カテゴリー別アーカイブ: 打ち方オタク

テニスの打ち方に対するこだわりを書くとこです
コーチとして勉強してるんですってアピール?

スライスとスピンの分かれ目

スライスも、スピンもストレスなく打てる人がいるわけですから、前回書いたように、身体の都合上から見て自然な腕の動きがスイングになっていると言っていいわけです。

スイングのし始めはテイクバック(バックスイング)もフォワードスイングも肘のあたりからリードするように始めていいものです。

肘は腕の中心ですから、腕が適度に折れて、運動がコンパクトになる。

フォワードスイングは徐々に腕が伸びていくような動作(フォアハンドやオーバーヘッド系では、スピネーションしてからプロネーションする・バックハンド系ではその逆)

ちょうど、スピネーションしてプロネーションするところの、転換点みたいな形で、手のひら(ラケットフェース)が上向きから下向きにくるっと回るような動きのところがあります。

ラケットヘッドの動きが最も早くなるところ。

そこで、二つの動きがすべてつながるようにスイングするのが、野球のバットスイング(あるいは投球動作)です。最大最速で行って、なおかつコントロールがいいプレーヤーは体の使い方が上手いんでしょうね。

テニスラケットでもバットスイングをすると、かなりの飛距離が出ます。

で、まあコートには収まりません。スピードというか強さが出すぎて他のコントロールの要素が出せない。(コース・高さ・深さ・回転)

そこで、スライスの要素とスピンの要素とを分けて出すことで、最大スピードになるところ以外でインパクトを求めるようにします。

スライスは、打点が後ろ寄り。

要するに、スイングのし始めのフェースが上向きになる動作を自然に行って、その面の向きで入れる、上から下方向のスイングで、面を安定させるようにして打点を作ります。

だから、説明が難しいんですよ。

やってみるとしたら、最初にバットスイングでホームランを打つ。これはアンダースピンでないと遠くへ飛びませんから、ヘッドが回転して上向きから正面向きになるところまでの間でボールを捉えることになります。

で、その飛球の軌道を低めに抑えてみる。ネットスレスレとは言いませんが、地面から1メートル半以内の高さくらいに抑えてコントロールする『面の角度』と『スイングの角度』を作ります。

スピードを抑えるには、インパクトで作った面の角度を壊さずに保てるようにすると、振り抜き方向にヘッドが回転するのを抑えなくてはならなくなります。

要するにスイング自体を止めるような感じになりますが、手首で止められれば、重さを逃すのに腕自体は塊のようになって動き続けていくことになります。

手の中でラケットのヘッドスピードを止めるのに、手首の力で止めると筋肉に相当の負担がかかりますから、握りの形と、グリップエンドの動きを骨で止める(手のひらの形だけで止める)ような要素が必要になります。

ま、でもゆっくりスイングすれば負担は少ないですし、正確にインパクトしやすいし、コントロールがいいような打球の仕方に自然となるでしょうから、ばっとスイングそのまま…みたいな迫力を出してはいられなくなるでしょう。

当たれば飛ぶような位置でスイングを入れていくわけですから、ゆっくりとか小さくとかスイングしても、飛距離に関してはそこそこ保証があるような形ですから、インパクトでボールを弾くような感覚さえちょっとあれば、それをむしろ大事に運ぶような感覚まで使えれば、スライスは大丈夫です。

スライスが打てない人は、最初にドライブの動きを覚えていて、インパクトまでで強さを出せるようには振る体験をしていないのと、

「スライスっていう回転をかける」と思い込みすぎていて、手首を使ってラケットで切るような仕草をインパクトに求めるから、当て方がわからずに悩むわけです。

ホームランが打てるのなら、スライス面が出ていてアンダースピンで打てていますから、そのまま低い軌道に乗せるにはスイングの角度と面の角度をどうしたらいいか作ってみればいいってことです。

ちなみに、スライスって、回転の名前じゃないですからね。

スライスは「切る」という意味の動詞。回転の名前は「アンダースピン」とか「サイドスピン」なんかになります。

スライスサーブってサイドスピンでしょ。

 

