ、少し肌寒くて、空気が驚くほど澄んでいた。
気づくと、遠くの方から軽快な音楽が聞こえてきた。
この世のものとは思えない美しい音色と、陽気な雰囲気。
「レディースエーンドジェントルメーン!」
そんな明るい声が聞こえたと思うと、目の前に10代後半くらいの少年がヘンテコな帽子を被って立っていた。
「そこのチビ、ひとりなの?」
「おにぃちゃん、誰?」
「私かい?私は道化師フリーズ!空中の大サーカス『エア』の支配人さ!」
少年は遠くの三日月にお行儀よく、ちょこりと座った。
「おにぃちゃんは、ひとり?」
「ん?」
「ひとり?」
道化師のフリーズは初めて、道化の顔をやめて目を丸くした。
「何が、いいたいんだい?」
「僕が、独りぼっちだから」
その時の僕は毎晩喧嘩をする両親を見たくなくて、深夜1人家を抜け出していた。
星空だけが僕の支えだった。
「俺が独りかって?」
フリーズは僕の頭を乱暴にガシガシと掻き回した。
「大切な仲間が、いるんだ」
顔をあげた僕の目に映り込んだのは、満点の星空を見上げる美しい道化の顔だった。
***
喧しい目覚ましに不快感を覚えながら、布団から体を起こすと硬い何かが頭に当たった。
「いたっ…」
2段ベッドの天井で頭をぶつけたようだ。
「おーい、大丈夫かぁ?」
相棒のナイフ遣いスピアーが上のベッドから顔をのぞかせていった。
「なら、早く2段目を寄越せ」
「あぁ?やらねぇよ」
と、今度はゆっくりとベッドから出てきた僕の頭をパシンっと叩いた。
「顔洗いにいくぞ」
「うん」
ベッドの下から、革で出来た靴を引っ張り出して履いた。
外はいつものように明るい。のに、星がはっきりと見えた。
そんな朝の星空は、当たり前過ぎて目の端に映るだけだ。
昔のように焦がれたりしない。
もう、綺麗だとも思わない。
当然、お湯なんてない。冷たい水を頭から浴びて、長い前髪を掻きあげる。その髪を固めて、爪に装飾を施した。
キツめにサラシを巻いて、固めた髪に真っ赤なピンをバッテンにして留める。
鏡で己の姿を確認して、口元を指で釣り上げた。
「笑顔」
毎朝行っていることだ、何があっても笑っていなければ。大道芸を行うものとして、一番大切なことだ。
服装はいつもの練習着。顔にペイントをして、顔だけ本番。
朝礼。広場に皆が集まった。
「ロン、なんか格好ひどいぞ」
「いいんだ、いつものことだろ」
スピアーが僕を指さしていった。
「練習着に本番メイクって、なんか手抜きな感じだな」
「失礼な。本番メイクの練習だ」
「なんだそれ」
壇上で話をしていたフリーズがやって来ていった。
そのまま僕の髪を撫で回した。
「ボサボサ…」
「やったげる」
フリーズは手櫛で僕の髪を整え始めた。白くて細い指が素早く動く。
「一回しかやらないから、覚えろよ」
フリーズは優しくて、男の僕でも見蕩れるほどに美麗な顔立ちをしている。しかし、フリーズの顔には大きな手術の跡が残っていて、少し勿体無い。
あの日、フリーズは僕をこのサーカス団『エア』に連れてきた。
僕より頭一個ぶん高いフリーズを下から見上げる。
いつも笑っているフリーズの目は乾いている。冷たく濁っている。
今も。
「出来た。見てみ?」
「…すげ」
僕が見違えるほどの出来だった。あまりにも顔が出ていたので一瞬自分の顔が分からなかった。
「折角整った顔してんだからさ、もっと出しなよ」
「は、はい」
美人過ぎるフリーズにそんなこと言われても、逆に重い。
「似合っているよ、ロン」
「別人だね、ロン」
双子が僕の腰につかまり、交互に言った。
「…フェイク、フェイント。ありがとう」
二人はジャグリングをやる。時が止まったような、美しい演技をするのだ。
「ロン、こっち向いて」
「?はい」
「動かないでね」
と、フリーズは僕の髪に何かを差し込んだ。
「それ、あげる」
僕は頭に手を伸ばして、それに触れた。
星の飾りがついたピンだった。
フリーズがいつも身につけているものだ。
「これ、大切なものなんじゃ…」
「お守り」
フリーズはそれだけいうと、その場を離れていった。
***
あの夜、フリーズは優しく僕を持ち上げて抱きしめた。
寂しかったねって、僕を抱きしめた。
その時の僕はよく自分の気持ちが分からなかった。
ただ、僕を抱きしめながら泣くフリーズを見てやっと自覚したんだと思う。
そして、フリーズは言った。
「チビ、君の一番大事だと思うものはなんだい?」
僕と顔を合わせるようにしゃがんで、全てを見透かすように目をのぞき込んだ。
「お星様、綺麗なお星様が好き」
「いま、一番欲しいものは?」
「もの、じゃないんだけど…友だちがほしい」
フリーズは何を感じたのか優しく笑うと、強引に僕の頭を撫でた。
「おいで」
僕に手をのばしたフリーズは、また僕を優しく抱きしめた。
その瞬間から、空に浮かぶ星が「綺麗」だと思えなくなった。

