月別アーカイブ: 2018年2月

操体法

うーむ。。。

うまく言葉にできないでいることがあって、テニスに限らず「カラダの動かし方」を○○理論、なんて言ってどこかを強調したようなものにすることに、納得もするけど違和感も感じるわけです。

骨盤とか肩甲骨とか、あるいはどこそこの筋肉だとか?

その部位は確かに使い方がうまい人が効率よくパワーを引き出せるし、そのおかげでショットが良くなったり、プレーそのものが楽になったりすると思います。

なによりその理論には根拠があって、間違いなく正しいものであるはず。

だけど、私がテニスコーチをしていて目にするのは、もっと「それ以前」の状況で悩んでいる人たちです。

人間、骨格のおかげで動きのもとがあって、それらは筋肉というバネとかゴムのようなもののバランスで立って歩いています。神経はそういったバランスを制御しつつ瞬間的な反応を、脳を通して行うものも、脳に伝達されずに行われるもの(脊髄反射)もあります。

ようするに、意識下で動けるものだけで体を動かしていないんですね。

それぞれの関節に人間の活動に即した働きの方向があって、テニスというスポーツ独特の動きもふくめ、それらの動き方の特徴をうまく利用するほかない・・・というか、そのようにできる人がとても「自然な動き」に見える振る舞いで美しく打球動作をするんだと思います。

 

 

神経も扱いになれるほどにレーダーのように予測した動きができるようになっていて、空中で速いスピードで動くテニスボールをラケットの真ん中にしっかり当てられるようになるだけの成長していく、すごい機能があります。

 

たとえば速いサーブをうまく打ち返せるようになったり、ライジングでもボールをうまくいてるようになったり、バックボレーの当たり損ねがなくなったりなど、初心者のうちにはできなかったことができるようになるってことです。

 

ある人はボールを強く「打つ」ための方法を論じたり、またある人はボールを「捕る」ような感覚で、とアドバイスしたりします。どちらも正しく、視点が違うだけのことですが、テニスに不慣れな人だったり、片方だけを取り組んでいて発展途上の時に言われたら戸惑うんじゃないでしょうか。

指導者としてコートに立ちながら、自分自身もそのアドバイスがその人に適したものかどうか、正しく判断できているかどうか不安な時もありますし、過去の自分を振り返れば正しくなかったこともあったかと思います。

もちろんその時にはその生徒さんのテニスをよく見たつもりだし、自分の知識を総動員して真剣に考えた末に言っていると思います。だけど、自分が何かのマイブーム的なものに取りつかれて偏っていたり、単純にその後よりも知識が足りていなかったりしたためにいまから思い出せば、ということになってしまっているわけです。

 

 

 

 

カラダを操る、ということについて私の考えは、全体の調和をうまくとって、再現性の高いプレーを目指せるようにしよう、ということを目的に考えていくんだということです。

つまり、より良い一打を放つことよりも、自信をもって打ち続けられるプレーを、ということです。

試合をしていて、自分なりに放った「より良い一打」も、けっこう相手にとられるってことなんですね。その一打は緊張とともに成功させたかけがえのない一打だったのに、もう一度同じクオリティのショットをまた違う場所に打ち込むのは勇気がいるってことなんです。自分では決まってほしかったショットが返ってくるほどめんどくさくて、その次がむつかしく感じるものはありません。

そして、試合中に「完璧なフォーム」を忠実に再現しきるだけのゆとりが出ないことがほとんどです。

 

じゃあ、うまい人はどうやってんのか?ってことになりますよね。

 

ラケットの感覚がいいんです。

 

ボールに近づける「合わせ」が感覚的に正確で、狂いがない。

だから、相手の球が速かろうが遅かろうが、自分の感覚でとらえられたボールには裏切られることがないんです。

ラケットに当たったボールがどのくらい飛んでいくものなのか?

当たったら出ていく方向を事前に察知できているか?

スイングの形を変えて対応することが可能なのか?