さて、トップスピン(ちなみにこれはドライブ回転(順回転)の最たるもの、っていう意味らしいです)は、バットスイングの後半、つまりヘッドが回転して下向きになろうとするところを利用する打法です。

それで、スイングのし始めに腕はスピネーションして(フォアハンドの場合)上向き面になるので、こいつをなんとかしなければならない。

そこで、テイクバックの段階で手首というか、上腕を外向きにひねっておいて、上向きまでならないように抑えた準備をします。

グリップを厚く持ち替えることで、よりスピネーション(腕の動きとしては、スピネーションをしなければ最終的にヘッドスピードが出ないことになるので、動作上はなくてはならない)で面が不安定になることを抑えます。

スピネーション=腕が曲がる(肘が折れる)形になり、肘が中に入るようになることで回転がコンパクトになります。

ただし、この時点ではラケットヘッドは後ろへ倒れていくような動きをするので、打点が近く(後ろ寄り)になるようでは詰まったような当て方になり、十分な形にはなりません。

プロネーションするときには、腕は伸ばされていく方向に動いていますから、体から腕を離していくような動きになります。

つまり、打点はぐっと前に取る必要が出てきます。

グリップを厚く、腕をひねりこんで上向きを抑えますが、多分準備でラケット面は外向き(後ろ向きか下向き)になっているところから、スピネーションしても垂直近くまでしかこないようにすれば、インパクトまでの面が決まったようなものです。

腕はそこから伸ばされていく、ということはまず絶対に相手のボールに押されるような形ではないはずです。腕の重さがボールに負けることはないでしょうからね。

インパクトの後にしっかりプロネーションの動きが出せるようにする、ということは、垂直面で捉えた後は、ヘッドは強制的に上に抜けるような動きをします。

手首を使って無理にヘッドを回すようなことをすれば、押せるはずのスイングを止めることにもなるし、ヘッドの動きが早すぎてインパクトが正確にできなくなるかもしれません。

ラケットフェースはボールを押しつぶすような感覚で、ヘッドは上に抜けてトップスピンがかかります。

回転の力だけでもないのでしょうが、スイング軌道がボールの軌道よりも上に抜けると飛ぶ力は抑えられて、コート内に落ちるようになります。

速いけど落ちて伸びていくボールがこれで打てる、という理屈です。

元が同じスイング。

使い分けをしているだけ、というか、使い分けを上手くすることがテニスの技術に直結するものなんです。

後は、感覚を磨いて、再現性を上げていくのは、練習量です。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 08:23 | コメントをどうぞ

適切な打点って

テニスがうまいって、結局は技術的には打点がうまいってことです。

テニスが強いってことは、うまいテニスをする人同士が相手の打点を崩し合うための戦い方を知っているのと、相手よりも自分の方がそういうことがうまくできるってこと。

…とはいえ、わかりづらいですね。

今日は上海オープンの決勝をやっていて、ジョコビッチとツォンガの対戦だったのですが、まージョコビッチが強い。磐石な戦いで、ツォンガはなんとかこじ開けたい扉が重たくてどうにもならない感じでした。

昨日、マレーとの準決勝で、マレーの2ndサービスでのPoints Wonが、第一セットでたったの9%(!)こんなの見たことありません。

今日の決勝は、トータルのスタッツが出た時に、ツォンガの同じ2ndサービスでのPoints Wonは16%でした。

ジョコビッチがどれだけリターンがよく、相手のサービスにプレッシャーをかけられているか、ってことだと思いますが、何しろこんなのは見たことがありませんでした。強すぎる。

さて、試合に強くなる前に基礎技術は欲しいわけで、試合に出て勝てる人って、自分のショットはもう狙うところが決まったら打ち方のことは気にせずに狙えるものです。

それには、ある程度の「形の約束」を持っていることと、その形でできる「飛球の感覚」を持つことで自分のショットの「再現性」に自信を持つように練習をすることです。

もちろん、ボールの位置にラケット面をしっかり合わせるボール勘もそうですし、追いついてスイングのタイミングを合わせるリズム感、回転する体の軸を作る下半身、ボールをラケットに乗せて逃さないような面の感覚…言葉を使って解説するには要素がいっぱいあって、一から全てを言葉にするのは相当不可能に近いような感じがします。

