最初の一歩

基礎技術、という意味ではなくて、今回はフットワークについて思う事です。

読者の方にさきに考えて頂きたいのですが・・・

テイクバックって、どうやって引いていますか?手で引いてる?肩で引いてる?腰を使ってる?足ごと動かしてますか?

どうやって意識して練習していたでしょうか。あるいは、意識したことのない動きだったでしょうか?

 

腕の力で後ろへ持っていこうとすると、軸足側を固定する必要が出てくることが多くなります。例えばボレーでは、チャンスボールがきていても足がうごかない。最初の一歩目がスパッとでないんですね。

最初に移動を始めると、要するに足から動かす順番だと、うまく動けますが、ラケットをいつ引いているんだか、飛んでくるボールと合わないこともあるかもしれません。

アタマで考えてやろうとすると、順番がはっきりしていて、整理する時間があるならうまくできると思いますが、同調しなければならないとか、ショットごとにタイミングが変わってきたりするようだと、自分の動作のリズムが取れなくて打ちづらくなったりします。

 

テイクバックでリズムを取る人が、ほとんどなんじゃないでしょうか。打球動作は下半身からの連動をつかうなら、下半身の主導で、全体の調和がとれていることが美しいフォームに繋がると思っています。しかしそれも、考えながら出来るかとか、毎回違うショットが飛んでくるようなラリーなどの状況で、テイクバックのタイミングを明確に「ハイ!いま!」ってわけにもいかないでしょう。

打球の為のリズムが、個人で違うことは当たり前のことだと思いますし、同じにしなければならないものでもないと思います。ただし、飛来するボールにいちいち対応できる中で、自分のリズムを守れるようにしなければうまくは打てないでしょう。

 

 

ボールが飛んできたら、こちらから向かっていけるように見ること

 

これが出来るところを、ポジショニングを考えている時にやってみて下さい。

ボールを追いかける用意

ではなくて、ボールの軌道が予測できたら、自分の打点をその中に作っちゃいましょう。

自分よりも後ろにできるようでは、テニスを真面目にやっているとは思えませんから、自分が見ている、相手コート側がみえている風景の中でどこにするか、自分の上手く打てているイメージと、そこに間に合う時間を見極めて見つけましょう。

難しそう?いや自然に出来るはずです。

ジュニアの初級クラスで、こんな練習をさせています。

ネット前からベースラインに、対角線上をゴロで送球します。シングルスラインから、そのボールをベースラインに沿って走って行って打つ。

そのつぎ、同じ軌道に雑なタッチで、ワンバウンドでは打てないくらいの弱めの球出しをして、何回バウンドしてもいいから走って行って打つ。

そのつぎ、ワンバウンドでとれるように走って行って打つ。球出しはもちろんきちんと合わせて出す。

さらに、フォアだったらエアーK に挑戦する。

 

ボールがやってくる場所を見据えながら、走りながら準備するようになります。想定通りの打点で打てるようにこちらから課題を与えるのは、この練習はベースラインに沿って走ってやってみよう、ってことくらい。

走りながら、だんだん近づいてくるボールが見えて、手に持っているラケットでネットの方に打てばいい。

初心者の子でも、楽しくできるかな、と思ってやらせています。

最後のエアーKは、ジャンプするところとタイミングがなかなかつかめない子が多いですが、まあ出来なくてもイメージしたり、出来るための工夫が出るようになるだけでOKなので、笑いながらやっています。

ようするに、走りながら自分のやらなきゃいけない事に向かって準備を進めていくことが出来ればいいという練習なんです。全身をつかったコーディネーションの練習とも言いますが、楽しさを優先させるつもりで考えて、ここ何週間かやらせています。

 

教えてからやらせると、真面目な人ほど、教わったことをきちんと思い出しながらやろうとするものなんですが、運動ですから、動きながら考えられるようにならないといけないわけなんです。

ダブルスの前衛をやっていて、相手のボールが浮いてきたのを見てから「あ!このボール、チャンスだ!」って脳みそで気が付いた頃には、ちょっと遅いと思いませんか?

 

常にどんなボールにも反応できるようになっていることが「構えている」ことですし、反応して身体が動いちゃってから「おっ、これはいただいちゃおう」と余裕のある状態でチャンスをきちんと攻めボールで打てると思います。

手で反応すると、軸足に体重が掛かって動けなくなることが多いですから、反応は足から行けるように構えている方が、打ち方がわかってくれば来るほど便利に感じると思います。

動き始めてから、実際にインパクトするまでが時間があるってことです。

同じ時間ですが、判断する時間を割きに取ってしまうと、動作の時間がさほどないってことでもあります。

 

最初の一歩が、ボールに対応してきちんと出るでしょうか?

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 13:55 | コメントをどうぞ

運動の伝達・連鎖

スイングを考えるとき、いろいろな要素がからんでいることに気が付きます。

気にする人によっては、スイングのこの部分で肘や手首の角度はどうしたら、とか、ここからあとボール何個分押すようにとか、他の人に言ったらわかる人も分からない人も出るような抽象的な部分にこだわりが出ることが多いものです。

それと、理想のスイングを追い求めようとすることもあるかもしれませんが、スイングは多様な条件にうまく合わせなければならない側面があるので、ひとつの理想にこだわっても、テニス自体の上達にはならないかもしれません。もちろん、ショットの質が上がること、そして感覚が上がることを練習しておいて、普段のラリーや、ゲームの中で活かせるようになるのなら、全体の質がよくなるとは思いますが、そのプレーヤーのテニスとの関わり方や対応力にもよる、というものになると思います。

誰にでもあてはまるもの、という物理的な条件と、身体が可能で、もちろん出来る人がいること、上級者ならやっていること、というような目で見れば目指す上達のポイントをどこにフォーカスするかが明らかになるかもしれない、と思って研究しています。

目標とするプレーは、個々に違うものでいいと思います。週に一度のテニスが楽しければいい、という人もいるだろうし、まだ初級かもしれないけどやるからにはうまくなりたいと思う人もいるかもしれない。トーナメントに勝てるレベルのテニスをしていても、こだわりを捨てずに上達を模索している人も多いと思います。

 

そんな中、オタク的なこだわりについても質問があって、ワタシはそういうのに自分なりに答えが欲しくて、スイングの真理はどこにあるのか、どうやったらうまくなれるのかについてずっと答えを探していました。

