月別アーカイブ: 2016年5月

頭でわかって身体ができない・身体がわかっていても頭が理解できない

きょうのタイトルは、前者の方がよく言われていることだと思います。これは本当に結構あるし、おそらくどんな人でもそう感じていることが多いものだと思います。

イチローですら、頭で理解できたからって出来ない事ってあるよね、とコメントしたことがあるくらいですから、ホントに世の中そんなことばっかりなんでしょう。

どうじに、体ではわかっているはずのことなのに頭で理解できないこともあるんじゃないかと思います。

「思い込み」ってやつ。

あーでもこれも、わかっているようで出来ない事だから、結局は前者と同じことかもしれませんね。

 

 

コート半面を、フォアバック交互に、ダブルスラインからセンターラインまでの幅をいっぱいいっぱい使って、テンポよく球出しします。ボレーボレーのリズムか、もうちょっと遅いテンポくらい。

スクール生の皆さんは、最初、全然取れません。せいぜい2球とって3球目でまだ続いていると「あれっ」ていう感じで、すごく遠いところにボールがあるような感じになって届かないか追わない(追えない)感じになります。

この練習で優しさは仇にしかならないものです。先日の記事でも書いたように、「走るのを途中でやめて手を伸ばす」ことをうまくやると、コート半面のカバーはたいして遠くないことが分かります。

この練習は、とおい左右交互の球出しと、ちかい交互の球出し、そのあとランダムに色々なところに球出しをしていくことで、クローズド・スキルに対応する構えと時間の使い方の意識ができる練習。

ラケット面がちゃんとできるようにするために打点を後ろにしても大丈夫なくらい、手首の形で面の角度を決めて、前に迎えに行くのではなく、面にあたるときには自分の思った方に返球できるように合わせることで、ボールが飛んでいる時間に自分ができることがちゃんとある、ということがわかる体験をするための練習です。

 

ラケットを持っているという意識よりも、自分の体を動かさなきゃ、という意識が強くて、無駄に走るし、一本しっかり打ってその続きにイメージがない。

テニスはラリーをしながら上達していくスポーツだと思いますから、一本だけうまく打てても、その先のラリーができなければ、試合になったときに戦術が立てられなくなります。

自分の体ではラケットを持っていることをはっきり認識しているのに、どうやって振ってどうやって当てれば、ということよりも自分の体がボールの位置まで行くことと、腕に力を入れることまでで、ラケットにどうやって当てればいいかとか、ボールがラケットを押してくる力をどうラケット面で処理すればイメージした狙いと一致するのかとか、そういう意識までいかないものらしい。

 

おそらく、自分自身も長くそうだったんじゃないかと思います。いや、こんな偉そうな事を書いていても、かなりの確率でわかっていないこともあるんじゃないかとも思います。

とくに、バックハンド側にいっぱいに腕を伸ばす動きをするときに、腰と肩をひねってより遠い位置に手を届かせるということが分からない人は多いです。

やって見せて、素振りをさせてみてから、実際にボールに届かせてみて、なんていうプロセスを踏まえてみてはじめて「あっ」みたいな表情になる人もかなりいます。

腕を前に振ることがボールが飛ぶことだと単純に認識しているわけです。もちろん、そうやってボールは前に飛びます。ちゃんとラケットにボールが当たれば。

腕をたたんでおいて、ボールに届いたときには跳ね返っていく方向がわかる程度に面を作る予定で、走るよりも腕を伸ばすことを前提ににゅっと腕を打点に合わせると、関節のある腕は、一定の動きをしてくれて、届いた瞬間にはヘッドが出てきてボールにパンチを与えるくらいの形になって動きます。

ボールとの衝突に負けない程度の力だと思いますが、それが適当なくらいでちょうどいいものなんですね。そこから前に余計に振ってもとくに効果は上がりませんし、ヘッドを後ろに引いてパンチ力をつけようとしても、今度はあてるのがむつかしくなったり、当たったら当たったで飛びすぎちゃったりします。

