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冬の陽射しに輝きながら天に

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「もちろんだとも。どうやって大司教になったと思っているんだね。日の出から三時間したら大聖堂へ来てくれ。それまでにわたしは報告書を読み上げて、アニアスの支持者が出してくる疑問や反論に答えておこう」
「了解しました、猊下」スパーホークは立ち上がった。
「明日は気をつけてくれよ。向こうはきっときみを引っかけようとしてくる。くれぐれも短気を起こさないようにな」
「肝に銘じておきます」
その翌朝、スパーホークは注意深く装束を整えた。黒い甲冑は磨き上げて、ケープと銀の外衣《サーコート》には火|熨斗《のし》が当ててある。ファランは毛並みがつやつやと輝くまでに手入れされ、蹄鉄《ていてつ》にも油を塗って艶《つや》を出してあった。
「隅に追いこまれるんじゃないぞ。教会の連中は汚い手を使うからな」クリクと二人がかりで大男を鞍に押し上げながら、カルテンが忠告した。
「気をつけるよ」スパーホークは手綱を握り、踵《かかと香港金银业贸易场》でファランを前進させた。大きな葦毛《あしげ》は騎士館の門を抜け、聖都の混みあった街路へと出ていった。
ドーム屋根を持つカレロスの大聖堂はこの街全体を支配していた。建物は低い丘の上にあり、向かってそびえ立っている。青銅製の正門の前に立つ衛士たちはうやうやしくスパーホークを迎え、騎士は巨大な門に通じる大理石の階段の手前で馬を下りた。ファランの手綱を修道僧に託し、盾の止め紐《ひも》を調節して、階段を上る。拍車が大理石に当たって音を立てた。階段を上りきったところで、黒い僧衣を着たでしゃばりの若い修道僧に道をさえぎられた。
「武器を帯びての入堂は許されておりません、騎士殿」
「失礼だが、それは間違いだ。その規則は教会騎士団には適用されないことになっている」
「そんな例外は聞いたことがありませんね」
「では今聞いたわけだ。友よ、あなたと悶着《もんちゃく》を起こしたくはない。ドルマント大司教に呼ばれているので、入らせてもらう」
「ですが――」
「ここには大きな図書館がある。もう一度規則を確かめてみては冬虫夏草是什么どうかな。あなたが見逃していた規則がいくつか見つかると思うが。さあ、どいていただこう」
スパーホークは黒い僧服をかすめるようにして、香のにおいの漂う冷たい大聖堂の中へと足を進めた。宝石を嵌めこんだ祭壇に向かって儀式的に一礼し、丈高いステンド・グラスの窓から射しこむ色とりどりの光を浴びながら、中央通路をまっすぐ祭壇に向かう。祭壇のそばでは聖具係が一人、銀の聖餐杯《せいさんはい》を磨いていた。
「おはよう、友よ」スパーホークは聖具係に静かに声をかけた。男は杯を取り落としそうになった。
「おどかさないでくださいよ」と神経質な笑いを見せ、「近づいてくる音が聞こえませんでした」
「厚い絨毯《じゅうたん》が敷いてあるwset三級からな。足音を消してしまう。聖議会が開かれているはずだが」
聖具係の男はうなずいた。
「ドルマント大司教から、今朝報告することについての証言を求められている。会議の開かれている部屋を教えてくれないか」
「総大司教猊下の謁見室だと思います。ご案内いたしましょうか」
「場所は知っている。ありがとう、ネイバー」スパーホークは聖堂の前を通って、脇のドアから足音の響く大理石の廊下に出た。脱いだ兜《かぶと》を小脇に抱えて廊下を進んでいくと、十数人の修道僧がテーブルに座って書類の束を並べている大きな部屋に出た。黒いローブを着た僧の一人が顔を上げ、戸口に立っているスパーホークを見て立ち上がった。
「何かご用でしょうか、騎士殿」その男の頭頂部は禿げ上がって、側頭部の灰色の髪が両耳の上に翼のように広がっていた。

カテゴリー: 未分類 | 投稿者blankgut 15:46 | コメントをどうぞ