☆幸せ革命、初めての商い!☆
その事件の後、ヒーローは糸満に一緒に住むことになった、
母は、午後から夜まではお店の手伝いで働いて、午前中は、米軍の払い下げから、ワシミルクって言う練乳をケースで仕入れて、頭に乗せて売り歩いていた、それでも24缶を売り切るのに、1週間以上も掛かっていた、
ある時、暇そうにしてるヒーローを見て、『一緒に来る?』て言われ大喜び、お仕事発レビューでした、そこで思ったのが、連れて行かれて母の足でまといになったら、二度と一緒に行けない気がして、常に前を歩き、
お客さんを見つける、
井戸端で洗濯してる人を見つけると『何してるの?』って聞く、『洗濯だよ、坊や何歳だい?冷たいお水を飲みに来たのかい』って言うと、『4歳だよ、お母さんがミルク売ってる』って話をしてる所で母が追いつく、
『うちの孫も、坊やと同じ歳ぐらいだし、買って上げようかね?』なんて言ってくれる、
1週間で、3箱も売れるようになった、『ヒーローが一緒に行くと良く売れるね~』って笑った、新しい箱を仕入れる事に、母はカマボコを買い、半分に切って食べさせてくれる、これが美味しいんだよね、
そんな生活が1年続いたかな?お金が貯まり、ひと坪ほどのかき氷屋さんを開く、糸満は漁業の町だから氷はいっぱいある、夏は売れるけど、冬に向かって売れなくなる、
冬は布団の打ち直しの店をする、夏に向かって売れなくなる、
店って、あるだけで信用なんだよね、毎回ころころ変わったら、
信用は積み上げられない、母は焦っていた、この頃の口癖は
『お前を一流の大学に行かせられるのなら、
猿の代わりに自分が実験台になっても構わない。』だった、
子供なりにプレッシャーを感じて、一生懸命勉強した、5歳までには、足し算引き算、簡単な掛け算、絵本なども読めた、
ヒーローは父の記憶も、思い出も無いし、母が居るだけで幸せだった、
そのまま生活が続いてくれる事だけを願ったよ。