月別アーカイブ: 2015年8月

佐藤次郎氏

ある新聞に掲載された記事です。

戦前、テニスのウィンブルドン選手権で4強となるなど国際的に活躍しながら1934年4月、欧米への遠征途上のマラッカ海峡で船から投身自殺した佐藤次郎選手の遺書がこのほど日本テニス協会で見つかった。

佐藤選手は当時26歳。

心身の不調を訴えながら、戦争へ向かう時代、国の名誉がかかるデビスカップ(デ杯)への欠場は許されず、期待に応える成績が挙げられないことを、死をもって国へ謝罪するとした悲痛な内容。

同協会が古い資料を電子化する過程で数年前に見つけたが、一部関係者にしか知られていなかった。

原本は、日本テニス協会の前身である日本庭球協会(当時)の事務局長、久保圭之助氏が作成したとみられる資料の中にとじ込まれていた。

遺書は当時の堀田正恒会長宛。「シンガポールに着く前日」に、用紙3枚に走り書きでしたためられていた。

慢性の胃腸病を患い、物事に集中できないと精神的苦痛を明かし「とてもテニスが出来ません」と訴えている。

デ杯代表の若い選手3人を引率した自身を「この醜態さ、何と日本帝国に対して謝ってよいか分かりません。その罪、死以上だと思います」と責め、「私は死以上のことは出来ません。生前お世話様になった同胞各位に礼を延べ、卑怯の罪を許されんことを請う。では、さようなら」と結んでいる(原文は旧仮名遣い)

想像を超える時代、言葉が見つかりません…

 

カテゴリー: 未分類 | 投稿者楢木コーチ 23:21 | コメントをどうぞ

唯一の接点

小学生はクイズが大好き!

レッスン中もクイズを出すと大盛り上がりします。

そこで問題です。

「テニスは何でボールを打つでしょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

答えは

「ガット(ストリングス)」

 

ラケットと答えた方がきっと多いでしょうね、しかし もしラケットでボールを打ったら「フレームショット」になっちゃいますよ(笑)

「ヘリクツ!!」って思った方、そうじゃないですよ(笑)

 

確かにボールはラケットで打ちます。でもフレームではなく、ガットを縦横に編み込んだ面の部分で打つのです。

あなたのテニス(想い)をボールに伝えるには、唯一の接点のガットがめちゃめちゃ大切になってきますね。ラケットはそのガット(面)を支えるフレームなんです。

もちろん、ラケットの性能は打球に大きく影響します。しかし、せっかく性能の高いラケットを使って、あなたの素晴らしいフォームでボールを打っても、唯一の接点であるガットの性能が低ければボールにはショットの良さが100%伝わっているかは疑問になってしまいます…

 

アンプやデッキがめちゃめちゃ良くても、その先のスピーカーが大したことが無ければ良い音は出ないのと同じですね。

ラケット選びにはすごく時間をかけるのに、「ガットは安物で良い」「テンションはよくわかんない」「張ったら切れるまで張りっぱなし」という愛好家がとても多いです。

ガットの種類と張るテンションが自分のプレーやそのラケットに合ってるかが重要ですね。よくわからない方はコーチに相談しましょう。

 

また、ガットの定期的な張り替えもとても重要です。確かに切れるまで使えるのは事実ですが、ガットの性能、テンションの維持には寿命があります。

「何年も張り替えていない」というラケットをたま~にみかけますが、本来の性能とテンションは全くありません、ただ切れずにつながっているだけです。

 

使っていなくても、温度、湿度、日光等様々な要因で性能はどんどん低下します。またテンションもずっと張りっぱなしですから同じく低下します。

理想的な事を言えば3ヶ月に一度の張り替えをお勧めしたいとこですが、まあ半年に一度は張り替えてみましょう。

「ほんとに変わるの?」と思っている方、久しぶりに美容院に行っていつもと同じヘヤースタイルにしても誰でもすぐ気付くのと同じですよ。

さあ、一度コーチに相談してみてください。自分に合ったガット選びって結構楽しいですよ。

カテゴリー: 未分類 | 投稿者楢木コーチ 10:44 | コメントをどうぞ

やっぱりすごかった!

あるプロテニスプレーヤーとの会話

「どんな練習をされるんですか?」

「特別な事は何もしてません、皆さんと同じような練習しかしてませんよ(笑)」

「じゃあ 我々とはやっぱり素質が違うんですね(笑)」

「そんなことありませんよ(笑) じゃあ、二つほど練習を紹介しますね。世界中で一番多くのプレーヤーが行っている練習は何だか分かりますか?それは半面ストレートのラリーです。これは簡単に言うと『自分の所に来たボールを正確に返球する』言わば基本中の基本で、野球に置き換えれば内野手の正面のノックと同じなんです。それをちょくちょくトンネルしたり、エラーしたり、ファーストに暴投したりしてたら話にならないでしょ?(確かに…反面ラリーでまずノータッチエースはありえんし…)だからノーミスをテーマに行うのです。」

「ノーミスですか?どれくらいやるんですか?」

「ノーミスで1時間は軽く超えます」

「1時間ですか?」

「もちろん、途中ミスでラリーは何度かは途切れます。但し私は一切ミスをしません、ラリーが途切れるのは全て相手のミスです。相手もそれ以上の方ばかりですから殆どミスはありませんが、0という人はまずいません」

「1時間ラリーして『一度もミスをしない人』と『殆どミスをしない人』との差がとてもデカイという事ですね」

「そういうことです(笑)、次の練習は2-1での一面ラリーです。これは与えられたエリアをしっかりカバーリングする練習で、相手は半面ですからしっかりコントロールしてきます。これも野球で言えばショートやセカンドの守備範囲で行うノックと同じです。この練習で最も重要なのは、練習の焦点がボケないこと、コートカバーリングの練習に徹するのです。体力や根気がなくなったり、このままだといずれミスにつながるからと言って攻めたら本来の練習の意味を成さなくなります。誤魔化さない事が大切です。ノックを受けてる最中にいきなりバットを持ってホームランはありえないでしょ(笑)」

「この練習中は、甘いボールが来ても絶対に攻めません、むしろ相手がガンガン攻めた方が練習になります。もちろん自分のボールの質は下げません、試合中では打たない中ロブみたいなボールでは全く意味がありませんから(笑)」

「確かにこの二つの練習は、どこのコートでもよく見かける練習ですね」

「はい、この二つの練習で私を超える選手は周りに一人もいませんでした、だから日本一になりました(笑)」

「説得力があって思わず『なるほど!』とうなづいちゃいましたが、決して簡単な事ではないですね(笑)」

「ところが、これだけでは世界には通用しません。この2-1練習がコートカバーだけの練習から攻撃的要素の練習にアップしないといけません。『チャンスボールが来たら攻撃してきちっと決める』という意味ではありません、そんなことは当たり前すぎる事なんです。劣勢や窮地に追い込まれた場面からでも攻めれなければいけません。どこからでもどんな状態からでもポイントを取る事が出来る選手が世界にはゴロゴロといるのです。私にはそれが難しかった、だから世界の壁は厚いと実感しました」

 

笑顔でさらっとと答えて頂きました。たしかにどこにでもある練習にもの凄い重みを感じました。

「どんな練習をするか」よりも「どうやって練習をやるか」を大切にし、「誰にでも出来ることを誰にも真似できないようにする」彼が長年、日本のトップに君臨していたのは当然の結果なんですね。

さて、もう誰の事かわかったかな?

カテゴリー: 未分類 | 投稿者楢木コーチ 17:07 | コメントをどうぞ