一つの答えが見つかったのは、要するに「打点」なんだということ。

どんなプレーでも、ラケットがボールにあたるときにそのショットの成否がかかっています。失敗しないプロにある感覚は、一般のプレーヤーとどんな差があるんでしょう。

動作には個人差があります。世界のトップに立つテニスを目指していたとしても、目指すべきトッププレーヤーには個性が光っていて、むしろそのプレーのストロングポイントで勝っている事よりも、相手がどう頑張っても対応されてしまう事の方が、そのプレーヤーの強さになっていることを考えれば、どうテニスをすればいいのかは、とてもむつかしい問題になってくると思います。

だから全体を考えて「強く」なるテニスじゃなくて、ゲームの仕方を自分なりに出せるようになれば、向かってくる相手にも、憧れの大先輩にでも、挑戦する楽しさを常に持てるようになる「うまくなる」ことだけを考えてもよかろう、と思うようになりました。

ショットの成否は、インパクトの瞬間に決定するとしたら、インパクトを満足させられることが良いスイングの条件であり、うまい人の持っている要素は、いかにすごいショットが打てるかよりも、いかに再現性が高いかどうかだと思います。

スイングは、身体から見れば「並進運動」と「回転運動」と言われます。体重移動で、腕の振り子を発生させやすい条件になるのが並進運動をつかうってことで、身体にひねりを与えておいて、付加的なパワーを出すとか、スイング自体の長さがコントロールに役立つ部分もあるので、身体を中心とした円を描く動きが回転運動ってことになります。

腕とラケットの動作には、振り子の原理があって、腕から発生した運動が、ラケットにエネルギーが移る位置で打点を取るようにするべきです。いかに速いスイングをするかではなく、その打点の位置に間に合うような動きができるのならゆっくりでも小さくでも、返球するという条件を満たせるだけの量があれば十分です。ゆとりがあるなら大きい動作からでも、速いスイングからでもパワーを得て、相手を圧倒すればいいわけですし、コントロールを失わずにできるかどうかがその時も条件になってきます。

動きのもとは、きっと体にある重心になると思います。そして動作の中心になるのは、背骨?体幹の部分にできるはず。

カラダが重心を移動しつつ、背骨を中心に回転運動を始めると、腕が振り子を作ってきます。もちろん腕の意思で初めてもいいですし、流れ任せでタイミングがいいなら脱力していても大丈夫なのでしょう。軸がちゃんとしていれば、必ず足の方から力のアシストをもらっているはずです。腰が折れてしまえば回転運動は寸断されますから、スイング量は制限を受けることになります。

腕が運動を始めると、身体は中心になるので、体重移動は止まっているか、回転運動を切っている方が腕の加速を促すことが出来ます。

腕が打点までラケットを運びますが、そこで手首を中心にラケットが副振り子の役をしますので、腕はいったん、打点を正確にするための動きが出来れば、そこでラケットの加速にエネルギーが移ることになります。

そこで最も重要になるのが、握りが面を安定させる形かどうか、ということです。要するにスイング方向はフラット性の人もスピン性の人も、それぞれに型があり、型にあった握りが出来ているほど再現は簡単になります。

 

というところで今日は時間切れ!また続きがあるかもしれない。。。

 

カテゴリー: 日記 | 投稿者ナガキヤスヒロ 17:40 | コメントをどうぞ

ショートラリーが苦手・そうでもない・得意

なんども書いている事かもしれませんが、元々のワタシは、スライスばっかりしか打てなくて、30歳をすぎてからやっとトップスピンに挑戦して打てるようになったんです。

 

練習の最初に、ショートラリーをする機会って、どこでもあるんじゃないかと思います。

ショートラリーから学んだ感覚は、とても役立っています。打点を合わせる感覚ですが、打点のみに注目できる距離(余計なパワーや、極端なスピンなどは特に必要ない)だからこそ、飛んでくるボールに、うまく「触る」ような感覚で打ち合いができることが、自分の感覚を取り戻すのにとても役立ちます。

むかし、何かの記事で、ウォーミングアップ時にショートラリーやボレーボレーをやらないと、その日のオフセンターショットが増える傾向が強くなる、という内容のものを読んだことがあります。

目で見たところに、正確にラケット面の中心を持ってこれるかどうかっていうことが、一般のテニスプレーヤーには怪しいこともあるんじゃないでしょうか。目の感覚と、手の感覚が不一致な状態っていうのが、例えば週に一度しかラケットを持たないようなプレーの習慣だと、良くあること…というようにも思えます。

 

そして、それ以前の問題として、ショートラリーの距離で、自分のショットを収めるのが苦手な人も、かなりいるんじゃないかと思います。

スライスの私も、かつてはそうでした。ドロップショットみたいなタッチでなら、コントロールできていましたが、ロングラリーで打つような、低めの滑るスライスでショートラリーを続けることは、とても難しく感じました。相手も合わせづらそうになりますから、余計にラリーそのものが不安定にもなったものです。

 

IMG_0016

 

 

若干見切れてますが、ワタシのノートから。

要するに、テイクバックを小さめにとって、フォワードスイングから得られるパワーを小さくすることで、通常の打点で打てるようにした方がいいってことです。

ショートラリーといえば、そんなに嫌じゃないけどなんとなくこなしてるだけっていう雰囲気に見えるのが、「卓球型」(上の囲みの方)

打点を後ろにずらせば、面を早くから相手コートに向けておくことで手首を固定しやすく、斜めに擦り上げるようにすることで距離の出ない、意図して短めに打つショットが実現できます。

だから、ショートラリー用の打点があるってことで、実際のロングラリーや、ゲーム中にコントロールすべき打点やそこから出て行くショットとは関連が薄いってことにもなります。

この打点をデフォルトにして、ロングラリーもできるという人は、ショットにスピードが出せません。ロングラリーに見合った距離にするには、フォロースルーに乗せるようにしてスイングを長くすればできるようになりますが、インパクトが弱いためにショットのスピードは出るようになりません。苦肉の策でフラットに当てて、手首を返すようになると今度は距離も軌道の高さも安定しなくなります。

 

 

それ以前に、ショートラリーが苦手な人もいますね。

このパターンは、初級クラスに多くいて、スイングは勢いをつけてラケットをボールにぶつけるようなイメージを持っているとか、きちんとテイクバックからをロングラリーと同じだけ取っちゃうとかで動きそのものにパワーがあるのに、インパクトで握りや手首の力を緩めて当たりを弱くさせるように調整しようとして失敗します。

