トアルソンが提唱する、厳選された9種のストリングを紹介する神糸ナインがひとつは勝機の糸、ポリワイヤープラス。
2021年期待の最新作であるこれを打ってきました。
トアルソンのサイトでの紹介文はこちら
神糸ナインの中でも最後に発表されたこのストリングは1月1日の0時に情報解禁、トアルソンとしても相当力を入れている様子のストリング。
勝機の糸と名付けられたこのストリングはどんなガットかと聞かれると、まずはスピン性とコントロール性のあるポリだそうで。
そしてポリのジャンルながらも材質はポリに弾性体エラストマーを配合したE-プラスチック。
ポリだけどポリじゃない、硬くない、暴れないのがポリワイヤープラス。
まったく新しいポリエステル、のような雰囲気、実は異質な素材でのストリング造りはある意味トアルソンの十八番のようで。
E-プラスチック、そしてポリじゃないポリと聞くと思い浮かぶのがサイバーブレードツアー・サーマックス。
サーモプラスチックとエンジニアリングプラスチックのブレンドで作られたハードヒッター向けのストリング。
サーマックスは2000年代のガット、この頃はポリが広まり出した頃なのかな?
バボラで言えばプロハリケーンツアー、シグナムプロで言えばポリプラズマが主流?
ヨネックスはポリをはたして出していたかどうか?
そんな時代から非ポリ素材のポリ系を出し、ガウディオやコリアといった世界ランカーが契約して使用して。
一般ユーザーでもサーマックスが良かったという声は今でも聞こえてくる。
根強い人気のポリですが、僕は世代ではないのであまりちゃんもした評価はできないかもなので打ち比べはしません(笑)
昔ちょっと使ってみましたが僕には合いませんでした・・・。
でも飛ばない割にはハードさを感じない不思議なシャープな打球感。
(シャープだったのは1.23mmだったからかな?)
2000年代なんていかにもポリ=ハードなイメージだったと思いますが、そんな中でこのフィーリングは頭一つ飛び抜けていたんじゃないかと思います。
さて、エンジニアリングプラスチックとE-プラスチック、非ポリ素材となるともしかしてサーマックスとポリワイヤープラスは似たストリングなのではないか!?
でもEプラスチックは弾性体エラストマーを配合してるのに対し、エンジニアリングプラスチックはそうでもない?
自分の情報網では詳しい事は分からないですが、どうだろ、サーマックスってそんな弾性的なフィーリングじゃあなかったような。
じゃあEの部分の名前が似てるだけで別タイプなのかな?
で、2本を見比べてたらめっちゃ似てた(笑)
グレーとか黄色とか白以外にも、サーマックスにこんな色もあったので比べてみたらコレでした。
てな訳で透明なガットは珍しいと言われたりしていますが、珍しいというか、むしろ昔からある古株みたいな立ち位置、悪く言うと過去のガットだなと思います。
サーマックス以外にもトアルソンだとレンコンもベースが透明で、色のついた弾性エラストマーが中に入ってるんですよ。
ジョーカーコアもそんな感じでしたし、今ではその2つは廃盤ですが、トアルソンとしては透明ポリは得意分野なのかも。
そして他メーカーで透明ポリで有名なのと言ったらキルシュバウムのスーパースマッシュ。
ゴーセンには国内販売してないけどポリロン。
バボラは昔ナダルが張っていたデュララストが黄色のクリアカラー。
なんだ、昔から透明ポリ沢山あるじゃん・・・とも言えるし、昔のポリだったからこそ今では既に廃れた古いタイプか。
これらのポリはみんな廃盤。
ポリロンとかデュララストとか、これらの透明ポリって結構硬くて、金額が安いってジャンルで、使用選手も有名どころはあまり聞きませんし、どんどん新しいポリも増えていったので現行商品から外されるのもまあ致し方なしだったのかなと。
でも スーパースマッシュは95年生まれながら反発力凄いって評判だったしキルシュバウムの顔的な存在でしたが、それでも今は廃盤・・・
現行で透明系ポリって・・・ポリファイバーのパンテーラ?