回転をかけて力を逃がす方法もありますが、それを常にやっていると今度は当たる前から力が逃げる方向に動くことになり、攻撃的なボレーが出来なくなります。

打球後に手のひらに打球感覚が残りますが、かといってボールが当たってもう飛んで行っちゃってるのに、当たった後に向かってフォローをとるような力の入れ方をしても無駄。

インパクトの前から作っておいて、インパクトの向こう側まで抜けるようなフォローは有効ですが、うまくいかない人は見ていると当ててからどこかへ押し出そうとしたり、面をひねってみたりしています。

インパクト前の面がきちんとしていないでフォローに向けて動いても、入り口があっていませんから当たり損ねもするし、ラケット面がぐらついて不安定になったりします。

インパクトこそがコントロールであって、反面インパクトこそがミスの原因でもありますから、確実な準備が必要です。

インパクトまでの「テイクバック」「フォワードスイング」そして、当たる予定のラケット面の「向き」の影響でスピードやスピンの方向、コースや高さなどの条件がすべてそろいます。

スイングがボールにたいしてきちんと入り口を作るような意識でいる事、という言い方はワタシがよく使く言葉ですが、意味が分かるとそうなのかな、と思えると思います。先に待っていて合わせながら確実にボールをとらえられるようになるし、自分の慣れているスピードまでの処理は安定していて、それ以上にスピードが速かったり、バウンドが変化したりすることで準備が崩れてしまえばミスにつながりやすくなります。だからむつかしいショットを打ってくる相手が苦手な感じがするわけです。

 

手の中に、「感覚の中心」になるところがあって、それがラケット面と動く軌道を把握できるようになってくれば、あとは飛来するボールの進入角度と合わせて出口の方向を作るだけです。

大事なのは、処理速度を速めるために、約束にしてしまえるかどうか、ということです。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 15:12 | コメントをどうぞ

考えること、時間を短縮すること

テニスの上達に必要なものって、この訓練することと、時間を短縮することっていうことをもとに考えていけばいいのかな、って思うようになりました。

技術に対する理解も、最初の段階ではある程度必要です。

要するに、最初は見よう見まねで形をまねしながら、全体のリズムを理解する。しかしたぶん、まねをされている側の「上手な人」よりはクオリティは落ちるはずです。それは「不慣れだから」という理由で。

その次に大事な要素は、「ボールが当たる瞬間」をいかにうまく迎えるか、ということをイメージし、実行する力を身に着けることです。

インパクトは一瞬で、ミスをするということは、ボールが当たる瞬間に結果として出ているものがそうだということ。テイクバックの段階でミスの要素が現れても、それ自体がミスではありません。そのまま要素を引きずって結局インパクトで面の向きが間違ったとか、真ん中に当てられなかったとか、タイミングがずれたとかの結果がミスにつながることになるからですが、そういうことはボールが当たる瞬間までに修正したりごまかしてミスにならない程度に収めちゃったりすることができます。

できるようになってみれば、正しいであろうインパクトのイメージから逆算してフォームをつくる、というようなものになっていると思います。

例えば基本的なラリーのペースで打ち合っているとして、再現性の高いフォームで打っていたとします。急にある一球が、相手がすごく速いショットを打ってきたときに、適切にテイクバックを小さくしてインパクトを狂わせないように調整できていれば、攻撃的に打ってきた相手のショットをうまくかわせることになるでしょう。

 

 

そしてテニスは打ち方を競っているわけでも、ショットの優劣を競っているわけでもありませんから、ゲームの中で自分のショットをどう使ってやりくりしていくのか、それもその日の調子や相手のテニスに合わせて最適を考えながら対戦していくものです。

ダブルスであれば、陣形やポジションを刻々と変化させながら相手の戦術に対応させていくことも必要です。

シングルスであれば、相手の得意のショットが出やすいポジションやペースに乗せるようなショットなどを打たないことや、自分がフリーで決め球を打てるように相手を振り回したりある位置にとどめておいたりなどの工夫が必要になります。

 

戦い方を考え付いたとしても、自分のテニスにその実行力がなければ思うような展開には持ち込めなくなりますから、状況を考えて必要なショットを打てるように自分を鍛えておくのが練習の意味かと思います。

苦手なショットを練習したり、得意なショットを広範囲に打てるようにしたり、ショット自体の手ごたえや、相手のショットに合わせるフットワークなど、課題をもって技術の習得に当たるべきだと思います。

