個人レッスン

個人レッスンには、メリットが多くあります。

ラケットの扱い方は、型どおりに教わったとしても持ち方や、ラケットの重さの感じ方、あるいは飛んでくるボールに対するリズムのとり方などは人によってだいぶ違うことがあります。

グループレッスンでも、どこのスクールでもそうでしょうが、かならずマンツーマンでコーチとラリーや、テーマの球出し練習などをするなかに個々へのアドバイスをするようにしていますが、たとえば10人のクラスだとすれば、90分ていどのレッスンの中ではきちんと見てあげられるのは2~5分くらい。

クラスのメリットもありますよね。それが色々な人と打ち合いができるうちに対応力が磨かれてくるとか、ゲーム形式などの課題をみんなで楽しみながら理解しやすくなる、っていう面だと思います。打ち方などの技術以外の面でテニスというスポーツを理解しやすくなるってこと、そしてそっちはすごく楽しいってことを伝えられるようにするのがスクールの持っている一面です。

そんな中で、自分のテニスに課題がある方とか、あるいは集中して取り組みたい人、なかには集団の中ではやりづらさを感じる人もいて、プライベートレッスンのニーズがあると思います。

一人で受講される場合はほとんどが、打ち方やラリーでの技術のみで、120分の時間をほとんど使います。

はじめて受講される方も、ワタシを打ち方を診るのが上手いコーチと認識というか信用してくれてオファーを下さっていると思いますが、さいしょのレッスンから、その方の課題に光が見えるようになるまで、一定かそれ以上の時間がかかります。

最初のレッスンでは、矯正法をおこなって、足りない要素に気付いてもらうと、球出しのボールを打つのに、人によっては劇的に良くなることもあり、おたがい(コーチとしても)すごく楽しい時間になるものです。

しかし、ラリーやゲームでその矯正がすぐに成果を表すものではないものです。

もう30年近くレッスンをやってきて、ホント半分くらいの間は、こないだのレッスンで上手くなるコツをつかんだんだから、今日はみせてくれるだろう、なんて期待をしてしまうようなコーチだったと思います。

おそらく生徒さんの方も、せっかくいいことを教わったからすぐに活かさなきゃ、と意気込む気持ちもあると思います。

よくわかったのは、そんなに簡単じゃないってこと。

 

 

理解できるようになったのは、もともとの動きに癖があって、自分でも気づいていたとしても、筋肉が記憶力を持っているので、普通に打とうとすれば癖の方が先に出てくるようになっていることだということがひとつ。

みためは、他の人がやらないような癖の強い打ち方だとしても、その方にとってはデフォルトになっている、自然な対応なんですね。それが、いつついた癖なのか、それもコーチとしては気になりますが、いまその状態であることは間違いないので、その癖がいつか治るものなのか、それとも付き合いながら自分の新しいフォームを見つけていくのかっていう事になります。

 

癖の部分は、とくに準備のための動きにあることが多くて、それが動きのリズムを作ることになります。インパクトの不安定さに影響のある部分がわかれば、そこさえ整えてあげると、リズムはその人がそれまでやってきた合わせ方でできるようになるので、取り組みが簡単になります。

インパクト前に注意しなければならない一つか二つの課題を、気にしながらラリーをしてもらう。そうすることで打ち方とボールが飛んでくる動作に順番がはっきりしてきます。そういうのが見えてくればもうほとんど大丈夫。あとは反復が必要なだけです。

手を取ってスイングを導いてあげることは、コーチにとっては簡単に感覚の違いを示してあげられることですが、頻度が多くなるのはデメリットになることが多いものです。

自分のラケットの扱い方や、ボールのとらえる感覚の違いなどに気付いてもらったら、もうそれ以上は体やラケットに直接触れずに、自分でつくる差の部分に注目してもらいながら練習してもらった方が上達は早いです。

結局は打ち方って頭の中にイメージがあっても、体はそのイメージを追っているつもりで違う形になっていることがほとんどなんです。その違いを直す方法を自分なりに見つけてもらうまでは取り組みは意味がほとんどないのと一緒。

頭で理解できた、ということ以外に成果がないことになります。

コーチの側にも同じような気持ちがありますが、生徒さん本人は、教わった通りにやったとたんに見違えるように自分のショットが良くなることを期待していると思います。

それは、矯正法を行うと、一部分に矯正をかけただけでインパクトが良くなる効果があるのは間違いないので、レッスン中にできるようになったとおもってお互いに喜ぶものなんですが、デフォルトになっている部分の書き換えるには至らないものです。

いままでと違う感覚でボールを打つことになりますから、本人は違和感と戦うことになりますし、結果を求めることが先になってしまうと、直したい動きよりも、飛んでいくボールの方に期待をしてしまいがちです。だってそのためにレッスンを受けてくれているんだから、当たり前ですよね。

だけど、実際には身体ってそんなに器用にいつでもどんなふうにでもフォームを変えて打てるなんてことはないので、まずは動き方ができるようになる方が先で、最初のうちはコントロールや、安定感なんかは期待しなくて大丈夫です。

動作の順序の中に、課題の動きがきちんと入れられるか、とんでくるボールのプレッシャーにまけて、ついいつものフォームまでしかできないでいるかの課題をまず克服しましょう。

それが出来てラケットにボールがふつうに当たってくれれば、手に残る感覚が、いまどうやって当たったか、うまくいっているときの感覚と、見当違いのショットになってしまった時の感覚の違いを身体が覚えてきてくれないと、再現性は上がりません。たまにすごく気持ちのいいショットを打てたとしても、二度と再現できないようでは意味がないですもんね。

そこで自分の「うまくできているはずの動き」と「向こうから飛んでやってくるボールの動き」が合わせられるようになるための練習ができるようになります。

 

だから、練習する課題はなるべくシンプルなものにして、できていく毎に負荷をかけていったり、新しい課題を見つけていくなどして上達への道に入ってもらいます。

その、最初の課題ができるようになるまでは、やっぱり少し時間がかかるものなんです。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 09:09 | コメントをどうぞ

グリップのなす角と、手のひらの「空洞感」

握りについては、説明がむつかしいもののだいぶ研究が進んできていて、10人のクラスでみんなの前で説明して理解されるような言葉はありませんが、個人レッスンでなら、信頼関係にもよりますがうまく伝えられるようになってきました。

まず、握りはグリップとのなす角や面の把握などで、打点の入り口としての感覚があるかどうか。

球出しの練習で、普通の軌道のボール(回転をあまりかけずに、生徒さんのベルトのあたりで打てるようなバウンドを意図的につくる)を送ると、皆さんきれいに打ち返せるとします。