ボールを最後までよく見て打点を逃してしまうこともありますね。ボールが遅い(短い距離でワンバウンドするようなショットだから)ために、しっかり見て打点を見極めようとするんですが、いくらゆっくりでも空中で止まってくれたりはしませんから、テイクバックで腕を(身体から見て)奥の方に置いてあることから、後ろになっても間に合いそうな感じに構えている、というのも理由になるかもしれません。

そういう、苦手な方でも、自分でトスしてボール出しをして始めるわけですが、その第1球目ではちゃんとコントロールしていたりします。

ボールが前から後ろに流れて行く動きではなくて、自分の打点を想定した位置で落ちてまた弾んで来るだけですから、ラケットを後ろへ引く、というイメージなしで短い距離に合わせた打点とスイングを実現できているってことですね。

 

 

テニスのスイングってボールを思いっきり飛ばせばいいのではなくて、コースと高さ、距離を狙って強さや回転を調節しつつ打てる、飛ぶ飛ばないが加減できるスイングが欲しいわけです。

だから、野球などのように勢いをつけて、当たればなるべく遠くへ飛ぶように、というスイングでコントロールもよければ、決め球が打てるかもしれませんし、卓球のように決まった距離に撃ち続けるような形でスイングをして、常にボールがアウトしないようにする要素も欲しいわけです。

そういう感じを、言葉で表すのは難しそうなんですが、

 

「先に狙ったところへ打てるスイングの型を作っておいて」、

「イメージした型通りにスイングをしながら」、

「狙った打点に位置を合わせて、ラケットの真ん中でボールをキャッチする」ような感覚なのかもしれません。

強打できるようになればなるほど、キャッチする感覚じゃないような気もしますが、私の場合に限っては、打ったショットがミスになるのはすっごい嫌なので、

肩や腰のひねりこみを利用して、フォワードスイングの角度を稼ぎ、

インパクトで狙った面と、スピンのための(スイングが抜ける方向)に強くイメージを持ちながら、

勢いよく面でキャッチするような  感覚で打っている…と思います。

コート内に踏み込んでのチャンスボールなんて、短い距離への強打ですからね、ショートラリーを強めにしてもやり切るくらいの技術があれば、自信を持って打ち込めるようになります。

 

ショートラリーの技術が、ゲームにも活かせるってもんです。

 

 

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 23:18 | コメントをどうぞ

「コーチの目で見てみたい…」^_^

とくに、ゲーム形式の練習中に生徒さんから言われることがある言葉です。

「コーチの目で見てみたい…」

その気持ち、よおーくわかります!ワタシだって、フェデラーの本人目線で試合のコートに立ってみたいと思いますから^_^

けどね、最近思います。ほしいのは目、じゃなくって脳みそだなぁって。

どこをいつみて、なんの材料を基に判断して予測しているのか?
ボールを追いながらの狙い所や力加減、ショット選択の要素はどうやってできているんだろうって、その人の見ている風景と同時に起こるアタマの働きとカラダの動きとが一体どうなっているのか?覗いてみたい気がします。

ウェアラブルカメラって、最近目立つようになりましたね。

ワタシのアタマにくっつけて、ダブルスのコートに立ってみてもいいですが、みている映像だけではなにもわからないかもしれません。

プレー中、アタマを使うとしたら、それはいつかって言えば、動いてる最中です。考えてから動いてると、遅くなります。

まず、相手の返球に反応する。その上でできる判断を間違わないことと、自信があってもキチンと注意深く実行することです。

相手の状況が頭に入っているとか、自分の打ったショットが有効に相手を動かせているか、そんなようなことを目で見て判断しながらできるだけ素早く行動します。

知りたいのは、そういうインサイドワーク(ここではそのプレーヤーの内部感覚)が知りたいってことなんでしょう。

ワタシ、たぶんそういう欲求を生来から持っていて、自分と他人を比較して言語化する、っていうことにずっと興味がある子だったんです

なんども見返している、憧れのフェデラーの練習動画。

ここから感じられるヒントがいっぱいありました^_^

カテゴリー: 日記 | 投稿者ナガキヤスヒロ 14:06 | コメントをどうぞ

ツアーファイナル1R

ロンドンのツアーファイナルが、とうとう始まりましたね!

WOWWOWが見れない我が家としては、今年のNHK BS1での放送は本当にありがたいものです(笑)。

昨夜は錦織の初戦。一分の隙もない、というくらいの完璧な戦いでしたね。

錦織選手本人のコメントにも、作戦が当たった、というようなことがある通り、ワウリンカがどんなテニスをしてくるか、そのどこいらへんを突いて行くのか、という想定通りの戦略だったらしいです。

サーブ&ボレーなんかも積極的に成功させていて、精神的にもノレるところがあったし、ワウリンカ側としてはどこかで反撃の糸口を掴みたかったかもしれませんが、本人のショットもなかなか精度が上がらずに、結果として2−6・3−6と全米の準決勝でのリベンジを許してしまいましたね。

錦織ーワウリンカのH2Hは、このところ、勝ったり負けたりを交互に繰り返しているような印象を受けます。2014年の全米では錦織が勝ち、その後2015全豪ではワウリンカが、今年のオリンピック後のトロントでは錦織が、そして全米準決勝ではワウリンカ、ツアーファイナルのラウンドロビンではまた錦織が勝ちました。戦績は交互に入れ替わっており、試合の流れは、先制パンチを食らうと負け、というようなことが多いように思います。(今年の全米準決勝では、錦織は先制するも、2ndセット以降動きが重くなり、まくられてしまいましたが)

お互いにテニスを知っている中では、テニスのレベル以上に、自分がどう相手と戦うか、ということと、そのショットの出来から乗れる、というような状況的なものとがうまく噛み合った時に自分の方に流れが傾くのかな、という印象ですね。

ラオニッチ対モンフィスも面白そうだったのですが、朝早くて起きれませんでした。結果はラオニッチがサーブ力を活かして勝利したそうですが、見ていないので残念ながら内容はわかりません。。。

 

その前に行われていた、ジョコビッチ対ティエムは、個人的に興味深くて、この夜もすごく眠たかったのですが、見てしまいました。

ティエムは1stサービスの出来が前半ものすごく良くて、しかしショットの歯車が合わずに、なかなかブレイクポイントを得ることもできず、またジョコビッチの方も、試合前にコメントしていたような、モチベーションの高さを発揮できずに、終始イライラしていたように見えました。

最初のセットのタイブレークでリードしているときにも、ジョコビッチをイラつかせながらもティエムがリードを奪い、そこからのダブルフォルト。気合が噛み合わないようで、調子のいいショットのはずが、一転崩れの原因になったりと出入りの激しいテニスで、セットポイントは3度あったものの、結局10−12で奪われます。