だけど、コントロールが悪いだけで、ボールが当たって飛ばせるんだとしたら、必要な要素だけをできるようにすればいいわけですから、一からすべてを理解しようとしたり、直したりする必要はないですよね。

ボールがあんまり飛ばせない人も、ラケットを振ることができているのなら、当て方と飛ばし方を覚えていくことでテニスが上手くなったと自認できるようになると思います。

 

一度にすべてを手に入れることはできませんが、ひとつひとつ上達の道すじを通って、自分のプレーに納得しながら上達していくわけです。

 

大事な要素と言えば、軸足を作ること、軸足から打点までの距離でボールを測ることができること、飛んでいくボールからフィードバックを得ながら、どっち方向へ力を入れればボールがいうことを聞いてくれるのかを感じながら反復練習をすることで、自分の感覚が出来てくると思います。

ショットがすごく強いわけでなくてもいいですし、苦手なショットや、狙うのが難しいコースがあっても構いません。試合でそこを狙う必要がどうしてもできた時に、自分の今持っている技術を元に、ヒントを得ながら練習していけば、また上達します。

すべてを手に入れることまではいかないかもしれませんが、自分のプレーに必要な武器を備えていけるようにすることもテニスの楽しみですし、手に入れた武器を試合で試してみることも本当に楽しい挑戦です。

本当の正解があるわけではないですから、自分のグリップやスタンス、体の動きをイメージして、飛んでくるショットに上手く合わせてコントロールできるのなら、今いるレベルで十分に戦えるわけですから、ゲームを楽しみながら練習をしていきましょう!

 

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 21:11 | コメントをどうぞ

初級技術と上級技術・・サーブ編

カテゴリは「打ち方」です。

例えばサービスとか、初級者にプロの打球フォームを教えてもいいでしょうが、まず打ちづらいでしょうね。

体の使い方は、むしろシンプルで運動連鎖をつかった合理的なもの、ですが、感覚的な部分で難しい要素があると思います。

オーバーヘッド系は、上むきにボールを見上げることになるのですが、そこでまず、ボールを見ると相手のコートは見えない。

練習量があって次第に打球感覚をつかんでいけば、相手のコートなんてみなくても自分のラケットが信じられるようになれば打てるものなんですが、だからこそ初級者−週一プレーヤーでは難しい。

ボール投げと同じような動き、と紹介されますが、運動するメカニカルの部分はにていますし、同じような筋肉の使い方をします。

しかし運動する方向や見る方向まで一緒にしてできそうなんですが、そうすると差があるんですね。

サーブはどうあってもボールがある位置が自分の頭上で、スイングはまずボールの位置でインパクトを適切に迎えるべきですから、目線もスイングの到達点も、打点。つまり上です。

ターゲットは相手コート上に意識があると思いますから、その打点とターゲットをイメージ上で結ばなければならないわけです。

感覚のいい人は、一緒くたにしても大丈夫ですが、難しく感じている人はそこのところがなかなかうまく結びつかない。

初心者にサーブを教えるには、まず入りやすいような打ち方を教えておいて、ゲームで使えるようにしておいた方がテニスを楽しめる。

運動神経がいいからって例えできたとしてもそんなすごいサーブが入っちゃったら相手の人が返せません(笑)。だからゲームがつまらなくなります。

コントロールすることと再現性に自信を持つことがテニスの上達ですから、最初からできちゃう人がいたとしても、どうやると入ってどうやると入らなくなるのかはよくわからない、つまり感覚がまだ自分のものになっていないとしたら、やはり不安定なものなんです。

大事な試合のマッチポイントで、どうしてもミスれないと思えば思うほど、どうやったら一番いいのかがわからない。試合を通じて調子が良くても、あてずっぽうなショットが自分の意思とは関係なしに入っていたら、入らない一本のせいで狂うかもしれません。

