日別アーカイブ: 2018年8月22日

ラケットの感覚=タッチの調整

久しぶりに技術編を書こうかと思います。

最近はラケットの動かし方というのはある程度形にしておく必要はあっても、可変が利くようにしておかなきゃいけないなんてこともあって、最初から最後までの形をそんなに重視しないことにしています。むしろボールに当たるところは変わらないで済むようにすることで、高さや距離のコントロールを損ねない、打点の感覚がすべてに通じるスイングの仕方になるんじゃないかと思っています。

簡単なことを言えば、ラケットの扱い方も握り方によって変わってくるのだろうと。

特にスクールで見ている生徒さんあてには、厚いグリップと薄いグリップは「握りの位置」を変えることでグリップチェンジを意識しても意味はなく、「握りの用途」を変えないと変わらないでしょう、というような説明をしています。

厚いグリップは力の入りやすさが下から上に持ち上げる形(フォアハンドで)になるのに対し、薄いグリップは上から下に止める形がやりやすくなります。

もちろん、握りの位置を変えることでそれが分かりやすいので、教科書通りに握りの位置を覚えることでそれはわかりやすくなるものです。

ただ、握りの位置を変えても、扱い方が「ボールに当たるときにラケットを後ろから前に押すようにする」という形にしてしまうと結局は力の入りやすい方向が厚いグリップの時と同じなので、握り替えをしないほうがよさそうな(握り替えはしなくてもよさそうな)感じがしてしまうはず。

 

 

ラケットを握る手のひらのほうの都合を考えていったら、ラケットの向きを感じ取る器官は手の中にどうも二つはあるようで、一つは手のひら。もう一つは腕の向き。

よく説明するときに使うのは、ドラゴンボールでおなじみの「かめはめ波」の手つきです。あんなふうに腕を突き出して狙いの方向を定めることもできるわけでして、そうすると厚いグリップの時、インパクトの時の手のひらは上向きになっていていいんですが、ラケットの面は相手コートのほうにむけられているのを体のほうでも感じ取れるようになっています。

一般にスクールで初心者から教わるのはイースタングリップで、かなり薄いグリップの部類に入りますが、これはその腕の向きではなく、手のひらそのものの向きがラケットの向きであるという説明ですよね。

どちらかというとこれはボレーなどでインパクトで面を確定するときに使ったほうが分かりやすい握り方になると思っているのですが、どちらにも(ストロークにもボレーにも)対応が利くような、というイメージで初心者にお勧めしているような雰囲気です。

だからそのまま育っていかなくてもいいんですね。ストロークの強打をできるようになりたければフォアハンドは厚いグリップにしたほうが自然なスイングになると思いますし、サーブやスマッシュをしっかり叩けるようになりたければ薄いグリップになるようにしてあげればいいわけです。

 

そこでその用途が、厚いグリップのほうが「後ろから押す形」でインパクトに合わせるイメージなのに対し、薄いグリップのときは、「しっかり握るとインパクトの形で面を固定できる」ということをイメージすればいいと思います。

つまり、薄いグリップの時にはそこで面を固定してスイングを止めることもできるようにする、ということになります。

ラケットの扱いに慣れる・・・というよりは、狙った方向にボールを飛ばすときに頼りになるのはラケットの向きを固定できることですよね。だから必要に応じてはそういうこともできるようにしておけばいいのかな、と。

テニスを始めてやる人を対象に考えたとして、どの段階で教えるべきか?というようなことにいつも悩むものなんですが、たぶん一番最初のうちに「うまく打てない」からこそいろいろと自分の自由になるラケットの扱い方を体に覚えこませるのがいいと思うんです。

たくさんミスヒットさせて、そのうえで「狙いはあそこに」という指定をし続けてどうにかしてもらう。

結局は自分自身の感覚が「動かしている感覚」と「飛んで行ったボールの”結果”」とを見比べてうまくいったところというか、納得のいったショットを「成功」とみなすと思うんですよね。

だから、感覚がよくなればさらに次のステップも紹介できる。出来るようになったその上がまたさらにあるはずなんです。

レベルが上がればボールのスピードや回転などによるバウンドの仕方もきつくなってくると思いますし、自分のショットに対する要求もシビアになってくるものです。

さらに試合を中心にテニスをされているとすれば、相手からのプレッシャーにも負けない安定した形を求めることになると思いますし、自分に自信さえつけば相手は怖く感じないと思います。

 

そのとっかかりには、攻撃的なショットも守備的なショットも、あるいは下限を調整しやすいタッチの仕方もラケットから得られるようにしておかなければならないと思います。

その要素として握り方=ボールの扱い方というイメージを持てるようにしておいてあげられるといいだろうな、と思っています。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 08:50 | コメントをどうぞ