その次に、スライス系の低めに滑ってくるボール出し

さらにその次は、トップスピン系の弾むボール出し

に変えて球出しの練習を行います。とはいえ、バウンドの位置や、ボール軌道を極端に変えるようなことはせずに、バウンドの変化だけを見せるようにして送球します。

そうすると、レベルの下のクラスではだいぶ顕著に、上のクラスではミスにはならないですが同じような傾向で打つショットの傾向が変わります。

低めの球には、低めに返球

高めの球には、高めの返球。

または、それに気づいて面だけを変えて、低めの球を当たりの強いホームラン性、弾む球にはヘッドが立ってのネットミス、あるいはスピンのかけ損ねの浅い球

とかになりやすくなります。

バウンドが変わって、打点に入ってくる角度が変わることで、スイングそのものが影響を受けるってことなんですね。

だから、ラケットを入れに行く打点へのアクセスの角度を知っていないといけない。

それって、見てから瞬時に変えるってことは動作中にはまあできないものだと思います。

いや、それの出来た分っていうのが、ミスにはならないけどショットが変わるってことだと思います。要するにうまくは対応しきれない。

打点では「ボールをキャッチするように」とアドバイスされることもありますね。野球のグローブでボールを捕るときには、手のひら(のイメージを大きくできるグローブ)の空間をボールの為に開けて待っているような感覚が必要です。

上手い人っていうのは、入ってきやすい角度を上手く作るものですね。

ラケットの場合は、面にあたって跳ね返ることを考えて入り口を作るべきであって、当たるだけでは足りません。

ラケット面は手首よりも前か後か、それとも真横にあったほうがいいのか?

ボールに回転をかけるには、スイング方向と面の向きの関係も、ボールがどこから面に入ってくるのかをイメージしておけた方がいいわけです。

 

 

教え方の理想として「ノーグリップ・ノーフォーム」という言葉がありますが、幼稚園の子が自由にラケットを振り回しているような意味ではありません。

適宜、ボールに合わせた適切な形を出してこれるということが、打ち返し方としての究極なのだろうという考え方です。

ラケットを手で持って行うスポーツであって、テニスコートという決められた広さの中で行う以上、必要なコントロールが思った通り出来るようになるには、その人なりの感覚に合う「型」が必要であることは、最近になって何度も書いてきました。

それが、「合わせ方」と言って説明されるものだったり、ボールを見る方法とか、フットワークについての事だったりとか、体の使い方・・・なんていう、ラケットがボールに当たること以外の事に目を向ける必要のある意味だと思います。

結局は、ショットの成否はラケットがボールに当たる瞬間に決まるもので、そうである以上、準備をしっかりできることが必要とされるようになります。だから、その人なりの決まった打球フォームが出来上がる。

動作のほぼ最後の方に、インパクトの瞬間がやってきます。そこを確実にするのがインパクトの一瞬前に「よし!」と思える、

「打点の入り口」にぴたり合っている、という自信です。

腕と、ラケットに芯があると考えて、ラケットの面がぶれたり、ショットが相手のボールに押されたような感覚があるとしたら、芯は外れてしまっています。

力を入れても、芯にあたっていないものは、手ごたえが良くてもたいして良いボールではないでしょう。それは、ラケットの動きを不自然なものにしていて、効率よくパワーを取り出せていないところを、腕力で無理に出そうとするためにスイングそのものが制限されてしまう事からも、「力み」があるのは良くないとされることと同じです。

握りは緩めて、ゆるゆるがいい、と言われますが、それも嘘ではありませんがすべてを説明する言葉ではないと思います。

ラケットはしっかり支えられているものであり、支える形にしっかり入っていれば力を入れたような感覚はなしでもスムースにヘッドが走り、ボールをしっかりとらえて気持ち良くコントロールしてくれるスイングになるはずです。

肝心な時には、必要なだけの力があったほうがいい。

手のひらにはボールが入ってくるイメージで空洞感をもたせる(この説明の仕方も乱暴かもしれません)ことで、握りすぎにならないようにした方が、うまくヘッドが走ることに繋がります。

その一方で、手のひらとラケット(グリップ)との密着感も必要になります。

その部分の説明が握りの分からなさそうな人にイメージが伝えられるようになると、急にミスヒットが減ったりします。

 

それが上達なのか、ポテンシャルの高い部分を引き出したのかはわかりませんが、面白いものなんですよね。

カテゴリー: 日記 | 投稿者ナガキヤスヒロ 09:54 | コメントをどうぞ

最近、気になっていること

最近、レッスン中に個々にアドバイスを差し上げるときによく出てくるのが

ボールを見すぎない

真面目にやりすぎない

ということです。

もちろん、ボールはよく見た方がいいし、レッスン態度が不真面目だと怒られます(笑)。

言っているのは、そういう言葉のまっすぐな部分じゃなくて、何のためにやっているのか、何をしたくてコートに立っているのか、という主題が解らなくなっては困るということなんです。

このところ、ショートレンジでトップスピンをかけ、相手のコートに狙い通り落とせるように打つ練習を1か月くらいの間取り組んできました。これは全部のレベルで、ジュニアでも一般の初級クラスでも、難易度は変えていますが言っていることは同じ。

で、今週からはサービスラインからの練習ではなく、ベースラインから打つようにして最初の球出し練習に課題を付けてみているんです。

もちろん、ショートレンジの練習をしているときにも、ラリーではその要素となるタッチの感覚を活かしてコントロールしてみましょう、っていう練習にするので、ロングレンジにしても打てるようにやってきましたから、今週からそうしても問題ないようにやってきたと思います。要するに慣れた、というような取り組みで、「ああ、もうさすがに出来るよコーチ!」っていうくらい毎回同じことから導入していくようにしていたんです。

ボールを良く見ていると、体が動かなくなる人って結構いるんですよね。

テニスのフォームは出来ていますから、ある程度形にはなっているけど、力を使えるようにはなっていない。

このままどうやってどこに打つべきか、というよりもただ「失敗せずに、きれいな軌道のボールを打ちたい」ということだけをやっているように見える。

ボールを良く見ているのなら、ラケットをどう準備して、打点でどんな感覚がほしいのか?ラケットが打点に出てきたときに、はたして自分が思っていた通りのインパクトが出来るように準備したのか?というのが見えてこないと、ワタシに言われます。

「はいー、ボールばっかり見ててもダメ―」

スピンを打つのか、スライスを打つのか?狙うコースだけじゃなくて、高さと深さは?その為にラケットから得られる感触があるはずです。ただ力いっぱい振るんじゃなくて、そこまで出来たら、インパクトの型があるはず。

身体が一瞬で動くってことはなくて、きちんとした準備から順序良く運動を繋げてきて、連鎖を使ってパワーを増幅すればたいした体力は使わずに良い球が打てます。

 

