月別アーカイブ: 2015年10月

適切な打点って

テニスがうまいって、結局は技術的には打点がうまいってことです。

テニスが強いってことは、うまいテニスをする人同士が相手の打点を崩し合うための戦い方を知っているのと、相手よりも自分の方がそういうことがうまくできるってこと。

…とはいえ、わかりづらいですね。

今日は上海オープンの決勝をやっていて、ジョコビッチとツォンガの対戦だったのですが、まージョコビッチが強い。磐石な戦いで、ツォンガはなんとかこじ開けたい扉が重たくてどうにもならない感じでした。

昨日、マレーとの準決勝で、マレーの2ndサービスでのPoints Wonが、第一セットでたったの9%(!)こんなの見たことありません。

今日の決勝は、トータルのスタッツが出た時に、ツォンガの同じ2ndサービスでのPoints Wonは16%でした。

ジョコビッチがどれだけリターンがよく、相手のサービスにプレッシャーをかけられているか、ってことだと思いますが、何しろこんなのは見たことがありませんでした。強すぎる。

さて、試合に強くなる前に基礎技術は欲しいわけで、試合に出て勝てる人って、自分のショットはもう狙うところが決まったら打ち方のことは気にせずに狙えるものです。

それには、ある程度の「形の約束」を持っていることと、その形でできる「飛球の感覚」を持つことで自分のショットの「再現性」に自信を持つように練習をすることです。

もちろん、ボールの位置にラケット面をしっかり合わせるボール勘もそうですし、追いついてスイングのタイミングを合わせるリズム感、回転する体の軸を作る下半身、ボールをラケットに乗せて逃さないような面の感覚…言葉を使って解説するには要素がいっぱいあって、一から全てを言葉にするのは相当不可能に近いような感じがします。

だけど、コントロールが悪いだけで、ボールが当たって飛ばせるんだとしたら、必要な要素だけをできるようにすればいいわけですから、一からすべてを理解しようとしたり、直したりする必要はないですよね。

ボールがあんまり飛ばせない人も、ラケットを振ることができているのなら、当て方と飛ばし方を覚えていくことでテニスが上手くなったと自認できるようになると思います。

 

一度にすべてを手に入れることはできませんが、ひとつひとつ上達の道すじを通って、自分のプレーに納得しながら上達していくわけです。

 

大事な要素と言えば、軸足を作ること、軸足から打点までの距離でボールを測ることができること、飛んでいくボールからフィードバックを得ながら、どっち方向へ力を入れればボールがいうことを聞いてくれるのかを感じながら反復練習をすることで、自分の感覚が出来てくると思います。

ショットがすごく強いわけでなくてもいいですし、苦手なショットや、狙うのが難しいコースがあっても構いません。試合でそこを狙う必要がどうしてもできた時に、自分の今持っている技術を元に、ヒントを得ながら練習していけば、また上達します。

すべてを手に入れることまではいかないかもしれませんが、自分のプレーに必要な武器を備えていけるようにすることもテニスの楽しみですし、手に入れた武器を試合で試してみることも本当に楽しい挑戦です。

本当の正解があるわけではないですから、自分のグリップやスタンス、体の動きをイメージして、飛んでくるショットに上手く合わせてコントロールできるのなら、今いるレベルで十分に戦えるわけですから、ゲームを楽しみながら練習をしていきましょう!

 

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 21:11 | コメントをどうぞ

スイングウェート・バランスポイント…?

最近、師匠から貸してもらっている、ノングロメット・ラケット(ラケットスタジオで開発中の試打用)がお気に入りで、手放せなくなっています。

しかし、借り物。

いつかは別れの時が来るのでしょう。

その日のために…自分のラケット見直しておこう!

というわけで、MANTIS PRO310を使ってみまして、早速ガット切っちゃったんです。

かなり調整して、セルフカスタマイズながら、重い方と軽い方、という分けかたでまあ使い勝手は同じようにできるようにしていました。

持てば、両者の違いは手で感じられる。だけど振れば、ラケットのクセに合わせてこちらが変えることはなく、同じような力の入れかたで、同じようなアジャストの仕方で打点が取れる。

最近、ノングロメット・ラケットの軽さがやっぱり扱いやすさだなと思って、バンパーガードをカットしちゃいました。

バンパーは全部で9gありましたから、カットして残った部分(グロメット部分)を考えれば、4〜5gくらいは落ちたと思います。(未計測)