「ろんー、ろーん!」
「え…?」
「どーした、ろんー。ぼーっとしてるぞー」
「え、あ、ウォーター。ごめん…」
水で出来た人形・ウォーターが、ペチペチと僕の顔を叩いた。
「しゅーちゅーしろーっ」
「ごめん、ごめん」
水が頬を滴るのを感じながら、銀色の細い指揮棒を握り直した。
「さあ、やろうか」
『おーー!』
ウォーター以外の人形達も声をあげた。
ファイア・アイス・ツリー・サンダー・リーフ・ライト・シルバー・ウェーブ。
人形達の顔を一体ずつ見て、腕を高らかに振り上げた。
同時に音楽が流れ出す。
その音楽に合わせて、人形達が踊り、音はどんどん大きくなる。
輪になった人形達の中からツリーという、木で出来た人形が歩き出した。
想像、集中。
笛の音と、太鼓のリズム。
聴け、音をよく聴け。
想像、集中、想像、集中。
指揮棒を天井につくかつかないかのギリギリのラインに投げる。
すると指揮棒だったものは、銀の美しい笛となって手元に戻ってきた。
シルバーが列に戻るのを見て、その笛を口に当てる。
音楽に違うテンポが加わり、人形達が違う隊列へと動き始める。
ツリーはその隊列には加わわらず、その場でクルクルと舞った。
ツリーが動くたんびに光の粒のようなものが散る。
集中…っ、今っ!
ツリーの動きがぴたりと止まったと思うと、ツリーの姿が見る見るうちに変わっていった。腕や足が伸びていき、大きな木製のメリーゴーランドを型どった。
で、できた!
と、一時の歓喜を押し殺して次の作業へ集中力を高める。
まだだ、もう少し…
口に当てていた笛を胸の前でバトンのように、廻した。
すると、シルバーがまた長い腕を笛に伸ばしはじめた。
笛は再び形を変え、5本のナイフに変わった。
そのナイフを正確にメリーゴーランドの方に素早く投げる。ここで外したら終わりだ。
ナイフ一本一本に人形達が集まっていくように…、全てを絡めながら。
ファイア・アイス・サンダー・リーフ・ライト・ウェーブが手を伸ばせれば…っ!。
「ロン!!」
「え?」
メリーゴーランドの方に投げたはずのナイフが僕に向かって飛んでくる。
ナイフの暴走!?
ナイフが僕に当たる寸前、大きな影が僕に被さった。
その影にナイフが突き刺さる感覚、振動が体にそのまま伝わってきた。
「フリーズ!フリーズがっ」
その影は、昔僕を守ってくれたフリーズだった。命の恩人のフリーズだった。
「ロン!何があった!
「スピアー!フリーズが、フリーズがっ…」
スピアー達が駆けつけた頃には、フリーズもうぐったりしていて、もうどうしたらいいのか分からなかった。
フリーズの血を浴びて、手足がガタガタ震える。指先すら十分に動かなくなってしまった。フリーズから止めどなく流れ出る血。その血で小さな溜まりが出来てきた。
僕は…なんてことを。僕は、僕は僕は僕は。
「ロン、落ち着け。人形達が不安がる」
「…あ」
そうだ、僕が不安定になると人形達も不安になってしまう。僕と人形達は感情だけで繋がっている。それが不安定になると、繋がりがぶれるのだ。
「そう、落ち着いて。とりあえずナイフを指揮棒に戻せ。このままじゃ出血が酷くなる」
「う、うん」
シルバーがまたトコトコと歩でて、僕の顔をのぞき込んだ。
「ろん?へいき?」
「うん、シルバー。もう少し、頑張ってね」
シルバーが目を閉じるとフリーズの肩や、腰、脇腹に刺さったナイフは細い元の指揮棒へと戻っていた。
医療士の「メス」が丁寧に傷口からそれを抜き、止血した。
「フリーズを医療室に運ぶの誰か手伝ってくれるか?」
では、と「スプレー」が手を上げ、華奢なフリーズの体を抱えて退場した。
「ごめんなさい…っ」
スピアーに慰めながら、僕は泣き続けた。