初級技術としては、ターゲットと打点とを結びやすく立つことから始まった方が簡単に感じると思うので、グリップもフォアよりで、体も前向きになりやすいようにスタンスを取ります。

前後の足のつま先を結んだ線が狙いの方向になるように、ってコーチがよく教えますが、このスタンスは入れやすい。

プロのほとんどはクローズドスタンスです。相手に後ろ足の踵が見えるようにするくらいが普通。

初級技術でも打ち方がきれいで、当て方が上手い人は、かなりいいフォームで打ちますし、かーなりいいサーブが打てるようになります。

上級技術は、そのかなりいいサーブが打てることを前提に、「ものすごいサーブ」を「入れられる」ようになるものなんです。

スピードが増せば、不安定になるものなんですが、形に約束を作りやすく、再現性を優先させるフォームである分、よりシンプルな動きになりますし、パワーは損なわずに自然に同じ打点に最もパワフルなポイントがやってくるようにつくると、相手コートを見ていられるかどうかは優先順位が下がってくるわけですね。

見ないわけじゃなくて、そっちに体や目線が向いていなくても、みえている、ということなんです。それが「慣れ」の部分でできるくらいの練習量が必要になる、という意味でもあるんでしょうが。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 07:17 | コメントをどうぞ

グリップが太い・細いについて

グリップに関しては、ワタシ、今年に入って何度となく枕元に「グリップの神様」が降臨めされて、いろいろとヒントをくれる、という恵まれた?朝を迎えているんです。

実際には、神様のお姿を拝謁したことは無いんですが、日々テニスのことについて考えるあまり、打点で起こっていることをどうとらえているかをイメージしたら、グリップの感覚にそのほとんどをゆだねているということに気づいた、ということになると思います。

ただね、ほんと、そこまでいつも考えなかったわ―、っていうことにも気づくことがあって、まるで自分ではなくて、神様がそっと教えてくれたような気になったのはホントです(笑)。

そんななか、18でテニスコーチの道に入って以来、ずっとグリップサイズは2がちょうどよかった私なのですが、このところ、サイズアップしてきています。

なんどかそのことについては触れたこともあるし、もっと以前から書いている、FC2のサイトの方でやっている「身辺テニス情報(改)」というブログ(これもワタシが書いています)でも、もっと詳しくかいたことがあるかもしれません。

もともとは、レッスン数が多くなって、その日の最後が上級のレッスンだったりすると、手のひらが疲れてきて、痛くなっちゃうってことから考え始めたのがきっかけでした。

 

細いから、握力がいる、ということはもとから知っていた知識ですから、それまでは、「打つ瞬間もそんなに握りしめない」というスイングを覚えることで、疲労の少ないテニスをしようとしていたわけです。

細いグリップは、操作性が良く、握力が必要な感じになる

という二つの要素について知識がありました。

たとえば、野球のバットの、グリップ側を握れば、手首がくるくる回るようにバットを振り回せます。手指にゆとりがあるので、しっかり締めつけて放り投げないように持っていられますし、手首を使いやすい状態にあります。

逆側の、太い方を握れば、バットの太い部分が、手のひらの「ヒール」(小指の下側のふっくらした部分)にあたって邪魔になり、手首が使いづらくなります。

テニスラケットのグリップは、そんなに極端に変化はありませんが、手のひらの神経は鋭敏で、直径で1㎜・周囲で約3㎜変わる(それでグリップサイズが1つ変わる)ことを、しっかり認識します。

ラケットを扱いなれている人ほど、「いつもと違う」感がはっきりします。

ワタシの場合、最初は手が疲れるので、握力があまりいらなくなるだろうということと、その原因となる「手首を器用に使ってごまかすショット」を減らそうということに着目したところからグリップの太さをいじることになりました。

 