そのあとのセカンドセットの入りが両者の明暗を大きく分けました。セットが切り替わってから9ゲームを、ジョコビッチが一方的に取り続けることになります。つまり第3セットの3−0まで、ティエムはゲームを奪えなくなってしまいました。

休養もして、そこからさらにパリ準々決勝で負け、自分のテニスを見つめなおしたり、生涯GS 達成の後に目標を見失ったような、という自己分析もあり、ジョコビッチはやや迷走している感があります。

この試合でも、今年の全仏までの、どうしても勝てなさそうな雰囲気や、動きのキレ、または攻め込まれた際の際どいディフェンスの精度などがイマイチ見られないような気がします。

 

そして、今朝行われていたマレー対チリッチ。

マレーはちょっと完璧にコートを支配しているように見えます。自分の思ったような展開でゲームができているような感じ。BIG4と言われた4人は、これで全員がランキング1位を経験したことになりますが、フェデラーを始め、1位の期間てまさに「無双」の状態になるんでしょうか。いまはもう、マレーが「旬」です。

チリッチはパリで錦織を圧倒したようなハゲ打ちができず、ラリーを先にミスで途切れさせてしまうシーンが再三し、徐々にうつむき加減の試合になりました。

ネットの向こうの相手が全開状態でいるのに、こちらがそれに応えられないようなとき、プロの選手、それもこういうトップレベルにいる人たちってどういう精神状態でコートに立っているのでしょうか。画面のチリッチは、何かブツブツつぶやいていたようにも見えますし、自分からもゲームからも逃げも諦めもしない、タフな状態を貫けるものなんでしょうか。

 

さあ、錦織は次は勝ったもの同士でマレーとです!

2年前にもラウンドロビンでは同組で、初戦で倒した経験もありますね。お互いに2年前とは違う強さを持ち寄っての試合になるでしょうし、マレーとしては全米でそれまでの借りを返されちゃった格好で錦織に負けているので、また気合の入り方も違うでしょう。

錦織はマレー戦ではただタフに、常に先行することを意識していくだろうし、先行を許しても歯を食いしばってついていくようなことなんでしょう。とてもレベルの拮抗した二人だと、ワタシ個人としては思っているので、ここで世界トップの座に着いたマレーを脅かす存在としてアピールしてほしいと思います。

 

いやあ、ワクワクする!

カテゴリー: プロ選手オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 14:25 | コメントをどうぞ

試合中のメンタルというめんどくさいもの

メンタル、ってただの負荷でしかない。

ゲーム中にはそう思う事がしばしば。正確には、試合中には思っていません。だけど、試合中には緊張したり、不安になったりする自分から逃げ出したいと思いながら、頑張って向き合っているという状況になることが多いものです。

サーブ入るかなぁ、から、リターンミスしないようにできるかなぁ、とか、ショット打ったら打ったで、「このまま返球しないでくれー」って、相手のミスか、自分のエースを願ってしまうものです。

だけど、現実、期待通りにいかないものだし、その期待って普段の自分の期待以上(実力以上)のものを期待している・・・ねらって打てるエースになるボールとか、センターオンラインのサーブとか、練習の時ですらたまたましか入らないのに、試合の時になってやっぱり「期待して」狙ったりするものです。

ワンセットに一回くらいは入っちゃったりするものだから、またやってみる価値があるなんて思っちゃいますね。

でも入らなかったら・・・って、不安な気持ちは、正直、みんなあるはずです。ちゃんと試合慣れしている人は、そこでセカンドサーブを使った戦略っていう準備がある。

一方では、そのとっときのスーパーサーブで点を取るイメージまでしか持っていなくて、弱々しい入れるだけのサーブでセカンドを打って、策もないままラッキーで点を取ったり、取られたりします。だから試合の「勝ち方」が分からない。わからないけど、勝てる人がいるから方法があるんだろうと思うから、知りたい。

身体を使って、ボールコントロールをしながらゲームを組み立てていくのに、知識があってもそこが出来なければ、教わった事を実行できないものですね。師匠を越えることのできない弟子?みたいな?

 

 

 

 

たとえば、良くあるケースなんですが、レッスンでの1ゲームマッチで、サーバーが調子よく30-0にする。

それが、30-30になると、そのゲームを落とす傾向が強くなります。

ちゃんとしたデータがあるわけじゃないですけど、印象としては7割くらい、30-0が30-30のあとは、30-40・そのままブレイクっていう簡単に終わっちゃうゲームになります。

もちろん、ワタシ自身もやらかしたことのある、非常におおいパターン。

顕著な例を挙げてみれば、まず、30-0までは、サーブの調子が良くて、ラリーがすごく短い。リターンミスとか、その次のターンで終わる。

要するに、実力はまだでない状態で、2ポイントとってしまったんですね。

そのあと、リターンが入るとか、リターンがまともな当たりになるとかで、サーバー側の3本目(リターンされたショットを返すこと)が甘くなったり、意思のない返球になったりします。

意志の無い、っていう状況がまずい。逆に、意思のあるショットっていうのは、更に攻撃的に展開したり、またはその次で相手が攻めてこないように深く打ったり、ペースを作りに行くようなことができる事です。そこをただ安全な状況・・・自分がミスをしないように下がってテンポを遅らせたり、マージンをたっぷりとってミスだけをしないように打っているようだと、次に相手が踏み込んで来て攻めてくる可能性が増えますね。

相手は最初の2本で、あなたのサーブにやられていますから、リターンに集中を上げ、サーブに対するイメージを豊かにして対応してきます。そしてすでにあなたは球筋を見せてしまっているわけですね。

そうやって弱気になりやすい状況で迎えた30-30では、一本手堅くポイントが欲しいあなた(サーブ)と、2本とってより挑戦する意欲に燃えている相手(リターン)では、心理的にチャンスを逃さずに打ってこれるのは、リターンの方になります。

 

机上の空論かもしれませんが、得てしてこういうことが、コート上で起こるわけですね。

いつも必ずそうってわけじゃないと思いますし、ワタシ自身、そのコートで感じられる緊張感とリアルに戦いますから、その時その時で考えることも作戦も変わりますが、もともと知っとかなきゃいけないメンタルの動きは、そんなに複雑じゃないです。

ただ、人間必ず強気の裏側に弱気も同居しているものだし、その不安に打ち勝つ要素を日々の練習から得ていなければなりません。

 

30-15では、一本勝っていますから、より強気で攻めていきたいものです。だって勝てそうな状況でしょ?