練習といえば、うまくできないことを指摘されてなおされる、というのはスクールでよく見る光景ですが、最近(ここ数年間の)ワタシのレッスンでは「できるってことはどういうことか」を紹介して、ミスをしても修正することを考えるように反復練習と、シチュエーションを作ってのラリーからで状況に慣れる練習をする意識を強く持っています。

単にショット練習をする場、としてスクールのコートを使うのではなく、テニスコートに立ってボールを打てるときだからこそイメージがわくような練習内容を考えています。

初級でも上級でも、目的はゲームをすることと、ゲームを楽しむことだと思います。それはワタシのレッスンを受けてくれる人が逆のイメージをもつかも(ショットに詳しく説明がある)しれませんが、ゲームで現れる状況に対応が聞くように、一様なショットだけを身に着けるような練習はしないつもりでやっています。時間がかかることをわかって、半年とか1年とかのスパンでショットからつくりあげていく予定を立てていくような考えでやっていくのでそう思われても仕方ないかもしれませんが。

 

例えばシングルスクラスでは、もう4か月以上、球出しの後はサーブとリターンのラリーをしています。サーブのアップをしないでいきなりラリーになることも多いです。

というのは、試合の日に入念にサーブを打ちっぱなしの状態で練習できることは少ないからだし、特に男性のゲームはサーブかリターンかの出来が良いだけでゲームの結果の多くを支配することになるからです。

サーブがすごく良くて、相手のリターンが甘くなるなら、ポイントのペースをつかむことがしやすくなりますし、サーブ自慢の相手をしたときに、リターンが確実に返るとか、セカンドサーブになった時にはきちんと攻撃的に先手をとりにいく意識ができるようになれば、ブレイクのチャンスが広がる…そういうことを想定してこのメニューをずっとルーティンにしています。

というのは、こういう場面ではこうしましょう、と何回かレクチャーしたところで、すぐにできるようにはならないからです。

できちゃう人は、もともとそういう意識でゲームができていた人だし、ある程度かそれ以上勝ちにこだわっていた時期がある人だと思います。

スクールに何かを「教わりに」来ているひとは、最初から最後まで教わったらできるようになると思っている人も見かけますが、実際には自分自身が意識して状況を見て、そのうえで瞬時に判断して決行しなければ、イメージしたような美しいポイントは取れません。

教わった時に教わったことをやるのではなくて、「いつもやっているあの練習だな」と、もう考えなくても分かるようになるまでやりこむことで、自分自身がどんなプレーがしたいか、ネットの向こうにいる相手でそれができるか、あるいはその相手だったら自分が勝つためには何が必要かを判断できるようになるまでは慣れるための時間が必要だと思います。

人間、刺激があることで記憶が鮮明になるということも考えなくてはならないので、そのあとのメニューで変化やポイント形式にするなどの毎回違う項目を追ってもらうことで、さらに自分がどんな時に何ができて、相手に何をされると弱くなったりするのか、イメージに残してもらわないといけません。

 

ダブルスであれば陣形をまず作っておいて、そこでこのコースに打ったら相手はどうするだろうか、ということを考えるようにシチュエーション練習を行います。

その前に基本的なカバーリングの動きがわかっていなかったり、前後の位置の意味が分からなかったり、狙った通りのショットを打てなかったりするので、ダブルスのクラスではテニス自体の基本練習から、陣形にテーマを持たせて自分(またはペアの)ショットがここに入ると相手はこうしてきやすい…などのイメージをもたせます。

入った場所が同じでも、速かったり遅かったり、深かったり浅かったりすれば相手の対応は変わりますから、お互いに立場を交換しながらできることとできないことを判断しながらやればいい。

空いたスペースが見えたからといって、急いでそこに打ったら狙ったコースのアウトまでボールが飛んで行ったりすることは本当に多いです。要するにやりたいこととできることのギャップに頭が追いついていない。

バックハンド側にチャンスが来たからといって、思い切り打ったつもりでもそんなにフォア側のスマッシュみたいなショットが出てくるわけじゃありません。大振りをしてしょぼいショットが相手に取られて、次の構えができないうちに逆襲を食らうことだってすごくよくある光景です。

