最近のワタシのマイブーム?(笑)「適宜、前後に動く」っていうセリフ。
ラリー中の動きです。ボールはテニスコートをネットの向こう側からやってきますので、勢いのあるショットなら、ベースラインにいれば、ツーバウンドしないうちに打ち返す位置にいることになります。
だから、基本は横に動くことをイメージしますし、ワタシも15年くらいまで、タテ(前後)に動くことをさほど重要視していませんでした。
その頃くらいに、ウイルソンがビデオを販売していて、「ダブル・リズム」という杉山記一プロがモデルでずっとサイドステップで動いて、レディポジションを中心にX字型に動く球出しのトレーニングを紹介していました。
同時に、「スペイン・ドリル」も紹介されてきていて、延々と続く前後の振り回しに、こりゃあきついな、と思いながら、自分ではやらずにいたんです。
しかし、要素だけもらおうってことで自分の練習や、レッスンでも少ない球数でやってみると、この前後に動いて打てるようにするっていうことがすごく重要なことがよくわかりました。
相手が打ったショットは、常に強いわけでもなくて、さほど強くないショットも、低く滑るスライスも、高く跳ねる、あまり速くないけど強烈なスピンのショットなど、毎回違います。
これに対応するには、適宜、前後に動いて打点やリズムを自分の都合に合わせられるようにする必要があります。
それまで意識していなかっただけに、この練習すげぇ!って自分の中では大ヒットになりました。
それから何年経ったんだか、試合のポイントがかかったラリーでも、意識せずに動くようになっている自分に気づいて、若い頃からやっていたテニスが変わったことを、最も感じた瞬間でした。
クラスで生徒さんを見たり、またプライベートレッスンでも、いろいろなお客さんを見ていて、先にラケットを使った中のボール感覚をあげなきゃ、という取り組みをしてきました。
自分の中でもスイングについての理論を考えたり紹介することが多くて、きっと分かりづらくてつまらないドリルになることが多かったんじゃないかと思います。ただ、打ち方を改善したいというニーズが多かったこともあるので、お客さんはついてきてくれていましたし、言っていることもシンプルに「適切な打点を得られるように」ショットについてボールの見方や、追いつき方、手とラケットの使い方、また体の使い方などを、生徒さん個人の動きやすいやり方を見ながら取り組んできていました。
ボールを打つための「適切な打点」とは、
素振りをするようなスイングに、ボールが入ってくるような感覚で打てる
ことで、狙って打てばその通りにしかならないようになる(と言っても人間のやることですから、狙ったエリアに大体オッケーな感じのショットを確率よく打てるってこと)ものです。
これが、ワタシも勘違いしていた部分も含めて、相手が打ったショットの軌道に合わせて、特に練習(球出しの練習)ではバウンド−ヒットのリズムを一定に保つように動くことだと理解しやすいんです。
で、それがまたラリーになるだけで無理。
一定のリズムになるのは、スイングスタートからインパクトまでを揃えられればいいんです。
軸足の力でスイングのきっかけを作って、そこからインパクトまで。
「グッ・タン!」みたいな感じ?ですね。グッ…っていうのが力を入れた感じで、タンがインパクトってことで。
このブログを長く読んでいただいている方ならわかると思いますが、インパクト(の音がするあたり)に合わせて力を入れてグリップを握ったり、スピンのために手首をこねたりすればそういうリズムにならないと思いますから、そこんとこは注意して見ます。
ヒュッと腕が打点に連れてくれば、打点の位置ではラケットは勢いづいて走っているような状態になります。
グリップは手首の形というか、面の向きを決定づけるものであって、腕が打点の位置にラケットを連れてきてくれれば、自動的に決まった形の面ができているはずですから、そこにボールさえあればスイングが期待した通りの強さで、狙った通りのコースや高さにラケット面から跳ね返っていくはずですし、ラケットを握った手のひらにはそれが正しい感覚であることをフィードバックされて感じているはずなんです。
だから、大事なのはスイングにボールが入ってきてくれるような準備と感覚。
飛んでくるボールの軌道上にラケットをセットしたような感じで準備できるように意識します。
そこからなんです。
