日別アーカイブ: 2016年3月23日

て新市街に敵が入

「間抜けに見えるのと死ぬのと、どちらがましです? 誰かに気づかれましたか」
「カルテンに――少なくともその場を見ています」
セフレーニアは眉をひそめた。
「この件は二人だけの秘密にしておきたかったのですが――せめて何が起きているのかはっきりするまでは」
「カルテンが知っているのは、誰かがわたしを殺そうとしているということだけです。まあ知らない者はいないくらいですがねDR REBORN投訴。みんなマーテルだと思っていますし、今度のこともそう考えるでしょう」
「ではそう思わせておくことにしましょう」

「多少の脱走者が出ています」仲間たちが大聖堂の階段に集まったところで、カルテンがヴァニオンに報告した。「われわれが何をするつもりか、兵舎にまったく洩《も》れないようにするのは不可能なんですよ」
「予想はしていたことだ」ヴァニオンが答える。「誰か外の城壁からマーテルの動向を見張っている者はいるのか」
「ベリットがずっと見張ってます。あいつはいいパンディオン騎士にな高血壓中醫りますよ。できるだけ死なせないようにすべきでしょうね。その報告によると、マーテルはほぼ布陣を終えたようです。聖都に向かって進軍しろと、いつでも命令できる状態だとか。実際、まだ動きださないのが不思議なくらいですよ。もうアニアスの手下が、今朝の大聖堂でのできごとをご注進に及んでるはずですからね。ここで進軍を遅らせるのは、こっちに迎え撃つ準備をする余裕を与えるだけなんだ」
「貪欲のせいさ」スパーホークがカルテンに言った。「マーテルは欲の塊で、しかも人間はみんな自分と同じだと思ってる。われわれがカレロスの新市街を捨てて旧市街だけを守ろうとするなんて、あいつには思いもつかないことなんだ。だからこっちの軍勢がカレロス全域に広がって、手薄になるのを待っているのさ」
「わがブラザーたる大司教たちも、そう考える者が多いだろうな」エンバンが口をはさんだ。「新市街に大邸宅を構えている大司教たちは、われわれがマーテルに新市街を明け渡そうと考えていることを知ったら、きっと憤慨するだろう。投票はきわどいものになるかもしれん」
そこへコミエーとアラスが、遅れて大理石の階段を上ってきた。
「城壁のすぐ外にある家を何軒か壊さなくてはならない」コミエーが言った。「街の北に迫っているのはラモーク人で、連中はクロスボウを使うからな。屋根の上から矢を射かけられるのは困る」ジェニディアン騎士団長は言葉を切った。「わたしは包囲戦には慣れていないんだ。マーテルはどんな攻城兵器をくり出してくるかな」
「破城槌、投石機、攻城塔……」アブリエルが数え上げるDR REBORN投訴
「攻城塔とは?」
「背の高い構築物だ。城壁のそばまで転がしていって、兵士が城壁の上になだれ込む。梯子をかけて登るのに比べて、兵力の損耗が小さい」
「動くのか」
「車輪がついている」
コミエーはうめいた。
「ならば壊した家の残骸を路上にばらまいておこう。瓦礫の上で車輪を転がすのは骨だからな」
ベリットが疾駆《ギャロップ》で広場に駆けこんできた。大聖堂の前に整列した教会兵たちがあわてて道をあける。ベリットはその中を駆け抜け、鞍から飛び下りて階段を駆け上がった。「マーテルの手下が攻城兵器を組み立てはじめました」と息を切らして報告する。
「誰か説明してもらえないか」とコミエー。
「攻城兵器は部品に分解して運ぶのだ」アブリエルが答えた。「戦場に到着したら、まずそれを組み立てなくてはならない」
「どのくらい時間がかかるんだ。アーシウム人は攻城戦の専門家だったはずだな」
「ほんの数時間だ。大投石機ならもっと長くかかるが。あれはここで建造するしかないから」
「大投石機とは?」
「文字どおり大型の投石機だ。部品にばらしても、大きすぎて運べない。作るとなると丸太を何本も使うことになる」
「それでどのくらいの石を飛ばせるんだ」
「半トンかそこらだ」
「そんなものを食らったら、この城壁だって長くはもたないぞ」
「わたしもそう思う。だが最初はまず普通の投石機を使ってくるはずだ。大投石機だと、作るのに一週間はかかるから」
「それまでは投石機と破城槌と塔がわれわれを釘づけにするんだろう。攻城戦は好きになれん」コミエーは苦々しげに言って、肩をすくめた。「準備にかかったほうがいいな」教会兵たちを侮蔑的に眺めて、「とにかくこの不熱心な志願兵たちに、家を壊して残骸を街路にばらまかせよう」

暗くなって間もなく、マーテルの送り出した斥候たちは、カレロス新市街の城壁がまったくの無防備であることを発見した。目端の利かない一部の者たちは報告に戻ったが、ほとんどの斥候たちはその場で略奪者に変貌した。真夜中になる一時間かそこら前、ベリットはスパーホークとカルテンを起こしりこんでいると報告し、また取って返そうとした。
「どこへ行く」スパーホークがぼそりと尋ねた。
「新市街に戻ります」
「だめだ。旧市街の城壁の中にいろ。おまえを殺させるわけにはいかん」
「誰かが見張りをしないわけにはいきませんよ、サー?スパーホーク」
「大聖堂のドームの上に小丸屋根《キューポラ》がある。クリクを呼んで、二人であそこから見張るんだ」
「わかりました」ベリットの声にはやや不服そうな響きがあった。
「ベリット」カルテンが鎖帷子を着こみながら声をかけた。
「はい、サー?カルテン」

カテゴリー: 未分類 | 投稿者blankgut 18:46 | コメントをどうぞ