日別アーカイブ: 2017年2月14日

打点がどこかわからないときは

スイングすると、ラケットにボールが当たって飛んでいくわけです。

ラケットの真ん中に当たれば、手のひらに衝撃が心地よく残って、どこへ飛んで行ったのか、今どんな風に当たってそうなったのか、印象が残ります。

だから、私は教えるときに、狙った通りにボールが飛んでいるかどうかは最初には求めないように注意します。それよりも大事なのは、自分でイメージしたものと、実際の打球感と、結果として飛んで行ったボールはどうだったのかを比べながら次のショットをどうするかまたイメージをしてもらうようにしています。

 

・・・というのは球出し練習などの、連続して同じショットを同じようなシチュエーションで打てるときにやっていること。

もちろん、その前にデモンストレーションで何をどうするか、目的はなんで目標はどこか、ということも明確にしておきます。そうでなければなんの練習かはわかりませんから、コーチとしてそこはどうなの、って言われちゃいますよね。

ここ数年は、生徒さんに求められても「スローモーション」でのデモンストレーションは行いません。

必要ならば、「止めて」見せることはありますが、スローモーションは余計な印象を与えて、出来もしないことをコントロールできるような誤解を生み、聞き手側の間違いを私が発見できないで放置してしまいかねないからです。

自分もそうでしたが、細部までその動きをコピーしようとして、スローモーションのコピーはスローでしかできず、実際にボールを打つスピードでやるには時間が必要だということがわかったからです。

 

それじゃあどうすんだって話ですが、印象に残せるポイントをいくつかに分けて通過することをやってもらいます。

握りはこう、それでもって引いた時の形はこう、でフィニッシュの形はこう。そこまでの3点を何度か素振りしてもらい、その途中でボールに当たるところを探してもらいます。

前述の通り、そこで起こったことを見てもらい、その次にその動きをしながら、今度はターゲットの方に狙いをつけて打ってもらいます。

癖がついている場合、形を変えたスイングをすること自体がものすごいチャレンジで、今まではそうやってコントロールしていたか、癖のせいでコントロールする方法を見つけづらい状態でいたかするので、まずは形を整えてスイングすることが難しいわけではないことを発見してもらいます。

そのためにはボールが飛んでくることがプレッシャーになる可能性があるので、体がその必要な動きを項目を全てクリアすることで自分自身ができたかどうかを、体からのフィードバックと、実際に動く影を見たり、あるいは動画を撮って見てもらったりしながら確認します。

次に簡単な手出しのボールに合わせてその動作をやってもらう。徐々に動きなどを入れて行って負荷をかけ、できることを証明しながら段階を上げて行ってもらう、というのが新しいショットを身につけてもらう時のやり方です。

 

一番最初の段階はものすごく大事なので、そこで個人レッスンだったら、2時間レッスンを一回まるごととか、または何週間かに渡ってでもみっちり体に染み込ませてきてもらいます。

練習の内容はものすごくつまらないものになりがちなんですが、こちらとしては「ああ、またあれね、もういい加減できるよ!コーチ」っていうようになるまで待っているような節もあります。

コーチとして問題なのは、自分が素晴らしいコーチなんだっていうことを期待しすぎちゃうと、生徒さんをあっという間に上手にさせちゃおうとすることです。

瞬時に上手になることは、まずありません。蓄積した経験が体に残って、初めてできるようになったショットが、いつかアベレージになって初めて「上達しましたね!」って言える。

教えたその場でできたことは、教えたコーチの手柄でもあると思いますが、時間がかかる生徒さんもいれば、すぐにできる生徒さんもいるわけで、それを一律同じ時間であっという間に上達させられるコーチがいたら、その人が世界一のコーチでしょう。

生徒さんの資質や、アドバイスとの相性もあってまちまちになるのが普通なので、最初にできたその感覚は、とても大事な経験の第一歩に過ぎません。

そこからどうやって育てていくかがもっと大事な部分かと思います。

 

 

一般的に、誰もが一番得意かも、と思っているフォアハンドストロークが苦手、という人がたまにいます。

見れば、なるほど苦手そう、という感じで例えばショートラリーとかがすでに不安そう。球出しの練習でも狙った方に打つことが不安定なばかりか、当たり損ねも多い。

特徴があって、その中の何割かの人は、ゲームでは思い切ったトライを成功させて一本、ちゃんといれてきます。

それと、そういう人の多くは、バックハンドが両手打ち、あるいは片手のスライス。

ここまで書いてフォアハンドが苦手な原因がわかる人は、相当スイングが分かっていると思います。

フォアハンドの難しい部分があるとすれば、そこですね。

実は理想の打点が思っている場所じゃない場合があるんです。

フォアハンドが不安定な人は、スイングをどこでしているのかがよく把握できていないようなところがあります。

ボールが来て、「いまだ!」ってタイミングを合わせてスイングを始める動きがあるはずですが、その時に

いま、体が回っているのか?腕に力が入っているのか?腕を前に振っているのか?ラケット面を向けなきゃいけないのか?

そこいらへんの順序だとか、あるいは全部を一緒にやってしまっているのか、バラバラに見えるものです。

振り遅れが多い人もそうかも。当たればすごいショットが飛んでいくけど、そっちの方が珍しいみたいな。

運動の伝達がうまく行っていないんですね。

体の回転はスイングを生むものですが、最初になされていれば十分。腕はラケット面が出てくる場所までラケットを連れてくる役目を果たせれば、当たり損ねをしないためのスイングと言えます。

ラケットはその動きのエネルギーをもらってインパクトを迎え、ボールが飛んでいくわけです。

インパクトの瞬間あたりに力を込めて打っていて、その方が安定する、という人も多いと思います。その人はスイングと握りのマッチが正しくて、きちんと握ることで面の向きの再現性が上がっているから、当てるのさえうまければ打点が安定することでタイミングがわかったことと同じような体験をしているのですね。

同じ大きさのスイングを、同じスピードで行って、打点の位置や真ん中に当たるなどの条件が同じだったら、力を入れて打った時と抜いて打った時の差はほとんどないはずです。

力を抜いた方がボールが伸びていくように感じた人は、腕からラケットへの運動の伝達を、ぎっちり握ったせいで制限してしまったようなものですね。

 

私の考えでは握りはとても大事なもので、「ゆるゆる」は間違った表現ではないですが「どうでもいい」ように扱ってはダメです。

ボールをリニアに感じられるようにスイングの方向、面の向き、ボールの力の方向などを感じられるようにならないと、多様なスイングには対応できなくなって来ます。

 

 

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 15:25 | コメントをどうぞ