土曜日
予報通り雨、今日は県の室内選手権、11時からとなっていた。10時半過ぎパークドームへ、ドーム内に降り立つと暗いのなんの、受け付けいたシングルスの練習仲間K氏、(彼はこの大会のディレクターとプログラムに表記されていた)ボールが見えそうにもないから帰りますと冗談を言ったりしていると、運営委員らしき人が立ち上がって管理事務所の方へ向かって行った。ほんとうに暗かった、それでも12面のコート内では選手が躍動していたので驚くしかなかった。一般の選手だったらこの暗さでも出来るのだと、やる気は失せていた。今日の試合は一般と60才以上とのこと。
コートサイドまで歩いて本当にボールが見えるのかと確かめていると、コートにいた若い選手がぼくのほうにやって来て、照明を付けてくださいと真顔で言うのだ。ひげずらのぼくを見て勘違いしたようだが、受け付けに行って若者も電気つけてと懇願していたことを伝える。
まもなくコートがほんのりと明るく感じた。雨が止んで日がさしたのかと見上げるともんくが言えない程度点灯されていた。
ぼくの試合は反対側の11番コートで行われる、おしゃべりは止めて一式肩に担いで行くと、そこには60才台出場の顔見知り見受けられた。
相手は先週の市室内選手権で凍てつく強風の中で優勝した選手、粘り強い選手だったが、粘れなかった。距離感とボールが見えずらく、ネットをこえてようやくわかるという感覚で、一歩も二歩も後れを取っていたので、闘志がわいてこなかった。1試合目06、2試合目16。相手はけっこう上手だったので致し方なし。
それよりぼくは隣10番コートで始まったK氏の試合に気持ちは移っていた。仲間のH氏に土をつけたいと闘志を見せていた。近頃ぼくはK氏に分が悪く、彼の進歩上達を認めざるを得ない状況になっていた。だからぼくは彼に期待していた。
そして期待通りに試合は進んでいたのだ。自分の試合が終わりコートチェンジのときスコアーを覗きに行くと何と41でリードしているではないか。
H氏は苦笑い、K氏はにこっと笑顔を見せた。
観覧席にもどり注視していると、K氏の様子がおかしい、流れが変わっていた。スコアーを覗きに行くと43、やばい、しかしK氏がサービスキープすれば53、期待していたがブレークされ44 そして45 頑張って55 56万事休すに思えた。マッチポイントも与えたが彼の最後のもがきの必死さが伝わってきた。大きな声が出ていたそして必死にボールを追いかけていた。痛く気持ちが伝わってきた。H氏には悪いけど必死でK氏を応援を始めていた。
気が付くとタイブレークになっていた。そこで又も42 52とリードしたではないか、これはいけると心底思ったが、試合こうしゃのH氏が本領を見せはじめていた。得意のスライスで丁寧につないで相手のミスを誘っていた。
必死の攻防を仲間数人が手に汗を握る思いで見守っている。決勝戦を見ているようだねと冗談を囁きながら、二人の必死さがビンビンと伝わってきた。66でチェンジコート、しかしここで力が尽きていた。K氏は2ポイントを落して終わっていた。
ぼくたちはやはり実質の決勝戦を見ていたのだった。ディレクターのK氏なら結果を、携帯を入れると、H氏がTERA氏に61で勝ち優勝という。携帯の向こうに笑顔があった。
あの試合が決勝戦だったのかと思ったりしている自分がいた。
プリーズクリックhere____ ↓クリック____↓クリックpoint