あとスノワートのサニーコアとか・・・あれは外周ナイロンか?
透明ポリは古くからのポリではありますが今では数も少なく使用選手も少ないタイプ。
だからこそ、その透明ポリを現行品として出せるトアルソンがどんなのを造るのか気になるところ。
という事でストリンギング。
パッケージを開けた時のバラけ方が凄いってのも特長の一つだそうですが、確かに活きの良さを感じる。
でも張り易いかどうかと言われると・・・僕的には、うーん、あんま深く考えずに張ってるせいか普通ですかね・・・(ぇ
ただ感じるのは、見れば見るほど透明なガットで、そんで手触りはやはり見た目通りの硬めで、ますますスーパースマッシュとかポリロンを思わせる。
透明なポリって大体硬い打球感なのばっかだけど、ポリワイヤープラスは柔らかいとの前評判。
本当かなぁと不安になってくる。
で、今日打ってきました。
手でガットを叩くとバインバインと跳ねっ返りを感じ、これは飛ぶんだろうなと最初は思ったのですが。
ストロークをいざ打つと、打った時の感覚は結構飛ぶなって感じだったんですよ。
でもボールが相手のコートにいくと失速して、コート内に落ちる。
打球時の飛び出しの感覚に対して実際はそれほど飛んでいかない?
ガットの形状は丸いんですが余程スピンがかかってるんだなぁと。
スピン量があるおかげか滞空時間が長く感じ、コートにも収まるのでスピン、スライス、色んなショットを色んな方へ打ち易く感じる。
その一方で、飛ぶと思いきやあんまり飛ばず、ふんわりと失速するのでボールのスピードは出し難い。
丸い形状ながらスピンがよくかかる、トアルソンはそういうポリが多い。
プロフォーカスやレイザーも飛んで落ちるポリエステルと銘打っていて、スピンがよくかかるタイプでした。
特にプロフォーカスはコントロール重視のポリで一見ポリワイヤープラスとポジションか被ってるように思えますが、プロフォーカスはボールに伸びがあり、吸い込まれるようにコートに収まる。
失速気味にコートに落ちるポリワイヤープラスは攻撃力の面で劣るようですが、スピン量が多い分、より多彩な球種や軌道が活きる。
コントロール面の特徴として挙げられる、硬くない、暴れないという点もポリワイヤープラスはスグレモノに感じます。
手触りでは硬い感触を思わせましたが、打ってみると硬さによる弾きこそありますが、硬さ、振動の負担はそこまでは感じない。
撓みはそこまで大きくは感じませんでしたが、しっかり当たる感覚が手に伝わってからバインとガットがボールを跳ね返す。
跳ね返す感覚と一緒に硬質なポリらしい弾きの感覚もある。
硬さによる嫌らしいダメージの少なさは、それこそサーマックスを彷彿させる。
でもナイロン程ではないかなぁ、やっぱポリはポリ。
それに、そこまでボールが飛ばないので、飛ばそうと段々と強く打っていったら面倒臭く感じるかも。
そしてインパクト時、これが暴れず安定しているのか、打球の飛び出し方は真っ直ぐ。
上方向にボールをふっ飛ばすとそのまま飛んでいくので一瞬不安になりますが、ちゃんとスピンかけてれば失速して落ちてくれるので、ループボールを打ちやすい。
ただ、低めのボールを持ち上げようとすると、しっかり打たないとボールがネット直撃。
真っ直ぐ飛ぶ上にスピンがかかりやすいので余計に持ち上げ難い。
ガットの表面が硬質な事から、インパクト時にガットが暴れ難いのかも。
それでもガットのウリとしては撓み量があり、スピンもかかるという事になっていますが、、、
スナップバックとしての動きもちゃんと働いていると思います。
そして、ガットの表面はとても硬いように思えるのですが、耐久性が低めとの感想が割と見られます。
それでやはり、滅多にガットを切らない自分でも1時間程でノッチができていました。
ガット同士が硬過ぎて、それな仇となってすぐ削れてしまったか。