次の日の朝礼、フリーズは姿を現さなかった。
当たり前だ、3ヶ所もナイフが深く刺さったんだ。
メスが言うには、命に別状はないとのこと。でも、道化の仕事は当分出来ないだろう。と。
フリーズは道化の仕事がとても好きだった。真っ白な仮面を被って、沢山の人々を笑わせていられるのは幸せだと言っていた。
とんでもないことをしてしまった。その日、僕は練習を休んだ。
人形達の姿も見えない。
「ロン」
練習着のスピアーが僕のベッドに座って、そっと耳打ちした。
「今、メスが出張に出てる。フリーズに会うなら今だぞ」
「え」
珍しくスピアーが真顔だった。
「行ってこいよ」

スピアーに言われて、何を話せばいいのかも分からずにフリーズの病室の前に立っていた。
そんな大きな病棟ではない、プレハブのような物で粗末だ。
白い扉をトントンと叩き、ゆっくり内側に開いた。
「フリーズ…?」
フリーズは星の光が差し込む窓側、人形のように眠っていた。ベッドの周りには僕の人形達が集まっていた。
フリーズの寝顔は死んでいると言われれば信じてしまいそうなくらい、白く脆く消えてしまいそうだった。
「ロン」
フリーズが目を開いた。
「ロン、大丈夫?」
最初、何を言っているのか分からなかった。どうやら、僕に怪我はないか?と聞いているようだった。
自分がそんなナリになってしまっているというのに、どこまでも僕の心配をする。
冷たい顔立ちをしているくせに、人一倍優しくて温かい。
「フリーズ、ごめんなさい」
ベッドの横の古い椅子に座って、僕は言った。
「いいよ、俺なんて」
と、フリーズは儚げに笑った。
やっぱりフリーズはお人好しで、自分の事なんて全く考えていない。後回し、後回しなのだ。
窓の縁側には、フリーズの仮面とピンが置いてあった。
「エン、おいで」
フリーズがベッドの横をポンポンと叩いた。
その指定された場所にちょこんと座ると、フリーズは僕の頭を雑に撫で回した。
「ぅ…」
「ぁはは、エンはちっちゃいなぁ」
「ん?」
「初めてあった時と変わってない」
そんなにちっちゃいかな。
ちょっと気にしてなのに。
と、フリーズは徐ろに僕を抱きしめた。
初めて会ったあの夜のように優しく、大切なものを守るように。
「フリーズ…?」
「エン。エンに俺の仮面あげる」
「え?大事な商売道具でしょう?」
「んー…、そうなんだけど、もういいや」
「それ、どういうこと?」
フリーズは僕の質問に答えず、また頭を雑に撫で回した。
僕が最後に見たフリーズの顔は、幼く、年相応な心からの笑顔だった。

