土曜日
あーちゃんは近所のお年寄りたち数人を伴って阿蘇神社へ、近くのJR駅から出かけたので、ぼくも朝から始まっていた錦織圭と悪童キリオスの試合を観終わってから、チャリで近くの公営テニスコートを捜しに出かけた。道際の桜の木は満開でまさに春が訪れていた。 ようやくさがし出したが運動施設の管理室に仲間はいなかった。
家に戻ると郵便屋さんと鉢合わせ、郵便物の中に1枚のはがきがあった。「会社設立のご挨拶」という文字が飛び込んできた。我が家の訪問からひと月もたっていないのに、びっくりぽんしていた。「株式会社○○○○」を設立しましたとあった。
突然の訪問に対してのお礼のはがきが来ていたが、返事を出さなかった。日頃返事は必ず出すようにはしていたが、今回だけは書くことが見当たらなかった。この訪問はなんなのという疑念が心の片隅にあった。意図するところがわからなず戸惑っていた。責任を取らされて辞めざるを得なかった。手のひらを返し周囲の態度、四面楚歌の状況でぼくのことを思い出したのかなとか、勝手に解釈もしたりしていた。
今回はすぐに古びれた万年筆とインクを捜し出し、タイミングよく買っていた便せんを広げていた。パソコンばかりでペンなど握るのは久しぶり、ミミズのような文字だけど、せめてものぼくの誠意、つたない文字で幼稚な文と気持ちだけのお祝いをしたためた。