日別アーカイブ: 2016年9月17日

グリップのなす角と、手のひらの「空洞感」

握りについては、説明がむつかしいもののだいぶ研究が進んできていて、10人のクラスでみんなの前で説明して理解されるような言葉はありませんが、個人レッスンでなら、信頼関係にもよりますがうまく伝えられるようになってきました。

まず、握りはグリップとのなす角や面の把握などで、打点の入り口としての感覚があるかどうか。

球出しの練習で、普通の軌道のボール(回転をあまりかけずに、生徒さんのベルトのあたりで打てるようなバウンドを意図的につくる)を送ると、皆さんきれいに打ち返せるとします。

その次に、スライス系の低めに滑ってくるボール出し

さらにその次は、トップスピン系の弾むボール出し

に変えて球出しの練習を行います。とはいえ、バウンドの位置や、ボール軌道を極端に変えるようなことはせずに、バウンドの変化だけを見せるようにして送球します。

そうすると、レベルの下のクラスではだいぶ顕著に、上のクラスではミスにはならないですが同じような傾向で打つショットの傾向が変わります。

低めの球には、低めに返球

高めの球には、高めの返球。

または、それに気づいて面だけを変えて、低めの球を当たりの強いホームラン性、弾む球にはヘッドが立ってのネットミス、あるいはスピンのかけ損ねの浅い球

とかになりやすくなります。

バウンドが変わって、打点に入ってくる角度が変わることで、スイングそのものが影響を受けるってことなんですね。

だから、ラケットを入れに行く打点へのアクセスの角度を知っていないといけない。

それって、見てから瞬時に変えるってことは動作中にはまあできないものだと思います。

いや、それの出来た分っていうのが、ミスにはならないけどショットが変わるってことだと思います。要するにうまくは対応しきれない。

打点では「ボールをキャッチするように」とアドバイスされることもありますね。野球のグローブでボールを捕るときには、手のひら(のイメージを大きくできるグローブ)の空間をボールの為に開けて待っているような感覚が必要です。

上手い人っていうのは、入ってきやすい角度を上手く作るものですね。

ラケットの場合は、面にあたって跳ね返ることを考えて入り口を作るべきであって、当たるだけでは足りません。

ラケット面は手首よりも前か後か、それとも真横にあったほうがいいのか?

ボールに回転をかけるには、スイング方向と面の向きの関係も、ボールがどこから面に入ってくるのかをイメージしておけた方がいいわけです。

 

 

教え方の理想として「ノーグリップ・ノーフォーム」という言葉がありますが、幼稚園の子が自由にラケットを振り回しているような意味ではありません。

適宜、ボールに合わせた適切な形を出してこれるということが、打ち返し方としての究極なのだろうという考え方です。

ラケットを手で持って行うスポーツであって、テニスコートという決められた広さの中で行う以上、必要なコントロールが思った通り出来るようになるには、その人なりの感覚に合う「型」が必要であることは、最近になって何度も書いてきました。

それが、「合わせ方」と言って説明されるものだったり、ボールを見る方法とか、フットワークについての事だったりとか、体の使い方・・・なんていう、ラケットがボールに当たること以外の事に目を向ける必要のある意味だと思います。

結局は、ショットの成否はラケットがボールに当たる瞬間に決まるもので、そうである以上、準備をしっかりできることが必要とされるようになります。だから、その人なりの決まった打球フォームが出来上がる。

動作のほぼ最後の方に、インパクトの瞬間がやってきます。そこを確実にするのがインパクトの一瞬前に「よし!」と思える、

「打点の入り口」にぴたり合っている、という自信です。

腕と、ラケットに芯があると考えて、ラケットの面がぶれたり、ショットが相手のボールに押されたような感覚があるとしたら、芯は外れてしまっています。

力を入れても、芯にあたっていないものは、手ごたえが良くてもたいして良いボールではないでしょう。それは、ラケットの動きを不自然なものにしていて、効率よくパワーを取り出せていないところを、腕力で無理に出そうとするためにスイングそのものが制限されてしまう事からも、「力み」があるのは良くないとされることと同じです。

握りは緩めて、ゆるゆるがいい、と言われますが、それも嘘ではありませんがすべてを説明する言葉ではないと思います。

ラケットはしっかり支えられているものであり、支える形にしっかり入っていれば力を入れたような感覚はなしでもスムースにヘッドが走り、ボールをしっかりとらえて気持ち良くコントロールしてくれるスイングになるはずです。

肝心な時には、必要なだけの力があったほうがいい。

手のひらにはボールが入ってくるイメージで空洞感をもたせる(この説明の仕方も乱暴かもしれません)ことで、握りすぎにならないようにした方が、うまくヘッドが走ることに繋がります。

その一方で、手のひらとラケット(グリップ)との密着感も必要になります。

その部分の説明が握りの分からなさそうな人にイメージが伝えられるようになると、急にミスヒットが減ったりします。

 

それが上達なのか、ポテンシャルの高い部分を引き出したのかはわかりませんが、面白いものなんですよね。

カテゴリー: 日記 | 投稿者ナガキヤスヒロ 09:54 | コメントをどうぞ