なかなかたどり着けない思い出の場所

小学3年生の時だったと思います。
1、2年生の時に担任してもらった先生のお宅に、同級生の女の子2人と私の3人で泊まりに行った時の事です。先生にあちこち遊びに連れて行って貰えて、とっても楽しかった思い出の中に、灯台に行った記憶がありました。灯台までの道のりは、そう遠くもなかったはずです。

先生と私たちは真夏の炎天下を歩いて丘の上の灯台に行ったから。
大人になって、何度も観光地にすらなっていない、名前も分からない、その時の灯台に行ってみようとドライブに出掛けたのです。
でも、だいたい、あのあたりという場所は解るのに、丘に登る道がどこにあるのか解らず、毎回断念していました。
相当の、年月が経ったある日、そうだ!先生の家にまた遊びに行って先生に教えてもらえば良いんだ!と思いつきました。
お土産のお菓子、不老不死の願いを込めたパワーストーンのブレスレット、庭で育てた野菜などを持って先生のお宅へ出発しました。
何十年も前の記憶をたどり、それでも、先生のお宅は割とすぐに見付かりました。

インターホンを押して待ちました。
現れたのは、笑顔は昔のまんまだけど、すっかりお年を召されておばあちゃんになられた先生でした。
イキナリの訪問者に先生は、いぶかしげな表情をしておられました。
出身小学校と、同級生の名前、自分の名前を名乗り、「先生、お久しぶりです。」と、言い、やっと見せて下さった笑顔でした。
仏間に招き入れて貰え、私の為にコーヒーを入れて下さって、笑顔のまま、たくさんの思い出話を先生はして下さいました。
しかし、お年を召されていたためでしょうね、私は先生のお話を聞くばかりで、知りたかった灯台への道のことはおろか、相槌と返事のはい、以外の言葉は、ひとつも発することなくお昼前になってしまいました。

子供の頃だったら、一緒に給食の時間になるところですが、高齢になってしまわれた先生に私の昼ご飯の心配までかける訳には行きません。
先生、長居をして、申し訳ありませんでした。午後は用事があるので帰ります。

体調には気をつけて、いつまでも元気でいてくださいね。
と、挨拶をして先生のお宅を後にしました。
もっと早く、こんなに時間が経つ前に教えて貰いに来たら良かったなぁ。
そう思いながら、先生のお宅から見えている丘を見上げました。
あの丘のどこかに、白い小さな灯台があるはずなんだけど。
私、とっても、あの時の灯台に行ってみたいんだけど。


カテゴリー: お出かけ | 投稿者myrilu 07:41 | コメントをどうぞ

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