テニスのラケットの扱いにおいて、その道具になじみが薄い時には手首は固定しておくことで面の向きや、スイングの大きさの調整がわかりやすくなります。
形の基準を作ることで、動作の中のどの部分の、強度、あるいは大きさ、方向などの要素を早く覚えられるようになると思います。
そして、その動作に習熟してくると、力を抜いても同じ動作ができるようになり、もっと簡単に感じられるようになってきます。
その頃にはもっとコントロールする欲求が増えてきていて、細かく狙ってみたり、強弱をつけて相手の打ち方を翻弄したりするようになったりします。
ワタシ自身はもう31年もテニスをやっていますが、ラインを狙ったりとか、コートの端っこギリギリを狙って外さない、なんていうレベルには至っておりません。
そんな中で、ストロークのスイング中にラケットの握りこみについての質問や、手首を使う方法について考えたりして、自分のクラスの生徒さんにスピンをかけることのメリットやコントロール向上の意識付けを伝えていく方向でもスイングについて細かく考えてみました。
ラケットの動きと、エネルギーの伝達に関しては振り子の先にもう一つ振り子が付いている(=腕の先にラケットを持っている)二重振り子の法則が元になります。
それに関しては、筋力はさほどボールのパワーに関与していないということがわかってから色々な角度で勉強を進めてきました。
腕力のある人がすごいパワーショットを打ってくる一方で、小柄で細い腕の女性でも、遜色ないキレのあるショットを打ってきて、ワタシの渾身のサーブからでもリターンエースを奪われたりします。
女性の方は、そんなに圧倒されるようなダイナミックな動きでもないですが、やっぱりコートに入るショットとしてはかなりスピードもありますし、足元にスパッと切れてきてかなり取りづらい。
しかし十分にテイクバックを取り、そんなに速くないとしても男のファーストサービスにきっちり合わせて打ってくるわけですから、メカニカルな部分の理解ができないと「なんであんなに細いのに…」って思っちゃいますよね。
できる人はセンスが良くて、頭で理解する前にイメージを体で追いかけたらできちゃうくらいのものだと思いますから、打てたショットが良い結果であり、相手に効果的なショットであれば、それを反復して練習していくだけで良いものです。
ただ、やってるつもりなのにできない、あるいは自信がないままどこに注意して打てばいいのかコツが知りたい、という人には、やはりやり方のヒントが必要になると思います。
テニスのショットは、決まったストライクゾーンに入ってくるボールではなく、相手が好き勝手に打ったショットに自分の型を合わせて打てるようにするもので、ラケットの引き方から、振り方、ボールとのコンタクトの仕方を一つのスイングで覚えても応用が利かなかったら苦手なイメージから抜け出せないものです。
ただ、動きの連結性とか、そういうのがうまく出せない人も多い中、腕とラケットのことだけを論じてもできないんだろうと思います。
シングルスのクラスでは、ジュニアもそうですが、「全力疾走ショット」を試してもらっています。
走りながら打つには、全体の調和をとりながら、目標を「打点」において全ての動作の帳尻を合わせるようにしなければならなくなります。
だから、この練習は突然やるのではなく、スイングの中でのボールコンタクトの感覚、タッチの感覚を磨いてからやった方がいいかなと思っています。
ラケットは、腕で連れてくると、出てきてくれるようになっている
というイメージで扱う
言葉で書くと、捉え方は人それぞれでしょうから、言い切れないかもしれませんが、ワタシ的にはそんな感じ。
振り子の運動則、と先に書きましたが、重力に任せた自然な振り子でなくともよく、腕には筋力があって、打点に向けて自由に振り子のスイング角を決めることができます。
肘や手首、肩の関節は腕の内旋・外旋や回内・回外を使うことができ、位置を動作範囲の中で自由に求めることができるということ。
そうすると、制約があると言ってもどこまでで、どのくらい自由なのかがわからないことには、教わる人の方からしてみればコツとか言っても、言われた通りに動くくらいしかできなくなりますよね。
ボールを打つ目的がある、ということが不慣れな方にはプレッシャーにもなるし、ゆっくり考えながら確認したいことも、ボールのスピード以下の速さで動くことができませんから、慣れてこないとなかなか結果が出ないものです。
こうやると、こういう風にしかならない!
という、自分の中に制約というか、約束の形=型を作ることが目的なんですが、それは型を真似してもどこでどういう力が働いて動きになっていくのかがうまくできない人にはできません。
で、うまくできるってどういうことなんでしょうか。
やっとタイトルのところまでたどり着きました(笑)。
なわとび、飛べますか?二重跳び、三重跳びは?あやとび、ハヤブサは?できますか?大縄を回す方、やってことありますか?できそうですか?