飛んでくるボールを、ちょっと変化させると、中級くらいまでの方は面白いようにミスが増える。

素直なんですね。いつも通りのスイングを完遂させようとするのに、少しだけ打点がずれる。だからその少しを合わせられないとミスにつながるんです。

上のクラスになれば、ミスにまではならなくとも、やはり影響は同じように出てきます。

ストライクゾーンが広くとれるようにならなければ、相手のショットの影響が出やすいので、相手に自分のショットをコントロールされることにもなります。

安定した球出しのショットで4球交代・・・というメニューのすぐ後に、

スライス系の低い球を、少し速めのスピードで

トップスピンのやや高い球を、少しゆっくり目に深く

という2種類を練習します。

低い球の方がネットに、入る方でも回転数の少ない、低めの速い球が返ってきます。

高く跳ねる方の球出しだと、ボールが高く上がります。はじくように打ってアウトになるパターンか、面で操作してネットにかかるパターンがミス。入る方でもボールが弱くなって浅くなる傾向が出ます。

のスイングをスタートしてから、バウンドの変化に追従していこうとすることで、自然にそうなります。

ショートレンジでスピンやスライスを打って練習してきたのは、こういうシーンで対応がきくようにやってきたつもりなんですが、教え方が悪いんですね。

いやいや、すべて一度には出来るようにならないから、段階を踏んで、いまこの段階で相手のショットとミスの傾向を知ってもらいつつ対応を考えるようにしたいっていうことなんです。

2か月で出来るようになるんなら、むしろ効率はいいかも?

ボールに対応できるように、楽に構えましょう。そして、判断は早くしておきましょう。

カテゴリー: 日記 | 投稿者ナガキヤスヒロ 10:51 | コメントをどうぞ

打点とは

打点とは、ボールが当たる位置

打点とは、ボールが当たるとき

その時のラケットがショットの成否そのものといっていいでしょう。

打点を迎えるためにするのがスイングで、スイングとは打点の為の動き。

下から入って打点を迎えれば、ドライブ系のあたりになるか、上向き面に当たればロブになる。まあそういうことです。

打点は線ですか、点ですか?という質問には、どっちかと聞かれれば線だと答えます。自由に答えていいのなら、範囲(エリア)だと思っています。だから、点ではない。

打点では自分のラケットの動き方の影響でボールの動き(飛んでいき方)が変わります。

打点でラケットを止めるような打ち方をしても、ボールは飛びますが、そういうショットにしかならない。より振りぬき方向に動かしたときにショットは似たような飛び出し方から質の違うショットになると思います。それは、スイングの入れ方から影響するもの。

テニスにハマっていると、歩きながら打点の形にチェックを入れるような、素振りみたいなことをする(ゴルフにハマっている人が傘をクラブにして素振りしたりするようなもの)と思いますが、打点でピタッ、と止めるのは、形の意識としての練習なら意味のあること。

しかし、ラケットを持っても同じようにしているとしたら、きっとうまくはいかないと思います。だから、点だとは思いません。

そこから自分の意思を載せて動かすことで、コントロールっていうと思いますから。

 

打点とはパワーですか、と聞かれれば、それにははっきり否定します。

打点ではボールが当たる音がします。

その音って、プレーヤーならどのレベルでも期待しているもので、手ごたえと同様に打点の意識のおおもとだと思います。

それだけに、打点の位置に合わせて握る力を入れてみたり、速くスイングするように力を込めてみたりしますが、結果を見ればわかりますが、そうやってショットが良くなることはないものです。

そのやり方で気持ちよく強いショットが打てる人もいますが、同じだけのスイング量で、打点の位置を変えずにスイングすることができれば、あまり力を籠めなくとも同じようなスピードでボールが飛んでいきます。

そこの理由は、ラケットとボールがぶつかるという物理の世界の出来事だからです。筋力はラケットの運動方向に対して使うので、振り始めのきっかけに負荷がかかり、加速が乗るように振り子運動に乗せてしまえば打点までは決まった形の運動をします。腕の長さや、ラケットの長さは不変だし、関節をどのくらい曲げたり伸ばしたりするかっていうのは、ラケットにあてるための信頼できる形を、プレーヤーはキープするものだからです。

インパクトの瞬間に形をはっきり意識するために力を入れるなら、安定のための力です。余計なミスをしないための力。ボールを飛ばすことや、回転をかけるために打点の位置でラケットを動かすとしたら、真ん中に安定してあてることが難しく感じるようになるはずです。

じゃあ打点が力でないとして、点でもないとしたら、どうやってボールにパワーを与えるのかといえば、打点とは流れの中のある点であって、インパクトは一瞬とはいえ1000分の3~5秒程度あります。

ラケットに進行方向があって、面の向きと一致していないなら、回転がかかるようにボールに当たるはずです。(進行方向と面の向きが一致していれば、その一瞬はフラットに当たることになるはず)

スイングは

体軸を中心とした腰や肩の円運動と

肩を中心とした腕の円運動と

肘を中心とした前腕のひねり方向(内旋・外旋など)への円運動と

手首を中心とした手の多様な方向への運動

握りを中心とした、ラケットの運動

がボールにぶつかっていく力のとなってショットを成立させてくれています。

最初の方に書いたものほど大きな力を持っていて、最後の方の手首や握りなどは、その流れに沿って力を発揮することは出来ますが、流れに逆らって力を入れても、ラケットを自由に扱えるようにはならないものです。要するに運動連鎖を使えばいいけど、手先が器用だからってうまくは打てないよね、ということです。

腕でボールに合わせてその位置に連れてくると、ラケットが出てきてボールに当たってくれる

っていう動きをうまくできるとしたら、先にやりたい動き=トップスピンを打ちたいとか、スライスで打ちたいとか、深く打ちたいとか、ロブで前衛の頭を抜きたいとかの動きを腕の動きに持たせてやって、あとは狙った高さや距離に対するタッチが合っていれば成功するもの。

ラケットが出てくるときに持っているパワー(動きの速度とか距離)と方向(打点に入ってくる方向)などでどんなショットを打つかがほぼ決まり、

ボールに当たるときのラケットの向きがどこへ打つか(方向と高さ)を決めることになります。

入ってくる方向というのは、回転がどうかかるか、ということに影響が最も出るので、打つ方向に対しては面の向きに依存すると言っておいた方が良いと思います。

だから、

打点で面を作る

ということが重要ではありますけど、面を作って当てるだけではショットは不完全なものになります。

相手のショットにあてるのも難しいようなら面を作って当てるだけから始めればミスを少なくしてラリーができると思いますし、

それに慣れてくればすこし勢いを付けて面にあてればショットの質が上がります。

さらに、自分の意思を乗せてコントロールしようとすれば、どう構えてどう振るか、という課題が常にあると思います。

プレーヤーは個々の「型」をもち、自分の感覚に合わせて打てるショットの範囲があるはずです。

相手としてはそれをうまく崩せればミスを誘うことになるし、自分としては崩されないようにするためにフットワークにこだわってみたりするわけですね。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 15:48 | コメントをどうぞ