決まっているのは最初の一球だけ。それは狙った通りに打てなければシナリオが始まりません。そのショットが強く入った時に相手ができる対応と、やっと入ったような弱いショットの時に相手ができる対応が違うこともすぐにわかるはずです。

教わったことをやろうとするのではなくて、相手がスマッシュの構えをすれば強烈なショットに覚悟を決めなければなりませんし、バック側にツーバウンドぎりぎりのところを届くようなときには相手の上げたチャンスに向かって高い打点で攻撃できるように用意できなければいけないと思います。

 

訓練していくことで、状況を見てから判断・反応するまでの頭の中や身体の動きの処理を早くしていく必要があります。

 

相手が何をしてきたか、自分が打ったショットが相手に何をさせることになるか、見ていて想像がつくようになるには、いろいろな相手からデータをとりながら、自分のできることの範囲を知ることがどうしても必要になります。

言葉で言い表せなくても、なんとなくでも次の対応に向けて動けるようになっていなければ、いまいるレベル以上のステージで戦うのには不足している感じがどうしてもしてしまうでしょう。

カテゴリー: 日記 | 投稿者ナガキヤスヒロ 15:15 | コメントをどうぞ

走らないで手を伸ばす

クローズド・スキル(行動に対する次の情報がない状態=テニスのラリーと同じ・次はどんなショットが来るかわからずに構える)に対応することの、基本的な部分のドリルです。

 

そもそも、相手がショットを打つときに、何がわからないってどこに向かって打ってきてくれるのかわかりません。

プロならばそれでもフォームができている方を予測したら、相手も思った通りに打つんでしょうが、一般だと打っている本人すら自分の思った方向と違う方に売っていることだってある。

だけどラリーはできますね。見てから動いて間に合う部分が多いからです。

初心者よりも、上級者の方がテンポの速いラリーに対応ができるのは、次になりがあるかを、ある程度絞り込めるからで、逆を言えば初心者はそれができないのでゆっくりしたラリーで慣らしていく必要があるってこと。

そしてボレーが先にうまくならないのは、ラリーのテンポが上がるので、急にはついていけない時間の使い方になるから。

どっちに来るか予測がつかない、って言っても、上級者だって未来が予測できるほど超能力を身につけているわけじゃない。

次に何が起こるかを見ていられるゆとりがあるっていうことと、動作をシンプルにして、再現させる意思がちゃんとしている、というのが対応のよくなる秘訣みたいなものです。

ボールが飛んでやってくる、っていうことが慣れた風景じゃない初心者は、いちいちボールを見ていないとどこでラケットを振り始めればいいのか、どの形でラケットを出したらいいのか、頭の中で処理しなければならない項目がたくさんあって、ゆっくりしたボールでもすごく複雑な判断を高速処理しているようなものです。

上級者は、動きの約束ができていたり、見たボールから短絡的に次の動作のスイッチを入れれば自然と形になる=つまり、よく訓練されているからこそできる判断と反応がほぼ同時にできるので、処理する項目をいくつも飛ばしてあっという間に対応できるようにしているからできるんです。

 

それの、疑似体験をしてもらう、ボレーのドリルです。テニススクールのローテションドリルの一つとしてやっているので、一人当たり約2分ほどで対応が自然になります。

①半面の振り回し

一定のテンポで、コート半面をダブルスのサイドラインからセンターラインまでをフォア・バック交互に振り回します。テンポはボレーボレーのリズムで。

そうすると、最初はほとんどの人が全てのボールに走って追いつこうとしますが、一球とったら、次のボールが遠くて届かないと思います。

大変なんだけど、気付くまでは10球でも20球でも出し続けます。

気づいた人は、疲れてきた頃から楽になる方法を探し始め、そうでない人はコーチの判断で体力が尽きる前に(笑)ちょっとしたコツを教えてあげます。

走るのを途中でやめて手を伸ばせ!

