ナダルの分析

モンテカルロで、久々に大きな勝利を手に入れた、Rafael Nadal。

怪我や盲腸で戦列を離れて、復帰後に思ったような仕合が出来ていないような負けを経験しながら、もう2年近いんですね。

ナダルのプレーは、ワタシがしてきたテニスとかけ離れすぎていて、そして好きなフェデラーが勝てないテニスなので、あんまり見ていなかったんです。

だけど事あるごとに、発言するコメントがナダルのピュアな性格というか人間性を表していて、たぶん尊敬するプレーヤーとしては一番、というのが個人的な感情です。

ナダルは唸りを上げて落ちて弾む、強烈なトップスピンで、常にコートの中にショットを入れ続け、無尽蔵のフィジカルと、まっすぐに勝利を見据えるメンタルで、フェデラーから王権を奪い、No,1の座に君臨していました。

ジョコビッチの台頭は、ナダルがフェデラー対策に練り上げてきた、相手をバックハンド側に下がらせることを基本に作るゲーム展開を、がっちり壊す戦略を持ってきたからだと思っています。バックハンドの高い打点に強く跳ねてくるあのショットを、上からひっぱたいて優位を保つことが出来ることから、当時のナダルをして

「正直、いまノバクにどうやって勝ったらいいのかわからないんだ」

と言っていました。そんなことを記者会見で吐露するなんて、なんて正直な人なんだ!とここで感動。

2014年の全豪4回戦で、錦織の快進撃を阻んだのもナダルでした。7-5 7-6 7-5だったかな、接戦のストレート勝ち。ロッカールームで錦織はシャワーを浴びながら号泣したと言います。たぶんこの時だったと思うけど

「落ち込むことはない。彼が世界チャンピオンを狙えるのに十分な素質を備えていて、そしてそれをコートで表現できるファイターであることをみんな認めているんだ。彼のプレーは尊敬に値するし、ケイのプレーを見るのは大好きなんだ」みたいなことを言っていて、読んでいて泣きそうになりました。

去年、錦織はナダルから初勝利を挙げました。そして今年、インディアンウェルズでまた敗戦を喫しました。

その負けは、またそれまで負けていたような、ラリーの展開は押し気味ながら、ナダルのリスクを負ったストレートや、動く方向の逆を行く狭い方への逆襲のショットによって、欲しかった重要なポイントを何度も取られたことによります。

強いナダルが、今年になって帰ってきていると思っていました。

全豪の後の、クレーの大会で(ブエノスアイレス)D・ティエムに激しい戦いの上で負けてしまいました。とてもタフな内容で、ティエムは若い才能を開花させ、劇的な勝利をものにしたわけですが、ナダルも良いプレーをしていました。

そしてこのモンテカルロではクレーで最近つよいマレーを、そして決勝ではひたむきさを武器にしてきたモンフィスを、それぞれ逆転で破ってついに優勝しました。

 

ナダルのショットは強いスピンが軸ですから、基本浅くなることが多い。そこを踏み込んでこれないほどにバウンドが強いわけですが、これを後ろからでも思い切ってひっぱたいてくる相手が増えてきているのは事実です。

ナダルの強さの本質は、相手に打たせることと、そこから目の覚めるようなカウンターを打てることです。だから打ち破るには何本まで連続でウィナー級のショットを続けられるか、みたいなことが相手プレーヤーには要求されているような気になるはずです。

あれだけ強く、曲げられるので、コートの外から回しこんで内側に入れられるような感覚があるのでしょう。一瞬でもこちらが崩れれば、そこから踏み込んでこれるのはナダルの方になりますから、その一瞬を見せないようにテニスをするのがどれだけ難しいか。それがナダルがチャンピオンにいた理由だと思っています。

あのフェデラーが後ろから打ち合っていてもだめ、ネットに出るのもダメ、ポイントが取れてもゲームまで取り続けるのがどうにも難しい、という人なんだと思います。

 

現在はジョコビッチがもっとめんどくさい相手になっていると思いますが。。。

プロの選手たちってそういうのを楽しみにしながら戦ってるらしいから、それが恐ろしいと思います。。。

 

 


カテゴリー: 日記 | 投稿者ナガキヤスヒロ 10:45 | コメントをどうぞ