適宜、前後に動く

最近のワタシのマイブーム?(笑)「適宜、前後に動く」っていうセリフ。

ラリー中の動きです。ボールはテニスコートをネットの向こう側からやってきますので、勢いのあるショットなら、ベースラインにいれば、ツーバウンドしないうちに打ち返す位置にいることになります。

だから、基本は横に動くことをイメージしますし、ワタシも15年くらいまで、タテ(前後)に動くことをさほど重要視していませんでした。

その頃くらいに、ウイルソンがビデオを販売していて、「ダブル・リズム」という杉山記一プロがモデルでずっとサイドステップで動いて、レディポジションを中心にX字型に動く球出しのトレーニングを紹介していました。

同時に、「スペイン・ドリル」も紹介されてきていて、延々と続く前後の振り回しに、こりゃあきついな、と思いながら、自分ではやらずにいたんです。

しかし、要素だけもらおうってことで自分の練習や、レッスンでも少ない球数でやってみると、この前後に動いて打てるようにするっていうことがすごく重要なことがよくわかりました。

相手が打ったショットは、常に強いわけでもなくて、さほど強くないショットも、低く滑るスライスも、高く跳ねる、あまり速くないけど強烈なスピンのショットなど、毎回違います。

これに対応するには、適宜、前後に動いて打点やリズムを自分の都合に合わせられるようにする必要があります。

それまで意識していなかっただけに、この練習すげぇ!って自分の中では大ヒットになりました。

それから何年経ったんだか、試合のポイントがかかったラリーでも、意識せずに動くようになっている自分に気づいて、若い頃からやっていたテニスが変わったことを、最も感じた瞬間でした。

クラスで生徒さんを見たり、またプライベートレッスンでも、いろいろなお客さんを見ていて、先にラケットを使った中のボール感覚をあげなきゃ、という取り組みをしてきました。

自分の中でもスイングについての理論を考えたり紹介することが多くて、きっと分かりづらくてつまらないドリルになることが多かったんじゃないかと思います。ただ、打ち方を改善したいというニーズが多かったこともあるので、お客さんはついてきてくれていましたし、言っていることもシンプルに「適切な打点を得られるように」ショットについてボールの見方や、追いつき方、手とラケットの使い方、また体の使い方などを、生徒さん個人の動きやすいやり方を見ながら取り組んできていました。

 

 

ボールを打つための「適切な打点」とは、

素振りをするようなスイングに、ボールが入ってくるような感覚で打てる

ことで、狙って打てばその通りにしかならないようになる(と言っても人間のやることですから、狙ったエリアに大体オッケーな感じのショットを確率よく打てるってこと)ものです。

これが、ワタシも勘違いしていた部分も含めて、相手が打ったショットの軌道に合わせて、特に練習(球出しの練習)ではバウンド−ヒットのリズムを一定に保つように動くことだと理解しやすいんです。

で、それがまたラリーになるだけで無理。

一定のリズムになるのは、スイングスタートからインパクトまでを揃えられればいいんです。

軸足の力でスイングのきっかけを作って、そこからインパクトまで。

「グッ・タン!」みたいな感じ?ですね。グッ…っていうのが力を入れた感じで、タンがインパクトってことで。

このブログを長く読んでいただいている方ならわかると思いますが、インパクト(の音がするあたり)に合わせて力を入れてグリップを握ったり、スピンのために手首をこねたりすればそういうリズムにならないと思いますから、そこんとこは注意して見ます。

ヒュッと腕が打点に連れてくれば、打点の位置ではラケットは勢いづいて走っているような状態になります。

グリップは手首の形というか、面の向きを決定づけるものであって、腕が打点の位置にラケットを連れてきてくれれば、自動的に決まった形の面ができているはずですから、そこにボールさえあればスイングが期待した通りの強さで、狙った通りのコースや高さにラケット面から跳ね返っていくはずですし、ラケットを握った手のひらにはそれが正しい感覚であることをフィードバックされて感じているはずなんです。

 

だから、大事なのはスイングにボールが入ってきてくれるような準備と感覚。

飛んでくるボールの軌道上にラケットをセットしたような感じで準備できるように意識します。

 

そこからなんです。

ワタシ、スライスしか打てなかった学生時代から、ライジングでボールを取ることで自分のショットの強さを維持していたこともあるので、そこまで出来れば、ってことでベースライン上から離れない人だったんですね。

もちろん、浅い球は前に入らなきゃ打てませんし、ライジンガーですから、むしろソッコーでバウンドの頂点にラケットを合わせに行くタイプでした。

しかし、後ろに動くことは、スライスを打つワタシとしてはかなりのピンチ。

そんなテニス歴だったので、なかなか後ろに下がって打点を合わせる、ってことができませんでした。そうしなくても器用に体の向きを変えたり、面の入れ方を注意したりするうちに打ち返せていたから。

30を過ぎてトップスピンを覚えて、特にバックハンドのスピンが使えるようになった頃から、いつの間にか後ろに下がれるようになりました。

スライスなのでショットのスピードは出ないタイプでしたから、トップスピンを打てるようになってもなかなか自分のショットにスピードを出すという発想にならなかったのは、ラリーのテンポが速くなると自分がリズムを崩してしまうということもあったのでしょう。慣れたリズムで相手の返球を待ちたい、ということが邪魔をしていたというか。

バックハンドのスピンが打てるようになったのは40歳を超えたくらいだし、46歳の今でもただ一生懸命やっているだけでは気づけなかった打点の秘訣なんかを見つけたりして、そういうことのためにいろいろなことが絡んできて、動き方は若い頃よりも今の方がちゃんとしていると思います。

ただ、さすがに歳を感じたので、すごい速さで走ったり、目の覚めるようなカウンターをお見舞いしたり、なんてことはできないっぽいですが(笑)。

 

一番の気づきは、ターンすることです。

そのためには、突っ立っていないで少し腰を落とし、相手が打った瞬間に正しいスタートがなるべく素早く切れるようにしておきます。

順番としては、

相手のショットを見る

とりあえず反応をして、動きながら判断する

追いつく前に自分がボールを打った時の姿をイメージして、

最後の一歩に帳尻が合うように合わせて走り、

できるだけ完璧にインパクトを迎えられるようにする

 