ラケットと仲良くなってからじゃないとわからないことも含めて、徐々に感覚を上げていく、という練習をして、ラリーの中で想定できる範囲はプレーのカバー範囲に入っているということにしておければいいんだと思うようになりました。

できないことはできないし、できることを最大限しっかりやり続けるしかない。

自分なりの感覚の中でスイングを確立する

また、そのスイング自体が発展性のあるものにする

コーチとしては「打ち方」を指導するときにその二つにはとても注意が必要だと思っています。

手のひらの感覚のようなラケット面に、サポートを強くできるのが体の役目。

身体の使い方、というのを先に考えるのではなく、感覚的にそっち方向にこんなショットが打てるのなら、パワーを上げるにはこう、回転量を加減するにはこう・・・などといったプラスアルファを与えられるものとして説明ができれば、と思っています。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 23:17 | コメントをどうぞ

フォアボレー

ボレーのタッチの感覚が分かってくると、フォアボレーで悩む人の方が多くなってくる?ような気もします。統計を取っている訳じゃないので、あくまでも個人主観での感想ですが。

ストロークの面を理解して、ボールをラケットで扱う事が分かっていても、ボレーのクリアなコントロールというか、当たった感覚はストロークのグリップでは得られないと思います。

クリアなコントロールの感覚って、コートの隅っこをピンポイントで狙ったらその通り打てた、というような感覚です。

上手い人ほどボレーは「捕球」の感覚というと思いますし、それには私も大いに賛同します。

ただ、コーチとしてそういうコメントをすると、「よくそう言われるんだけど、そこがよく分かんないんですよ・・・」というご意見も聞きます。

ボールを「打つ」という動作が、強い衝突によって生まれる飛球を期待した動きなら、野球のバットで強く振ってホームランを狙う、というようなイメージに近い動作になるかもしれません。

棒状の打具(バットもそうだしラケットもそうだし、ゴルフクラブもそうですね)をつかってモノを飛ばす(まあボールが対象ですが)という動作は、それぞれのスポーツによって打っていい範囲が異なります。だけど「打って飛ばす」という動作は共通のもので、腕と打具の振り子がつくるエネルギーをもとに使っている部分があります。

振り子の原理というと、重力に頼った縦方向の動きを連想しますが、その振り方向は自由にできるはずです。縦でも横でも、振り始めた腕が連れてきたラケットがその勢いを借りて加速していく、というのが手で持って投げるよりも打具を使って飛ばす方が強く飛んでいく、という事になります。

 

脱線しかかってきたので戻しますが、私が理解したのは、テニスのスイングはテニスのスイングという型にはめておいて、振り始めてから振り終わるまでの型が一定するとしたら、一定の打点で打てる場合には何度でも狂いなくそこにボールが飛んでいく、という事です。

で、一定の打点で打てない要因がテニスにあって、相手の打球がそこにいつも来るわけじゃないってことと、もう一つ人間の行うスイングだから寸分の狂いなく再現する事はむつかしかろうという事もあります。

それで、スイングの型にはめられそうなら、打点と思しき位置でうまくラケットでボールを捕まえるような感覚があれば、スイング中に上手く捕まえる=ラケットの真ん中に当たっているという事になって成功率が上がるだろうと。

スイング中にボールを上手く捕まえにいく。スイングの型を崩さずにそれが出来るなら、狙った方向へのスイングをしていてうまく打点に合わさった、ということになりますね。

 

さて、その「打点」の位置がこれでいいのかどうかわからない、というのが悩みを持つ方の大半のご意見だと思います。←いやー、ここまで前振りが長かったけど、今日の本題はここから。

 

プライベートレッスンを受けて下さっているお客様に、黙って実験をしました。先に説明をしてしまったり、私自身がやったりするとその仮説を再現しようとして嘘っぽくなるのを防ぎ、行ったのは・・・

右手でボールをキャッチして、そのまま投げる。

というものです。少し高めに送球したトスを、右手でまずキャッチ。そこから足は動かさずにまっすぐ投げ返してもらいます。

動画を取って検証するのに、分かり易くするために「捕ったあとその場で投げて下さい」とお願いしておきました。

個人のお客様なので、写真にして出すのはちょっと遠慮させていただきますが、そこで私とその方の二人で確認したのは、

捕球時にボールが手に入った瞬間

投球時にボールが手から離れる瞬間

は同じ位置で行っています。

それは、私がたぶんそうなんじゃないかな、と思っていたことを検証するための実験で、動画から静止画を切り取って比較しても同じ形になるので、仮説は正しかったことになります。

