メンタルは弱くて弱くて、自分でもイヤになっちゃうくらいでした。
いまだに試合はコーチ同士をお客さんに観てもらうようなイベントでも、自分ひとりで県の大会に出るときでも緊張します。試合前はおしっこが近くなるし、手のひらは汗でべっとり。
不安になるのは、自信や期待の裏返しだと思っています。その上に立ってみないとグラグラしたままで試合内容もよく思い出せないようなゲームをしたりします。
心技体ってよく言いますが、充実している時ほどすべてが揃ったような感じがしますよね。だけど、試合を通じて最初から最後までいい時ってそうないです。
勝っていても、勝ち切ろうとするときほど失敗したくなくて、緊張する。
負けていても、次のポイントこそ取らなければと硬くなるものでした。
メンタルトレーニングとかは、もちろんやっておいた方がいいでしょう。但しそれは、そういうシチュエーションを想起しておいてのモノでないと、メンタルだけを鍛えておいて、身体が試合の現場でついてこない、なんてことも起こります。心技体のどれかが脱落している事もある、っていうか、全てがそろうってことを意図的にコントロール出来たことなんて、自分ではありません。
うまくスイッチが入ったことはあるし、そういう状態の事って覚えていたりします。むしろ試合中の方が偏ったような集中の仕方をしていたような記憶があって、あとから思い起こせばそれがすべてポイントを取るための方向に向けられていたってことに気づくくらい。プレー中は必死で、自分のボールはコントロールしたいし、相手のショットは読めるか、食らいつけるかして負けたくないし勝ちたいもの。
ブログ上でもなんどか紹介したことがありますが、そういうシチュエーションにちかい状況でボールを追える練習がふたつ。
①おとこじゅく(漢塾)
これは体育会出身の先輩から教わったもので、2対1のポイント戦です。レベルによって、2はダブルスコート(ふたりで一面っていう意味)、1はシングルスコートを守るというルールだったり、双方シングルスコートを守るというやり方にすることもあります。
2人対1人で、1人のほうのプレーヤーがポイントを「10」背負ってスタートします。ポイントが取れれば数は減り、取られると増えていきます。ゼロにすれば1のプレーヤーが勝って終了。増え続けて30までいくとギブアップ。というゲーム。
1のプレーヤーを鍛えるという練習ですから、相手が二人いる状況って、どっちに打っても人がいるので自分がいい球をいいコースに打ったからといって決まることは少ないです。だけど甘い球を送ったらそこで相手に攻められちゃいますから、クオリティの高い球を狙ったコースに打ち続けられないと、先に攻め込まれて負けてしまう。かといって全力で強いボールをそうそう何本も連続でミスなく打てるってこともないですね。相手に遠い所に切り返されたり、ロブでリズムを崩され時間を作られたりしたときに、ミスをさせられることもあります。
打ち続けながらミスを回避する事と、打ってもどうせ決まらない、ってことがセットになっていますから、抜いたショットを使うときにはドロップショットとか短めのスライスとかを混ぜて相手を崩せないと、ただの甘い球になってしまいます。戦略的な意図が無い球は使えません。
さらに、ノータッチエースは2点。1のプレーヤーが取れれば一気に2ポイント減ります。しかし振り回されて取れないでいると数はどんどん倍加していきます。
調子よく相手のミスを誘ってポイントが2とか1、とかまで減ってきたときにミスを連発すれば、もう4とかになっちゃいます。見えていたゴールがすごく遠くなった気になります。実際に試合でもマッチポイントなのに取れないでジュースになると、あと一点だったのが2点連続で取れないと勝てない状況になるのと似ていますね。このポイントは是が非でもほしい!ってなった時に、どう工夫するか、相手の得意を出させずに、自分のもっているショットでいかにミスなくとり切れるかは最大の集中力を要します。
テニスは連続してポイントを取ることが出来ればつよい、というゲームの性質を持っていますから、そこを突いたとても鍛えられる練習だと思っています。
その②3点連続で取らないと終わらない
これは、シングルスとかダブルスで、実際にゲームをするように対峙します。
サーバーを決めて、3ポイント連続でとらないと交代できないようにするルールで、2ポイント取ったのにそのあと1点返されたら、サーバーのポイントはゼロにもどり、相手に1が付きます。相手はもう一点そこでとれれば、逆にリーチ。
ポイントを取れた時にはそこで点が入りますが、取られるとゼロに戻るルールは、連続でポイントを取ることで、良い集中で一点とれたとしても、もう一点を更に取るには更に高い集中が必要になるってことを思い知らされます。相手の事を思ったように出来るなんてことは神様じゃないのでそうそうできませんから、まずは自分がミスらずにやり切れる事と、隙があったら攻めることがカギになります。攻めるのは強く打つ事だけじゃないですね。走らせたり、下がらせたり、オープンスペースを作ったりすることで優位に展開する事です。
ポイントを取ったら、そのまま逃げ切る為の足場をつくるような気持ちになりますし、ポイントを取られたら、弱気になってる場合じゃなく自分を奮い立たせて挑戦者になるべきです。そのために一本目のショット(サーブとかリターン)をどうすべきか、それを次のショットにどうつなげて考えるかってことを出来ずにいると、決められるシーンだと思って思い切り打ってミスして後悔します。
空いてるところを見つけて思い切り打ってそのまま決められるんなら、誰も苦労はしません。その時にミスをしたり甘く入ったりするものなんです。あるいは打っても読まれていて逆襲されるなんてことだってある。相手だって必死なんですから、ポイントを簡単に考えていては出来ません。
双方とも、「もうポイントを落とすことは許されない」と思っているのですが、勝っている方の心理と追いかけている方の心理では違うことがわかると思います。
試合中にはそれが目まぐるしく入れ替わって心を揺さぶってきます。2-4で負けているけど、今のポイントは30-0だったら、このまま勝ち切ってキープする事を考えなければなりません。そしてその次のゲームこそブレイクを狙う為にあっさり挑戦者として一ポイント目からタフに戦う宣言を自分に言い聞かせて臨まなければなりません。
ポイントごとに次のポイントを取ったらどうか、取られたらどうか、というシミュレーションをするくらいのつもりがないと、どこでどういう集中をしたらいいのかも分からずがむしゃらなポイントをするだけになります。
自分だけがガムシャラで、相手が冷静にポイントを作ってきたら、知らないうちに連続でとられてプレッシャーを感じさせられているかもしれません。
音もなく、知らないうちにかかっているのがプレッシャーですから、毎回向き合っていけるようにしないと、自信のない人はいつまでもそのままかもしれませんね。