さいしょは、厚みのあるレザーのグリップに交換して、少しだけ太くなり、7gの差でグリップ側にバランスがすこし寄る、ということも考えてやってみました。

手のひらのくぼみになるところに、パッドをいれて、オリジナルのエルゴグリップみたいなことをしていましたが、それはもうやめました。

いまは、バランスよりも全体の重量を軽くするためにシンセティックのグリップに戻しましたが、元巻の下に厚紙と、テーピングをして少し太さが出るようにしました。

使ってみて思ったのは、手首を後屈(手の甲側に折る)ことは手のひらを開くことと通じるので太くなっても全く問題なく、掌屈(手のひら側に折る)ときにやりづらくなるってことで、それが必要になるのはサーブとスマッシュのオーバーヘッド系の時に影響します。

現実、それを知っているからなのか本当に太くなったせいなのか、サーブを思いっきり打つとオーバーが多くなりました。

ただ、バックハンド寄りに薄く握ることでサーブのスイングが正しくなり、当て方の効率も良くなったらしくボールにしっかり乗るような感じが分かるようになりました。

ワタシにはメリットの方が多く、デメリットになりやすい項目は気にしなくてもいい程度だと判断したので、今後ラケットを購入するときにはサイズを3にして買おうと思います。

 

個人レッスンで生徒さんを見ていると、太すぎてうまく扱えていないような人も、細すぎて扱いきれないような人も見かけます。

大概の人は、それを見つけた時にちょっとサイズの違うラケットを与えると、ショットが安定します。

太すぎる人は、ボールが当たった衝撃を手のひらで受け止めきれていないような感じで、パワーロスをします。さらに打点に合わせるのに瞬時にラケットを出すことが出来なさそうなスイングをしています。

細すぎる人は、ラケットヘッドが重たいような感じに見えて、ボールの威力をコントロールできないような感じがします。手の中でヘッドが回ってしまってラケットコントロールができないようなスイングになります。非力なジュニアや、初心者の女性などによく見かけます。

自分がへたくそなんだ・・・と悩む前に、手の感覚がボールを打つのに役立っていないとしたら、道具との相性が良くないことも疑ってみると良いでしょう。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 17:07 | コメントをどうぞ

サイズなのか筋力なのかースイングスピードの限界

スイングスピードってのは、「角速度」なんだ、ってことを読んだことがあります。

ボールにあたるときのヘッドの持っている速度が瞬間的に秒速何メートル、ということではなくて、スイング自体が一定の時間内に角度として何度移動したか、ということを測るのが「角速度」です。

だから、手首を使ったり、ひじから先などをひっかけるようにしてスナッピーなスイングをする人は、ボールに必要な押しが足りなくて、初速が早かったとしてもネットを超えてからの減速が大きい、いわゆる「死んだ」ショットになりやすくなります。

 

なるほどなぁ、と、自分でもいろいろやってみて本当にそうだったので、一気に納得しました。

ストロークやボレーなどは、相手側からのショットの威力もラケットとボールの反発力に加味される部分はありますから、今日ここで書くことをまともにフォローするとは思えませんので、先に言っておきます。今日のスイングについては、サーブのような、自分でトスした「距離的に移動していないボールを打つ時」をイメージして書いています。

 

でまあ、サーブについてはワタシの場合、ここ6年くらいをかけて「ひとりサーブ研究会」を発足させて、理想のスイングとインパクトとはなにか、それを達成するのにどんな姿勢や体の動作の約束があるんだろうか、といろいろと検証してみました。

ただこれをずいぶん追い求めてきた結果、先にわかったのは、

やり方が分かったからと言って出来るわけでもない

ということ。

だから、サンプラスのようなフォームで打てればかなりいいサーブが打てるようになるのかもしれませんが、そのスイングのパワーを受け止めるコントロールの感覚が同時に育っていなければただ思いっきり打っているだけになるかもしれませんし、確率が悪ければそのフォームのうちの大部分のパワーを「スピードを抑える」ために回転をかけるなどして結果的に一般的なサーブのスピードと精度に落ちていくものではないかなぁと思います。

そこで、そういうことが分かって来てからの取り組みには、やはり「スイングのパワーを上げること」は課題に挙げているのですが、当然その目的は「200キロのサーブを打とう」ではなくて「スイングから効率よくパワーを取り出して、ゆとりのあるショットにしよう」というものに置き換わって来ています。