フレームトップの部分のこの重さは、外したんじゃなくてくっつけたことを考えれば、相当な影響があると思います。

で、そしたら「軽いほう」の一本はなんだかボールに負ける?っていうか押せない?みたいな感覚になって、錘をつけたら随分持った感覚がおかしくなってきちゃいました。

師匠のところに持って行って、計測してもらいましたが、重さで8g違う。

ただ、静止バランスと、スイングウェートはほとんど同じ数値でした。

ちなみに、バランスポイント(静止バランス)で303mm、スイングウェートは270でした。ガット張って、バンパーガードが残っていた時の計測値は、310くらいありましたから、随分違うなって思いました。

まあガットで16gありますから、張って計測するとまた300位になると思います。

さて軽い方のラケットの問題は、数値ではなく感じ方。スイングウェートには差が出ると思ったのですが、バランスポイントも同じで、自分の持った感じでは軽い分トップ寄りに感じる…というのが問題に感じています。

振った感じで差がわかりづらいのですが、グリップからスロートのあたりがスカスカするような感じが、その差といえば差。

ちょっと元グリップをはずして、思ったあたりに鉛を入れてみて、ちょっと考えたいと思います。

 

で、重い方の使い勝手はすごく良くて、当たり負けがなくて操作性は上がりましたから、師匠から借りているラケットを返すとしたらコッチのラケットに合わせて作った方が良さそうです。

カテゴリー: 日記 | 投稿者ナガキヤスヒロ 16:25 | コメントをどうぞ

ウイルソン・T2000=スチールラケット

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高校生の頃、大好きな選手で、テレビの前で正座して観戦したり、立ち上がって一緒にガッツポーズをとらせていただいた、コナーズ先生。
この写真、カッコいいなぁ〜

さて、コナーズ先生が愛したウイルソンの名機「T2000」を坂本師匠のおかげで打たせていただくことができました。

スチールラケットの代表、なんてワタシの世代だと思っちゃいますが、これの原型はラコステが作っています。ツインチューブのスチール(鉄)成形にワイヤを通してあって、ワイヤに引っ掛けてストリンギングする、いまや張り替えられる人を探すと大変なことになるラケットです(笑)

坂本師匠が張ってくれます!

オタク会員のAさんがT5000をもっていて、このラケットはフレームのヨーク部にブリッジがしてあってすこし剛性を上げているモデルですが、仕様はほとんどあと一緒です。

Aさんはこういうヴィンテージラケットを安く中古ショップで探してきては自分で打ってみたいという人なので、師匠に張り替えてもらって打っていたそうです。

ワタシもこのあとにコートに駆けつけ、「ナガキさんも打ってみれば?」って貸してもらったのが師匠のT2000。

wilsont2000

ごっつぁんです。

使ったことのない方はわからないと思いますが、(ワタシも持って使ってみるまでは全く想像もしてませんでした)フレームがハンパなくしなる。

どのくらいって、地面に落ちているボールを、ラケットでトトンってピックアップするじゃないですか、あれができないんです。カーボンのフレームだと硬いから、ボールの反発力でトトンってできますが、ボールの硬さより柔らかい(!)ので、ボールが動きません(笑)。

それってどういうことなんだろ、ってボールを打つと、カーボンではスイングを純粋に速くすればその分スパーンと強く飛ぶんですが、このラケットだとかえって遅くなる。

打ったことのない人、わかります?師匠も、「ちゃんと打てるかな〜?」って小馬鹿にしたような感じで心配してくれた(笑)から、さすがにわかるんでしょうね。同じ感覚でしかスイングできない人には、まず無理です。

これでもテニス歴30年めの、コーチの端くれ

…3秒考えました(笑)。よし、叩かないでそっと乗せて打とう!

そしたら、フレームからビビリが消えて、スーッと伸びていくように打ち返せました。

おおーっ!って思いましたよね。

打点に手を入れる。グリップからフレームを先にしならせながら早めに打点に入れていく。グリップ側だけを引っ張るようにして、金魚すくいの金魚を逃さないような感じで押し出すと、うまくいきます。

よぉーし!って思ったら、師匠が「どれ、貸してごらん」と余裕の笑み。

さっきまで使っていた師匠オリジナルのピングロメット・ラケットとか、プリンスのモノ(MONO)←知ってます?から握り変えたT2000。

なんか、ネットの向こう側で師匠が異様なオーラ出してました(笑)

一番しっくり来るような、自然な一体感。ワタシがコーチだからですかね。そういう雰囲気を見えちゃうの。

坂本師匠に握られたT2000は、不思議なほどボールが伸びてきました。

さっきまでは勢いの強い、シャープで重いフラットドライブだったのですが、それより手前で落ちる、それでいてバウンドがグイッと伸びてくる、意志を持ったボールのようになりました。

不思議〜?