ってこと。

最後がラケットです。

ですが、ラケットがボールに当たる瞬間が最優先される事項ですので、走り出した時にはすでに十分な形で準備をしておきたい。

だから、グッ・タンの振り始めからインパクトのリズムを、走ると同時にボールに合わせられるように作っておくってことです。

走りながら、腕を強くしておくには、走っているのにヒザとか、腹(体幹)とかに強さをもたせておかないと力がうまく入りません。

打てる形になっておいて、まだボールが来ない、という状態でいられるようになれば、インパクトの取れるエリアが特定されて、そこに来てほしくないエリアもわかるようになります。

ボールが高く弾んじゃって落ちてくるところまでかなり下がる、っていうよりも一歩か二歩前に出て上がりきる前でもスイング自体は間に合うな、ってことが結構多いと思います。

ライジングはスイングをボールの入り口に見立てられるようになれば、難しくありません。目で追ってスイングを合わせに行くようでは、ボールのせいでフォームを奪われてコントロールを左右されてしまいます。

振袖の袂でふわっとボールをからげるような感じで、手首よりもやや遅れたラケット面の中にボールが収まるような感じでスイングを合わせに行きます。

ラケット面が遅れてくれていれば、自然とスピンがかかり、ネットしなければ越えた後に落ちるボールに自然になるものです。

ボールの威力そのものが弱くても、弾みっ端ではバウンドのエネルギーが強いので、腕やラケットをブロックの形に持っていくイメージを持ちやすいですが、これではただ当てるだけになってしまうので、振り抜き方向に持っていくことは条件の一つです。

ブロックの形を作ってインパクトができるとしたら、それよりもボール2〜3個分、打点を前にすれば、自然と腕は振り抜き方向に動いてくれるようになりますから、打ち方を変えるように悩むよりかは、そこでボールに当てる能力はあるから、もうちょっと前で捉えるようにしよう、くらいでできちゃうものです。

腕の下にスイングの入るスペースを作ること

そこにボールが入ってくる予定ですから、自然と腰と肩は横向きにボールを見やすい姿勢になると思います。それで、以前に書いたような、テイクバックの形ができていく、というのがワタシの考える理屈です。

IMG_1547 IMG_1552 IMG_1562

カテゴリー: 日記 | 投稿者ナガキヤスヒロ 08:41 | コメントをどうぞ

難しいよねぇ

何がって、テニスがです。

まず、ボールをちゃんと打つのが難しい。

とはいえ、その反面で、ラケット面が向きのわかりやすい道具なので、体を前向きにしたりとか、面をひねらずにボールに向けて振るとかすれば、当たれば返せるっていうことに関してはそんなに難しくない。

それと、ゲームをするときに、思ったようにポイントするのはさらに難しい。

ボールを打つのが上手くても、相手と駆け引きするようなことをして、チャンスは見逃さず、ピンチというか、相手が先に攻めてきたらなるべく次の攻めをさせないように返せるようにしないと上手くゲームがいかない。

実力差があったとしても、ミスをしないで終わるゲームなんてそうそうないから、ミスをしたことで自分がそれを気にして、以降が弱気な展開になっちゃったりすることだってある。

点差を離して勝っている状況でも、最後のポイントを取りきるのも結構難しい。5−2だったのに気づいたら5−5になってたりすることもある。

 

ね、難しい方面で書いていくと、結構難しいですよね。

ゲームができたり、勝ち方を考えるようになったりすると、またショットの打ち方で悩むようになってきます。

自分には持っていないショットを武器に、自分より強い相手が出てきたりすると、自分にもそういう武器が欲しくなるから。

プロの選手だって、全てが完成してからプロになっているわけじゃない。プロになってからだってさらに進化しています。

 

 

…それって、楽しいってことですよね?…

打ち方オタクってことでコーチをやりながら、自分のテニスでも、生徒さんと一緒にその方の打球法を考えながらも、「もともとの原理」みたいなものを探し続けているわけなんですが、

目で見て

足で追いついて

腕を動かしてボールを打つ

ということなんですが、横向きになってボールを見るのと、前向きのままでボールを見るのとは違う風景に見えたり、ラケットを引いて振るのと、ラケットを弾き終わってボールを待てるようにして振るのとは、来ているボールが同じだったとしても違うスピードに見えたりします。

要するに、「型」のようなものがあるってことと、「慣れ」が必要不可欠になるってことがあって、そこに馴染みがあれば難しくは感じなくなるでしょうし、普段そういう動きをするっていう意識がない人には難しく感じるでしょう。

ボールを打つことだって、強く打って気持ち良く振り抜きたいとか、強く打った時の打球感がいいとか、爽快感とか、自分が上手な感じが欲しくて初心者でも力いっぱいスイングしたりしますけど、結構空振りしたりするし、真ん中にピッタリ当たってもすごく飛んでいっちゃったりしてコートに入るかどうかはわからない。

コントロールを気にすれば思いっきりはスイングできないだろうし、かといって試合に勝つには強く打って相手が返せないようなショットが欲しいだろうし。

球出しのボールをうまく打ち返す方法と、ラリーの中で精度を上げる方法は、ちょっと違う部分もあると思います。

とはいえ、後者がうまくできる人は、前者も同じ方法でできるし、前者がうまくできるだけの人よりも格段に強いと思います。

これは、発展の段階があるってこと。でも、早く気づいてしまえば=あまり上手でないと思っていてもどんどん試合に出るとか=してしまえば、「まずは球出しの段階をクリアしてから」なんてやっている人よりも上達は早いのかもしれません。

しかし、人間はできることにこだわったり、今できることに依存したりするので、常にあたらしい練習みたいなものに取り組んでいないと、今できることで到達できる場所も決まってしまいます。

だから、常に成長しないといけない。

 

なんだか人生みたいですね。

 

カテゴリー: 日記 | 投稿者ナガキヤスヒロ 06:36 | コメントをどうぞ

なわとびの縄を回す

テニスのラケットの扱いにおいて、その道具になじみが薄い時には手首は固定しておくことで面の向きや、スイングの大きさの調整がわかりやすくなります。

形の基準を作ることで、動作の中のどの部分の、強度、あるいは大きさ、方向などの要素を早く覚えられるようになると思います。

そして、その動作に習熟してくると、力を抜いても同じ動作ができるようになり、もっと簡単に感じられるようになってきます。

その頃にはもっとコントロールする欲求が増えてきていて、細かく狙ってみたり、強弱をつけて相手の打ち方を翻弄したりするようになったりします。

ワタシ自身はもう31年もテニスをやっていますが、ラインを狙ったりとか、コートの端っこギリギリを狙って外さない、なんていうレベルには至っておりません。

そんな中で、ストロークのスイング中にラケットの握りこみについての質問や、手首を使う方法について考えたりして、自分のクラスの生徒さんにスピンをかけることのメリットやコントロール向上の意識付けを伝えていく方向でもスイングについて細かく考えてみました。

 

