日別アーカイブ: 2016年3月2日

例のトロールにも

「時間を取らせて悪かったな」クリクが馬にまたがりながら礼を言った。
 痩せた男はうなり声で答え、家の中に戻っていった。
 夕焼けに染まった村の外に出ると、スパーホークが従士に話しかけた。
「役に立つ情報だ。少なくともこのあたりにゼモック人はいない」
1434435185_kyLuEniT
「そこまで当てにできますかね」クリクは懐疑的だった。「あの男、あまりいい情報源だとは思えませんよ。周囲で何が起きてるか、気にするタイプじゃなさそうです。それに気をつけなくちゃいけない相手はゼモック人だけじゃない。シーカーが何を仕掛けてくるか知れたものじゃないし、気を配らな中醫診所くちゃならないんです。宝石が姿を現わせば世界じゅうに知れわたるってセフレーニアの話が本当なら、あのトロールこそがまっ先に気がつくはずだと思いませんか」
「どうかな。セフレーニアに訊いてみないと」
「そう思って行動したほうがいいですよ。王冠を掘り出したら、たぶんあいつと対決することになります」
「なかなか楽しい考えだな。とにかく塚の場所はわかったんだ。暗くなる前に、カルテンがどこに野営することにしたのか見てみようじゃないか」
 カルテンは湖畔から一マイルばかり離れた場所で、低木の茂みの中に野営地を設営していた。茂みのはずれでは盛大に焚《た》き火が燃えている。火のそばに立つカルテンのところに、スパーホークとクリクが戻ってきた。
「どうだった」
「塚の方角はわかった」スパーホークが馬を下りながら答えた。「そう遠電波拉皮くじゃない。ティニアンに相談しよう」
 重装甲のアルシオン騎士は、野営地の焚き火のそばでアラスと話をしていた。
 スパーホークはクリクが村人から聞き出した情報を話し、ティニアンのほうを向いた。「調子はどうだ」
「元気だよ。どうしてだ。具合が悪そうに見えるか」
「そうじゃないが、もう一度死霊魔術を使う気があるかと思ってね。前回はひどい目に遭《あ》ったわけだから」
「大丈夫だよ。一連隊をそっくり起こしてくれとでも言うなら別だけど」
「一人だけでいい。掘り出す前にサラク王と話をしておきたい。王冠がどうな二手Toyotaったのか知っているだろうし、サレシアへ連れ帰るのに異議がないかどうかも確かめておきたいからな。怒った亡霊を連れて歩きたくはない」
「まったくだ」ティニアンは大きくうなずいた。
 翌日は夜明け前から起きだして、地平線に最初の曙光が兆すのをじりじりしながら待ち受けた。空が白みはじめると、一行はまだ暗い野原を横切って駆け出した。
「もう少し明るくなるまで待ったほうがよかったんじゃないか」カルテンが不平を洩《も》らした。「同じところをぐるぐる回るようなことになるぜ」
「東へ向かうんだから、日の出の方角へ進めばいいだけだ。明るいほうへ向かっていけばそれでいい」
 カルテンはさらに何かつぶやいた。
「聞こえなかったぞ」とスパーホーク。
「おまえに言ったんじゃない」
「これは失礼」

カテゴリー: 未分類 | 投稿者awkwardgut 12:56 | コメントをどうぞ