2017年楽天ジャパンオープンに出場する選手が発表されました。ここでは初めて試合を観戦する方向けにそれぞれのペアについて書いてみました。そんなことはオフィシャルの仕事ですが、オフィシャルにやられては困るのです。私が語りたいので それぞれの選手の名前は日本語版ウィキペデイアに(無い選手もいます)、英表記はATPのサイトにリンクしています。()は各選手の9月25日付のダブルスランキングです。
*本戦ドローが公開されたので、それに合わせて更新しました。
1.ジャン ジュリアン・ロジェ(10位)/ ホリア・テカウ(9位)
結成4年目のペアです。2015年のウィンブルドンと今年の全米オープンを制しています。小柄な方がロジェです(それでも185cmありますが)。ロジェは基本的にはネットプレーヤーで、ストロークでの打ち合いを避けて極力ネットへ出ていく選手です。テカウもネットプレーヤーですが、ロジェに比べるとこの人の方がストロークがしっかりしている印象を受けます。リターンはデュースサイドがロジェ、アドサイドがテカウです。
ATP選手ページ:Jean julien Rojer Horia Tecau
2.フェリシアーノ・ロペス(21位)/ マルク・ロペス(20位)
フェリシアーノ・ロペスはシングルスでも活躍している選手で、日本でも大変人気のある選手の一人です。左利きであることを活かしたサーブが強力な選手です。
パートナーのマルク・ロペスは同じロペス性ですが兄弟ではありません。ダブルス専門の選手で、回り込みフォアの強打と反応の速さが特徴です。リオオリンピックのダブルスではナダルと組んで金メダルを獲得するなど、スペインのダブルスを牽引する存在です。
この二人は昨年からペアを組んでいて、昨年の全仏オープンのチャンピオンです。出場ペアの中では5番目にランキングが高いのですが、この大会のシード枠は上位4ペアまでなので、ノーシードでの出場となります。このペアのポイントはマルク・ロペスのサービスゲーム。マルク・ロペスのサーブは男子選手としてはかなり遅いので、基本的にブレークを狙われます。マルク・ロペスのサービスゲームをいかにスムーズにキープできるかがポイントです。
ATP選手ページ:Feliciano Lopes Marc Lopez
3.マクラクラン勉(133位)/ 内山靖崇(499位)
先のデビスカップ対ブラジル戦が記憶に新しいペアです。さすがにダブルスプレーヤーということでマクラクランは細かいショットが上手でしたが、あとひとつ突き玉に鋭さが欲しかった気がします。このペアが強くなって錦織が帰ってきたらデビスカップも楽しみになります。
ATP選手ページ:Ben Mclachlan Yasutaka Uchiyama
4.トレット・ヒューイ(67位)/ アディール・シャマスディン(58位)
ヒューイは珍しいフィリピンの選手です。過去最高は18位まで上がったことのある選手で、小柄ですが柔らかいタッチと左利きを活かした回転系サーブが得意です。
シャマスディンはカナダの選手で、この人も180cmで決して大きな方ではないですが、ヒューイに比べるとパワー系の選手の印象を受けます。
この二人は2011年に1大会ペアを組んで出た以来、6年ぶりの再結成となります。右利きのシャマスディンがでデュースサイド、左利きのヒューイがアドサイドのリターンを担当します。
ATP選手ページ:Treat Huey Adil Shamasdin
5.レーブン・クラーセン(18位)/ ラジーブ・ラム(16位)
今年で結成3年目になるペアです。昨年の今大会は準優勝でした。テクニシャンのクラーセン、長身でパワーのあるラム、とプレースタイルの対比がはっきりしているので、非常に見やすいダブルスではないかと思います。両手バックの選手がクラーセン、片手バックの選手がラムです。
ATP選手ページ:Raven Klaasen Rajeev Ram
6.フランコ・スクゴール(42位)/ビクトル・トロイツキ(95位)
スクゴールは今年の慶応チャレンジャーでも来日しているので、今年2度目の来日となります。実はプレーはあまりちゃんと観たことがないので、どんなプレーをするか知りません
トロイツキは単複両方でのエントリーです。シングルスプレーヤーのイメージが強いですが、実は今年ダブルスでツアータイトルを取っていたりします。
この二人がダブルスを組むのは恐らく初めてだと思います。
ATP選手ページ: Franko Skugor Victor Troicki
7.マルチン・マトコウスキ(33位)/ アイサム ウル ハク・クレシ(29位)
マトコウスキは昨年の楽天オープンダブルスのチャンピオンの一人です。昨年WOWOWの実況をしていた河路アナウンサーが、彼の体型について「現役選手かな?という感じ」と形容していましたが、その通りちょっとポテッとした体型でショットのフォームもカクカクした独特の選手です。
クレシはパキスタンの選手で強力なサーブと素早いネットでの動きが持ち味です。過去には全米オープンで準優勝したこともある実力者です。
マトコウスキとクレシは常にペアを組んでいるわけではないのですが、今年1月の大会ではペアを組んでの優勝があります。リターンはクレシがデュースサイド、マトコウスキがアドサイドです。
ATP選手ページ:Marcin Matkowski Aisam Ul Haq Qureshi
8.サンチャゴ・ゴンサレス(39位)/ フリオ・ペラルタ(35位)
ゴンサレスは2010~2016年まで毎年必ず1大会は優勝している実績の安定した選手です。今年はまだ優勝はないのですが、ドナルド・ヤングと組んだダブルスで全仏オープン準優勝の実績があります。