ラケットの動きと、エネルギーの伝達に関しては振り子の先にもう一つ振り子が付いている(=腕の先にラケットを持っている)二重振り子の法則が元になります。

それに関しては、筋力はさほどボールのパワーに関与していないということがわかってから色々な角度で勉強を進めてきました。

腕力のある人がすごいパワーショットを打ってくる一方で、小柄で細い腕の女性でも、遜色ないキレのあるショットを打ってきて、ワタシの渾身のサーブからでもリターンエースを奪われたりします。

女性の方は、そんなに圧倒されるようなダイナミックな動きでもないですが、やっぱりコートに入るショットとしてはかなりスピードもありますし、足元にスパッと切れてきてかなり取りづらい。

しかし十分にテイクバックを取り、そんなに速くないとしても男のファーストサービスにきっちり合わせて打ってくるわけですから、メカニカルな部分の理解ができないと「なんであんなに細いのに…」って思っちゃいますよね。

できる人はセンスが良くて、頭で理解する前にイメージを体で追いかけたらできちゃうくらいのものだと思いますから、打てたショットが良い結果であり、相手に効果的なショットであれば、それを反復して練習していくだけで良いものです。

ただ、やってるつもりなのにできない、あるいは自信がないままどこに注意して打てばいいのかコツが知りたい、という人には、やはりやり方のヒントが必要になると思います。

テニスのショットは、決まったストライクゾーンに入ってくるボールではなく、相手が好き勝手に打ったショットに自分の型を合わせて打てるようにするもので、ラケットの引き方から、振り方、ボールとのコンタクトの仕方を一つのスイングで覚えても応用が利かなかったら苦手なイメージから抜け出せないものです。

 

 

ただ、動きの連結性とか、そういうのがうまく出せない人も多い中、腕とラケットのことだけを論じてもできないんだろうと思います。

シングルスのクラスでは、ジュニアもそうですが、「全力疾走ショット」を試してもらっています。

走りながら打つには、全体の調和をとりながら、目標を「打点」において全ての動作の帳尻を合わせるようにしなければならなくなります。

だから、この練習は突然やるのではなく、スイングの中でのボールコンタクトの感覚、タッチの感覚を磨いてからやった方がいいかなと思っています。

 

ラケットは、腕で連れてくると、出てきてくれるようになっている

というイメージで扱う

言葉で書くと、捉え方は人それぞれでしょうから、言い切れないかもしれませんが、ワタシ的にはそんな感じ。

振り子の運動則、と先に書きましたが、重力に任せた自然な振り子でなくともよく、腕には筋力があって、打点に向けて自由に振り子のスイング角を決めることができます。

肘や手首、肩の関節は腕の内旋・外旋や回内・回外を使うことができ、位置を動作範囲の中で自由に求めることができるということ。

そうすると、制約があると言ってもどこまでで、どのくらい自由なのかがわからないことには、教わる人の方からしてみればコツとか言っても、言われた通りに動くくらいしかできなくなりますよね。

ボールを打つ目的がある、ということが不慣れな方にはプレッシャーにもなるし、ゆっくり考えながら確認したいことも、ボールのスピード以下の速さで動くことができませんから、慣れてこないとなかなか結果が出ないものです。

 

こうやると、こういう風にしかならない!

 

という、自分の中に制約というか、約束の形=型を作ることが目的なんですが、それは型を真似してもどこでどういう力が働いて動きになっていくのかがうまくできない人にはできません。

で、うまくできるってどういうことなんでしょうか。

やっとタイトルのところまでたどり着きました(笑)。

なわとび、飛べますか?二重跳び、三重跳びは?あやとび、ハヤブサは?できますか?大縄を回す方、やってことありますか?できそうですか?

ワタシ、小学生の頃は得意だったんです。それで好きになって、結構やってましたね〜

今ではコンビニとかでも売っている、ビニール製のなわとびが、一番馴染みがあります。

けど、さすがに小学生の頃よりか体が大きくなったので、ピュンピュン小刻みに回すには、縄の長さが必要になったから、3重飛びとかは何回もできませんね。

さて、その縄の問題が、割とヒントになるかもしれません。

例えば、そうやって小学生の頃とかに使い慣れた縄だったら、今でもスムースに回せて、なわとびができる方は多いと思います。

なわとびがそこで飛べなかったとしても、問題は縄を回す、という動きなので構いません(笑)。

話が飛ぶようですが、ここんところ1ヶ月くらい、私のクラスの皆さんには、「ショートトップスピン」という紹介の仕方をして、腕がラケットを連れてくる動きと、その効果としてトップスピンが打てるようになる、ということを導入し、継続させてなじませようとしています。

その時に使っている比喩が、「ラケットは、なわとびの縄を回すように」(後ろ回しです)という言い方になっているので、今回のタイトルがこうなっちゃったってわけです。

なわとびを回している(後ろ回し)動きが、ラケットのフォアハンドの動きの方向(ラケットの動きではありません)というか、リストワークのヒントになるもの、というのは飛躍した考えでしょうか。

腕はラケットの重みを感じていて、スイングをボールにぶつけにいくことでボールの飛んでいく強さや、ラケットの向きやボールにどうやって当たったか、その時にどのくらい力を入れておけば良いのか、というようなことのフィードバックをもらっていると思います。

コーチに教わったことをやれば、ということよりも、普段打っている感覚の中に、コーチにアドバイスされた要素を試してみて、その時に打ってみた感覚の違いや、飛んで行ったボールの結果から、その時に起こったことを体が覚えていって、そのアドバイスが生きたのかそうでなかったかの評価を自分なりに下しているはずだと思います。

コーチ側としても、打ち方の中の形だけにこだわることよりもこうやって変えてもらった方が感覚がよくなるんじゃないかな、という観点からアドバイスを差し上げることが多いはずです。なぜなら、自分がそうやって(ラケットからのフィードバックをもらって)やっているから。

 

なわとびを飛んでいる時に回している腕は、ある場所にあってさほど動いていませんね。かといって手首をぐるんぐるん回しているってほどでもない。

縄の重さを手で感じながら、ちょうど反対方向に引っ張る力を入れれば、握りを中心に縄が回るようになります。

とはいえ、一番最初からそうやって位置を固定して回せるってこともないですよね。運動のきっかけを作るときは、腕を少し大きめに回して、縄に運動の方向と勢いをつける動作が必要になります。それって、テイクバックとフォワードスイングですよね。

多分、1回転目で腕の位置が決まれば、あとは縄は安定して回り始めると思います。

うちの子供が、幼稚園に入りたての頃はうまく縄が回せなかったし、飛ぶのも失敗ばかりでした。でもその冬の間には飛べるようになってたんじゃないかな。馴染むってそういうことだと思います。