だけど、根拠のない攻め(ミスるかもしれないのにライン際にエースを奪いに行くような攻め)をして、30-30になった際の心理状況は、ということは、この30-15の状況でいちどシミュレーションしておきましょう。

そうすると、30-15は、どうしても40-15にしておかなきゃいけない。という事は、意図的に、絶対に落とさずにポイントを取る方法を考えなければいけないですね。ノリで、という人も性格上いるかもしれませんが、強気が功を奏するものだから否定はしませんが、30-30と40-15は全然違う状況だという事は、いちど考えておくべきです。

漠然とメンタルが、っていうことを気にしている人は、ポイントごとに、次のポイントを取ったらどうか、または、取られたらどうか、っていうその二面性に目を向けましょう。

それで、これをとったらデカい!というポイントだってことが解ったら、どうにかして相手から確実に一本取る作戦を立てましょう。

ポイントを取られてしまったり、先にリードされている状況だとしても、まだ負けたわけじゃないので、出来るところから確実に行きたいけど、相手のミスを期待するとしたら、フォアを打たせた方がいいのか、バックを狙った方がいいのか?またはそれをするのに、じぶんが無理をすることになりはしまいか?という事を短時間の内にササッと決めちゃいましょう。

 

コツがあるとしたら、迷わないこと。

 

迷うくらいなら、出来る方、成功率の高い方にパッと決めちゃって、きちっとやりきる方が結果は良くなります。もしまたポイントを取られたとしても、できる事をやっての失点なら、納得もしやすい。

迷った挙句に中途半端なプレーをして、もしポイントを失ったら、きっと後悔します。ミスしないことは、試合に勝つことではありません。ミスしないことは、相手に打たせることなんです。

ミスしないってことを出来る人は、相手の次のショットも取る自信がある、という事を指します。そうでなければ、その次か、あるいはラリーの最後は自分のミスになることが多いものです。

プレーのルーティンワークを守るとか、サーブの前にボールを何回突くとか、そういう儀式は、「身体が覚えたことをいつも通りできているぞ」という安心感のある動作になります。

ガットの目直しをする、というのは、視線を散らしてしまうのは、集中力が散漫になっている時の動きなので、そういうルーティンを入れておくことで、次のポイントをイメージするのに、きちんと集中をもたらしてくれる、視線を固定する、という事の為にあります。

そういうのは、メンタルを保つために行う技術であって、心理的に強気になるためのものではありません。

その試合に勝ちたいのであれば、きちんとコートとボール、相手と自分に向き合って、毎ポイント自分なりにファイトするイメージを持つことです。

 

 

カテゴリー: トレーニングオタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 09:39 | コメントをどうぞ

メンタルを支える技術

試合中に自分の打球が乱れるようになることって、誰しも経験のあることじゃないでしょうか。

それを「メンタル」のせいにすることも。
実際、そうなんでしょう。試合に勝ちたいと思うあまりに良いショットにこだわって、逆に力んでしまったり、さっき打てたはずの会心の一撃をもう一度打てると思ったらミスったり。。。
そんなところから疑心暗鬼に陥り、自分のどのショットに信頼をおけば良いのかがわからなくなって自滅することは、そういう経験がないプレーヤーなんていないだろうと思うくらい、誰にでもあること。
実際、大きな大会に出て、最初の試合なんて、どうやって入ったか、ワタシの場合はカチコチだったり、気合が入りすぎてプレーを急いだようなミスをしたり、逆に足が全然動かなくなってリズムを乱したり、散々な経験ばかり思い出されます。
いっこの解決法、みたいなのを思いついたのは、「アップでとにかく走ること」でした。
試合前に少し走って暖機運転、っていうこともそうなんですが、コートに入ってアップのラリーでは無駄に動く。ネットミスしたとか、後逸したボールにダッシュで拾いに行ったりして、そうすると心拍数が上がっていて、緊張しているんだか、動いてバクバクしてるんだかがわからなくなり、その上足を動かしていたことで体にリズムができやすくなります。
それで落ち着いて最初のゲームに入れたりすることも。
試合中に突然サーブの打ち方がわかんなくなったこともあります。
筋肉が記憶していることは、頭で考えている以上に自分の体を「勝手に」動かしてくれるものなので、「自分を信じて」打つことが、いつも通りのパフォーマンスを発揮する最も重要なことかと思います。
そのためには、正しく練習する日々を作っていること。より良いショットを打てるようになることもそうですが、今できることを最低限確認しておけないと、大事なシーンで自分を信じることができないような気がしてきます。
そんな時に、「ああ、もっと普段の練習をちゃんとやっときゃよかった。。。」なんて思わないために自分のテニスってどんな風にやっているときのことを言うのか?知っておくつもりで練習する時間も大切です。(もちろん、今よりも向上するための練習もしなければならないでしょう)
ショットに関していえば、リズムは大事ですね。
ワタシの個人的なことを書けば、インパクト前の一瞬に、決まったリズムがあります。
サーブのトスを上げたら、下半身にグッとタメを作る。トスを上げた後、打点と自分の飛球に目線が行きがちですが、打球動作をする自分自身がきちんと「いつも通り」の姿勢やリズムを保てているかの確認は、そうやってボールのある側と反対方向の位置にフォーカスを当てて、一瞬で確認できるようにするべきです。
ストロークやボレーでも、必ず軸足を基準に自分のスイングとボールのありかを合わせるようにする。
自分が「いつも通りできてる」って言うのは、普段だったら失敗しないでやり通せるラリーをどうやってやっているか、ボールをよく見ているだけではなくて、体がどうやってそのボールと同調しているかが、できるだけ頭を使わずにできる方法を探すべきだと思います。
ラリー中は相手のことを考えたり、自分のショットに気を使ったり、次の動作に向けて準備したり、できていなければいけないことは結構ありますが、順番にやっていけば非常にシンプルになるものです。
順番が決まるような動作ができるようになれば、考えずにできるように練習していくことが、「体で覚える」ことだと思いますし、打つ前に「位置にきちんと入れれば」ミスをしないぞ、と言う自信にも繋がります。
自信を持ってプレーすること
それが、メンタルの最大の目的ですから、メンタルのことを気にしてプレーすることなく、次のプレーに集中して臨むためには自分のテニスの仕方をきちんと理解することだと思います。
相手のショットにうまく合わせられない、と言う試合は、たとえ勝ったとしても自分側の要因ではなくて、相手がうまくなかったから勝てた試合だと思うでしょう。
カテゴリー: 日記 | 投稿者ナガキヤスヒロ 09:11 | コメントをどうぞ

