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スプリットステップと軸足

もう10年近く前のことですが、プライベートレッスンをやるようになって、問い合わせのメールが来たことから始まったものが、「スプリットステップをきちんと教わりたい」というものでした。そのことはよく覚えています。

さて、この時の生徒さんにかぎらず、スプリットステップがうまく使えていない人って結構見かけますよね。

ダブルスでセンターを抜かれやすい人、あなたです(笑)。

おもにネット前で横を抜かれないように反応をよくするときにフィーチャーされますが、どこの状況であってもスプリットステップはあるべきだと思います。

 

さて、ここで「自分に当てはまるな」と思った方に課題です。

「高速ステップ」をその場でどのくらい速くできますか?1秒間でいいです。

足音がマシンガンのように「ダラララララ」的な感じで。3~5回いけますか?

相手がどっちに打つかわからないときに、これをやってみてください。どっちにでも行けます。

あ、もちろんアレですよ、どっちかにダッシュするイメージを先に持たないといけないです。

重心を下げながらも足が高速で動いて上半身を浮かしてる感じ?表現あってる?

足が回転

これを止まってる位置でやる。

重心が高いと身体が揺れて早くできなくなると思います。

で、相手がどっち打ったか分かった瞬間に移動につながるイメージを。重心が下がっていれば苦労はしません。重心が下がってるってことは足が地面をとらえやすく、力を入れればその方向にスパッと切れ味鋭くスタートできる。

これ、フェレールとかすごいやります。両足スプリット(分けるっていう英語ですよね)で一回のジャンプみたいにしても、自分のイメージでどっちかに勝手に予測をしても外しちゃうことがあるじゃないですか。そういうのを補正してくれることもあるようです。

両足をダン!って地面につく練習をさせているスクールもコーチもいますけど、もちろん私も若いころやってましたけど、意味を考えたらそれって「しっかりその場で止まれ」の練習ですよね。

走ってる最中でもスパッと方向を変化させるときに、走っている方向に重心が乗っかっているとそのほかの方向にはかなり行きにくいものですが、その重心を一発でニュートラルの状態に戻せて、別の方向になるべく鋭くダッシュできるようにしたいわけです。

身体が軽く感じるくらいでないとそういうイメージができないと思います。だから、この漫画のように足が速く動いているのに体が安定している感じになります。

最近はこういうのをスプリット(分ける)じゃなくてセレクティブステップとかって名前を付ける人もいるようですが、正直「技」みたいな特殊性を帯びるようでそういうのは好きじゃないです。

ま、覚えやすいという効果もあると思いますがね

 

んでこれは遠いボールに対応するステップと近いボールに対応するときのステップ

あ、ステップ後の一歩目に違いが出るための条件があります。

これが肩と腰のターンなんでしょうね。ユニットターン、って表現されますが、肩から腰までが一枚の板みたいになるイメージを私が持っちゃうので、別々に認識して上半身にもひねりがあるイメージを持ってほしいのであんまりユニットって言わない感じを個人的には持ってます。

ドロップステップとステップアウトですね。

遠いときにはドロップステップ、ダッシュが先だとこうなります。

近いときにはステップアウト、すぐに打球態勢に入ります。

なんでもいいので、この動きが関連すると、こんどはスプリットステップが頭から課題としては消え、無意識に鋭く反応しているようになるかもしれません。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 08:00 | コメントをどうぞ

両腕の間の関連付け

ボール投げ(野球に限らず)や打具を使う動きなどをこなせる人なら自然にできる動きがあります。

動画で何度かやっていることでもありますが、私の左手(非利き手側)ではその両腕の間の関連付けがなくて、利き腕である右手から見ると大きくパフォーマンスが落ちます。・・・というか、初心者になります。全く感覚がない。

 

腕はそもそも胸から生えている、と聞いたことがあって、それは四つ足の動物がもっている機構(骨組み)の要素をヒト(猿人類)にも残っている部分があって、指先から手首、前腕、ひじ、上腕、肩甲骨ときて、鎖骨(肩鎖関節)で支配(?)されて胸骨まで届きます。(支配しているのは複雑に絡んでいる筋肉の機構によるものですよね)

前回記事の肩と腰についてのことを書きましたが、腰から行くと肩に影響が出て、肩から行っても腰まで影響します。

そしてこの肩の周りにある、たくさんの筋肉群は、腕のもっている人間にしかできないと思われる器用で多様な動きを支えています。

指先などは体のどの部分よりも神経が集中している部位の一つで、感覚を鋭くしてくれる要素を持っているので鍛えれば鍛えるほどいろいろなことがわかってきます。

 

それで、冒頭に書いた動きを持っている人って、っていうことに至ります。

幼少期に経験しておくと考えて動かさなくてもイメージができているようになるんだと思いますが、逆を言えば利き腕が生まれつきのものであるということは、そういうものを教わらなくてもできるようにプログラムされている身体だということも言えるんじゃないかと思います。

 

スクールで、ジュニアの小さい子のクラスから、大人の女性のいるクラスまで、さまざまな運動経験の方に、サーブの前にちょっと遠投をしてみてください、というチェックの時間を設けたことがありました。

その時に、ボール投げができる人とうまくできない人の差ははっきりしていて、前者はテニスコートの反対側のベースラインを超えるくらい楽々と、という感じですが後者はネットを超えるかどうか、という差。私の左手も後者です。