っていうことで、ちょっと走って腕とラケットの長さを活かしてあげれば、結構少し動くだけで届くんです。

バックハンド側は、肩もねじって余計に手が伸びることを教えてあげないとできない人が多いですが。

だいたい、チョンチョンとサイドステップで動いてラケット持っている方の腕を左右交互にいっぱいに伸ばすと、腰と肩をうまく使うことで両方が楽に届くようになります。

同時に、ボールがそんなに速くないことと、自分の方が間に合う時間を持っていることに気づきます。

腕を振らないとボールが飛ばない、みたいな感覚を持っている初級者には、ラケットが届いてちょっと握ればもう面に当たって跳ね返してくれるってことがわかります。

ついでにもうちょっと声をかけてあげると、当たる瞬間に狙いの方向に面の角度を決めるような手首の形をしておけば、安定した当たりの強さと方向や高さの再現性に気づくはずです。

 

②近いボールで交互に動く

正面に近い位置に、フォア・バック交互に球出しをします。テンポはさっきと同じくらい。バックハンドはお腹の前なら利き腕を横に引くようにするだけで正面のボールの処理ができます(肩の高さから上はできませんが)

フォアは逆に、体につかえて正面のボールの処理ができませんが、軸足を引いて、自分が回転ドアになったようにボールを避けるような動作をすることと、肘を背中側に隠すようにすれば、体の近くの面をうまく作ることができることがわかります。

①で、いっぱいに伸ばしたラケットの、手首の形と握りの強さだけでボールがきれいに返せることがわかると、腕の関節はボールとの距離の調整で伸ばしたり縮めたりしても大丈夫なことがわかります。

この件があるので、①と②の順番は変えられないと思います。①でわかったラケットの扱いかたが②で応用できるってことになります。

ラケットは動かないとボールを跳ね返す力が弱くなりますけど、それは腕を振らないとボールが飛ばないって意味ではない、という初級者が一番理解できないであろう基本の部分です。

届いた時に、ちょっとボールが跳ね返りやすい持ち方をしておいてね、っていうアドバイスになってしまうんですが、それが一番言い方としては簡単。

握った感覚でボールが飛ぶことがわかれば、腕の長さはボールに当てやすくするために使うもので、曲げたり伸ばしたりしてラケット面の真ん中にボールを合わせる方法を体験的に身につけていけばいい。

 

③ ②の練習中に、突然ランダムに切り替える。

②のフォア側は、体の裏側に腕をかくすように使うって事と、軸足を引いて前から来るボールを回転ドアのように避けて通す、っていうことができるようになる練習です。

これ、ボールの方に突っ込んでいったらできないよ、っていう練習なんですね。

なので、ラケット面が用意できるところにボールが来るようにうまく動く、っていう練習に①から切り替わっているので、飛んでくるボールに向かって行って(プレーヤーの意識では「素早く追いついて」)しまうせいでラケットの時間がなくなる、っていうことに気づかせてあげないと、ランダムが非常に難しくなります。

先に予測、と意識的に近い「予想」をします。

「たぶんフォアだ」とか、

「お願いフォアであって」とか、

「ついフォアに」動いてしまう、動作のクセが出ちゃったりするのは、根拠もなく「急いで動かなければならない」と思い込んでいることと、

ノーバウンドで返球する=ワンバウンドよりも早い(実際に時間は半分ほどしかなくなります)タイミングになるという予備知識から、ボールを見た直後にボールに向かって顔から突進する形になります。

その潜在意識をこちらから強制的に消す(一時的な疑似体験に過ぎませんが)のに①と②の練習が必要になります。

①は「まだ手を伸ばせば間に合う」で、

②は「体の後ろでもラケット面ができる」です。

手首の固め方や、ラケット面の角度をどうするか、というのは連続でボールをどんどん法則的に出して行って、フォアの次はバック、その次はまたフォア、と短い時間の中にどんどん情報を上書きして行って、自分で考える時間を与えないくらいにします。そうすることで、ラケットを持っている手に意識が行くようになる。

これが、上級者のやる、動作に短絡的につなげる、という動作の約束に近くなってきます。

球出しを続けながら、フォアの次はもう一度フォアにしても、急に遠目のバックにしても、見てラケットが間に合うのがわかってきているので、対応が自然になります。

動きはゆっくりになっても、ちゃんと間に合って返球できるようになるので、いろいろなボールがやってきたとしても「これなら返せる」という意識のもとでラケットを扱うようになり、ほとんどの生徒さんがラリーの風景で全てのボールを返せるようになりました。

 