ワタシ、スライスしか打てなかった学生時代から、ライジングでボールを取ることで自分のショットの強さを維持していたこともあるので、そこまで出来れば、ってことでベースライン上から離れない人だったんですね。
もちろん、浅い球は前に入らなきゃ打てませんし、ライジンガーですから、むしろソッコーでバウンドの頂点にラケットを合わせに行くタイプでした。
しかし、後ろに動くことは、スライスを打つワタシとしてはかなりのピンチ。
そんなテニス歴だったので、なかなか後ろに下がって打点を合わせる、ってことができませんでした。そうしなくても器用に体の向きを変えたり、面の入れ方を注意したりするうちに打ち返せていたから。
30を過ぎてトップスピンを覚えて、特にバックハンドのスピンが使えるようになった頃から、いつの間にか後ろに下がれるようになりました。
スライスなのでショットのスピードは出ないタイプでしたから、トップスピンを打てるようになってもなかなか自分のショットにスピードを出すという発想にならなかったのは、ラリーのテンポが速くなると自分がリズムを崩してしまうということもあったのでしょう。慣れたリズムで相手の返球を待ちたい、ということが邪魔をしていたというか。
バックハンドのスピンが打てるようになったのは40歳を超えたくらいだし、46歳の今でもただ一生懸命やっているだけでは気づけなかった打点の秘訣なんかを見つけたりして、そういうことのためにいろいろなことが絡んできて、動き方は若い頃よりも今の方がちゃんとしていると思います。
ただ、さすがに歳を感じたので、すごい速さで走ったり、目の覚めるようなカウンターをお見舞いしたり、なんてことはできないっぽいですが(笑)。
一番の気づきは、ターンすることです。
そのためには、突っ立っていないで少し腰を落とし、相手が打った瞬間に正しいスタートがなるべく素早く切れるようにしておきます。
順番としては、
相手のショットを見る
とりあえず反応をして、動きながら判断する
追いつく前に自分がボールを打った時の姿をイメージして、
最後の一歩に帳尻が合うように合わせて走り、
できるだけ完璧にインパクトを迎えられるようにする
ってこと。
最後がラケットです。
ですが、ラケットがボールに当たる瞬間が最優先される事項ですので、走り出した時にはすでに十分な形で準備をしておきたい。
だから、グッ・タンの振り始めからインパクトのリズムを、走ると同時にボールに合わせられるように作っておくってことです。
走りながら、腕を強くしておくには、走っているのにヒザとか、腹(体幹)とかに強さをもたせておかないと力がうまく入りません。
打てる形になっておいて、まだボールが来ない、という状態でいられるようになれば、インパクトの取れるエリアが特定されて、そこに来てほしくないエリアもわかるようになります。
ボールが高く弾んじゃって落ちてくるところまでかなり下がる、っていうよりも一歩か二歩前に出て上がりきる前でもスイング自体は間に合うな、ってことが結構多いと思います。
ライジングはスイングをボールの入り口に見立てられるようになれば、難しくありません。目で追ってスイングを合わせに行くようでは、ボールのせいでフォームを奪われてコントロールを左右されてしまいます。
振袖の袂でふわっとボールをからげるような感じで、手首よりもやや遅れたラケット面の中にボールが収まるような感じでスイングを合わせに行きます。
ラケット面が遅れてくれていれば、自然とスピンがかかり、ネットしなければ越えた後に落ちるボールに自然になるものです。
ボールの威力そのものが弱くても、弾みっ端ではバウンドのエネルギーが強いので、腕やラケットをブロックの形に持っていくイメージを持ちやすいですが、これではただ当てるだけになってしまうので、振り抜き方向に持っていくことは条件の一つです。
ブロックの形を作ってインパクトができるとしたら、それよりもボール2〜3個分、打点を前にすれば、自然と腕は振り抜き方向に動いてくれるようになりますから、打ち方を変えるように悩むよりかは、そこでボールに当てる能力はあるから、もうちょっと前で捉えるようにしよう、くらいでできちゃうものです。
腕の下にスイングの入るスペースを作ること
そこにボールが入ってくる予定ですから、自然と腰と肩は横向きにボールを見やすい姿勢になると思います。それで、以前に書いたような、テイクバックの形ができていく、というのがワタシの考える理屈です。