日別アーカイブ: 2016年6月25日

バックハンドスライス

ワタシ自身は、若い頃はトップスピンが打てずに、スライスばっかり打っていました。トップスピンのスイングの仕方は真似事みたいにできるんですが、試合ではまず入らない。だから使うのをあきらめて、コントロールのいいスライスでひたすら走り回って拾うテニスをしていました。

30過ぎて若いやつの球の勢いにスライスでは対抗できなくなってきたと気づいて、そこから練習してスピンも打てるようになり、年を取るごとに球が速くなってきています(笑)。

バックハンドも最初は本当にスピンで打つのが怖かったものですが、ここ数年はスピンが打てないと試合がうまく自分のほうに傾かないような気がして、まずはしっかりクロスへのスピンが使えるように考えていたりします。

 

シングルスのクラスを担当してもう5年。週に3回、いろいろなレベルのシングルスに興味のある生徒さんが来ます。

戦術的なことを教えても技術が不安定な中、やりたいことができる前にミスショットで終わってしまう。

だからラリーではテニスコートのラインを無視してやるようにしました。入っているかいないかは無視してラリーをするってことです。

もともと、ラリーする、ラリーをつづける、ということができるようにするのには相手が打ったら即座に反応して適切に移動し、狙ったショットになるように打点をつくって打ち返せなければならないのですが、技術が不安定だから、テニスコートが現行の形だと狭いみたいだったんですね。だからもういいからつづけろ、ってことで考えたら、この練習のおかげでテニスコートに入っているボールが「狭い範囲のボール」ってことに思えて、楽(想定内のボールってむつかしくない)だってことがわかるようになりました。

 

そうやってショットを使い、相手をどっちに走らせてどうやって打たせれば崩したことになるのか、そのチャンスを見たら自分はどうやって勝てばいいのか、あるいは相手がきついショットで攻めてきたらどうすると更なる攻めを受けずに済むのか、速い球を使うだけではわからないことも、こういう練習の後にアドバイスをすると効果が出るようになりました。

そうなってくると、先に「いい球」を放り込んだほうが有利になるような雰囲気になります。そしてそこを単調に返すだけではどうにも勝ち目がない。

ロブとかにしてもロングボレーやドライブボレーなどの攻める武器を持っている人には通用しなかったりします。

とくに、片手打ちでも両手打ちでも、バックハンド側への対応はフォアよりも弱めになってしまいます。

普通に考えてもフォアハンドは利き腕側の肩が後ろへ引けた格好になりやすく、その分懐を深く守りの動きをしながらしっかりスイングする形を取りやすいものです。

一般レベルではとくに、肩と腰のひねりこみがフォアよりも十分になされないケースが多いことも苦手な人の多さの一因かと思います。

そこで、スライスを導入したほうがよかろうと。

きちんとしたスライスを使える人は結構いて、それでもその多様性に気付いている人はそんなに多くないかもしれません。

スピードがあって、低くてシャープに滑ってくるスライス

深く入るけど、空中でブレーキがかかったようにぽとっと落ちるスライス

ストレートからサイドラインに逃げていくサイドスピン

クロスがワイドへ切れていくサイドスピン

スライスロブ

ドロップショット

と、スピードや高さ、バウンドの効果などにいろいろな変化をつけることができます。

多様なだけに、教える、ってことがいまどれを打ちたかったのかがわからないことが多いために成果を見て許せる範囲が広くなってしまう分むつかしかったりします。

教わる側としてもタッチという言葉で説明しづらいものを教わるのに、経験がないショットだとしたら余計にわかりづらいものだと思います。

これを練習させるうえで勘違いされやすいのが、「回転のかけ方」を練習しようとする人がラケットをこねくり回してしまうことです。

あたる瞬間に変化を与えることは、その変化させようとする意図の分だけ不安定になるものなので、スライスでしか当たらない「型」を意識することと、その中でボールがよく飛ぶという感覚がまずわからないと、スライスというイメージの弱いショットを練習していることになります。

相手に攻めさせないという攻撃ができるショットですから、弱くしか打てないようでは当てるだけのショットと変わりありません。

野球のホームランも、アンダースピンがかかった、いわゆるスライス系のボールです。ということは、スイングのメカニズムとしては振り始めからあたるまでの過程はよく似ている。

そこで、片手で持ってホームランが打てる人は、それが低く出るように利き腕側の肩をさげて、ボールの出口を低く出るようにすれば、ある程度速い球っぽいスライス系のあたりになります。

そこから面の安定をはかるような感じで加減をおぼえていく、要するに当たれば結構速い球が飛んでいくようにするほうが先で、飛びすぎないように抑えるのが技術かな、くらいのものでいいです。

その辺の導入でついてこれるレベルなら、あとはロブとドロップを簡単に打ち分けられるような感覚さえつけば、先述した多様性のあるショットへの入り口が開いたようなものです。

プロの試合でもけっこう重要さが出てきているショットですからね。取り掛かったのならマスターしてほしいと思います。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 09:17 | コメントをどうぞ