日別アーカイブ: 2018年8月24日

リズム

テニスって、「時間と空間のゲーム」と言われます。

・・・というようなことを、結構若いときに聞いたことがあって、その時にもなぜか納得はしたように記憶しています。だけど、それを自分のテニスの中でどういう風に意識すればいいのかは全くわかっていなかった。

自分が思い描く「理想のテニス」って・・・皆さんはどうですか?

私はですね。。。例えば若いころは、憧れのプロ選手のイメージをもってコートに立ってる、みたいなことしかできなかった。若いころだから、コナーズとかベッカーとかエドバーグとか好きでしたね。

当時はサーブ&ボレーのような、サーブが返ってきたところを決めに行く、というようなラリーをポイントに使っても有効だったりしたものですから、プレイスタイルをそういう「だれか」と似たパターンにしたりそうでなくてもそう見えたりするようになったりしたものです。

ただしストロークのラリーっていうのがどうにもわからなかった。自分が打てると思ったボールは打てると思った方向に打つ、っていうことをやっていて、サーブ&ボレーのイメージがあったりするもんだからベースラインからでもすごく「積極的な」ショットを打っては自滅していたかも。

 

そんな私でも、最近はレッスン生のかたに「ボールのスピードはあんまり見ないほうがいいよ!」なんて声をかけたりするようになりました。

自分が打てるところにボールが来ていても、「うわっこのボール速っ!」なんて思ったりすると身構えちゃってうまく打てなくなったりするものです。

私も経験上、例えばそのクラスで3列のラリーとかをしていて、自分の列を守るようなコントロールができる日とできない日があったりしました。ローテーションで、その前の生徒さんとは丁寧につなぎあうようなコントロールができていたのに、その次の生徒さんのボールが速いとか深いとかっていう要素が私(コーチのくせに)のコントロールを狂わせてきます。それで隣の列に「ゴメンなさーい!」とか声をかけることになる。

それがなんかいつのころからか、どんなボールが来てもそこそこ自分の列は普通に守れるようになってくるものなんですね。

何の話かっていうと、さっきのスピードをあんまり見るな、っていう話につながります。

相手のショットを評価するのに自分の動作を基準に作れるようになった、ということなんです。

要するに「よし、間に合いそうだ」と思ったのなら落ち着いて打点を合わせよう、ということ。

ボールの軌道が見えて、自分の動けるスピードもわかっていて、ラケットを動かし始めて打点までに間に合うのなら、間に合う打点が狙ったところへ打つための打点だったらいいわけです。

どうせ一回スイングするときには一回しか打点のチャンスはなく(当たり前ですが)、そして失敗するわけにもいかないんですから、ボールに合わせて自分のスイングのリズムに乗せるしかないわけですね。

 

以前にもどこかで書いたかもしれませんが、テニスコーチをしていて、例えば初心者のクラスを担当している。テニスの楽しさって、ラリーがつながった時の喜びからですよね。

だから、コーチが上手くて(笑)、そのおかげででもラリーが10回でもつながると喜んでもらえると思っています。そこから「よし、テニスを続けよう」って思ってもらえるように担当すると思うんです。

そういう時に使う秘策があって、同じリズムのボールを打ち続ける、ということなんです。相手次第でもあるので、いつもいつも成功するわけではないですが、成功するときは必ず私のほうが一定のバウンドのリズムを作ってあげて、打点にボールを入れてあげるようなことができるとき。

ちなみにですが、相手のリズムがバラバラすぎると、コーチの私のほうがリズムを守れなくなったりすることもあるんです(汗)。

そうすると、生徒さんのほうに持っていてほしい要素を練習する、ということがそのクラスの当面のテーマになったりもする。

ボールを打つ方法ももちろん皆さん知りたいでしょうが、同時に「打った後の動き」も覚えてもらいます。打ったら戻り、また次のボールへの反応をしっかりしてもらう。

そもそもラリーってこうやって成立しているんだなぁ、と思います。初心忘るべからず。

一般のスクール生の人たちが打つボールを計ってみたことがありまして、インパクトから相手のベースラインに届くショットでツーバウンドするまでの時間は約2.5秒かかります。

ラリーで使う、自分側のインパクトまでの時間は、最大でも2秒半ですから、1.5~2秒の間に準備からインパクトをこなせればいい。

逆に言えば、たいして多くのことはできません。でも決まったことを決まった順番でこなして「間に合わせる」ことができると思うんです。

相手のショットがバウンドの位置がよくなかったり、回転がきつくてリズムが狂ったりします。そういうのも、相手のショットに「ミスをさせられた」という経験がまたあるものだから、打つ前に緊張します。

そしてその平均値よりも速いと思われるショットを打たれると、「間に合わないかも」というプレッシャーを感じ、動きが固くなります。

 

そこいら辺の悪循環をなくせるようにするのが練習だし、世の中のコーチたちが「早く準備すること」「ボールをよく見ること」とかいうし、さらに言えば「もっと足を動かせ」と「打ったら戻れ」ということが言えるようになるわけですね。

打って戻っても、反対側に打たれるかどうかはわからないわけですし、プロの試合を見ていると必ずしも打った後は必ずセンターに、というわけでもないですね。特に相手側がチャンスになったようなショットを打ってしまった後は、先読みしてどちらかにシフトしたポジショニングを取ったりすることもある。

だけど、「戻って(リセットして)」はいるわけです。自分の左右にそれぞれ守備範囲を設定して、相手のショットに間に合うだけの空間を確保しておく。

そこを守ることにして、取れないところがあることも理解しているはずなんですね。

打ち方の中では、軸足側にしっかり踏ん張ることができれば、例えば走りながらでもラケットのスイングをしっかり始めることができます。試合中のプレーヤーが走り抜けるようにしながらカウンターを打つようにするのは、その要素を合わせられれば「止まって打つ」ことができないながらも一矢報いることができるっていうことですよね。

それが、「脚→スイング」のリズム。自分側ではこれをまず確立しておかないと、相手のショットに合わせる基準を持ち合わせないことになります。

球出しのボールだけを打ち続けていると、バウンドにテイクバックを合わせると腕の動きがボールのリズムに合わせやすいものになってしまうので、足を動かす練習をしなくなりがちです。

実践的、という練習は足の動きにリズムを担当させて、腕は打点のためにたった一回のスイングを、適切なインパクトのために合わせられるようにしておきたい、ということになりますね。

だから、練習では決め急ぐような練習をすることがあっても、アップの時には一級のボールで長くつながるように意識して「打ち返す」という動きに自信がつくようにする必要がある、ということにつながっていきます。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 09:55 | コメントをどうぞ