フリーズが姿を消して5年。
5年前のあの日、フリーズが初めて笑ったあの日の翌日、フリーズは姿を消した。
フリーズの病室には1枚のメモ。
『次期空中サーカス団・エアの支配人を人形師に任せる』
5年前、エアにいた人形師は僕だけだった。
「これでよかったのかな…」
「エン!出番だぜっ」
「すぐ行く!」
鏡の前で己を映し、口元を指で釣り上げる。
笑顔。
支配人のへんてこな帽子を被って、仮面を付ける。
「よし…っ」
舞台裏で、新人道化師の「レイン」の頭を撫でて、ライトアップされた舞台に上がる。
未だに慣れない歓声を全身に浴びながら、僕は笑顔で声を張り上げる。
「レディースエーンドジェントルメーン!」
フリーズに教えてもらった髪型、フリーズに貰った髪飾り、フリーズの仮面とフリーズに付けてもらった名前。
愛称は「エン」
本当の名前は誰も知らない。知っているのは僕とフリーズだけ。
孤独な人形師と冷笑する道化師の小さな世界。
頭上で起きるちょっとした出来事。
空中の物語。

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パリバオープン 錦織、連勝中の選手にまたも

木曜日 今日も慈雨雨 曇り

9時からシニア団体戦の要請があっていたが中止の連絡がきていた。朝方の土砂降りも10時にはおさまって雲は垂れ込めていたが雨は止みそうな気配があった。止んだとしても人口芝はジタジタだ、クラブに電話して尋ねると11時半のレッスンOKですという。定期以外のレッスン受けるのは久しぶり、雨上がりのビジターは、まんぱいと決め込んでいたので運がよかった。と思った。

早めの昼食をかっ込み滑り込みセーフ、ハウスは誰もいなく屋内コートはまばらなレッスン生たち。準備運動が終わり指定されたAコートで待つとコーチがやってきてぼく一人だという。こういう経験は過去に一度だけ。
レッスンの希望を尋ねたので最後の30分ほどはシングルスをお願いする。

出だしはぼくが先行してた。ボールをひらいに行くと受付嬢が目の前を通る。ぼくが勝ったらコーチ交代していいね。いやだめです、負けて下さいと彼女はにゃっと笑みをこぼして歩き去った。それでぼくは負けることにした。いやはや、うれしがらせて泣かせて消えたコーチでした。充実した90分間の練習でした。

BNPパリバオープン、錦織圭はまさかのロペスにやられていた。46 67(2)。メキシコ500の大会、決初戦で2連勝中のフェレールに敗れた時のことを思いだしていた。ロペスにも連勝中であったという。リベンジと言わんばかりに果敢に攻めてくるロペスがいた。受けて立つ、勝って当たり前の錦織に心の隙があったとは思わない。

ロペスのバックにボールを集めればスライスがメインのロペスは根負けして、じょじょにくたばっていくだろうと思い描いていた。だしかに最初はそんな具合にゲームは進んでいたが、期待したミスはなかった。スライスでねばり強くつないで、チャンスがあればネットに出た。サービスの良くてエースを量産していた。
ぎゃくにあせる錦織に思わぬミスあったりした。セカンドはワンダウンの14からブレークして34 44と平衡カウント、そしてタイブレーク、だが錦織にいいところはなくロペスの気迫に押されて27で落とし敗れた。

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