前者のパターンは両肩のバランスよい加速運動を達成している例と言えますし、それ以上に下半身からの力もきちんと伝達されているからだとわかります。

現在は左手に徐々に「それっぽい」動きになるように要素を根付かせようとしているんですが、やはり下半身からの連動にまでなんていかないですよね。

肩から腕をひねると、肩鎖関節にひねりが伝わって両腕をしっかり関連付けて動かせるようになります。

サーブやスマッシュのようなオーバーヘッド系のスイングだけでなく、フォアハンドやバックハンドにもその動きの感覚は影響があるはずです。稲村亜美

これ。女性だからという目線で見ると驚くほど使い方ができている。筋力もあるのかもしれませんが、使い方がうまくないとやはりスピードが出ないんでしょうね。

テニスにはテニスの動きがありますが、基礎となるものは人間の体として共通のものがあると言わざるを得ない部分もあります。

その辺も言葉でなく動画で紹介できればな、と考えています。

 

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 11:46 | コメントをどうぞ

肩と腰

身体の関節の中で、この二つが「多軸関節」です。

この関節がこの位置にあるおかげで、体を「ひねる」ことが「増幅装置」として初動で産んだパワーを大きくし伝達してくれる役目に大きく貢献しています。

ここの使い方は、身体の使い方、を話すコーチたちがやはり注目するところになりやすく、「肩甲骨」であるとか「骨盤」の使い方という紹介の仕方をしていますね。

肩と腰は連動していて、肩の使い方って腰の動きをつかさどるところがありますし、腰をしっかり使えると肩は動かしやすく…というか可動範囲が大きくパワフルになると思います。

 

テニスの動きに対しては、野球やゴルフと共通の部分もあるし、やはりそれぞれに向いた特殊な部分もあると思います。

テニスにおいては、注目されるのはやはりラケットを持っている利き腕になろうかと思いますし、解説するとしたらやはりそこが主になると思います。

しかし、非利き手側の骨と筋肉は関連しあって動くこともわかると思いますし、そこでバランスの取れる動きがあろうかと思います。

ボールに反応する動きには、まず足が一歩目をどう動かすかが素早い人ほど守備範囲も広いといえると思いますが、それを追いついてすぐに思ったスイング(コントロールできる態勢)で入れるようにするには、ほぼ同時に利き腕側の肘から肩を持ち上げるようにするとよいようです。

スイングをしっかりするには、「軸」を作らねばならず、右手側のスイングの軸は右足に、逆もしかり、ということなんですが、走るという動作は両足を交互に動かすことで骨盤が安定しますので、走っていると軸が作りにくい、という発想になると思います。

しかしスポーツを経験していればわかることなんですが、走りながら軸を作ることってできるんです。それって走りながら手(腕)を作っておくこと。

手を作るときに、すでに「打てる」形としておくことです。それが「肩」の形を作ってくれて、肩ができることで「腰」につながりができます。それが走りながらできる「軸」になる。

これ、何の効果があるかを、こうやって言葉で説明すると、できている人でもわからない感じがするかもしれません。

ランニングパスを抜くときに、フォアハンドだったとしたら右足が走りながら「グンッ」ってリズムを崩さずに力が入るのを感じるはずですね。

サッカーのボールを蹴るときに、追いついてすぐにちゃんと足を間違えないでできるようになっているはず、というのと同じことかと思います。野球の外野手が走りながらバックホームに送球するときにも逆の足が出てこないっていうこととも同じこと。

腕の形を欲しい形に作ってくれると、それに合わせてスピードを落とさずに走れる足ができることがあります。

軸はできると(体の片側にできる)歩幅が小さくなりそうですが、ちゃんとできると普通に?(同じくらいに?)走ることができたりします。

テニスをするときに、これを知っている(体が知っている)のはすごく大きい。

テイクバックでは肘を上げて、肩の関節を動かすまたは浮かすようなイメージにすると、ここで言っていることがわかりやすくなると思います。

上がった腕は降ろしてきていいので、普段からそうやって打っていない人でも、「まだ打っていない」時間のうちにそれ(腕を上げる)ができてしまえば、いつものフォームに戻して間に合ったとしてもすこし当たりがよくなっているはずです。体感できるくらいの違いが判ると思いますので、そこからコントロールのほうに意識を修正していくうちに質の上がったショットを普段できている通りかそれ以上にコントロールを良くしている可能性があります。

腰は落としておいたほうがよい、というのは私自身がそう感じますが、じつはこれが上がっていてもよい(上がっていたほうがよい)例の人もたくさんいます。自分がどちらのタイプなのかは、両方をきちんとやってみたほうがいい。なんとなく、ではなくてきちんとです。そのほうがわかりやすい。

推進力が感じられないとしたらそれは効果が薄い。体の使い方として、身体の深部の軸とか重心とかっていうのがそれぞれ得意な場所があるらしいので、自分でつかむことです。

意識することはリズムを保って打っている実感があること。

それと、自分のレベルに応じて感覚が違うことがありますから、自分がいつも打てているショットや手ごたえを基準にしっかり持っているといいです。

コーチから見ていいショットになっているのに「ほんとにこれでいいんですか?」とか「これであってますか?」って聞いてくる人はこの基準がない。それってその人の中にビジョンがないってこと。目標というか、普通にこのくらいはできる、という基準もないんじゃないでしょうか。このパターンが一番教えにくい。教えていて手ごたえがない感じがします。

コーチの側にも基準があって、その人の体に投影してみています。このくらいはできるだろうな、と思ってアドバイスをしても、その本人からのフィードバックがないと次の手を出しにくくなります。

そこいらへんは蛇足になってきましたが、もし使い方がよくなかったり、使えていないとしたら、肩と腰の使い方が変わるとパフォーマンスは確実に上がります。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 11:06 | コメントをどうぞ