最初の振り回しがきついので、体力は相当奪いますが、うまく盛り上げて運動しに来たんだからこれが楽しい練習だった、みたいな印象でやってあげられればいいですよね。

コーチとしては要素をきちんと見極めてあげること。①に素早く気づいたのならその段階は早めに終わらせてあげて、③のメニューを長めにやったり、テンポをゆっくりにしてよりロングラリーの感覚にしてあげるのもいいと思います。

①で気づくのが遅い人には、体力的な部分を見てあげて、たくさん走れる人にはそれなりに追い込むまで走らせて、息を上がらせてからアドバイスをあげます。

そうでもない人には、早めにでもいいので「途中で走るのをやめて手を伸ばせばいい」と簡単なアドバイスをします。

 

 

 

これで分かるのは、結構生徒さんっていうのは、手に持っているラケットを使ってこうやってやろうという意識ができていないものなんだなってこと。

空中でラケットとボールがうまく当たるように頭でイメージしておいて、先にやる行動が「ボールを見に行く」ということなんですね。これは下のクラスであるほどほとんどの人がそうやって動きます。

ボールを見たら腕の長さとラケットの長さを物差しにして、だいたい一歩、大きく動けば届くな、っていう判断ができるのは、ラケットがここにこのくらいの長さの道具として存在する、という感覚的なところが優先されないからなのでしょう。

もちろん、その生徒さんたちは全員、右手でラケットを持って左手でフェースの真ん中がどこか、目をつぶって当てられます。手で道具を持つということは、その道具のどの位置がどこにあるか、握ってわかる感覚があるものなんです。

 

だけど、よく見ないとわからない、という「飛んでくるボール」からプレッシャーがうまく扱えないようにしたり、余計な力みを産んだりするものなのかもしれませんね。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 09:02 | コメントをどうぞ

サーブの打点と、スイングと、身体上の位置

前回書いた、サーブが入る形になった話。

よく「上に振れ」とかいいますが、サーブの難しいところってのが、

まず

高さのコントロール

深さのコントロール

だと思うんです。

どちらも、ネットがある為に許容範囲がすごく狭く感じます。

超すのが難しくなさそうなネットと、ベースラインから見るとネットの下にしか見えないサービスライン。こいつが問題をむつかしくしているわけです。

前回のワタシのブログで書いた解決策が、「すっごい高くても入る」でした。これって、サーブがすごく遅くなるってことでもあります。

まあでもこれって、距離のコントロールが出来るようになれば、軌道を下げるのはそんなにむつかしくないです。要するに軌道の曲げ方が分かるので、ネットを効率よくよける方法を会得したような気になるからです。

身体動作上の問題なのは、ひとことで言えば

 

ボール投げの動作に似ている

ってことですね。

そのせいで、身体の向きとラケット面の向きのイメージの差に悩まされることになっているんだと思います。

腕を振っていく方向に飛ばしていくような感覚だと、狙って打って強く当てられる人ほど遠くへ飛ばす形になってしまうからです。

スピードが増す=距離も増す

という当たり前のことが、テニスのルールのせいでネットを越えたらサービスラインの手前に落とさなければいけないサーブをむつかしくしています。

なまじ、プロ選手が200キロを超えるようなすごい強さのサーブをそこに入れているわけですから、出来そうな気もする。

けど、グリップが厚くては打点が高く取れずに軌道の仰角を損することになります(浅い角度で打ちおろすとネットを越えても浅く落ちない)し、腕が先に前に出る形だとアンダースピンがかかって余計に落ちない。

ラケットのスイングは、打点に向かっていくべきもので、ターゲットに向かって振るものではない…くらいに考えておくとイイです。打点だけに向かっていってもコントロールがつくわけじゃないですが。

で、そこでスイングの力が出ていく方向がターゲットの方向、ってことでいいと思います。

打点でラケットにスピードがあると、飛んでいくボールにスピードが乗るものですが、みんな勘違いしているのは打点の位置に合わせて力を入れればいいと思っていること。

打点の位置がゴールになるように振りはじめにスイングの距離とスピードが加速するようにしておけば、加速しきったところが打点になるはず。

その為には体の後ろ側で出来るスイング(フォワードスイング)がサーブの成否のほとんどを担っていると思っていた方がいいでしょう。

姿勢を保って、腕が体の前に出てこようとしないスイング

打点を高くとったら、フェースが上向きにならないような握り。

緩んでいない手首(スピードを出そうとするあまりラケットごと投げちゃうような力の入れ方でない方がいいです=コントロールのためには)