この実験では二つの事を順番にやってもらう(捕って・投げる)でしたが、ラケットを持ってやれば一つの動作ですね。

ラケットに当たったら飛んでいくように扱ったラケットが、ボールを捕りやすい位置で振られていればいいんです。

ラケットは当たりやすいように使われていて、当たった瞬間狙った方に飛んでいくように準備されている訳ですね。

すでに狙いがあって、しかもすごく当たりやすいように準備している訳ですから、とても簡単です。

ボールをよく見て、引き方や打点の位置や、振っていく時の面の角度などに細かくこだわっていても、結局は打点て一瞬の事なので、むつかしくこだわっても成果が少ないかもしれません。

もともと高い技術やそれを扱うゆとりのあるレベルの人が、もっと細かい感覚にこだわっていけばそれなりに技術を高められると思いますが、そうでなければ、なるべく簡単で成功率が高くなったことを「上達した」ととらえてくれると思います。

で、簡単にできるとなったうえで生まれるゆとりがプレーに幅を与えてくれるようになるので、その先の上達はその先にまたできやすくなります。

上達とはゴールがあるようでまだまだ届かない、という気持ちになるものなんですね(笑)。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 09:24 | コメントをどうぞ

錦織の復帰!

話題が遅めですが、錦織圭がテニスシーンに帰ってきてくれましたね!

最初はチャレンジャー大会から、というのも、手首の怪我とプレーのレベルをみるのに無理がなくていいなぁと思いました。また、勝つ経験というか勝つ感覚を得るのにもいいなあと。

ひとつめはフルセット負け。二つ目の大会で負けた相手にリベンジ、というこれまたドラマチックなストーリーに、その大会を優勝してくれるというオマケつき。

決勝は全豪でディミトロフを苦しめた、マッケンジー・マクドナルド。その全豪の試合で見た感じで、とてもバランスの取れた、テンポのいいテニスをしてきてすぐに名前を覚えたんです。そのときに、ディミトロフの戦術と、錦織の戦術だったらどうかな、ってコーチ室で話題にしたこともあったくらい、注目できる選手だと思ったんです。

そしたら、錦織は彼を相手にしない位のスコアで、しかもファーストセットを圧倒して格の違いを見せつけるような感じのテニス。チャレンジャーレベルですから優勝ポイントは少ないですが、トーナメントに勝ち切るというのはやっぱりそれなりにレベルが必要なものだと思います。ここで優勝カップを掲げて復帰を飾れたと思います。

で、去年まであったメンフィスがなくなり、今年からは黒いコートのニューヨーク・オープンというATP250の大会に参加していますね。これの初優勝を持って行ってくれれば最高なんですが。

1回戦の相手は全然知らなかったんですが、2回戦のドンスコイは、去年のホップマンカップでフェデラーに土を付けた選手でもあります。去年復帰を果たしたフェデラーはウインブルドンまで2敗とかしかしていないので、その時期にはドンスコイの殊勲だね、なんて言われていました。今年の方がランキングは下がってる?かもしれませんが、どんな試合になるかと楽しみにしていたら、ここも圧勝。

錦織ってレベルすごく高いですね!

コートを支配するのがうまい。

相手のショットが良くても、主導権は渡さない。

試合数を積み上げてきて、リターンが冴えてきました。

それがまたサービスゲームを楽にしているような。

ラリーのテンポが速くて連続するので、相手は息もつかせぬままで苦しくなってきます。そこでまた角度のキッツイところへ一本入れてあっさり持っていける。

まだ、トップ50の選手とは対戦がないですが、今日の試合もイズナーが負けちゃいましたから、90位台のアルボット。

期待はしていますし、調子づいて欲しいものですよね。

チョン・ヒョンが全豪でフルセットマッチを連続した後にも言っていましたが、「疲れはないです。勝ったから」というのは、プレーヤーならそうなんだろうなと思います。

同じ労働で、気分良く終われると疲れないものですから、勝って気分よくいてもらいたいと願います。

イズナーやK・アンダーソンなど、長身のビッグサーバーがいる大会なので、面白そうだと思っています。今日も勝ち進んで貰いたいですね!