そしてこういう透明系のポリの宿命か、ガットがズレたままになり、手でズラそうとするとギシギシと音が鳴る。
(写真では横糸をノッチが見えるようにズラしてますが、縦糸は打ってそのままの状態)
この点はまるで古い世代のポリ達と一緒。
スピンを重視する方は滑りを良くするメンテナンスが欠かせないと思います。
打ってまだ一回目ですが、最初はスナップバック良いと思いましたが、こんなにガットがズレてるとこれからどうなっていくか・・・
ボールをガットに引っ掛け打つと撓みによる飛ばしを感じられますが、強打するとどうしても途中の失速感が気になり、攻撃的なプレーを好む人やガットにパワーを求める人はイマイチかもしれません。
ですが、ふんわりと滞空時間の長いスピンやスライスが打て、かつコントロール性も良好なので、色んなショットを楽しめるポリだと思います。
このガットはブレークバックのキャラとコラボしていて、そのキャラ、大城零はシコラーで、(主役なのに・・・)
淡々とボールを繋ぎまくって小学生の頃に全国制覇を果たしたテニスマシーン。
そんな超シコラーな大城零とコントロール重視のポリワイヤープラスの相性はまさにバッチシ。
しかしポリワイヤープラスのスピン性能を思うと、機械の如く繋ぐシコラーもそうですが、スピンとスライスで相手を翻弄するタイプのシコラーが使うのもなおさら面白いと思います。
なんだったら、どうせ強打してもコートに収まっていくならハードヒットで打ちシコリする人も遠慮なくボールをシバき倒せるかも。
色んなタイプのシコラーにおすすめだなと思いますが、まあコントロール性能高いので、攻めるタイプの人もエースが狙いやすくなるのではと思います。
似ていると思うガットはHDアスタポリ、硬質な弾く打球感が似ている。
が、硬質と言ってもポリワイヤープラスは高弾性エラストマー、アスタポリは異弾性複合コアによって負担の少ないフィーリングを実現している。
スピード感やキレはアスタポリが勝る他、トアルソンでの反発性能の評価ではポリワイヤープラスが3.5、アスタポリが4.5らしいです。
難しいところですが、弾力ではポリワイヤープラスだと思いますが、スピンで失速する分、飛ぶのはアスタポリ?
でもアスタポリもそこまで飛ばしやすい方ではないと思う。
トアルソンのteraさん曰く、ポリワイヤープラスに近いのは高弾性エラストマーを使っていたレンコンの方じゃないかとのこと。
性能的にはプロフォーカスとコントロール重視のポリとしてキャラ被りですが、プロフォーカスはシャープに喰い付き、ポリワイヤープラスは硬いガット達で捉え、弾く打球感。
伸びのあるショットはプロフォーカス、緩急のショットはポリワイヤープラス。
他メーカーだとやっぱり透明系のポリが感覚が似ている。
でもポリロンなんかと比べると余裕で飛び、打球感にハードさは無く、断然ポリワイヤープラスは使い易い。
ただ拘って作ってる分どうしてもコストでは勝てない(笑)
そして使い易いと言いつつもポリワイヤープラスの滞空時間が長い失速するショットは独特で、他のポリと比べると癖が強い球質に感じます。
色んなショットを色んなコースに打ち分け易く、ボールを打つのが楽しいのは良いんですねどね。
柔らかさで言うとこれより柔らかいポリはごまんとあると思います。
少なくとも表面が硬いのは透明なポリ特有のもの?
それでもただのポリではなく弾性体エラストマーを配合しているのでダメージが大きい、敷居が高いポリではないはずです。
でも飛びがそこまでなので、できればパワーのあるラケットに張りたいところ。
ナイロンと同じ感覚とはいきませんが、柔らかいナイロンとは一線を画した打球時の安定感、ボールコントロール、そしてスピン性能を堪能できるでしょう。
もちろんポリの中でも、これらの性能は際立つレベルだと言えます。