木曜日
台風接近とかで、いつ降ってもおかしくな灰色の雲が知ら一面垂れ込めていた。パラパラは降っていたが15時過ぎまでは降雨はほとんどなかった。蒸し暑かったけど風もなくテニス日和と言えたかもしれない。
バスを降りてクラブハウスの前まで来ると、見かけた顔の笑顔が目についた。そうだ彼も出ていたんだと思いだしていた。受付を済まして出てきたようだった。8番コートだという、まだ時間は十分あったけど彼はそちらに向かった。
初めてだから確かめておきたかったんだろう。ぼくは急いで準備をして急ぎ足で123,456、789と斜め三段にに別れている一番下のコート、8番コートへ出かけた。顔見知りの女性のローピングアンパイヤーがいたので、彼は初めてですのでとお願いして、参考になりそうなことを助言して2番コートへ戻った。
2番コートでは、ほぼ定刻に始まった。ファーストはこちらのペースでものにしたが、セカンドになると入らないサービスに嫌気がさし、動きも悪くなり戦意喪失状態になり取られていた。ファイナル、スーパータイブレークも相手のペースで5 10で敗退となった。こんなサービスではどうにもならない。体調も良くないのだと判明していた。
Y市から来たTさんに久しぶりあった。空港の上空で着陸できるか不安があったといい、日程が異なる旦那は明日来るという。話の中で父親が最近亡くなったと言う。尋ねるとぼくと同世代のお父さん。元気にしていたのに急に亡くなったらしく、その声は小さかった。肩が痛いなんて大したことでないですよ、と彼女は言ったのには背筋が伸びる思いがした。父親を亡くした彼女の励ましの声にも思えた。