カテゴリー: プロ選手オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 09:31 | コメントをどうぞ

メンタルを鍛える前に

一般のテニス愛好家、というレベルで試合をして、よく「メンタルが弱くて」っていうのを耳にしますが、競技レベルの人のとは違うんだろうなあと思って聞いています。

ただ、本質は同じなのかも。自信のあるプレーをどれだけ自信があるか、っていうのが差なのかな、とも思いますし。

インカレ経験のある、ジュニア時代は全国区だったという風早コーチと知り合いになったばかりのころで聞いた、印象に残った一言があります。

「さすがに相手のショットが強くて押される、ってことはもうそうないですね」

いまさっき私は彼のショットが強すぎて、まったく手も足も出なかったんですが、例えば相手が外人のプロ選手でも、ってことなんでしょう。そりゃあ物理的に無理なショットもあるし、突然流れを切るようなハードヒットをされれば、それはリズムを狂わされた、という意味でミスをすることがあると思いますが、彼が言うのは自分の打てる態勢で相手のショットを見たときに伸びてきてヤバイ、とか弾かれてコントロールできない、ということは最初のうちにあってもアジャストする方法というか、対処ができるという意味なんでしょう。

コートに立って相手のことが怖くない

自分のミスを先に心配せずにコートに立っていられる

相手のテニスをイメージして自分のテニスをどう生かすか、勝つことを前提にいられる

 

などの部分が競技者の場合にはものすごく強く、しかもわざわざ焚きつけるようなことがなくても試合になればスイッチが入るとか、そういうことなんでしょうね。

私自身、アルドールの事業所対抗戦には毎年出させていただいて、それもここ数年はまったく勝っていないんですが、見ていた人からは「楽しめました」とか「励みになります」みたいなお言葉を頂戴するんです。

その中で、よく「メンタルが強いんですね」って言われることが増えてきたんですが、自分ではその逆。

試合前は手のひらが汗びっちょりになって何度もトイレで手を洗ってたり、最初のサーブなんかヒザが震えてます(笑)。お客さんの前で自分のプレーをするのってすごい緊張します。

だけどそうやってみられているっていうのは、試合中によく笑ってたりとかいうのと他に、いつも見ている永木コーチがそのままのプレーをしてる、ってことなんだと思います。だから勝ってないのは、実力通りだと思われてる?そうかもしれない

 

練習という練習をする機会が最近はほとんどないんですが、レッスンでは固定の位置でお客さんと打ち合うし、そういうシーンで(コーチなんだから)自分のショットがコントロールを失うことはあってはならない。でも実際は打ち負けることはあるし、イージーミスだってします。

試合でもそうですね。

なんとなくラリーしているときって相手を狙ってラリーをつなげに行ってますし、相手も自分の方に打ってくれると思ってコートに立っています。

試合の時はそれが逆。そしてそれが両方とも怖い。

つまり自分が相手のいないところに向かってミスらないか、相手が自分の取れないようなショットを打ってこないか?とても恐れています。

それで練習をどう活かせるのか?

若いころは自分でもわかりませんでした。スクールにいれば、上手に返球できるようにすることでコーチもお客さんも満足すると思っていましたが、その生徒さんたちが試合に出ています。成績が思うようについてこなかったりもするわけです。

試合のコートでは、やっぱり「自分にできること」をできるだけ最大限にして出来続けるようにしていくようなテニスになると思います。

自分はうまくなったと思いたいから、それ以上のシーンで「出来るはず」に期待して無理を承知で打ち込んでみたりします。一本入ったけど三本ミスしたりします。そうやって負けて、メンタルが弱かった、なんて言ったりもします。

イメージと手ごたえが一致するときに狙った通りのショットになったという手ごたえがあるはずなので、集中するとすれば、自分側ができることといえばそれが最大のトピックスになるはず。

もう一つの集中はネットの向こうにいる相手に、ですよね。どんな性格で何が得意なのか、追い込まれたらどうするのか、チャンスの時になにか攻めるパターンが決まっているのか?しっていれば対応もできようってもんですからね。

 

そこに次のポイントはどうするか、考えるのと実行するのが忙しい間は、弱気になっている時間じゃないことが分かります。

攻め型のテニスをする人でも、守り型のテニスをする人でも、勝ちたいときは強気で自分のプレーを貫くはず。

 

その自分のプレーがなんだか?わからない人が、一般レベルではメンタルのことを言い訳のように使っているような気がしてなりません。

実力を出し切って勝てない相手なんて、ゴマンといますよね。だけど試合って楽しいじゃないですか。そこから入ったほうが続けられるし目標も作りやすいんじゃないかと思います。

カテゴリー: 日記 | 投稿者ナガキヤスヒロ 10:43 | コメントをどうぞ

乱打練習

乱打。

好きですか?嫌いですか?