ワタシ、小学生の頃は得意だったんです。それで好きになって、結構やってましたね〜
今ではコンビニとかでも売っている、ビニール製のなわとびが、一番馴染みがあります。
けど、さすがに小学生の頃よりか体が大きくなったので、ピュンピュン小刻みに回すには、縄の長さが必要になったから、3重飛びとかは何回もできませんね。
さて、その縄の問題が、割とヒントになるかもしれません。
例えば、そうやって小学生の頃とかに使い慣れた縄だったら、今でもスムースに回せて、なわとびができる方は多いと思います。
なわとびがそこで飛べなかったとしても、問題は縄を回す、という動きなので構いません(笑)。
話が飛ぶようですが、ここんところ1ヶ月くらい、私のクラスの皆さんには、「ショートトップスピン」という紹介の仕方をして、腕がラケットを連れてくる動きと、その効果としてトップスピンが打てるようになる、ということを導入し、継続させてなじませようとしています。
その時に使っている比喩が、「ラケットは、なわとびの縄を回すように」(後ろ回しです)という言い方になっているので、今回のタイトルがこうなっちゃったってわけです。
なわとびを回している(後ろ回し)動きが、ラケットのフォアハンドの動きの方向(ラケットの動きではありません)というか、リストワークのヒントになるもの、というのは飛躍した考えでしょうか。
腕はラケットの重みを感じていて、スイングをボールにぶつけにいくことでボールの飛んでいく強さや、ラケットの向きやボールにどうやって当たったか、その時にどのくらい力を入れておけば良いのか、というようなことのフィードバックをもらっていると思います。
コーチに教わったことをやれば、ということよりも、普段打っている感覚の中に、コーチにアドバイスされた要素を試してみて、その時に打ってみた感覚の違いや、飛んで行ったボールの結果から、その時に起こったことを体が覚えていって、そのアドバイスが生きたのかそうでなかったかの評価を自分なりに下しているはずだと思います。
コーチ側としても、打ち方の中の形だけにこだわることよりもこうやって変えてもらった方が感覚がよくなるんじゃないかな、という観点からアドバイスを差し上げることが多いはずです。なぜなら、自分がそうやって(ラケットからのフィードバックをもらって)やっているから。
なわとびを飛んでいる時に回している腕は、ある場所にあってさほど動いていませんね。かといって手首をぐるんぐるん回しているってほどでもない。
縄の重さを手で感じながら、ちょうど反対方向に引っ張る力を入れれば、握りを中心に縄が回るようになります。
とはいえ、一番最初からそうやって位置を固定して回せるってこともないですよね。運動のきっかけを作るときは、腕を少し大きめに回して、縄に運動の方向と勢いをつける動作が必要になります。それって、テイクバックとフォワードスイングですよね。
多分、1回転目で腕の位置が決まれば、あとは縄は安定して回り始めると思います。
うちの子供が、幼稚園に入りたての頃はうまく縄が回せなかったし、飛ぶのも失敗ばかりでした。でもその冬の間には飛べるようになってたんじゃないかな。馴染むってそういうことだと思います。
逆に、腕の位置を固定できない人は、いつまでもうまく回せない感じになって、二重飛びとかはできない人なんじゃないでしょうか。
そういう人は、ボール投げも苦手。腕を決まった位置まで持ってきてリリースする、という運動と力の関係に、体が未経験なためにうまくできない。
あやとびを飛ぶには、回転の軸を二ヶ所に作る必要があります。普通に飛んで、腕を交差して飛んで、という動き。これを二重跳びの形でやれば「はやぶさ」
手で「そこ」に連れてくると、縄が約束通りにうまく回すことができるようになります。連続の動作になっても、リズムを失わずに飛ぶ動きと回る動きが同調することでなわとびを続けてできるものです。
手でラケットを「そこ」に連れてくると、面が出てきてボールに当たる、という動きなら、しなやかにリストワークが使われていることになりますが、手首の力でボールを打つ、というような積極的な使い方でないことが理解できると思います。
バウンドしたボールが入ってくる角度と、スイングを入れる角度がうまくマッチすることで、ボールはうまく飛んで行くことになるし、自分の狙いにうまくその二つ(入ってくる角度と、出て行く角度)がマッチするように導く動きができることで、コントロールを意図的なものにしていくことになります。
スイングは始めてしまえば決まった動きをするように腕の形を決めておいて、スイングをするところにボールが来てくれるように動くのがフットワークだし、
スイングにボールがうまく入ってくるようにするのがスイングの目的だし、
当たったら出ていく方向にあらかじめイメージを持てることがプレーヤーのセンスだと思います。
そんで、それを磨いていくのが練習。