 

実際に、4年くらい前のフォームは画像があったので観てみたのですが、未だにその癖は抜けきらないものの、当時は大きく腰を前向きにして、トロフィーポーズで無駄に体をそらせて、緊張の強い「打球前の姿勢」が出来てしまっていました。

そこで、スタンスから始まって下半身の使い方に改善を求めて自己流ながら矯正をしていった訳です。

矯正がされてくると、体の内部の感覚が変わって来ていて、腰への負担が減りました。とくにここ2年くらいは、ワンセットくらいガチのゲームをやるともう腰が硬くなってきて疲労感が出る様になっていたのが、だいぶ楽におえられるようになりました。

で、姿勢もわかって来たので、スイングをスタートするところでこのくらいのむきになっていれば、強めのインパクトでもネットを超せばサービスラインの内側に収まる、という感覚が分かってきました。

おそらく、10年前(35歳ですね)の自分の最速サーブよりも、スピードは上がっていると思います。具体的にスピードガンなどで計測していないのでわかりませんが、動画を撮るとインパクトから向こう側のフェンスに当たるまでの時間が短くなっています。

それと、バウンドの伸びが体感できるようになりました。

私のいるスクールには、サブネットが置いてあるのですが、以前ならワンバウンドでそこまで届いたとしても下半分までだったものが、白帯の真下くらいまで上がりましたから、スイングのパワーが増したとみていいんだろうなと、45歳にしてほくそ笑んでおります。

ただ、ワタシの身長163㎝、体重55㌔という体格では、腕の長さは短い方。

スイングの距離を稼ぐ(角速度を大きくしたい)といっても、腕の長さは長くなりませんから、上半身をねじって肩を回すようにして稼いでも、すぐに限界がやってきます。

全く同じ動作を同じだけのパワーでこなす人が居たとしたら、その人が180㎝あればやっぱりワタシよりは格段に速いサーブを打てると思いますし、角度も付くので余計に速く見えるのではないかとも思います。

もう一つ、ワタシ自身は「長距離型」の選手で、瞬発力には自信が無い方。ということもあります。

だから余計に、インパクトだけを強く出来なくても、スイングスタートからフィニッシュまでを出来るだけ短時間に、かつスイングの長さをそのまま活かせればいいのなら、腹筋や背筋のバランスを取ることで上手くいくのではないかということでもありました。

それでフォームの改善に至りましたが、まあ完璧に理想のフォームにすれば、ほとんど相手のコートを見ずにスイングに入ることになりますし、感覚的にそこに不慣れであれば当然フォームの癖は残ります。

そんなわけで、改善に取り組んで6年。やり方が分かって来て2年ほどなんですが、全体に見れば、10%以下の威力増大だと思います。球速にして140㌔代が150㌔を出すことも可能(いつもいいインパクトをするわけでもない)程度にとどまっています。

それだったらファーストの確率の良かった以前のフォームの方がいいんじゃねえの、って気にならなくもないですが。。。

 

腰が痛くなくなっただけでもめっけもんです。

 

あと、こういう理想についてきちんと考えがまとまって、人様に話せるようになったことも、コーチとしては良かったことです。

 

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 08:52 | コメントをどうぞ

振り始めに抵抗がある

テニスの打球技術を考える上では、ラケットを振る際に、最初にかかるラケットの重さ、それから長さのせいで起こる抵抗がかかることを気にしなければならないと思っています。

例えば、ボレーのような短いスイングの際にも、初心者の人はラケットにボールが当たらないほど手首が折れることがあります。

腕が前に出ようとする時に、ラケット(特に先端部分)が急激な加速についてこれないために手首が折れます。空振りは珍しいとしても、まず思ったところにボールが飛びません。

バックハンド側を片手で打とうとするとなおさらです。

ストロークでも、腕力に自信のない人ほど、テイクバックが小さくなる傾向があります。ラケットが重たくて、そんなに速く振れないと思うのか、あるいは速く振らなければならないと自分にプレッシャーをかけて、腕に力が入って硬くなり、大きな振り子を準備できないこともあるかもしれません。

