ラケットのカスタマイズ、っていうんですか、チューニング?
ワタシが興味を持ったのは、先にも書いたとおり、複数の同じ機種を揃えておいても個体差があると、かならず「お気に入り」ができてしまい、もう一本はサブになってしまうという件から。サブは「信用できない」一本になってしまうのがかわいそうだったんです。
それで、どこをどういじくったら、自分の好みになるのか、ということを考えたり、そこからイメージすると、このラケットをどうしてやったらもっと好みに近づくのか、ということを日夜考えるわけです。
いつも、及第点の取れるショットと、苦手な場面を克服できない落第点のショットがあるわけですね。
それで、及第点といえどレベルを上げるにはもっと素早くいうことを聞いてほしいし、落第点を取るようなプレーは、自分が思ったとおりにラケットを動かせないという苛立ちから「苦手なプレー」という認識を持ってしまいます。
自分の愛機ですから、できるだけ自分の意思を反映した動きをしてほしい。
狙ったところにボールを飛ばしてほしいし、見えているボールはきちんとフェースの真ん中で捉えられるように動いてほしい。
…ラケットにお願いすることではないんですけどね。合わないラケットはとことん合わないですから。
チューニングをする上で重要になるのは、「スイングウェート」です。(スイングバランス、ともいいますね)
定規の上でラケットの長辺のバランスポイントを測るような感じではわからないバランス。ラケットを振ったときにわかる、「持ち重み」を指していると言った方がいいでしょうか?
イメージは、中身の見えないビンに入った液体の量を推測するとき、です。とりあえずそのビンを振りますよね?
で、チャポチャポいっている中身の量を、持った感じで推測する、そんなようなことをラケットを振ってやってみるわけです。
ボールを打ちに行くようなイメージでラケットをゆっくり動かしたり、フォーカスポイントをつくって振ってみたりする。
そうすると、ラケットの「重さのアクセント」がどこに存在するかわかります。
たとえば、同じ機種のラケットが2本あったときに、そのAとBを振り比べてみるわけです。
Aのほうがややトップが重くて、グリップが軽い、というような判断をしたときに、Bはそれに比べてトップが軽く、スロートやグリップのほうが重い、というか軽くはない、というような差があったとします。
そうするとハカリに乗せて計測した結果(ピックアップウェート)が同じ重量だったとしても、スイングウェート(バランス)は違うラケットだということになります。
その差を埋めるべく、チューニングが始まるわけですな。
トップヘビーにしたいからといってトップ側にだけバランサー(リードテープ)を貼るだけじゃあきっと上手くいかないんでしょうね。
目をつぶって二つのラケットを振り比べてみて、詰まっているところ、スカスカなかんじがするところを探していきます。
それと、2本の差を感じ取れるようによーく意識して振り比べをします。
ワタシの場合、手で持って振ってみた、その「詰まってる感」を脳内に描いたフレームに濃淡でイメージします。
それで、2本の差を濃淡の差として識別し、近づける努力をします。
ヘッド側にオモリを貼ったら、バランスポイントよりも下側にも少し貼ります。
簡単なのは、スカスカ(淡)なところを濃くしてあげること。
重量が増えますが、重量差は5gくらい違っていたってスイングウェートがあってくるとわからなくなってきます。重量はぴったり同じである必要は、実は薄い。
ただ、さすがに重たくしすぎるとなんだか違うラケット買っちゃったみたいになるので、できるだけ少ないオモリの量でバランスを整えて、2本を近づけます。
最近多いのは、グリップ側がスッカスカみたいに軽くて、ヘッドが重たくなっているラケット。それでもさすがに近年は減りつつあるようですかね。軽く作ればいいってもんじゃない。軽量でもバランス重視、というラケットが増えてきています。
非力な女性とかに、コーチがラケットを選んであげるという光景をよく見ますが、非力な人ほどトップライトであるほうが力を軽く入れただけで、うまく動かせるものです。
だから、軽量な、という理由だけでお勧めすると、軽いのはトップヘビーのラケットが多くなりますから、かえって不向きなラケットになっている場合もあります。
バランスを整えるのには、基本的にはリードテープ(板オモリ)をフレームの内側の各所に貼り付けて、それで狙った通りのバランスになってくれればいいのですが、ワタシのばあいはどうしても納得いかないところが残っちゃったりして、ラケットのパーツ自体を簡単に加工することもやったりします。
次回にはその加工の元になるデータを書き残しておこうと思います。