スクールでクラスを担当していると、上達が目に見えて感じられるのはどちらかといえばストロークの方。例えば、私がお世話になっているアルドールでは、クラス分けはC1〜6までのクラス設定がありますが、1が初心者、6が上級者というクラスだとして、けっこう4くらいまではボレーに不安を抱えるような人が多いものです。
印象としては、2や3ではストロークを強打しても狙ってこれる人が増えてくるのに対して、ボレーはその反応や対処に感覚や技術が追いつかない、というようなイメージがあります。
ボレーには
動き方はとてもシンプル、というできる人にとってはとても簡単じゃん、という項目があります。
いっぽうで、『ノーバウンドはリズムがわかりづらい』『相手が打ってからの時間が短い』などのボレーを難しく感じる要素もありますね。
例えばボレーを、フォアだけで取るようにルールがあったとします。ネットの相手には利き手側にしか打ってはいけない、などの制約があるとか?
そうすると、フォアかバックかを迷う時間はなくなりますから、うんと簡単に感じるようになるかもしれませんね。
正面向きで対応できるのなら、それが楽かもしれません。
そうすると、ソフトテニスの経験者(前衛)の人が「硬式のボレー」は難しいと思っているかもしれないけどネット前でのボールは全く怖くないとも思っている面があるのもうなづけます。
ここいら辺に、けっこうヒントがあると思うんですよね。
人間、ラケットのような道具を持てば、そのフェースに表裏を感じるのは自然なことだと思います。
自然、手のひらがある方を表、とするように道具の使い方を自分の中で決めるでしょう。
自分の体からの感覚でそういうことを基準にすると思います。
ラケットにボールが当たる、ということも、「手のひらでボールをキャッチする」という感覚と同じような手のひらの器官(感覚器官)を使っているはず。
野球のグローブを使ってボールを捕球するときは、人差し指と親指の間にあるネットのところを使ってボールを取ると、うまく真ん中にボールが入ってきた感覚になります。
そもそも、手のひらの中心って、どこだか知っていますか?物理的な中心点ではなくて、感覚の中央です。
人差し指の付け根の部分です。
だから、グローブで捕っても、直に手のひらで捕っても同じような位置にボールを感じて捕球しているはず。
ラケットの持ち方も、人差し指と親指の間にネット(ラケットフェース)がやってくるように持っているはずですね。(ノートの下半分)
フォア側のフェース、バック側のフェースは持っただけで意識されています。
厚いグリップで持てば、手のひら側を向けたのと一緒。ソフトテニスの前衛さんはそうやってものすごい早い反応でボレーします。さっき書いたように、フォア側だけで取る、というルールみたいなもんですね。
手で(グローブで)捕球する時は、上半分の図にもあるように、体の正面のボールには親指側が下になるように傾けて、利き腕側の外側にボールがくるときにはその逆に動かすことで、体は動かなくても取れる範囲があります。
その時にそんなに判断に苦しまないですよね。自然に手の形を合わせると捕れる。
ラケットを薄いグリップで持てば、それがフォア側かバック側かの判断にも使えるってことです。
ただし、体を正面向きにしたままではストリング面がボールに向かないはずですね。小指側のラケットのエッジが前に向いているはずです。
ボールが遠目を通るようなら、追う形になるだけで、近くにくるようならドッジボールで狙われた時に避けるような要領で、体を横向きにして、ボールの通り道をなぞるようになるはずです。その時にフェースが初めてボールの方に向きますね。
ボレーのときに、体をターンするように、と言われますね。横向きになることを先にやると、ラケットを引かなきゃいけない、と勘違いしやすいところなんですが、お腹の前にボールが通るところを作りたいんです。
フォア側だったら、右肩が後ろになります(右利きなら)から、そんなにちゃんと横向きでなくてもいい場合もある。腕が肩よりも後ろにならないなら、そんなにボールに負けない腕の形を作ることができます。
バックは、親指が下側になるようにすると、バック側のフェースが一度上むきになりますが、お腹の前になっているはずなので、右足を前に出す(=ボールに届くように足を出す)ときに左肩のあたりに引き上げる動作をすると、面が立つようになります。
動き全体を見れば、ラケットを引いているような形になりますが、実は動作量としてはかなり少なめ。いわゆるコンパクトなテイクバックというやつですね。
ボールに時間がない、ということもボレーの動作の時には感じやすいことですが、その時間があるかないかは、足の動きで測るようにしましょう。
常に、ボールにむかって足を出すようにする。
目でよくみて測ると、脳みそが騙そうとしてきます。近くにくるボールは実際よりも速く見えたりするものです。目から入ってくる情報で、正面や近くに迫ってくるスピードには、衝突の危険がありますから、脳内で切迫感を出そうとして緊張します。そのせいで実際よりも焦ってしまいがちになります。
だから、目で見たとおりにやったつもりがうまくいかなかった、という経験はみなさんあるはずです。ネットから至近距離で決めたつもりのショットがありえないネットミスになったり、速く振ろうとしてアウトしちゃったりしますね。体がやろうとしているタイミングと、そこを飛んでいるボールとのタイミングが合っていないんですね。
速い球が来たら、足を動かす時間がないはずですが、ボールを避ける感じのターンができれば、打点を奥の方に取っても大丈夫になるはず。それが時間になります。手を伸ばして取る時には、ターンも必要ないですね。
バック側に来た場合にも、肩で躱せば面が出るはずだし、手をそっちに伸ばそうとすれば肩は回ってしまうはずです。前に振らないと飛ばないわけじゃなくて、面に当たって跳ね返るように力が入るならそれでいいわけだし、感覚があるなら狙った方にも行くはずです。
威力が欲しければテイクバックで高め準備できれば、ラケットに勢いをつけられるようになります。