逆に、腕の位置を固定できない人は、いつまでもうまく回せない感じになって、二重飛びとかはできない人なんじゃないでしょうか。

そういう人は、ボール投げも苦手。腕を決まった位置まで持ってきてリリースする、という運動と力の関係に、体が未経験なためにうまくできない。

あやとびを飛ぶには、回転の軸を二ヶ所に作る必要があります。普通に飛んで、腕を交差して飛んで、という動き。これを二重跳びの形でやれば「はやぶさ」

手で「そこ」に連れてくると、縄が約束通りにうまく回すことができるようになります。連続の動作になっても、リズムを失わずに飛ぶ動きと回る動きが同調することでなわとびを続けてできるものです。

手でラケットを「そこ」に連れてくると、面が出てきてボールに当たる、という動きなら、しなやかにリストワークが使われていることになりますが、手首の力でボールを打つ、というような積極的な使い方でないことが理解できると思います。

バウンドしたボールが入ってくる角度と、スイングを入れる角度がうまくマッチすることで、ボールはうまく飛んで行くことになるし、自分の狙いにうまくその二つ(入ってくる角度と、出て行く角度)がマッチするように導く動きができることで、コントロールを意図的なものにしていくことになります。

スイングは始めてしまえば決まった動きをするように腕の形を決めておいて、スイングをするところにボールが来てくれるように動くのがフットワークだし、

スイングにボールがうまく入ってくるようにするのがスイングの目的だし、

当たったら出ていく方向にあらかじめイメージを持てることがプレーヤーのセンスだと思います。

 

そんで、それを磨いていくのが練習。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 10:08 | コメントをどうぞ

モンフィス!

オリンピックは今朝、準々決勝が行われていました。

夜中の12時に本来スタートするはずの錦織の試合は、天候が悪くて始まらないので、寝ちゃったんです。

朝起きたら5:15.

慌てて速報ページを開いたら、ファイナルセット4-5!

やっべー見逃したか!

リビングに降りて、テレビを付けたら錦織サーブの40-30にしたところでした。

「これをとれば、またモンフィスにプレッシャーをかけることができます!」と実況がしゃべっていたのが印象に残っていますが、トイレにも行きたいし、顔を洗って出勤の準備もしなきゃなんないし、と思っていたらデュースになって、でもキープ。5-5。

モンフィスのサーブになり、40-15から40-30をいい形のポイントでとって、さらにモンフィスは1stをフォルト。

もう行かなきゃいけない時間!ああっでもこのゲーム取ればでかいから・・・

みたいな、こっちは別の都合でアドレナリンが出ちゃう状況でしたが、モンフィスキープ。朝のレッスンに向けて、出発。。。

朝マックを買いながら、止まった車で速報を検索。タイブレ6-6!マジで!

そのまま見ていて、8-6だって!数字だけの結果でしたが、車内でひとりガッツポーズをして、再出発。遅刻しそうです。

さいわい、道は空いていて遅刻はしませんでしたが、出勤していた高島コーチと山崎コーチと、「勝ったらしいね!みてた?」と聞いたら、自宅の近い高島コーチはリアルタイムで見ていたそうです。

 

「またこれがいいロブがあったんですよ。。。」とニヤリ。ちくしょー、見たかったなぁ。。。

 

なんにせよ、これでメダルをかけた試合に臨む資格を得ました。

次の相手はマレー。バウンドの遅い五輪のコート。フレンチでも結果を残しているマレーは、遅いコートでも十分にタイトルを狙う(連覇になりますね)自信があると思います。しかしマレーはダブルスも2種目出ていて、ミックスはまだ勝ち上がっています。コンディションはどうか。

最初のセットを取った方が優勢になるような気がしますが。錦織がとればフルセットまで行くかもしれません。マレーが取ったら・・・ストレートで持っていかれるかも。

勝手な予想ですが、これまでのマレーとの対戦で、やっぱりなかなか簡単なポイントをくれないマレーに錦織がどう攻めていくか。

 

ホント、日本人としてこのレベルの試合を期待できる時代が来るとは思っていなかった数年前からしたら、奇跡の選手ですよね。

準決勝を上がればもうメダルは確定ですから、ここを決勝だと思っていくくらいで頑張ってほしいと思います。

 

 

 

 

モンフィスはことし、本気を出していますよね。

あの身体能力を活かしたハイパフォーマンスを、試合に勝つ方に大きく傾けて今年は結果を残しに来ていると思います。

全豪の準々決勝でラオニッチに敗れた試合もファイナルにもつれ込む激しい試合でした。

マイアミでの準決勝でも、錦織を相手に5つのマッチポイントをしのがれて大会を去りました。今回も3つのマッチポイントを先に握りながら、自らのダブルフォルトなどもあり、どんな心境でこのコートを去ったのでしょうか。

プロのアスリートですから、モチベーションを下げずに次から次へと試合をこなしていかなきゃならない生活だと思います。

 

いつだかマレーのインタビューで、「大会の勝者は常に一人。だから、敗戦する事は常につきまとうものだ」と言っていました。要するに勝ちたいと望んでいても容易にかなえられるものではないから、負けたからと言っていつまでも引きずることはない、と言っていました。

今回はモンフィスがその敗者になりましたが、どんな選手でも・・・このオリンピックでは初戦で散ったジョコビッチも・・・次に控える全米に向けて、すごい努力をしているんでしょうね。

 

カテゴリー: プロ選手オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 09:37 | コメントをどうぞ

オリンピックのテニス

日本人選手は全員が初戦を勝ち上がるという、上々のスタートでした。

すごい!特にダニエル太郎がジャック・ソックを倒したこと、女子ダブルスで土居/穂積が第二シードのガルシア/ムラデノビッチを倒したことはすごいニュースでした。

錦織にメダルの期待がかかりますね!第4シードということもあるし、おかげでドローも。。。同じ山にモンフィスとかチリッチとかいますが。

コートもあっているようで、いいラリーをしているように見えますし、余計に期待が持てます。

 

しかし、1回戦のハイライトはデルポトロが持って行きましたね!

