バボラと別れたダンロップが新たに投入するストリング、エクスプロッシブシリーズ、アイコニックシリーズ、それとシンセティックタフ。
ポリ、マルチ、モノを一気に大量投入、テニス界を代表するメジャーブランドが堂々とストリングの覇権を狙いにきた!
・・・まあ僕はトアルソンしかほぼ張らないのであまり新作は試さないのですが。
でもちょっと一種類だけ、他に聞き覚えがあるような名前な気がしたんですよ。
そして調べてみたらやっぱり、同じ名前のガットが他メーカーにあった!
ポリ界隈において古豪とも呼べるドイツのキルシュバウム、そこがこれまた2020年の新作としてEXPLOSIVE SPEEDを出していました。
まさかの名前被り。
ラケットとかストリングとかって似たような名前あるのはそこまで珍しくはありませんが、同じ名前ってなると案外思いつかないですね。
ヘッドのラケットとアシックスのシューズにプレステージがあるぐらいでしょうか。
そして今回はガット同士と来た、こんな美味しい話は無いでしょって事でこの2種類を用意して打ち比べようじゃないか!って話です。
・・・この比較は需要無さそう(笑)
咄嗟に思いついたのでキルシュバウム側のパッケージ品は用意できませんでした。努力不足ですね。
2つとも「爆発的な速度」だなんて何とも頼もしい名前をしていますが、製品紹介を見ているとかなり対照的な性能。
ダンロップは硬い材質でレスポンス性を追求、丸い形状で喰い付きを抑えて反発力を売りとする。
一方でキルシュバウムは柔らかいポリとして仕上げ、形状は五角形。
パワーを抑えてコントロール性とスピン性は申し分なし・・・
ん?スピード重視なのにパワーは抑え目・・・?
というか当たり前のように五角形?
ガットが爆発的なスピードを出してくれると言うよりはハードヒッターにそれを出させようとしているのか・・・?
自分ですね、前にマックスパワーっていうキルシュバウムのポリも使った事あったんですけど、それも凄い反発力なのかと思いきや全然飛ばず、ハードヒッターがボールシバき倒す用なのかって思ったものですが、キルシュバウムってやたら非力日本人に厳しいな・・・って印象。
キルシュバウムは触った時点で表面は感触硬め、そしてツルツル。
多角形かつツルツルでスナップバック性が高そう。
じゃあなんでスピードって名前冠してるん?
そして飛ばないと書いている割には張っている時によく伸びる。
ソフトポリエステルだからそうか。
伸びるガット=飛びそうなイメージだがどうなるのだろう。
そしてダンロップの方も外側は硬い。
色も同じだから見た目だけだともう見分けがつかない。
ただ、硬質で光沢のある外見に反して糸を通す時に少し抵抗を感じた。
という事で1.25mmをプロゾーン2に47ポンドで張って打ってきました。
両方とも黒色なので見分けがつかない(笑)
まず打ったのはキルシュバウムの方。
いくら飛びを抑えたと言っても47ポンドで張ればそこまで使い辛いって印象にはならない。
でも打球時にグッと捉えて相手コート上で落ちる感覚はコントロール系だと思わせてくれる。
爆発的とは一体・・・?
ソフト・ポリエステルを使っているとだけあって柔らかさはあるが、芯がしっかりしているようで大きくは撓まず、打球感は結構残る。
マイルドと言えばマイルドなのかもしれないが軟弱な感じはほぼ無い。
なので強くボールをシバいてもボールをちゃんとハードヒットでき、コートに収められそうな安心感がある。
五角形なだけあって相手コート上ではスピンが生きて落ちてくれる。
ガットの動きも結構良い感じ。
ただ、爆発的なショットで相手を圧したい場合は結構強く打たないといけないと思う。
このガットにはそこまでのサポート力はなく、後は自分でやってくださいって感じ?
ハードヒッターが使うとしっかり捉えて遠慮なく爆発的なヘビースピンを叩き込めるのでしょう。
ただ、そこまでの力自慢でなくても厚いフレームに張るとこれまた爆発的な反発力がコートに収まるようこのポリがサポートしてくれるのではないでしょうか。
反発力はなんだかんだで普通ぐらいか、もうちょびっと落ちるぐらいか?5段階評価で3~2.5?
スピン性能はそこそこ良好。月並みだけど4点。
打球感、コントロール的な部分は柔らか過ぎずしっかりしていて安心感あり。4~4.5?
そしてダンロップの方。
こちらは説明通りと言いますか、まず打球感は硬め。
でも弾き感があって硬い事による難しさは感じさせない。
ガットがグニャッと押し出す訳では無いがキルシュバウムのよりよく飛ぶ。
でもダンロップの狙いとしては硬くしてレスポンス性があるとの事なんでガットは撓んで飛ばしているのかな?
相手の手前でククッとスピンで落ちるキルシュバウムと比べると真っ直ぐいってくれるのが印象的。
飛びの良いガットでグニャッとガットが動いてボールを飛ばす柔らかめのポリが多いかなと思うのですが、このダンロップのは硬めなのもあって相手の強打に対しても打ち負けない安定感がある。
なので軽く打っても良し、強打の応酬も良しというバランスの良さ。
そして喰い付き感が無く、硬さによる安定感もあってか確かにボールの軌道も真っ直ぐで低め。
極端に高めへ打たなければ浮くって感じはあまりしない。
そういう部分でこちらもコントロール性はあるかなと思いますが、弾きが早い分キルシュバウムの方に軍配が上がるか。
飛び3.5~4、スピン性能は普通ぐらいで3?コントロール性も普通か3.5ぐらい、かなぁ。
説明と自分の感想がズレるのってよくあるかなと思うのですが、何と言うかメーカーの説明そのままの性能を発揮してくれていて、なんて事でしょうこの優等生君は。
それでいてこの子は他のタイプの同期達と同時デビューなので、求めるニーズに合わせて選び易いというのも強み。
柔らかめのツアー、喰い付きのバイト、六角形のスピン、弾きのスピード・・・
ツアーとバイトは日本製、スピンとスピードはドイツ製と製造場所は分かれていながらも、スピードがこれだけ素直な性能な上に選択肢がこんなにも用意されていると、他のシリーズも良い意味で性能が想像できそうじゃないですか。
・・・というかダンロップのエクスプロッシブスピードもドイツ製なんですか。
名前も色も原産地も一緒、でも性格は本当に真逆というのが何だか面白い。
それにしても、ツアーはグレーのみだけどバイトとスピンのカラー展開は黒と黄色、なのにスピードだけは黒と黄色に加えて青もあるという3色展開。
これってもしかしてダンロップのラケットを意識しての展開なのか。
スピン系のSXシリーズに黄色のバイトやスピンを張ってスピン性能を更に強化!とか、
強力な飛びのFXシリーズに青いスピードを張って真っ直ぐな強烈なボールを!とか?
でもダンロップのエクスプロッシブスピードはシャフトの撓りや弾道補正機能のあるSXに張っても、コントロール性の高いCXに張ってもプレーに攻撃力を出してくれて良くフィットする、そういう事なんじゃないかなと思います。
・・・SXもCXも現行モデル打った事無いから100%想像です(笑)
でもこの使い易さ、反発力はどんなタイプのラケットに張っても期待通りの活躍をしてくれそうです。