ワタシがスライスでうまいこと滑らせた低いバウンドは、手元に食い込ませたからミスしてくれるか、と思いきや、ネットの下からスウッっと浮き上がってくる、生き物のような動きをしてきて、面食らったワタシがフレームに当ててしまう、なんてこともあって、まさに使い込んできた師匠ならではのパフォーマンス。

 

いや〜、参りました。

有明の錦織のイベントにマッケンローが来た時も、鈴木貴男にウッドのマックスプライを渡された時もこんな「うわ〜、違和感ないんだけど!」って思いました(そん時はスタジアムの3階席で、はるか遠くから見たんですけど…)が、まさかこんなところにレジェンドが(笑)←言い過ぎっすか?

やっぱしね、興奮しますね。。。

もう45歳なんですけど…子供に帰りました。

他にも打ってみたいラケットがあったんですけど、これ以上調子に乗ってたらどれか壊しそう。。。

なので自分のラケット(これも借り物)使ってました(笑)

カテゴリー: 日記 | 投稿者ナガキヤスヒロ 08:10 | コメントをどうぞ

ウイルソン「ホワイト・グラフ」ホンモノ!

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写真のプロスタッフは、通称「ホワイト・グラフ」と呼ばれ、シグネチャーモデルが日本でも発売されました。フレームが柔らかく、乗せるようにボールを飛ばしてくれる名機でした。

この写真のものは、本人が使用していますから、もちろんホンモノ。フェースサイズ85のもので、日本で発売されたものとは中身の違うもの。

ウイルソンはプロ用の工房をシカゴに持っていて、その「プロルーム」では専用の金型で狂いのない専用ラケット(製造時の個体差がでない)を作ってくれるそうです。

そんなホンモノが、師匠の「ラケットスタジオ」にありまして、「これホンモノだよ」と教わってかなり興奮しました。

 

シュテフィ・グラフのラケット系譜は、ダンロップ「MAX200G」シリーズ・そしてウイルソンに契約移籍してからの「ProStaff」シリーズ。

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で、昨日、コートで初めて坂本師匠とボールをうつ機会を得たのですが、そのコートに件のホワイトグラフが!

なるほど、ストリングを通してあったので、打ってみたければいいよ、ってことなのね!鼻の穴もふくらみます(笑)。

オタク会議のAさんと、坂本師匠を相手に、アップなしでいきなり2−1のストローク。

師匠も黄金時代の法政大学の体育会出身ですから、ショットはハンパない。え?お歳はいくつ?っていう勢いのショットが深く伸びてくる。シャープで重い、フラットドライブです。バックハンドはいくら深く打っても振り遅れない不思議なスライス。これのバウンドがまた低くて、見慣れないから合わせるのが必死でした。

ほんの2分くらいですかね。(2分でも長い方か)

ホワイトグラフを打たせていただきました。グリップサイズ4、重さは350g前後でしょうか、グリップが太くてしっかり持てるのと、振りやすいイーブンバランスだったので、思った以上に打ち返せました。

振った感触としては、フレームの所在というより、ラケットの芯がはっきり手に伝わり、フラットでターンっと合わせるのが一番コントロールがしやすかったです。ミスを恐れずに打点を前でとってしっかり振り抜く、そんな感じでボールが芯にのると、不思議なくらいスパッとボールが飛んで、狙った軌道に乗っていきます。

自分のラケットではもうちょっと斜めにボールに入れて、回転をしっかりかけるような感触でないと吹っ飛んでいっちゃう感があるんですが、このラケットはすこしヘッドが遅れてさえくれれば、スパッと振り抜いちゃった方が威力もコントロールもいい。何より打ってる感がすごくいい。

スライスはワタシの打ち方だと、低めの打点を前で叩くような切り方の時が一番良かったかな。肩口位の位置は、もうちょっとアジャストするのに何度か打ちたかったです。

とはいえ、自分のラケットにするわけじゃないですから、いい加減にしときな、って師匠に怒られるまで使っちゃいましたが、確かにそんなに本気にならなくても良かったかなとおもいました。

