スランプからいかに脱出できたか

3月のおわりに、2本使っている私の「SRIXON REVO CX 2.0」をポリガット仕様から一本だけ、ナイロンに張り替えて、気づいたらフォアハンドストロークの調子が悪くなっていました。

4月の1・2週はかなり落ち込んでいて、「あれっ、なんかおかしいぞ」と気づいちゃってから急激にどうやっていままでコントロールしていたのか俄には思い出せないくらいのレベルでスランプに。

まあ試合に出ている日常ではないですから、プロ選手でもないし死活問題って程でもないですが、毎日テニスをしている男としてはやはり焦ります。

それで、その時にどんな風に調子悪くなったか?というと

・見えているはずのボールと、持っているはずのラケットの接点(打点)のイメージがなくなった
・ラケットをスイングしてくる間の「時間」がなくなり体の動きにリズムがとれなくなった
・ラケット面がまちまちになり、ありえないミスをするようになった

私はライジンガー(ライジングで打つのが多い)人なので、バウンドに近づきすぎるきらいがあり、上記の症状なもので「じゃあよく見えるように下がって打とう」っていう発想でベースラインから少し下がって打つようにしてみたりもしましたし、しっかり回転がかかる感じがわかるように面を伏せ気味にしてみたり、または打点を前にとって伏せずにこするような当て方にしてみたりしましたが、そういう付け焼刃では余計に傷口が広がるだけで、何の打開策にもなりませんでした。

その時のミスは回避できても、何しろ自分の動きのもとになるリズムが壊れてしまっている感じでした。動き出しも遅くなったし、動きそのものもギクシャクしてきたような感じも体の中の違和感として感じちゃってどうにもラリーをしていて気持ち悪い。

その時は思いました。「いやー・・・どこ行っちゃったんだオレのフォア…」

ボールの見え方すらおかしくなってるってのが、自分でわかったのはまた驚きでした。

ボールを見る、という作業ですが、テニスがうまい人の見え方と、そうでない人の見え方は違います。そこに気づいてからは、私自身相手のショットがすごく強いときでも慌てずに自分のスイングエリアをボールのために開けてさえおければちゃんと間に合う、ということが多くなりました。

以前のボールの見方から、わかった後のボールの見方の差が自分でわかるようになって何年も経っているはずなのに、自分でそこがコントロールできない状況、っていう意味が分かりませんでした。

 

何度もブログに書いたことではありますが、私は選手だったり、試合に出続けてすごく強かった時期があるなどのいわゆるエリートプレーヤーではなかったこともあって、40歳を過ぎてもまだまだ自分がうまくなる要素も見つけられたし、体もまだ動くし感覚は上がっていくので、経験って本当に上達を感じる要素だなぁなんて思っていたんです。

その裏ではやっぱり48歳という年齢もあって、もうそろそろ上達はしなくなって下降線に入ってくるんじゃないかという恐怖もありました。

たしかに、足は若いころに比べれば遅くなったかもしれません。だけどポジションや相手とボールを見ること、飛来するボールの時間に対して反応することを意識すれば、まだ自分がへたくそになっていくような感覚ではありませんでした。

 

それが・・・一気に崩れた感じがした時って、やっぱり恐ろしく感じるものなんですね。

 

そんな大したレベルではないかもしれませんが、築き上げてきたものが失われていくものって、自分のアイデンティティの崩壊・・・大げさではなく、コレで飯を食っているわけですから、自信がなくなるとか、上手な人たちのクラスを任せてもらえなくなる(あるいは自分で身を引く決断をしなくてはならなくなる)ようなことを考えるととても恐ろしく感じたんです。

 

3月の終わりに描いた、ジュニアのキャンプのために作った資料の中の、このイラストに救われました。

ライジング図説このイラストは拡大できます。

ライジングでのボールのさばき方を図説したようなものなんですが、スピンが打てなくてスライスしか打たなかったところから、トップスピンがラリーの主になるようなテニスに変えてくれたのが、

「ボールを打ち上げてしまわないように面を伏せ気味にして、スイングはボール軌道の上側をかすめるようにイメージしてラインを合わせる」という基本に立ち返るヒントになりました。

 

ちなみに、片手バックハンドの調子がどんどん良くなってきたのとフォアハンドの調子が悪くなってきたのは時期を同じくしてのこと。

肩よりも上に弾んでくる、以前はすごく苦手だった高さのバウンドにうまく合わせられるようになってきていて、先にスイング軌道の角度を調整して待てるくらいの感覚がありました。そのぶん、フォアハンド側のターンが不足していたのかも、と思い直してチェックすると、軸足は伸び切っていたしラケットは肩と腰のひねり込みを無視して遠いところに引いてパワーだけを期待するような形になってしまっていました。

だんだんと自分のフォアが以前にどうだったか、そしてどうするとよくなるのかのビジョンが見えてきました。

 

スライスしか打たなかった時期の私の癖で、上半身をボールに乗っけるようにして打つために腰が開きやすいという特徴?がまた出てきていました。

レッスン中のラリーでしっかり打つことをせず、楽にスライスで安定したリズムが出るようなラリーばっかりしていたことも原因だったかもしれません。

すこしテイクバックをコンパクトにし、体の前にスイングスペースをとれるようにしながらもグリップ側を操作すればいつでもスイングが始められるようにしました。

ボール軌道の上を、自分のラケット面が通過するようなイメージでスイングするようにイメージして、微妙な角度にはこだわらずに何となくで打ってみながら、調整していくと、先にボールを見るという作業が戻ってきて、ボールがゆっくり見えるようになってきました。

 

あとは若いコーチなどに相手してもらいながら、乱打で自分のリズムを守りながら動けるか、フットワークのほうの課題です。

追いつくけどひねりがないようなときは、やはり深いボールを打ち返す時などには失敗してしまったりしましたが、もう答えの出し方はわかってきました。

そのおかげで、テイクバックの時の手の位置や面がボールを受け止めるときの形のイメージが明確になってきて、合わせる動きにゆとりが出せるようになってきました。

 

いいぞいいぞ、戻りつつあるな、と実感できるところまでこぎつけてきました。

 

おそらく、テイクバックの形が調子が良いときに手だけで合わせられるかなんかで、正しい形から変わってしまっていたのが大きな原因かと。

ナイロンガットに変えて、タッチが変わったこともその一因かもしれませんが、自分で調子が「悪くなった」とはっきり認識する前にその兆候を感じていたかもしれません。

スピンがかかりにくくなったとか、ショットが棒球?っぽくなってしまっていたような感じだったかもしれません。

 

もっとヌルッと、ストレスなくスイングやラケットの重みでボールの衝撃を受け止めて手に大きな衝撃が来ないようにする、というところが私のヒントになりました。

 

今日現在は、朝練をしているアルドールのコーチたちに混ぜてもらって、若いコーチたちと打ち合ってきました。スランプのころは打ち返すのにすごくエネルギーが必要な感じがして遠慮していましたが、今日は「かかってこいよ」的なコートポジションで楽しくプレーできていましたので、ほっとしています(笑)。


カテゴリー: 打ち方オタク, 日記 | 投稿者ナガキヤスヒロ 15:06 | コメントをどうぞ