『お笑いのよしもと興業から、研修を頼まれた』
3年前に、一本の電話が届いた、
『ヒーローさんですか?私、お笑いの吉本興業ですけど、
近頃、笑いの質が低下してきて、研修会を開きたいんですが
お受けできないでしょうか?』
あの~スミマセン、ヒーローはテニスのコーチですけど?
『違う業種の方の指摘が新鮮でイイかと思いまして!』
ま~必要とされたら嬉しくなるヒーローだから、お受けした、
1日3時間、3日間働いて、ギャラは30万、高収入だし最高と思って、
研修会当日が来て、体育館みたいな会場に行くと、テニスコートが1面
設置されていて、その周りに、100人近いお笑いタレントが居て、
ヒーローを見るなり、ニヤニヤ笑い、コソコソ話をしてる、
中にはテレビで見た事もある人や、近頃見なくなった人も居る、
『おいおい、何処の馬の骨か知らん、チビでデブのテニスのコーチが
ナンボのもんじゃ?』って、冷ややかな目で見てる、
笑いとはなんぞや?って言いたかったけど、まずは、仕事、
自己紹介の後に、体験レッスン会を開いた、
100人を1面で3時間教えると、1人あたり1分48秒、
これでは、上手にならないから、運動不足の皆様、怪我が無く
達成感がある感じがあるとしたら、1人あたり30分は動かしたい、
って事は、教える人が10人必要となってくる、
そこで、テニスのキャプテンオーディションを開いた、
多少、球技経験のある人を募って、テストしてみた、
お笑いだけに、受けを狙う人は却下、そして10人を選び、
キャプテンの下に9人ずつチーム分けをして、10チーム作った、
キャプテンに指示して、1列に並ばせ、3mぐらい離れた所から、
ボールをワンバウンドで右に投げ、フォアーハンドストロークで打たし
キャプテンがキャッチする、1球交代で、グルグルまわる、
20分やった所で、テスト、10チーム一緒に、1・2・3・・9まで
出来たチームは合格、途中で失敗したチームは全員でスクワット5回、
皆で、ワイワイと楽しく出来た、次にバックハンドストローク、
フォアーボレー、バックボレーとやる度に、どんどん上手になっていく、
ま~、どうにか1日目の講習会を終える事が出来た、
二日目は、キャプテンがラケットを持ってネットをはさんでのラリー、
所が、慣れてきたせいもあるけど、お笑いってのもあるけど、
ふざけ過ぎて、罰ゲームも適当になった、
意外とうれてる女性の芸人なんかスクワット5回を『1・5』って
2回で終わる、何で5回しないのかと聞いたら、
『15歳だから1の次は5だよ!』だって、どうみても3倍は行ってる、
突っ込みたい所を我慢して、みんなを集合させた、
皆さん、プロの芸人でしょう、笑いとは何か?
ネタ帳に面白い事を集めて、それを並べて記憶して話する、
果たして、これがほんとのお笑いでしょうか?
近頃のテレビでは、副音声のように笑い声が準備されていて、
笑わせたい時に、先に笑い声を流す、それに釣られて笑う、
お笑いとは、みんなの苦しみや悲しみ、共感することや興味を、
みんなに変わって代弁し、それを笑い飛ばしてやる事だった、
だから、真の笑いは、真の悲しみや苦しみを乗り越えて来たから解る、
笑いの後ろには、ピエロの顔のように泣いている、
茶の間で、嫌な事があった人にも、笑いを通して勇気を上げる
悲しいことが会った時、笑いを通して乗り越え方を伝え笑顔にさせる、
社会の不満を言えない人の代わりに言ってあげて、心を発散させる、
苦しい病と戦ってる人にも、笑顔を通して安らぎを与えてくれる、
お笑いとは、一生懸命にみんなを幸せにして上げる事だと思う、
なのに、こんな簡単なテニスの練習を、真剣にしない奴が、
お笑いを出来るはずがない!って超怒った・・・・・所で目が覚めた、
血圧が上がり過ぎて、頭が痛かった、ほんとリアルな夢だった、
夢の中まで24時間テニスを教えているんだよね。