この先の時代のテニス

テニスマガジンでしたっけ、R・ショーンボーン博士の執筆が掲載されていることがあります。

現代テニスは、まだ進化をし続けていて、それはいまプレーの速度が上がってきていることにまだ歯止め?が効かないという事を書いています。

サービスリターンの技術が飛躍的に向上していて、さらにショットのスピードも増してきていると。

ショットのスピードが増すと、精度は落ちますし、回転をかけなければコートに収まらなくなってきます。当然、回転をかければショットのスピードは落ちます。しかしスピードは欲しい。なのでパワーを増してきているという事があげられると思います。

今の時代よりも前、フェデラーがジョコビッチやナダルよりも5歳上、という事を「ひと世代上」と考えるならばそのさらに上の世代である、サンプラスの王権時代には、サーブ&ボレーヤーが、数を少なくしてきたものの、生き残っていました。その時代のもうちょっと前の時代には、ウインブルドンはネットプレーヤーのものだと思われていました。それだけにアガシやヒューイットの優勝は衝撃的でした。

思い起こせば、時代が動き始めたのは、そのころなんでしょうか。アガシのウインブルドン優勝で初めて聞いたのは、ボリス・ベッカーが言っていた、ウインブルドンを勝ち切るのに必要なのは、必ずしもビッグサーブではない、グッドリターンなんだという言葉。

フェデラーの出現により、スーパーオールラウンダーの完成形みたいなものがコートで華やかな時代を作りました。誰もが憧れる、美しく強いテニス。フェデラーはサーブ&ボレーのスタイルでサンプラス戦を制しています。そのあとに、アガシのような選手から、またヒューイットからも全米のタイトルを、ストローク戦を制してものにしています。

スピードへの対応は進化を続け、フェデラーはロディックにキャリア後半はほとんど負けていないはず。パワーではフェデラーに勝てない。

フェデラーを倒すのに特化した選手がナダルでした。ナダルはいま、何度も故障しては復活を果たしていたキャリアから、今回ばかりは這い上がれずにいます。そうはいってもランキングはかなり上ですが。全盛期のように「出れば勝つ」というわけにはいかなくなってきていますね。

ナダルのまわりでは、彼が対戦相手になることに恐怖を抱いているようには見えないようなゲームが多くなりました。打っても逆襲される。ナダルを相手に「粘り強いテニス」なんて披露しようもない。そういう空気が彼のいるコートからあまり感じられなくなってきた気がします。

ジョコビッチとマレーの、コートカバリングに秀でた特徴を、攻撃へのシフトチェンジが上手くできることでコート上でどこにも隙が無く見せられることが今のテニス界で最も強いスタイルになってきています。

この秋の上海で、ジョコビッチがバウティスタ=アグに負けたのは、そういう意味ではかなりの衝撃でした。同じようなスタイルの二人で、ポイントをとる姿をイメージできるのはジョコビッチ。ポイントを守るようなテニスをすると思っていたバウティスタ=アグがマスターズ1000大会の準決勝で勝ったのです。

守備的スタイルのような(レベルが高すぎてワタシにはそうまでみえませんが)ナダル・ジョコビッチ・マレーに対して、フェデラーは攻撃(先手を取る)的スタイルのテニスでその地位をキープしています。今年のウインブルドンはどこまで勝っちゃうんだろうとワクワクしてみていました。準決勝のラオニッチ戦でも、第4セットのチャンスを活かせば勝てていましたからね。

錦織もフェデラーの後継者のようなスタイルですね。非常に理知的で、相手を追い込むのが上手く、プレースメント的にもメンタル的にも相手の上に立とうとするテニス。彼が日本人でなくとも、ワタシは大ファンになったと思います。

この先の時代のテニスは、どう進化していくんでしょうか。

直接錦織よりも若くて台頭してきている世代もいます。キリオス・ズべレフ・ティエムなど。彼らの個のテニスはそれぞれに魅力的で、どんどん大きな舞台でその才能を見せてほしいと思いますが。、プレースタイルとしてみれば、新しさを感じる要素が少なく感じます。ナダルの右利き片手バック版がティエムだし、キリオスはそのテニスの魅力は独特なもので、才能は誰よりも豊かにあると思ってみていますが、天才ゆえのムラッ気が。。。ズべレフも強打を使った全体にバランスの良さがあり、しかしどこかに特化した魅力が薄いような気がします。ズべレフのお兄ちゃんのミーシャのほうが、ネットプレーを織り交ぜた厚みのあるテニスで面白いですけどね。

 

話を大きく戻しますが、一ポイントにかかるラリーの平均時間と、ショットの相手への到達時間の両方が、この5年間で短縮されているというデータが、テニスマガジンのショーンボーン博士の記述にありました。

これはショットのスピードよりもポジションの要素が変わったというようなことでした。5年前にもビッグ4はいましたし、錦織ももう活躍していました。プレーヤーに大きな変動がないという事は、そういう事なんでしょうってことなんでしょうか。錦織は明らかにポジションを上げるスタイルを実践してきていて、今年になってからは臨機応変にその位置を相手に見せることでかかるプレッシャーまでも計算しているかのようなプレー。頭いい!

 

 

これから必要な要素としては、ショットの精度の事を書いていましたが、スピードを上げてきて、その精度を上げさせないようにすることが試合であるわけですから、今よりももっとバラツキのないショットの落下点を実現させることは現実味があるようには、今の私には思えません。

とはいえ、20年前にフェデラーのようなテニスをする人が現れることが想像できなかったように、次の時代のチャンピオンにはその精度が備わった人がなるのかもしれません。

攻撃型オールラウンドが、フェデラーの型。彼は積極的にネットを取りに行く嗅覚のような、感覚的なものを持っています。そしてすべてのショットのバランスやレベルが非常に高い。だからこそ年長者でありながらいまだに輝き続けています。

ナダルはフェデラーよりも5つ年下で、もう30歳になろうとしています。度重なる故障もありましたが、彼の純粋なモチベーションや圧倒的なフィジカルでカムバックを可能にしていましたが、正直言って今後はむつかしいのではないかとみています。彼のキャラクターは尊敬できますし、コメントは常に読みたいと思っていますが、再びチャンピオンになる可能性はあまり高くないのではと考えています。