私は乱打、好きなんです。自分に求めてるものがあって、乱打しながらその状況になるのを待ったりします。

乱打が嫌いな上手な人って、ゲームにするのが好きな人。こういう人は自分に戦術があって、できることをゲームの流れで確認したいんだと思います。勝負している、というプレッシャーは生で感じられますし、ポイントを取る為のラリーって独特のリズムやテンポがある。

このところ、私のテニスコートでのテーマは、「リズム」と「ニュートラル」です。

自分自身もそうだし、生徒さんにも課題として課しています。

出来るかどうか、っていうお題じゃないですよね。意識し続けられるか、というもの。

リズムを大事にしているので、私は乱打がしたいんだと思っています。

乱打って相手との共同作業ですが、自分のペースでリズムよく打てる人とは、長くつながります。相手のリズムに合わせながら続くようにすることも出来るし、速いペースや遅いペースに自分から課題を作って自分の思った返球が来るように作る事も意識します。

打球の「間」を自分なりに作れるときには、ほとんど狙った通りのショットがだせる。

だから、相手のショットからその「間」を取り出せるかどうかが乱打からだったら、いろんなことを試しながら自分をボールにアジャストさせていくことができるようになります。

 

だから、その後にゲームも必要になります。サーブや色んな球種のバウンドに合わせながら自分の思ったような展開が作れるかどうかはとてもスリリングな練習になるし、さっき書いたように、リアルなプレッシャーに晒されていると感じながらプレーを楽しむことができます。

知っている相手、何度も手合わせしたことのある相手とのゲームでも、それなりに戦略を使って考えてプレーしますし、初めてお相手してもらう相手には、なおさら観察してプレーを知る必要が出てきます。

そのときに、必要なのは目で見ること以上に、自分のプレーがアジャストするかどうかですから、リズムは非常に大事な要素になります。

アジャストしたからといって、適当にオープンスペースにガンガン打っていったところで、やっぱりミスをしますね。狙っていくのは広いコートの端っこになりますから、どうしても精度の問題が出てきます。

そこを狙ってもコートの枠内に収まるようにするってことは、攻めるショットだからといって思いっきり打つのではなくて、絶対に入るように打つこと。ゆるく打てば入るような気もしますが、力を抜くっていう事ほど難しいことはない。

ボールをしっかり見る事も正解ではありません。自分の形にし切ること。自分が崩れるのは、速く決めちゃいたいとか、その続きを考えないで打つから。

普段のラリーで余計なミスをしないのは、入ったショットのその次の為に構える事も出来るリズムがあるからです。

勝ちに行くけど、決まるとは思わない、くらいの方が私にはちょうど良く、乱打の中で出来るリズムをよりシビアにしながら待つように心掛けています。

なので、攻めているようで手堅い、守っているようで強気、という感じでニュートラルを意識した練習が役に立ちます。

どちらも自分のショットとして完成した形でさえ打てれば、そのシーンは活かすことができるかもしれません。

きちんと踏み込んで、タメを作って・・・っていう完璧な形が出来ればいいですが、ディフェンスの時などはそんなこと言ってられない時もあります。

だけど、ラケットとボールが当たる手ごたえだけだったらどうにかなるようにしたいものなんです。自分の信頼できるタッチでボールが触れそうなときは、出来る限り次に繋がる為のいいショットになるように当てに行きます。

乱打、というのはお互いに繋がっている方が楽しめるものですが、抑揚は無いわけではないですね。かならず「思ってもいないようなショット」が言っちゃうことがあって、一定のリズムを続けられなくなってきます。それを元に戻すのも、自分のペースってどんなものか知るいいチャンスだと思います。

そういうときがニュートラルを意識する時ですね。

ゲームで役立つのは、苦しい場面でも打点を自分のモノにする癖がつくってことですから、繋げるための乱打でも、常に狙った通りのショットを描くようにすることでパスを抜くようなシーンでも自分のショットが信頼できるタッチが出せるようになると思っています。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 09:25 | コメントをどうぞ