逆に、上手に打てる人は、小柄で腕も細いのにラケットをうまく振ってパワフルなショットを打つことができます。

できる人とできない人の間には、感覚的な差があるので、フィジカルの要素より以上に内面的な要素の方に原因があることを無視しないようにすべきだと思います。

フェデラーやナダルのフォアハンドストロークの振り始めに、身体の後ろ側でラケットヘッドがキュンっと回るような動きをします。(ちなみにカルロビッチのフォアでもすごく見られます)

この動きは振り子運動の中では、ラケットのエネルギーを溜める動きで、インパクトに向けてヘッドを加速させるのに必要な動きでもあります。

プロ選手の精度ですから、この動きがあっても自分のラケットがイレギュラーするようなバウンドであっても対応できるほど、この一瞬でラケットが「ブレ」たことにならないくらい、スイングをスタートさせる条件のように使いこなしているのでしょう。

ワタシの場合は、バウンドの伸び方が予想以上だとか、イレギュラーして高く跳ねるバウンドが来るとスイングで追従できずにボールが上ずったり、フカしたり失敗します。

ダブルスでポーチにでて、どチャンスを思いっきり叩きこもうとして超オーバーのアウトをしたり、ネットの真上くらいからネットにかけたり、恥ずかしいミスをするのも、腕を強く振った時にラケットがブレるのを手で感知できないからです。

ミスを恐れてゆっくり振れば決められませんし、攻め急いで「合わせ」を入れずに振ればミスをします。

振り始めに抵抗がかかるのを軽減するのは握りと手首の形、それにスイング方向がうまくあっていれば大丈夫です。

プロ選手のように、大きくヘッドを揺らした(振り始めの抵抗を把握しているか、制御できる)スイングにするには、振り始めからインパクトまでにゆとりを持っていられる(スイングの安定期でボールを捉えられる)なら、よりパワフルなショットとして強いインパクトを得られます。

安定したインパクトを得るには、いろいろと条件が揃う必要があるでしょうが、なぜかバラつくような気がしている人は、まずここに着目してもいいのではないかと思います。

 

 

 

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 19:56 | コメントをどうぞ

テニスの技術

コーチとして生活していますから、ショットの技術やゲームの作り方にはだいぶ時間をかけてきました。

裏をかえせば、才能はなかったので自分が優秀なプレイヤーになるには時間がかかりすぎたってことだと思います。

ワタシのこれまでの生活は、テニスが上手くなりたいという自分の欲求でもあり、またスクールやプライベートレッスンを受けてくれるお客さんの上達に役立つ勉強をしてきたことにあります。

ほんと、歳とって死んだ後に、「あの人はテニスばっかりだったねぇ」って言われるような生き方してます。

 

コーチとして、人の「打ち方」を見ているときに、どこを評価しているかといえば「要素」です。

グリップ・スタンス・バックスイング・フォワードスイング・打点・フォロースルー・フィニッシュ…ほかにも、全体的な姿勢や、フットワークなどから見える「ボールへの入り方」も。

できている要素は、安定したパフォーマンスを出してきます。

ええと、例えば、ミスをする傾向が強いフォームにも、安定してネットにかけやすかったり、振り遅れやすかったりする要素があるわけです。

ショットが成功する確率が高く、かつ勢も強くてコントロールがいい、ということはかなりのレベルでそれらの要素の調和がとれている、と言う意味ですから、どこもいじる必要はない、と判断できるかもしれません。

マイケル・チャンがコーチについて、錦織圭に色々と指南したそうですが、錦織選手が「こんなに直すとこあるのかー」と言っていたくらいですから、マイケル・チャンが選手時代に目指していた高みもそこに見えるような気がしました。あれだけのレベルでプレーできている選手に対し、不満がたくさんあったのでしょう。

いや、不満というよりも、希望がもっと先にたくさん見えた、ということかもしれませんね。この選手はこんなもんじゃないはずだ、もっと先に行ける才能がある、ということを早くから見抜いていたのかもしれません。