ペラルタは36歳のベテランですが、ここ2年で100番近くランキングを上げてきた遅咲きの選手です。南米(チリ)の選手らしくストロークが得意で、サーブ&ボレーはせず雁行陣で戦うことを好みます。
この二人がペアを組むのはこれが初めてになります。リターンはデュースサイドがゴンサレス、アドサイドがペラルタです。
ATP選手ページ:Santiago Gonzalez Julio Peralta
9.松井俊英(152位)/ 杉田祐一(605位)
一昨年のジャパンオープン1回戦の松井/ニーミネン vs クレシ/シモンの試合を観ましたが、松井は他の選手に決して負けてない動きだったと思います。ただ、リターンの精度 はトップレベルの選手と比べると劣る印象がありました。今回ペアを組む杉田はリターンがいい選手ですし、ノーアドバンテージの試合方式を活かせば、なんとか1勝できないかと期待しています。仮に松井が1回戦を勝利した場合、2010年のデビスカップでの勝利以来のツアーレベルでの勝利となります。
ATP選手ページ:Toshihide Matsui Yuichi Sugita
10. ディエゴ・シュワルツマン(159位)/ ドミニク・ティエム(280位)
シングルスプレーヤー二人が組んでいます。二人ともダブルスのタイトルはまだありません。あくまで二人にとってはシングルスがメインとなると思いますが、どんなプレーをするか楽しみです。
ATP選手ページ:Diego Schwartzman Dominic Thiem
11,ドミニク・イングロット(62位)/ ダニエル・ネスター(43位)
イングロットは長身でリーチのある選手で、強力なサーブが武器です。グリップを少し短めに握るのが特徴です。
ネスターは45歳の大ベテラン。全てのグランドスラムのタイトルを持ち、シドニー五輪では金メダルを獲得した元世界ランキング1位の選手です。ジャパンオープンに関しては1998年に優勝、翌年は初戦で敗れてしまい、それ以降出場していないので、今回は実に18年ぶりの出場になります。残念ながら来年のマスターズ1000トロント、もしくは全米オープンでの引退を表明しており、現役選手としての来日は今回が最後になると思われます。
イングロットとネスターは常にペアを組んでいるわけではありません。今年はこの二人でペアを組んで4大会に出場していますが、2試合しか勝てていません。リターンは右利きのイングロットがデュースサイド、左利きのネスターがアドサイドを担当します。
ATP選手ページ:Dominic Inglot Daniel Nestor
12.ライアン・ハリソン(24位)/ マイケル・ビーナス(15位)
ハリソンはシングルス、ダブルスともトップ100に入っている選手です。今大会も単複両方にエントリーしています。
パートナーを組むビーナスはダブルス専門の選手です。ハリソンの父親がビーナスのコーチを務めていて、二人の間柄はプライベートでも親しいようです。
ハリソン/ビーナス組の活躍はなんといっても今年の全仏オープンでの優勝です。二人とも非常にパワーのある選手で思い切った強打が持ち味です。リターンはデュースサイドをビーナス、アドサイドをハリソンが担当します。
ATP選手ページ:Ryan Harrison Michael Venus
13.ニコラ・メクティッチ(32位)/ ニコラス・モンロー(31位)
メクティッチのプレーを私は観たことがありません。そもそも読み方が“メクティッチ”で合っているのかさえわかりませんこの選手についてはもっと詳しい方に譲ります。
モンローは黒人の選手で動きの素早さが強みです。ただ身長178cmと小柄なのでどうしても2ndサーブを狙われてしまうのが弱点です。去年もジャパンオープンのダブルスに出場していて、予選からのエントリーでした。
メクティッチとモンローは前週のシェンゼンオープンで初めてペアを組んで、いきなり決勝に進出しています。
ATP選手ページ:Nikola Mektic Nicholas Monroe
14.マーカス・ダニエル(47位)/ マルセル・デモライナー(54位)
このペアは最近名前を聞くようになったのですが、私はほとんど試合を観たことがなくあまり良く知りません 今年から本格的に結成されたペアで、少しずつランキングを上げていますが、まだペアとしての優勝はありません。前週の中国の大会では準優勝でした。
ATP選手ページ:Marcus Daniell Marcelo Demoliner
15.ブノワ・ペール(175位)/ アルベルト・ラモス ビノラス(160位)
完全にシングルスプレーヤー同士のダブルスです。過去2年連続でペールのダブルスを観戦しましたが、そんなに真剣にやっている印象はありませんでした。今回も勝つためというよりシングルスに向けて試合数をこなしてコートサーフェスに慣れるのが主な目的なのではないかと思います。
ATP選手ページ:Benoit Paire Albert Ramos Vinolas
16.ジェイミー・マレー(11位)/ ブルーノ・ソアレス(12位)
ジェイミー・マレーはアンディ・マレーの兄で、ダブルスランキング1位になったこともあるダブルスの名手です。日本でも人気があります。ネットプレーが抜群にうまく、あまりストロークにはパワーがないので、多少強引でもネットに詰めていくプレーが特徴です。
ソアレスはマレーに比べるとパワーがあり、ストロークとネットプレーのバランスが良い印象を受けます。
この二人は昨年から固定でペアを組んでいて、昨年の全豪、全米オープンを制しています。昨年もジャパンオープン出場し2回戦で敗れています。
ATP選手ページ:Jamie Murray Bruno Soares
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