リズムを変える

前回記事にでてきた、B・ギルバートの言っていた、「リズムの無いボールを打たせる」って、テニスができるようになればなるほど意図的にそれをするのが難しいように思えます。

打つのがうまくなればなるほど、自分のリズムでボールを打てるようになるわけで、打球動作に狙い通りのショットが打てるリズムがあるってことは、ボールにもリズムがのってしまう事になる。

だから、自分のショットの「打ち損ね」みたいなやつの方がリズムは崩れているはずで、それを意図的にってのはけっこう難しい。

・・・自分からしてもそうでしょうし、相手側から見た時にやっぱりそうなんじゃないかと思います。

 

バックハンドを攻められた選手ががスライスで深めに打つと、球が遅くなっている割には相手がなかなか打てなくて戻る時間ができます。

ドライブでゆっくりした深いボールは、弾道が高くなるので、それが分かっているんだったらバックに強く打った後はネットを取りに行けば強くは打てない相手が高めの弾道のショットを入れてくることに期待が出来るってものですが、スライスの軌道は低くても深く打つことが出来るので、ネットを取ったからといってそこでフィニッシュという結末に結び付けにくくなる面があります。

落下しながら飛んでくるボールが、肩の高さよりも低くなると気って、あんまり攻撃的なショットが打てないものです。ドライブボレーをするには準備の時間が足りなく見える(弾道が低いと速い球にみえる)し、持ち上げて落とすにしても浅くなってしまっては決まらないかもしれない。スライス面でボレーカットするとしても、余計にもう一本プレッシャーをかける必要が出てきてしまいます。

そうするとスライスで切り返された相手としては、さっきの攻め球は無効化されたような感じにもなるわけですね。

これ、そう思って私もスライス得意なのでやるんですが、打ち頃のボールになって余計にひっぱたかれた経験もザラにあります。

リズムの良い球が行っちゃったんですね。

これには二つ、考えなきゃいけないことがあります。

一つには、自分の打つタイミング。ボールを落として自分の方に時間を作りすぎると、相手が十分に構えて打ち込んでくる体勢になりやすいものです。狙われた状態になってしまう、という事ですね。できればライジングというか、速いタイミングで遅い球を深く打てるようにすると良いんだと思います。

もう一つは、相手の前にはノーバウンドの落下中の軌道が迫ってくるように見えながら、前に行ってもせいぜいワンバウンドの地点とか、地面すれすれになってしまうタイミングで相手の前に落ちるような軌道が欲しい。

要するに高めに上がるようなショットを打ったとしても、タイミングが早ければ相手は軌道の高い位置に入ることは出来ず、後ろで待っていることを選択しても結構深く入ってきて、その割にはボールが(バウンドが)死んでいる、という感じにすることでさっきの気持ちよくはなった攻めボールとは違うリズムを要求されることになってしまいます。

そういう球がリセットボールになる。

つまり、もう1ラリー生き延びられるショットになります。もしも次に相手が返球を入れてくるだけにしてくれれば、逆襲のチャンスにもなります。

相手が攻めてきている状況でなくても、こういうショットでリズムを変えることをすれば、遅めの球を打つ以上コントロールにこだわれるようにして、そこを起点に自分の攻めパターンも作れそうなものですね。

私の場合だと、スライスを使うパターンとしてはバックに来た球を相手がベースラインの中に少しだけ入らないと取れないような位置にクロスへ返して、低いバウンドをすくいあげてくれたら自分から中に入ってその逆へスピンで高く跳ねる球を、なるべく遠くに入れに行きます。それで諦めてくれるプレーヤーなら何度も使えるし、それを拾うような相手だったらネットを取りに行きます。

 

攻撃の起点がフォアを狙う、と思われやすい、ズルくていい手だと思っています(笑)。

とくにフォアを得意にしている人のフォア封じに、バックの遠い所っていうのを前のめりにさせるっていうのは効果があるだろうと思っています。ただし勇気がいる。狙い打たれれば踏み込んできて強打されるとか、待っていない角度のショットで決められかねない。

まあ、うまい人はいくらでもいるので、そうなったらそうなったでそういう作戦を見せつつ他も頑張るってことにします。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 10:35 | コメントをどうぞ

ラリーのリズム?

