日別アーカイブ: 2015年12月11日

ストリンギングはシンプルがまず第一

若い頃は、山登りに熱中していたんです。

最初の頃は、それこそヒマラヤだって行けるようになりたい!くらいに思って日々トレーニングしてたり、真冬でも半袖を貫き通して耐寒訓練?みたいなことをして、大学では体育会山岳部に入って、岩登りも雪山も経験しました。

先輩はヒマラヤに本当に行ったらしいんですけどねー(エベレストのサウスコルまで=8000m越え)

もちろん、こんな性分ですから、なんでも知りたくなっちゃうわけです。沢登りだとか、渓流釣りだとか、カヌーとかまで興味を持っちゃう。(どれもやったことないけど)

 

テニスを始めて、コーチのアルバイトを始めて、割とすぐにガット張りを教わったんです。自分でガットを張れるってすごいなー!ってその頃は思ってたと思います。もう覚えてないですけど。

 

最初は、いろんな張り方があるなんて知りませんでした。それこそ、2本張りからスタートして、で「1本張り」っていうのがあるんだー、的な(笑)。

それが18歳。のとき。

職業コーチになるか、って思うようになったのは、24歳の時で、この頃にはガット張りはかなりの量をこなす業務形態になっていました。社員(まあバイトの頃から週七日やってましたけど)になるようになってきて、キャンペーンなどで集中して本数が来るのをさばくようにして張っていました。

 

その頃からですかね、まずマシンのちゃんとしたのがあると、やっぱり張り上がりが違うってこと。

その後、結婚してすぐに譲り受けた自分ちにおいたやつは、バネが伸びていてちゃんとテンションが出なかったし、新しい機械はかっちり張り上がるんですね。

張る人の腕前もかなり仕上がりを左右する、っていうことも気になりだしました。それだけに、任せてもらえるっていう責任感を感じるようになりましたし、自分の張りがどんな評価をいただけるのかは聞いてみたくて仕方ありませんでした。

そうしているうちに、「面圧」っていう言葉が気になり始めて、ラケットの面の大きさやストリングパターンなどがそういうのに影響するっていう知識が入りました。

プロのストリンガーという人は、張る前からそのコントロールができるものなのか、という疑念が湧き、いまのところ「それは無理だろう」という結論?を自分では持っています。

あるのは、まず張ってみること。そして、その後も、同じ手順と同じ時間で、仕上がりが揃うようにできるように腕を磨くことが大事なことなんだと思います。

バボラ張り

アラウンド・ザ・ワールド

ゴーセン張り

ウイルソン・プロ張り

アガシ張り

…などなど、聞いたことのある「張り方法」の名前も様々です。

けど、それができることが技術の向上ではないと思います。

マシンの都合も、手順の都合も、張り上がりに影響するものだと思いますし、張り手の技術も人によって差があるものだと認識しています。

そういう中、大切なのは、自分の張りを守ることができれば、まずはひとつの課題をクリアしたことになると思っています。

他人の張り方をコピーできるようになれば、そりゃあプロ選手の前に出て「私にやらせてください」なんていうこともできると思いますし、各々の糸にどのくらいのテンションが掛かって、面全体にどんな影響が出るのかがわかるような素晴らしいことにでもなれば、まさにストリンギングマスターだと思います。

しかし、どう考えてもそうはならない。

そして、これまで出会った名人たちの技術を見つめていても、非常にシンプルで、それだけに狂いのない技術を持っていることに舌をまくような思いで見させていただいてきました。

 

ワタシはやっぱり、そういう職人魂みたいなものにシビれる性分らしく、そういうのを見せつけられると如何しても目指してみたくなっちゃうんですね。

ワタシが持っているのは、ゴーセンの張人の認定を受けるのに練習した、ゴーセン張りのみです。

しかし、いまのところ同じラケットに張り上げる時間はかなり一定の時間で自然にできるようになってきましたし、仕上がりは見た目だけじゃなくて、自分のラケットでも納得の打感だと思えるようになってきました。

お客さんのラケットを任せてもらう時にも、自分の一番自信の持てるやり方で、毎度同じ仕上がりに信頼を寄せてもらえるようにしているつもりです。

 

クロスストリングを上から行くか下から行くかで仕上がりが違うこともわかっていますし、目直しやテンションロスの取り方なんかも、見た目で変化がわかりづらいですが、いつも通りの手順を守ることで仕上がりが揃うようにしていくこと、余計なことをしないことが、ストリンギングにはすごく大事なんじゃないかな、と思うようになりました。

 

思えば、もう何年?ガットが張れるようになって25年以上が経っているわけですから、ショップの人じゃなくても、このくらいは出来なきゃね、とは思っています。

カテゴリー: 日記 | 投稿者ナガキヤスヒロ 22:07 | コメントをどうぞ