どうしても撃ちぬけない、打っても打ってもそこにいるデルポトロ。錦織でもまだセットを奪ったことのない選手です。

2009年の全米を制し、スターダムにのし上がるべくして実力を開花させてきましたが、度重なる両手首の怪我で、ツアーを離れ、復帰してはまた離れ、という苦難のキャリアの持ち主です。

前回2012年のロンドン五輪で、錦織は多分最後の対戦をしてベスト8でデルポトロに負けてしまいます。準決勝でフェデラーに負けた後、3位決定戦でジョコビッチを倒して銅メダルに輝いたのが、キャリアの最後のハイライトだったと思います。

ジョコビッチはその後、神がかったような安定した勝ち星を重ね、ビッグ4からも一人抜けた存在になり、デルポトロは五輪後にまた怪我でツアーを離れます。

因縁の対決はこの五輪の舞台で、そしてランキング差からか、初戦で当たるという運命のいたずら。

互いにブレイクのない、7−6(4)・7−6(2)という、どちらもどうしても押しきれない、意地のぶつかり合いのようなスコア。

ゲームはジョコビッチにとって深刻で、フォアハンドを打たせると圧倒的にデルポトロのポイントになるので、バックハンドのクロスラリーにならざるをえず、手首の不安からスライスを多用するようになったデルポトロはそれがフィジカルの問題からなのか、あるいは戦略的なものなのか、ジョコビッチはこれといったパターンを見いだせません。良いサーブを入れ続けなければならず、数少ない浅いボールを見逃すことは許されず、不用意にネットを取ることもリスクを上げることになります。

バックハンド側で膠着していたラリーに展開を持たせるには一度大きくフォア側に振らなければならず、そのフォアは一発でエースを奪いにくるか、ものすごい威力でジョコビッチの次の攻撃を許しません。

デルポトロはジョコビッチに一度もブレイクチャンスを与えずにこの試合を勝っています。

それが、どういうことか。世界中のどのプレーヤーが彼に対してそんなパフォーマンスを発揮できるでしょうか?

むしろ、ランキングなどの実績の差を考えなければ、ジョコビッチはよくすべてのゲームをキープしてきたと思います。何度もジュースや、ブレイクのピンチを切り抜けて、2セットともブレイクを許さずに来たというのは、決してジョコビッチの調子が悪くなかったことを示していると思います。

 

敗戦の後、コートを去るジョコビッチは、堪えきれずに号泣しながら、観客に手を振って応えていました。それが、ジョコビッチは国を背負って戦いに来たこと、みんなの期待に応えようとしていたこと、自分にその資格があるという自負、初戦でそれらが散った無念。。。考えるともらい泣きしそうでした。自分にそんな経験なんかないのに。

 

ワタシ的には、ここ数年来の中では最大のドラマチックな番狂わせでした。

二人は友人で、試合後に抱擁を交わし、そこで涙を流していたのも、とても印象的でした。

デルポトロは2回戦も勝ち、今日ダニエル太郎と3回戦を戦います。

土居はストーサーに勝てるんじゃないかと思いましたが、ストレート負けでしたね。。。

日比野、杉田も2回戦で敗退しましたが、惜しい試合でした。

NHKスポーツ・というアプリがあって、解説や実況のない映像ですが、いろいろな試合が観れて、特にダブルスの試合が観れて喜んでいます。さすがオリンピック!楽しめています!

カテゴリー: プロ選手オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 09:26 | コメントをどうぞ

錦織のトロント決勝

カナダはトロントで行われた、マスターズ1000グレードの大会、ロジャース・カップで、昨年はベスト4だった錦織圭は、見事に決勝進出を果たしました。

なんでも、コメントでは「もうベスト4くらいでは満足しないです」みたいなことを言っているらしいですが、普通にそう思ってぽろっと言えちゃうなんて、なんてすごい人なんだ、って思いますよね。

そして今大会は第3シードで、準決勝では2シードにつけていたワウリンカを76・61のストレートで下しての勝ち上がりですから、そのコメントもうなづけようってもんです。

さて決勝戦の相手はジョコビッチ。今シーズンもセットをとったことはあります。ということは、流れのつかみ方次第では、優勢にゲームをすすめられれば、という期待があります。

朝ちょっと寝坊して、テレビを付けたら第一セット2-3の、錦織のサービスゲームでした。ミスが連発して、ピンチ。そしてトイレ行っている間に一瞬でブレイクされてしまいました。

キープされて、あっという間に2-5。キープして3-5ですが、やはりブレイクチャンスもなくキープされて、1stセットは6-3でジョコビッチ。

セカンドセットも序盤、いきなりブレイクされて0-2からスタートする不利な展開に。

相変わらず、ジョコビッチは走らされても強く、深く返してきて次の決定打につなげられない。リターンが良く、錦織のサービスゲームであってもちょっと気を許すとブレイクポイントを握られてしまいます。

そんななか、ファーストセットもワンブレイク、セカンドセットはブレイクバックに成功して3-3で並びます。

この、セカンドセットの中盤で、ジョコビッチにアンフォーストエラーが急に出るようになり、錦織が15ゲームでブレイクした後はラブゲームでキープ。画面の端っこには「直近15ポイント=13:2で錦織」みたいな表示が出るほど、ガクンと錦織側に流れが傾きました。

 

ここで、ジョコビッチのサーブが復調します。

おしいところで良いサーブに阻まれ、キープされます。

錦織としては、ここでさらにプレッシャーをかけたいところでしたが、なかなか攻めさせてもらえません。

 

この試合、錦織はサーブの調子もよく、タフなラリーも簡単には打ち負けることなく、調子もよさそうでした。

しかし、ジョコビッチの調子もそれ以上にいい。最初のセットは1stサーブの確率は85%。そしてポイント獲得率もそのくらい。これでは錦織のリターンが調子よくても、その後のラリーで主導権を取られてしまっている状況から、なかなか良い流れが来ていないことがデータからもわかります。

ジョコビッチはサーブがとてもいいですね。必要なら多少スピードを落としても、コーナーに入れてくる。セカンドになってもよいリターンに崩されない鉄壁の守備。

錦織も無理せずに1stサーブを入れていく、というよりなるべくセカンドサーブにならないでいる方がポイントが取れるという中、よく1stが入っていました。

 

錦織はゲームの仕方も、おととしよりも、去年よりもさらに進化していましたね。去年はかたくなにベースラインから下がらずに速い展開をつくり、またそれが成功していてランキングを上げたり維持したりの要因になりましたが、それで勝ちきれないような相手にはうまく前後の動きを付けて、自分のペースを崩さずにラリーするようなシーンが増えました。相手はさらにやりづらくなったと思います。

結果は、5-5からブレイクを許し、そのあとに盤石のキープをされて、決勝で敗れてしまいましたが、内容の濃い敗戦だったと思います。

ただ、真っ向勝負で適う相手でもありますが、切り崩すのにもうすこし、何かが欲しいところなんでしょう。それが何なのかはレベルが高すぎてわかりません。

技術的とか、戦術的な事よりもジョコビッチが不安になるような材料が欲しいですね。

流れが変わっているときのジョコビッチは、やはりどこか不安げで、それがミスにつながっているように見える。具体的になにがどうなると、というのが見えてこないのがチャンピオンの恐ろしさだと思いますが、オリンピック、そして全米と見据える中、今後はどうするのかすごく楽しみですね。

カテゴリー: プロ選手オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 09:16 | コメントをどうぞ