2018年 8月28日 13番コート 男子シングルス1回戦
J.ベネトー 2-6 7-6 6-3 6-4 M.チェッキナート(22)
今大会で引退を表明しているフランスのベネトー。さぞかし沢山のお客さんの声援の元でプレーするだろうと思い、急いでコートに向かったのですが…
↑こんな感じでお客さんの入りは割とまばらな上に応援も序盤はチェッキナート寄りで、ベネトーの最後の大会としては少し寂しい雰囲気でした。
試合は第1セットは2ブレーク差をつけてチェッキナートが取ります。やはりストローク戦になるとチェッキナートの方が優位な印象が残りました。ベネトーもそれを感じていたのか、第2セットはサーブ&ボレーを増やしてきました。
正直なことを言うと私はこの時、ベネトーにどこか諦めがあるのではないかと思ってしまいました。戦術を少し変えはしたとはいえ、ベネトーはなんだか淡々としていて、なんとしてもこの状況を打破しようとしているように見えなかったのです。既に引退の意思を表明している選手ですし、それも致仕方ないことなのかな、と思って観ていました。
それが間違いだったことに気づかされたのは第2セットのタイブレークです。タイブレークに入るとベネトーは一転して気迫のこもったプレーを見せ始めます。恐らく最初からこのタイブレークで勝負をかけるプランで、それまではギアを温存していたのでしょう。6-5で迎えたセットポイントでリターンを強打し、見事にセットオールに持ち込みます。
第3セットは勢いを失ったチェッキナートのミスにつけこんで早期にブレークを奪うとその1ブレーク差をきっちり守りきって6-3でこのセットを取ります。
こうなってくるとそれまで静かだったベネトーの応援が俄然盛り上がり始めます。2-3で迎えたベネトーのサービスゲームは何度もデュースになる厳しいゲームでしたが、ここを切り抜けると次のチェッキナートのサーブをブレークに成功。このセットもその1ブレークを守り切って見事な逆転勝ちを収めました。
試合の後、フランスのテレビ局のオンコートインタビューがあり、ルコントとバルトリが来ていました。ところがその収録中に次の試合の女子選手が入場してきてしまったため、ベネトーにはコートでファンにサインをする時間が無くなってしまい、急遽通路を歩きながらサインをすることに。時間が無い中でも子供達との写真撮影やサインには可能な限り応じていた姿が印象的でした。
既に報道されている通り、ベネトーはこの後の2回戦でフルセットの末にシュトルフに敗れています。デビスカップに招集されれば出場する意向があるとのことですが、今のフランスの選手層を考えるとベネトーに招集がかかる可能性は低いので、恐らくこの試合をもって引退でしょう。
それにしてもこのチェッキナート戦は素晴らしかったと思います。2ブレークダウンで落とした第1セットから、第2セットのタイブレークのワンチャンスをものにして試合の流れを変えてみせました。ベテランらしい駆け引きの巧さだったと思います。戦術の工夫次第で、自分より格上の相手でも勝てるのだという、テニスの楽しさ、奥深さを最後の大会で改めて示してくれました。とても格好良かったです。引退が残念でなりません。
↓人気のブログランキングに登録しています。よろしければクリックをお願いします。
プロテニスランキング