時間と空間の話と繋がるものだと思っていまして、より具体的に体験している物かな、と思うのがラリーのリズムや、テンポです。

いまのところはコレの感覚が良い人が結局はテニスがうまく見えます。自力で制御の利く人は、きっと試合とかでも活躍できると思います。

球が速いから強いわけでもないし、粘り強いから強いってことだけでもない・・・いやいや、そういう要素を持っている人が、自分のリズムでラリーを支配できる時にすごく強い人な感じがするってこと?かなと思うようになりました。

リズム、ですから、ラリー中に途切れることがありません。体の中でそのリズムと同調できているとしたら、やはり打った後の動作や、打たれたすぐ後の動作が良い動きなんでしょう。

「休むな!動いてろ!」みたいなことをコーチはよくプレー中に声を掛けますし、私もそうしますが、それってそこの部分がかなり大事だからなんですね。

※           ※

読んだのはもう結構前なんですが、ブラッド・ギルバート著の「Wining Ugly」を読んだときに、彼の現役時代(最高でATPランキング4位)のプレーの中で、「リズムの無いボールを打たせる」とか書いてあったのが、何となく意味が分かるけど意図的にそうさせるのって難しいなぁと思っていたんです。

初心者同士の続かないラリーって、リズムがない。打つ方は一生懸命ボールに同調して打点を合わせてくると思いますから、それなりにリズムもあるだろうし、ボールがいったんラケットから飛び出したら相手コートまでの時間は設定されたようなものです。

問題なのは、構えている相手側の方。それまで「はーい、〇〇さん、いきますよー!」からはじまるボール出しのボールに覚悟を決めて教わった通りに動きをトレースしていくようになったばかりですから、相手が打つところのどこに向かって何を合わせればいいのか、そこから不安定なわけですね。

初心者から始めても、差が出るのはそこ。似たような運動経験のある人とか、そういうリズム感を持っている人は続けられると思います。コントロールは良くなかったとしてもコートに入れられたりとか。そうでない方の人が対応が遅れて、ちょっと大きいと差し込まれてボールが飛ばなくなったり、ちょっと短いとツーバウンドに間に合わなくなったりします。

 

走らないでだいじょうぶな距離でワンバウンドしたボールを上手く打つときと、走っていったところで同じように打つことは、リズム感がある人にとっては、ボールが飛んできて、弾んだらそのあとでヒットする、という事は同じことなんですね。

要するにボールの動きは自分から近かろうが遠かろうが、打ってからネットを越えてきてこちら側のコートで弾んで打てるようになる、という事は同じリズムに見える。

それが、自分の動きの中で消化しているだけの人だと、打つ前にラケット引いて、バウンドしたらボールをよく見て、今だと思ったら力を入れてラケットを振る、みたいな感じで動きを制御してるんだと思います。その中に「ボールの位置まで走る」というめんどくさいことをどうやって組み入れたらいいのかが分からない・・・というか分かるけど上手くできない?ってことなのかな、と。

 

 

上達した後でも、それと同じような、もうちょっとハイレベルなことで、やっぱり差が出る。

アガシが活躍してきたときに、その前の世代でクリックステインという10代で突然出てきて脚光を浴びた選手がいたんです。

練習コートのサーフェスが傷んでいて、凸凹していたらしいんですが、イレギュラーバウンドにすごく強くて、まるで普通のコートでやっているようにしか見えないアガシに対して、クリックステインはバランスを崩していかにもやりにくそうに顔をしかめながら打っていたそうです。

体幹がしっかりしていて、打点の幅がある事と自分のリズムを失わずに打ち返せることと、ライジングの目で見ているのでバウンドへの対応がものすごく早くできる能力なんかが、アガシにはとても高いレベルであったというエピソード。

自分の所にくるボールがいつどこに来るのか、その予測が正しいことと、柔軟に動ける細やかなステップ(動いていないように見えたとしても重心をシフトできるとか)で自分の位置にある時のボールを正しくヒットできるという事なんだと思います。

 

私もオムニコートが主戦場になって、最初の年はイレギュラーバウンドにけっこうやられましたが、視野を変えたり、油断せずに姿勢を保ったり、バウンドの変わる方向へも対応の利くスイングを覚えたりしていくうちになんでもなく返せるようになった部分はあると思います。

それって試合の時にコートサーフェスが変わるだけで上手く打てなくなっていた時代から見れば、私の中では大きく進歩したと思える事でした。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 08:21 | コメントをどうぞ