ジョコビッチは今年のフレンチ以降に、あの神がかった強さがやや薄れています。それがどういう原因なのか、ワタシにはよくわからないのですが、パフォーマンスを取り戻すことは出来ると思っています。来週のランキングで2位になりますが、それが発奮材になるのかどうか。

マレーは現在充実していて、見ていて楽しい選手でもあります。勝つのにあんなに苦労するチャンピオンもいていいと思います。少しでも長くその座に「かじりつく」ようにしてこそマレーなのではないかと思いますし、準優勝の多かったこれまでのグランドスラムキャリアに、もっと優勝杯を増やしていってほしいと思います。

 

錦織にはものすごく期待してしまうのは、やはり日本人だからだと思いますが、彼のテニスは世界中の誰よりも魅力的だと思います。後何が足りないのか、もう十分に才能や勝負強さなどは見せてもらいましたが、マレーのGS初優勝も長くかかったことですし、いづれ必ず、と思っているうちに年取って引退しちまわないように常にファイトする姿を楽しんでみていきたいと思います。

向かっていくポイントにめっぽう強く、試合をあきらめるようなことがなくなってきた錦織は、まだ勝負のシーソーがどちらに傾くか見えないときに無理するところ以外に弱点なんかないように思いますが、その試合中の「流れ」を相手に傾かせちゃったときに錦織ができることが何なのかがわかんないような気がしています。(ワタシがわかんないだけなので、チーム錦織は常にいろいろなことを考えて実践していると思います)

 

男子テニス界では、バックハンドスライスの活用が目立ち始める一方、ネットプレーの頻度が増えてくるのではないかと思います。長いラリーをあきらめずにファイトし続けるタフなゲームは観客としては非常にスリリングで楽しいですが、プレーヤーとしてはそんなに歓迎できる状況ではないでしょう。優勢にラリーを勧めてネットプレーでピリオドをうつ、という戦術をどう巧みに使ってくるか、そこにトライしてくる選手にも注目したいと思います。

ネットプレーはリスクを多く含んでいる、という今の時代のテニスの風潮がありますから、ネットプレーをうまく使える選手が、重大なポイントにおいてはたして速攻を貫くのか、あるいは良いサーブからじっくり相手を押し込むショットを持つことが大事になるのか、戦い方の特徴のある選手が出てくることが楽しみです。

カテゴリー: プロ選手オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 17:09 | コメントをどうぞ

全日本を観戦

毎年、秋になると有明のテニスイベントでウキウキしてきます。

東レ・楽天・全日本が約一ヶ月の間に次々とやってきます。

毎年行っているのは、楽天ジャパンオープンと全日本テニス選手権の二つ。

交通費とか、ワタシのお小遣いでは足りなくなるので、東レは見に行けないな、と最初のうちに切ってしまったら、毎年行かないイベントになっちゃいました。今年は大阪なおみの活躍なんかがあって、ああ行きゃあよかったなんて思いましたが。

 

楽天も行きましたが、昨日は全日本を見に行ってきました。

全日本といえば、ワタシがいつも気にして見ているのが、長尾克己選手。シングルバックハンドの熱いテニスをするナイスガイです。知り合いじゃないですけど。

今年もワタシのいく火曜日に試合が組まれていてくれて、よしっと思ったのですが、試合は第一試合。ワタシは午前中のレッスンが終わってから、11時に千葉を出るので、きっと見れない。。。

 

そして、今年大注目の綿貫陽介選手との対戦で、これもこの日一番くらいの注目のカード(ワタシ的にですが)だったので、見ることができなかったのは悔やまれます。

到着したら、早速スコアをチェックしましたが、ストレートで綿貫選手の勝ち。先週のワールドスーパージュニアを優勝して、動画も見ましたが、サーブとフォアハンドにすごい攻撃性が入るようになっていて、去年見たときよりもスケールの大きいテニスになっていました。

長尾選手との試合はどんなだったんだろう。ああ、見たかったな。

 

到着したときにやっていたのは、福田創楽選手と、仁木拓人選手との2回戦。福田選手は、去年初めて見て、近藤大生選手から勝利し(近藤選手はこのとき腰を痛めていたらしい)、その後も準々決勝まで進んだヤングガンだったのですが、今年は予選を勝ち上がっての戦い。

到着したときに、雨で屋根を閉めるための中断をしているところでした。仁木選手から3−6・6−3とセットカウント1オールからのファイナルセット1−4のデュースから再開した試合は、このデュースを取って、波に乗る仁木選手と、勝ちを意識したのか早攻めからミスを多発する福田選手で明暗が別れ、終わって見れば6−4で仁木選手の勝ち。福田選手はラケットを叩きつけてフラストレーションの溜まる試合でした。

 

その次に組まれていた、加藤美唯選手と、清水綾乃選手との3回戦。このラリーは見ごたえがありました。要所でしっかりポイントを取れた加藤選手の貫禄勝ち。

加藤選手のフットワークがとても光っていました。清水選手の豪快なストロークに怯まず渡り合い、要所では展開を変えるなど、あげるギアを持っていたのは加藤選手の方だったのかな、と思いました。

 

外のコートへ関口周一・竹内研人のダブルスを見に行こう、ってことで2番コートへ移動しました。第6シードのこのペアが押されに押され、最初のセットはコートに到着したときに0−5。ペアのショットがかみ合わず、一発のショットでポイントをしても続かないし、コンビネーションプレーが影を潜めていました。

相手は伊予銀行の選手ペア…すみません名前忘れたのキレのいいサーブや、コースを変えてくるところがうまく、ジリジリと話されます。ますますコンビネーションは悪くなり、セカンドセット1−2とブレイクされたところで降雨中断。最後の不十分な体勢で打たされたフォアハンドがアウトのコールになると、関口選手はイライラを募らせてボールを隣のコートのはるか彼方まで吹っ飛ばし、ウォーニングを取られたところで中断。残りは今日ですが、まだ挽回可能なカウントですから、今日のために調整がうまくいくかどうか。

その隣、志賀雅人選手たい守谷総一郎選手との対戦。ハードヒッターでシングルバックハンドのかっこいい守谷選手が4−3リードの展開でしたが、到着したときにデュース。4回?かもっと?デュースを繰り返して、ついに志賀選手がブレークに成功し、そこから6−4でファーストセット取るまで3ゲーム連取。

おそらくワンブレークで2−4ダウンから捲ったのでしょうか。4ゲーム連取したのかな。ペースのあるきれいな軌道のトップスピンで粘るスタイルの志賀選手でしたが、崩れないならとネットに出る守谷選手のボレーミスを誘う低いパスがすごかったです。

