日別アーカイブ: 2016年1月25日

ないとは言わせな

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「おのれ、シルティめ、最後に巫女に戻りおって…」
ゴラムはそう言った。しかしガラムは不敵な言葉とともにミーシャに近づく。

「ふん、その太刀の使い方を知らん娘が図に乗るな、そらっ」
もう一方の肩当てを剣に変え、ガラムは打ち込む、しかしまた同じ事だった。
「ガッ」
太刀がガラムの剣に吸い付く様に合わさりそして吸収する。
「くっ、何故だ…」

「白龍刀は邪気を吸いそして祓う。殺傷の武器ではない。それは『黒龍刀』も同じ。違うのは『黒龍刀』はラグナに向い、一方『白龍刀』はヨミに向う。ヒメカの力を得たオロシアーナにあなたは勝てない」

シルティの血で染まった白装束、それこそオロシアーナの正装だった。そしてミーシャはなぎ祓う、かけ声とともに…。

「いざ祓いたまえ、オロシアーナ、斬(ざん)!」

純白の旋風がガラムを包んだ。ガラムはその場にうずくまった。ガラムはその闇を浄化されたのだ。浄化の言葉は既にガラムには聞こえなかった。静かにガラムの目の赤い光が消える。しかし、分身となっていた大ムカデはいっこうにひるまない。一部始終を見ていた操りグモのゴラムはすでに勝機を逃した事を悟った。しかしまだあきらめてはいなかった。

「仕方がない、私にひとつだけ許されたフェンシングで戦おう」
由美子はラペを取り出し、アンガルトを決めた。先を平坦にしたラペは殺傷能力がない、しかし大ムカデの攻撃を避ける事はできる、そう思ったのだ。

「そんなもので、戦う?なんの余裕だ」
「リンリン、これが私に扱えるかしら…」元々それは漆黒テントウに姿を変えたリンリンが『ラクレス』から渡された『ブラック?ダーク』だった。
「これは、私の新しい武器『黒いラペ』という。父が鍛え直し作ってくれたもの。さあかかって来い!」

「フフッ、面白い。そんなフャフニャの剣が役に立つと思っているのか、岩をも切り取る大ムカデの牙に…」
大ムカデが鎌首をもたげた。見かけによらず俊敏だ。その一撃が放たれた。

「ギル?」
何が起こったのか、大ムカデは奇怪な声を上げた。しかしそれ以上に驚いたのは、ゴラムだった。彼はその目を疑った。たった今長い体だった大ムカデの胴が横一文字に分断されたのだ、しかもわずかな音とともに。その細い剣がそれほどのものとは思えない、ゴラムがすぐ言った。
「お前、その切れ味は…、この世のものか?」
「言ったでしょう、父が鍛え直した新しい武器『黒いラペ』だってね」
しかし、再び合体した大ムカデが牙をむく、再生する限り決着はつかない。

「お前の父はヨミ族の…」
「黒サソリに殺された『ダゴス』知らいわ」
「おい、ゴラム。間違いあるまい」
赤ムカデのガラムがそう言って振り返った。
「おそらくそうだ、しかし今まで見つからなかったのは何故だ」
「何言ってんだか、えいっ!」
大ムカデは一振りで今度は左右に分断された。それを見て、ゆっくりとゴラムは由美子に近づき、カチカチと牙を鳴らした。
「それは『黒龍刀』、ツクヨミの『力』だ。アマオロスの『白龍刀』とともに『聖神の力』と呼ばれるものだ…、さあ渡してもらおう、それとも俺を斬るか?」
大ムカデはまたしても再生した。

カテゴリー: 未分類 | 投稿者blankgut 12:47 | コメントをどうぞ