ワタシってオタクなんですが、最もその度合いが強いのがスイング。
テニスのスイングを研究するようになって…てのがコーチになってからの歴史とほぼ一緒。
当時は(1988年)、自分のレベルが初中級くらいな中、上手い人が出来ていることと自分の違い、スクールに来ている人が見た目明らかに苦手にしていることと、その説明をどうやってするかってことを考えている程度でしたが、40歳を過ぎてフリーになって、ここ5年くらいは相当なマニアックなことを考えてこういうブログとかで書き記すオタクになりました。
身体がどうやって動くのか、そしてラケットがどうやって動き、ボールに当たるのか
人によって違うのは何が違うのか
または上手い人にだけ共通すること、さらにその逆の出来ない人に共通することはあるのか
ラケットがボールに当たった時に感じることで、扱い方は理解できるのか
理解しようとする人と、力ずくでいう事を聞かそうとする人の、上達の速さに差はあるのか
初級から初めて必ずぶち当たる壁はどんなものか、それはいつどの状態の時に感じられるものか
ボールを見るという事はどういうことを指すのか、レベルによって違いがある(心理的なもの?)か
・・・書ききれていないかもしれませんが、こういった具体的でないようなものがワタシの突き止めようとしていた課題です。
そして、たくさんのお客さんを見させてもらううちに、それらのすべてに一定の答えを見つけられるようになりました。
今ここに掲げた問題点の答えは、「・・・あるのか」と書いたものはあるし、「理解できるか」「違いはあるか」等と書いたものは全て「できる」し「ある」です。
理解しようとする人としようとしない人がいるのも事実ですし、自分は自分、と思っている人は見比べて評価しない性格の人です。そして、そういう人はけっこう上手い人がいるものです。更に言えば、上手い人たちの中で突出しない・・・そこそこ出来る人です。
テニスには得意のショットと不得意のショットがかならず皆さんにあって、それが得意のパターンにはまれば上手に出来たり、相手が返せなくて勝った(ポイントをとった)りしますが、得意のパターンにはめても対応がきく人に当たったり、期待と違った、得意なパターンになかなか状況がならない日にはふいに負けたりします。
そういう、全体の中に埋もれた小さな一因を「要素」と呼ぶことにしました。それは動作の中でもあるし、ゲームの中での人の動きや心の動きの事でも意味は一緒だと思うので、「要素」として分析します。
たとえば、動作の中では、ほとんどのプレーヤーはフォアハンドストロークを打つ時に「ラケットを引く」「打点(の予測地点)まで移動する」「ラケットを振る」「ボールに当たる」「打った後の次の動きに備える」
という動きをします。ほとんどの人?まあ全員でしょう。
そして、その中で上手いとか下手とかが出てくるわけです。「ラケットを引くのが遅い」とか、「あたり損ねをする」とか「打った後にバランスを崩して次の構えが遅くなる」という、見た目にわかるものです。
で、なぜ「ラケットを引くのが遅」くなるのでしょうか。原因を探ると、さらに小さな要素が出てきます。引き方が悪いのか、リズムの取り方が悪いのか、足が動かないせいなのか、そういうもののどれが対象者の癖なのかを読み取ります。心理的なものもある場合があります。ボールがすごい速さで来るように感じてしまっているなどの場合です。
当たり損ねが多い人は、難しいボールじゃなくても当たり損ねます。感覚の中心とラケットの実際の中心がずれているんですね。そこをどうやってアジャストするのか、という基本にトレーニングが必要かもしれないけど助言して良くなるケースがほとんどです。
そうすると、ラケットをどうやって持ち、どんなふうに扱うイメージがあるのかに疑いを持つ必要が出てきます。要するに見た目のせいではない部分ですね。フォームがダイナミックで、当たりさえすれば強烈なトップスピンのプロみたいなショットが打てる人が、当たり損ねが多いせいで中級クラスにいたりします。
「あの人は形は良いんだけど不安定だから」というのがコーチ側からみた、昇級できない理由だったりします。ゲームではもっと安定していないと武器として使えないとか、相手のレベルが上がっている中あれではまだついていけないだろうな、とか、そういう目で見てしまいます。ポテンシャルが高いことは、当たればすごい=スイング自体は非の打ち所のない=という事ですから、それをどうやって矯正していくかは腕の見せ所ですよね。
単純に「合わせ」の要素を持っているかどうかだと思いますが、これこそ人によって違うもので、発見するのにいろいろなテストをしながら時間をかけてみていきます。お互いが納得する中で出来るようになれば、思わずハイタッチをしに行くような、喜ばしい時間がやってきます。
一連の動きの中で、打点が高いとか低いとか、来たボールが速いとか遅いとかのせいで対応が変わることがありますが、基本、自分の型は崩さずに打てるようになりたいものです。
動きの中に、低い時にはこうする、とか高い時にはまた違ってこうする、ボールが速い時にも慌てないとか遅いからと言って急がないとか、そういう時に技術的に助言できるもの、そういうのを成分と言って自分のフォームの中に混ぜてもらうようにします。
自分のフォームを守るために対応する、というものなので、中に混ぜ込んで使うことでパフォーマンスが維持できるので、成分と呼んでいます。
ここに書いている書き方だと曖昧な感じになるようになっていますが、一人ひとりのお客さんに対するときにはかなり具体的な例と実際の動かし方のデモンストレーションと感覚の練習などの「差を感じる練習」を経て、実際にラリーで使えるなどまで発展させていきます。
細かいことは掻くこともできると思うので、次回はその例のいくつかを書いてみようかと思います。