時間と空間・・・の例

前回記事の図説?を簡単なものからパターン図として作成してみました。

・・・申し訳ないですが、手描きです。

fullsizeoutput_70f

 

これは、図の下が自分、という目線で(上が相手)ベースライン上を守る立ち位置と、少し下がった立ち位置での見え方の違いが時間の感覚も入ってくるものなんだという説明?みたいなものです。

下がるとドロップショットを拾えない、なんていう心配もあると思いますが、後ろに下がったらそれ以上下がる事は先には考えないでそこから前に行く前提で相手が打つところを見よう、ってことです。

相手が打った瞬間くらいに、ショットの勢いとかを見てどのくらい走る事になるかをみれるようになれば良いんです。。。ボールが飛んでくるもの、という目線の人には難しいかも知れませんが、本来カバー範囲の広い人の目線は、自分がそのボール軌道のどこに向かって走ればいいのか判断するのが早いものです。

 

fullsizeoutput_712

 

相手のバックハンドに向かって強打しようとする時に、バウンドのキツい高い弾道のショット(スピードは重視しない)を使うか、速球(低い弾道のフラット系)を使うか、という選択はその後どんな影響を考えるべきかという部分。

速いショットを打つと、相手が取れない、と考えやすいものですが、相手ってのはそのショットを取るべく必死で走るものなので、大概拾われます。

そう考えると、速いショットを相手が取るってことは、その間の時間は短いって事になりますね。決まらないうえに自分の時間が短いわけで、速い球を打つならコートの中に入って、少しでも距離を短くして決りやすくするとかの条件が必要になります。

ここではフォアに回り込んで逆クロスに打つような形を想定して描いています。あらかじめ中に入れるような、アプローチショットのような状況でなく、回り込んで得意とするフォアを使って、という状況です。イーブンのラリーからそこに活路を見出すべく回り込んだ、ということかな。

人間の眼は横に二つ並んでいるせい?かもしれませんが、低めの真っすぐにはは突っ込んで来れるんです。

縦方向へのバウンドのキツいボールには、スイングの形と飛来する軌道とが合わないような気がして下がってる調整することが多いです。

高いバウンドのボール、というのは軌跡が長くなるわけですから、力いっぱい打ってスピンを多量にかけて、バウンドの効果で相手を下がらせたいという意図のあるショットを打ったという事。速度で決めに行くのではなく、相手の動き方をこちらが制御しようとしてる、という事になります。

後ろに下がって行きながらのバックハンドってなかなか強打しようにも難しいし、背中向きになるような感じもあるので、ストレートにもクロスにもライン側を狙えるような気はしないものです。

そこで、ネットを取ってあっさりオープンスペースにボレーで攻撃しちまう、というのもありですね。相手が両手だったら、浅くなるショットを期待するとか、ロブで逃げてくる(後ろ向きからスイングの長さが取りにくい)ことも考えておきます。

片手打ちのひとだったら、スライスでペースを作ろうとして来る可能性も考えておきましょう。

でもネットを取ってしまったら、できるだけ一発で仕留めたいですよね。ドロップショットでも十分な効果があると思いますが、踏み込んで行って相手に後ろを守らせるくらいの演技ができると良いかも。

 

fullsizeoutput_715

 

フォアのクロスラリーから何かきっかけがあれば、そのほかのコースへ展開したいと考えている場合。

クロスといっても狙い通りにいつも打てるわけでなく、たまたま行ったショットとか、コースの良さよりも強く打てることで優位に立てることも考えると思います。

空いているからといってクロスの次はストレート、というのがうまい人もいるとおもいますが、両方とられ続けると一体どこへ打てば良いのか、とくたびれて来る事になります。

だからこそ、クロスラリーを制しておいて優位にたって堂々と展開を先にできるようにしたい。ストレートへは決め球を打ちたいし、そういう武器をちらつかせられれば逆をつくことも効果が出るようになります。

 

どこへ打てば良いのかをパターンで考えるのではなくて、自分にできる事と、相手のこともイメージに置いてラリーに臨むようにすると、無理してリスクを負わなくても良い時に、しっかり打って絶対にはいるボールを自信持って打ち込み続けられるようにすることが大事な事になって来ます。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 00:23 | コメントをどうぞ