昨年の夏のこと余仁生保嬰丹。
「坂下の農家の直売所、あそこの枝豆は格別。ホントうまいンだよ。一度食べたらほかのは食べられない」
こう教えてくれたのは近所の吉田さんだ。
「孫もこの枝豆を食べて以来、ほかの枝豆は食べないンだよ」
8月の終わりごろまでは娘さん一家に週に1度は買って届けるのだとか。しかし朝の9時過ぎには売れ切れとなることもあるらしく、朝から大変だと嘆いていたが、その顔は頬が緩み嬉しそう。
3日後。
「はい、お宅の分」。枝付き枝豆をひと束届けてくれた吉田さん。そういえば、次はうちの分も買ってきてくれると言っていたっけ。礼を言って代金を渡す。ここで吉田さん、
「茹で方、これが肝心」と切り出し、教えてくれたDiamond水機。
——枝から切り落とした枝豆はこすり洗いしてから塩もみする。無水鍋(なければ厚手の蓋つき鍋)に枝豆をいれ塩を振り、水少々をふりかけ2、3分蒸し煮する。そして2、3分蒸らす。鍋によって時間は調整する。——
夕方、教わった通りに茹でる。たしかに味は濃く甘みも強い。
以来、農家の販売所の枝豆に限らず、八百屋の枝豆でもトウモロコシでも隠元(いんげん)でもこの方法で蒸し煮する。
つい数日前のこと。
夫が枝つき枝豆の入ったビニール袋を下げた吉田さんとばったり会い、会うなりこうはじめたらしい。
「坂下の農家の直売所の枝豆は格別で……」
吉田さんの大好物の枝豆。うちでも大人気となる。食べられるのは8月の終わりごろまで。明日の朝、わたしも坂下まで行くとしよう消化不良。