ワタシ自身は若い頃、「自分より上手い人は教えられない」と思っていました。

なぜなら、「その人は自分よりも高い、理解できない領域のことができている」と思っていたからです。

近年はそうは思わなくなってきました。要素がわかっているので、自分よりも上手いと思う人でも、感覚的にこんな感じでプレーしてるんだろうってことはわかりますし、力学的にその人の動きを理解できるようになりましたし、マイケル・チャンのようにさらに上を要求することはまだ無理かもしれませんが、不調のときには原因を突き止めるお手伝いくらいはできると思います。

 

そんな風になってから、ワタシのレッスンでは、「打ち方」は形では教えません。

主に「ラケットがボールに当たるときの感覚(=ボールコントロールの感覚)」を理解してもらおうとして教えています。

だから、スタンスの形がこう、そのときに腕はこう、ここの手首の角度はこのくらい…なんてことは言いません。人によって差が出るものだから。

ただ、ボールの見方や、打点への入り方、リズムをとること、慌てずに遂行することと、反復練習をして約束の動きになるように訓練していくこと、がショット練習の要です。

いきなりプロのようなショットが打てるようになりません。

もしかしたら、1球だけなら、プロっぽいショットを打てるかもしれません。しかし、プロ選手のようにそれで試合はできないはずです。プロ選手は積み重ねでそのショットを精度高く再現できるまで鍛え上げてきていますから、連続してでも、突然でも思ったショットを繰り出すことができるわけです。

だから、ショットに関しては「正しい感覚を理解してもらうこと」でいいと思います。

体格や筋力、動ける範囲や反応できる速さまで、テニスには必要ですから、処理能力が早くなる、動きが約束化されるまで、段階は引き上げられません。

感覚が育ってきたら、また次の感覚へ。

今できていることをざっくりかもしれませんが、総合的に判断して、常にそのちょっと上が見えるようにお話ししていきます。

 

テニスにはいろんな「型」があります。皆さんそれぞれが、自分のフォームを持っています。トップスピンを打つのに適したスタイルもあれば、スライスが得意な要素を持った形の人もいます。どちらも、それを生かしたテニスができる方が、気持ち良くプレーできるものだと思います。

ただし、そうだからといってスピンしか打てない、スライスだけで試合する、というわけにもいきません。ショットの多様性は、試合を作る上で重要な要素になりますから。

ただ得意なショットには頼りたいと思いますし、そこを中心にゲームを考えるようになってくると思いますから、どうやってやれば色々なショットが打てるようになるのかをきちんと説明できるようにはしています。

 

なぜ、うまくトップスピンのショットがコントロールできないのか?

というのは、その人の打ち方の中に原因となる要素があります。例えば手首が硬くてヘッドが下がらないとか。あるいは、回転はかかるけど押しがないので深さが狙えないとか。手首を回転させると思い込んでいるから回転以外のコントロールがなくなる…など、人によって見なきゃいけない要素は違います。

その中で、できていることは何か、イメージ通りに動けていないことや、間違った認識で動いていることがないか、よく会話しながら生徒さんと一緒に答えを見つけていきます。

 

自分の頭の中の引き出しに入っているものが、人様の役に立つ。これがこの職業の一番興奮するところです。かっこつけた言い方かもしれませんが、知っているだけではダメだし、自分ができるからといっていいアドバイスはできません。その人に足りないものはどこで、どの辺まで溯れば違った感覚を正しい方向に持っていけるのか、コーチにも経験は必要なわけです。

 

若いからといってできないというものでもありません。考えればできるので、よく見てくれない、知っていることを伝えるだけではコーチとしてはまだまだだと思っています。

ラケットは、ボールに当たると手からフィードバックがやってきますから、いちばんテニスを教えてくれるのは、ラケットなんです。

力でなんでもやってしまおうとすると、ラケットからの答えを聞けない状態みたいなものですから、そこから感覚をたくさんもらえるようにしましょう。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 04:06 | コメントをどうぞ