ミスをするかもというリスク

プレーヤーはだれしも、自分がショットをミスするかもという恐怖というかプレッシャーに晒されているものです。

だから、練習をする。

という事は、練習する事の目的は、「確かなもの」を手に入れたいという欲求からだと思うわけです。

練習では、プレッシャーの強度を加減できるのが良いところです。

① 反復練習ではミスをするかしないかに関わらず繰り返しそのパターンを追っていく事で、状況に慣れていきます。ミスをして良いわけではなく、ミスにならない道を見つけに行くようなものなので、修正や反省をしながら動き続けていくようにして行います。

正確に打たなければいけない、という事自体がプレッシャーの中では強いものだと思います。人間テニスボールをそんなに正確に連続で打ち続けられるものでもないでしょう。

だから、ミスをしてしまってもすぐ次がある、という事にして切り替えられるようにしておく分、頭だけで考えるような時間的なゆとりを与えずにどんどん行くようにする方が良いでしょう。10球程度は、連続で間髪入れずに動き続けても大丈夫。人によっては50球も100球も打ち続けられるというかもしれませんが、実はそれはそれで「麻痺」してしまう感覚もあるので、おススメできません。

 

② 連続で同じ場所に入れ続ける練習

は、3球~10球の間くらいで負荷を変化させていく事で、「最後の一球をミスれない」というプレッシャーに晒します。せっかくここまでノーミスで来れたのに、こんなところでミスをしていられない、と思えば思うほど弱気になったり硬くなったりするものです。

今年のツアーファイナル決勝を勝ち、全勝優勝を飾ったディミトロフは、今年の好調の前に不調の時期があり「どうしていいか分からなくなって、いかにコートに3球連続で入れ続けられるかだけを考えて試合していた時期もあった」というコメントがあって驚きました。彼もスランプの時期があり、もがき苦しんだ練習の日々があったのでしょう。プロだから試合に出続けながら、試行錯誤をするほどに抜け出せない感覚の時期もあったのかと思って、この喜びの涙が物語っているなぁと感激しました。

 

③ 振り回しで大きく走りながら狙う

コートの中に置いたコーンの周りをまわりながらとか、フォアバックを交互に行いながらとか、コートの広さと、コート上でのリズムをつかむための練習でもあります。そこにターゲットや「○本連続で」という負荷をかけ、走りながら狙いを明確にし、打点を正確にすることはなかなかむつかしいものです。

体幹の強さや、リズムとバランスなどを整えて打点に入ることが大事ですし、そうすると力を入れたり抜いたりすることで加減するコントロールよりも、入り方や方向の決まった動きになる事が重要だし安心できる材料であることが分かります。

例えば10球の振り回しで、一本ネットすると1球増える…とか、そういった課題を負荷にしていけば、狙うエリアを限定したりして高い負荷にすることもできます。

プロ選手の練習を見ると、そういう罰則事項などは無いように見えますし、まあ当然ないんだろうなぁと思います。目的の意識がはっきりしているので、彼らにとっては「やらされている練習」ではないはずですから。

単純に筋力や心肺機能に負荷をかけるような練習もしていますし、マッチ練習のような実践的なプレッシャーを掛けるために相手を選んだりもします。お互いの刺激になるようにするのが一番でしょうが、想定した相手として似たようなプレースタイルの人を選ぶこともあるかと思います。

 

④ ライブボールでラリーのシチュエーションをつくる

例えばクロスラリーからストレートへ展開するなど、相手を置いて、お互いに自分のタイミングを見計らって先に展開する機をうかがうなどします。それなりにヒッティングのスキルが必要かもしれませんが、その例のパターンだとしても、前提のクロスラリーが続かないとしたら、そこから練習する必要があるわけです。

シングルス想定で、クロスラリーのクロスショットが多少アレーに入っても、ストレートがアウトでなければ可、とか、そのレベルで出来るようにしていくうちに、練習に慣れて行けばいくほどクロスってどの程度が必要で、いつストレートに打つと効果があるのか、ただ打てそうだから打つのではなく、そのストレートが返球されにくいタイミングで打てたり、返球されても次の手が策として用意できているのなら、「勝てる」自信をつけるための練習になっていくと思います。

 

練習では、ミスをする事は許されるというか、「想定内」であることにしてやり続けていくうちに正確性が身に付いてきたりするものかもしれません。繰り返しやることで状況に身体が馴染むようになるし、ミスをして喜ぶ人もいないでしょうから、自分のミスからは逃れたいとプレーを考えていくと思います。

弱く打ったら入るようになるし続くようになる、としても、それが自分のテニスに良い結果になる場合もならない場合もあるかと思います。


カテゴリー: 日記 | 投稿者ナガキヤスヒロ 17:40 | コメントをどうぞ