でも、そのくらい打球感が良くて、打っていたくなるラケットでした。

 

裏話としては、有名な話かもしれませんが、グラフがウイルソンにMAX200Gの打球感を求めて造らせたというラケットだということですね。

フレームの柔らかさ、ボールを包み込むような感じ、それでいて芯があって打ち抜ける感じが素晴らしいものでした。

グラフ本人が手にしたものではないそうですが、間違いなくシカゴのプロルームからでてきた、ホンモノだということですから、貴重な体験でしたし、興奮しすぎて調子に乗っちゃった?くらい夢中で打っていました。

じつは、T2000も打たせてもらったんです!(笑)

それはまた後で

 

 

 

カテゴリー: グッズオタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 08:12 | コメントをどうぞ

初級技術と上級技術・・サーブ編

カテゴリは「打ち方」です。

例えばサービスとか、初級者にプロの打球フォームを教えてもいいでしょうが、まず打ちづらいでしょうね。

体の使い方は、むしろシンプルで運動連鎖をつかった合理的なもの、ですが、感覚的な部分で難しい要素があると思います。

オーバーヘッド系は、上むきにボールを見上げることになるのですが、そこでまず、ボールを見ると相手のコートは見えない。

練習量があって次第に打球感覚をつかんでいけば、相手のコートなんてみなくても自分のラケットが信じられるようになれば打てるものなんですが、だからこそ初級者−週一プレーヤーでは難しい。

ボール投げと同じような動き、と紹介されますが、運動するメカニカルの部分はにていますし、同じような筋肉の使い方をします。

しかし運動する方向や見る方向まで一緒にしてできそうなんですが、そうすると差があるんですね。

サーブはどうあってもボールがある位置が自分の頭上で、スイングはまずボールの位置でインパクトを適切に迎えるべきですから、目線もスイングの到達点も、打点。つまり上です。

ターゲットは相手コート上に意識があると思いますから、その打点とターゲットをイメージ上で結ばなければならないわけです。

感覚のいい人は、一緒くたにしても大丈夫ですが、難しく感じている人はそこのところがなかなかうまく結びつかない。

初心者にサーブを教えるには、まず入りやすいような打ち方を教えておいて、ゲームで使えるようにしておいた方がテニスを楽しめる。

運動神経がいいからって例えできたとしてもそんなすごいサーブが入っちゃったら相手の人が返せません(笑)。だからゲームがつまらなくなります。

コントロールすることと再現性に自信を持つことがテニスの上達ですから、最初からできちゃう人がいたとしても、どうやると入ってどうやると入らなくなるのかはよくわからない、つまり感覚がまだ自分のものになっていないとしたら、やはり不安定なものなんです。

大事な試合のマッチポイントで、どうしてもミスれないと思えば思うほど、どうやったら一番いいのかがわからない。試合を通じて調子が良くても、あてずっぽうなショットが自分の意思とは関係なしに入っていたら、入らない一本のせいで狂うかもしれません。

初級技術としては、ターゲットと打点とを結びやすく立つことから始まった方が簡単に感じると思うので、グリップもフォアよりで、体も前向きになりやすいようにスタンスを取ります。

前後の足のつま先を結んだ線が狙いの方向になるように、ってコーチがよく教えますが、このスタンスは入れやすい。

プロのほとんどはクローズドスタンスです。相手に後ろ足の踵が見えるようにするくらいが普通。

初級技術でも打ち方がきれいで、当て方が上手い人は、かなりいいフォームで打ちますし、かーなりいいサーブが打てるようになります。

上級技術は、そのかなりいいサーブが打てることを前提に、「ものすごいサーブ」を「入れられる」ようになるものなんです。

スピードが増せば、不安定になるものなんですが、形に約束を作りやすく、再現性を優先させるフォームである分、よりシンプルな動きになりますし、パワーは損なわずに自然に同じ打点に最もパワフルなポイントがやってくるようにつくると、相手コートを見ていられるかどうかは優先順位が下がってくるわけですね。

見ないわけじゃなくて、そっちに体や目線が向いていなくても、みえている、ということなんです。それが「慣れ」の部分でできるくらいの練習量が必要になる、という意味でもあるんでしょうが。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 07:17 | コメントをどうぞ