全く崩れない。苦しい状況でミスをすることも、クロスに振ったショットがアウトすることもありましたが、ポイントで崩れない。常に目線をコントロールして集中を切らさない姿勢に、隣のダブルスを見に行ったはずですが、こちらの方にワタシも集中して見入ってしまいました。

雨で外コートが全て引き払いになってしまったので、スタジアムに戻ると、守谷宏紀選手対竹元佑亮選手の2回戦。付け入る隙を与えず、と行った印象の横綱相撲のようなゲームでしたが、守谷選手はどこか調子悪そうでした。ボールにアジャストしていないようなミスを多発していて、こちらから見ていても「よし、決まるぞ」と思ったショットをネット中段に引っ掛けるようなミスが多かったです。

途中、パンクボールがあってポイントレットになるシーンがありましたが、これも守谷選手から「パンクしてるので」と申し出のあったところでの出来事でした。

最後に見たのは、4番コートに一旦入ったのに降雨順延となった女子ダブルス。

宮村美紀選手・波形純理選手 対 藤岡希選手・吉富愛子選手との対戦。過去に何度も名を馳せたベテランペアに、第一セットは真っ向勝負の若手ペアでした。常に先にブレイクしていけていたのですが、欲しいところで速攻を使ってポイントしてくる波形選手のポーチ、全く崩れないシングルバックハンドの宮村選手のポール回しなんかも出てきて、乗り始めたのか、ファーストセットを7−5で取ると、セカンドは6−1で乗り切りました。

若手ペアの方は、吉富選手のフォアが起点になって良いポイントが多かったので、ターニングポイントが何度かあってもおかしくない展開だっただけに残念。

左利きの藤岡選手のストローク力=視野も広く、打ち込んでいくショットも、相手の陣形からスペースの広いところへ外していくショットの選択など、レベルの高いところが見られましたが、サーブにもう少し左利きの利点が出るようなとか、吉富選手の残念なボレーミスなんかがあって、乗れさえすればいいペアだったのにな、と思いました。

最後のこのダブルスが、実はすごく内容が濃くて、見ているこちらが熱くなるいい試合でしたので、帰りが少し遅くなったりしましたけど今年も全日本は近くでみれて、またプロでもするはずの緊張や、大事だと思うあまりに固くなるシーンなんかがみれて、そういう意味でも自分たちに近い存在に見える良い大会だったと思います。

 

大会のシステム上いろいろなことがあると思いますが、広く見ればランキングトップの選手が出なくなりやすいとか、ドロー数の問題とか、わかりづらいところもあると思います。

ATPのポイントがつかないのは、オープン大会にして外国の選手が入りづらいようにしてるからとか、

それなら全国の県大会の優勝者に予選出場のチャンスを与えるとか(かつてそうでしたが、今はそこからさらに東日本とか西日本大会をやって、予選のワイルドカードがもらえる)、どっちつかずなような気もします。

日本人の頂点を決める大会としてプロもアマも出られるのか、プロの試合としてランキングポイントがつくのか、そこいらへんが分かれ目なのかな、と素人考えですが思います。どちらかにはっきり指針を出せれば、また違った価値が出るのではとも思いますが。。。

 

みていて楽しい大会でもあるし、会場中をあちこち歩いていろんなコートで観れる魅力もある大会です。

カテゴリー: 日記 | 投稿者ナガキヤスヒロ 09:28 | コメントをどうぞ

握りについて知る

実感としてのマジメな話なんですが、ワタシ、ここ2年くらいの間、「グリップの神様」に目をかけていただいているんです。

アタマがおかしくなったわけじゃなくて、明け方の枕元に何度も現れ、ラケットを通して手が感じる感覚についてイメージを残していって下さるんです。

自分よりもうまい人、あこがれるようなプレーをする人、自分にはなさそうな感覚の人のプレーをみると、つい真似てみたくなる性分。それが、ワタシ自信をコーチとしてお客さんの打球法をつぶさに観察したり、要素を発見したり、またはどこの段階まで戻って矯正をかけるといいのか、そういう判断をその場のコート上でできるようになりたいと切に願っていたら、神様がほっこり現れて下さるようになったんです。

実体は拝謁したことがありません。時には天からの声で、時にはワタシの手の感覚を操作して、

ボールが当たったラケットがどんなふうで、

ラケット面にあるボールが手にどんな影響で手に伝え、手がどの部位でどんな感じにボールを把握するのか、教えてくれるのです。

手のひらはパーじゃないってこととか、

バックハンドも手の甲じゃなくていいとか、

ラケットの重みが手のひらでくるっと回るとか、

5本ある指や手のひらの部位にポイントがあるとか、

それを把握するのは細やかに感じることのできる手の神経ならではだってことなど

腕の「芯」をラケットの「芯」とうまく合う角度に持って動かす事とか、およそテニスを普通にやっていたら思いつかないことを、悩みがあるごとに答えやヒントを下さいました。

 

 

先日のこと、スマッシュの感覚の為のドリルといって、速射砲ドリルをやります。ボレーだったらゆっくり連続して打ち返せる程度のテンポで、あまり動かなくてもいいようにロブを上げます。

オーバーヘッドの動作は、3拍子であることが多いものですが、

このテンポの良い球出しは、ゆっくり目の2拍子なんです。

はた目からはゆっくりした球出しなんですが、2拍子の球出しに3拍子の動作はどうしても遅れがちになります。

それを、うまく連続ではたき返す練習。ひとり2分でレクチャーしていきます。

まず、小指と薬指とをしっかり持つようにしてもらって、それだけで腕を振るとグリップエンドを中心に、ヘッドが回るのを手が感じやすくなります。

残り3本の人差し指、中指と親指は、輪っかを作るように持つわけなんですが、この輪っかが、ラケットヘッドの動きを制御する動きです。意図的に動かせるように、腕はラケットを軽く感じながらスイングできるようにするのに、5本の指と手のひらを上手く使うようにレクチャーしていきます。

そうするとですね、全員がそのあとのメニューであるサーブの練習まで、ラケットをつかったボールコントロールの仕方がわかるようになったと嬉しい感想を述べてくれました。

ストロークや、ボレーでも同じようなことが起こります。

ラケットが手の上でどのようにゆれ、動くのか。そこに興味を持つ事も、打ち方の理解に役立つものだと思いますし、握りを変えられないことがどれだけテニスの技術をスポイルすることになるのか、知らないことは不幸なことだと思います。

 

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 15:31 | コメントをどうぞ