日別アーカイブ: 2017年3月12日

スイングを速くすればよくなるのか

スクールでコーチをしていると、わりとどのレベルでも「速いスイングをしたい」のかな?と思わせるような動作の方ってかなり見かけます。

上級クラスの方に行けばいくほどそのショットが「力任せ」っぽくなっていく感じですが、ラケットの感覚とか技術があればそれをねじ込むようにしてポイントを取っていく事も出来ますね。

一本だけ、という集中をするのなら、べつに悪い事じゃないと思っています。だから、ラリーでつないでいる時にあまりそういうショットが多い人はラリーは単調になったり短いターンで終わってしまう事が多いですが、ゲームになれば話は別。ラリーの回数なんか競っていませんから、決められるんならそれはもちろんナイスショットなわけです。

 

初級クラスとか、あるいは腕力に自信がないような人でスイングを速くしようとしている人は、たいがいボールがあまり飛ばずに悩んでいる人です。

今回の記事はこちらの方が問題だ、ということです。

ふつう、スイングを自分のアベレージよりも速いスイングにすること自体がリスクを伴うことで、真ん中に当てるのがむつかしくなります。

物理の先生の本を読めば、スイートスポットに当たったボールとフェースの先端に当たったボールの、ラケットの反発力だけを測ったばあい、約6倍の差があったそうです。

スイングの量や衝突の力なども加味できるので、端っこに当たってもコートに入れられることはあると思います。

しかし、ラケット側の都合から見ても、よけいな力をまた使わなきゃいけないようになることから、スイングを速くしなきゃとか、もっと腕に力を入れなきゃみたいな形になる事で、悪循環が生まれます。

 

 

 

どだい、腕力に自信がない、という、ボールをうまく飛ばせないスイングの人が、速く振ったとしても、回転半径の小さな円を描くだけで、実はそこには「トルクが小さくなる」という落とし穴があって、速く振ってもボールは良く飛ぶようにならなかったりするわけです。

自転車をこぐのに、ギアをあげていけばペダルが重たくなりますね。トルクが必要になるってことなんです。ギアを下げていくと、自転車に乗っている人の力は軽くて済みますが、今度は進みません。軽い力で自転車が進むためのトルクが強くなった半面、仕事量が減っている訳です。

ペダルが付いている方のギアはたぶん、タイヤ側についているものよりも直径の大きなものが付いていて、タイヤ側は変速機付きなら大きなものから小さなものまで段数に応じて何枚かついているというもの。

タイヤ側のギアがおおきい=ペダル側のギアとの差が小さい→軽い力

タイヤ側のギアが小さい=ペダル側のギアとの差が大きい(こちらの方がはるかに大きい)→ペダルが重くなる

 

という理屈。小学校?か中学校の理科で習います。

力のない人が速いスイングをするのに、回転半径を小さくするってことは、ギアを軽くしただけで、仕事量は変わりません。さらに、自分で楽だと思っているスイングよりも速くしているので、真ん中に当たらなければもっと飛んでいかない。

身体の動きは、回転運動を伴って行っているはずなので、体重移動のきっかけでスイングを始めて、そこから体に巻き付くのを強くすれば見た目のスイングは速くなります。

遅くなったように感じたとしても、スイングスタートの条件が同じなら、スイングは徐々に大きくなっていったほうがトルクは増大していきます。

ちょうど、スイングしている腕が身体から離れはじめるくらいの位置で、面が安定してパワーが伝えやすい所があります。

打点をそこにとる、ということをデフォルトにしておいてあげるのは、訓練すべきことで、緊張した場面がやってきてもそれだけは守るようにしておきましょう。

身体じたい(胴体)が回転するところを中心とした円から、打球方向に延びていく楕円になるようにイメージしたスイングを腕が描ける、ということを考えて打ってみましょう。

そうすると、コーチがよくいう「グリップの方から打点に入れ」というスイングと形が似てきます。

打点のあたりではヘッドにスピードが乗って、力はそんなに入れなくてもキレイに飛ぶようになります。

 

良く分からなかったら、わざとゆっくり振るようにする、という風にしてみて、そのうえで身体から腕が離れはじめるあたりでボールを捕らえる、という二つの項目をクリアできるようにスイングしてみてください。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 08:18 | コメントをどうぞ