当たった瞬間にヘッドが前に出るような力の入れ方

みたいなものでしょうか。

条件としてはそんなにむつかしくない。

だけど、これが狙った方へとばすイメージになかなかならないんですよね。

連続してやみくもに打ち続けると、そこそこ方向とか高さとかが揃ってくると思います。そこから自分のイメージに合わせてコントロールの要素を面に持たせるようにして行けば、根本的な改善も出来るようになるかもしれません。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 19:15 | コメントをどうぞ

サーブが入るようになった頃

ワタシ、サーブは最初、すごい入らなくて苦労したんです。

15でテニス始めて、18でコーチのバイト始めたのですが、本当の意味のなんちゃってコーチでして、自分の中の「確実なもの」が何一つなかった。

19の時に、先輩方に相手してもらったダブルスはもちろんボコボコで、しかも相手のマッチポイントで私がダブルフォルトして負けて、あまりにも下手くそで泣いたことがあります。

そんな中、掛け持ちしていたスクールのヘッドコーチだった「センセイ」に、スピンサーブを打てるようになりたいんですって相談したら、

「高く打て!」って教わったんです。

「高くって?これくらいですか?」ってコートで打ってみたら、それでも遅い、高い弾道のサーブだと思って打ってみたんですが、「まだまだ!もっともっと!」

「え!もっとって?これくらい?」

「まだまだ!」

っていうやりとりを3回繰り返して、ヤケクソ気味に天井サーブみたいなのを打ったら、

「うん、それ。それで練習しな」

と急に声のトーンを落としてきっぱり言われました。

もう27年前のことなんですけど、鮮烈に覚えています。

最初、なんでなんだかわかりませんでしたから。

けど、確かにその高さからでも、なぜかサービスボックスにボールが落とせたんですよね。

それから2年間は、毎日。正月も休まずにスクールの鍵開け前から社員さんを待ち伏せて、朝の掃除前に200本、アドサイドのワイドの隅にシングルスポールで囲いを作っておいてそこをめがけて高ーいところから落とすサーブの練習をしていました。

2年が過ぎた後も、そのくらいやったらもう日課になっちゃっているので、勤務の日は必ず朝のうちにコートに出てサーブの練習をしてきました。

それからですね。何があってもサーブは入るものだっていうのがわかってきたのは。

大学を中退して、専門学校に変わった時もテニス部に入って、試合も出ましたが、ファーストの確率100%、ていうゲームも何度かあったと思います。

要するにファーストもセカンドも同じだったのと、そんだけ毎日やっていれば、入らないように打つ方が難しいくらいのレベルだったので。ポケットに入れたボールは使わずじまい(自分だけ、ですけど)なんてことが何度かありました。

へー、すごい、って思われやすいんですが、すっごい遅い、普通の人のセカンドサーブよりも遅いスピンサーブを打っていたので、当たり前っちゃあ当たり前な感じなんですけど。

IMG_0015

 

この写真は、フリーになってすぐくらいの、ワタシが40歳くらいの頃のサーブです。矯正は意識していたものの、ほとんど見た目変わらない打ち方なので、その当時の特徴を色濃く残しています。

スピードは、もう何年も「どうせ入る」ってなってきたところから「低めに打ってみよう」ってできるようになって、ネットの白帯に刺したウチワを狙って当てられるくらいになりました。

それで、球速は140キロくらいがMAXで出るくらいにはなった感じです。

分解すると、

IMG_0016

 

こんな感じで、下半身が早く開いてくる癖があって、腕をうまく振ってもパワーはこれ以上でない感じだな、って気づいたことから矯正を試みています。

ただ、このフォーム、コントロールが良かったんですよね。

ていうのは誰にでもって意味じゃなくて、このフォームで何十万本と打ってきたから、この動きの中で期待されるインパクトが、手応え通りの軌道を通ってかなりピンポイントで狙えるようになるまで練習しちゃった、ってことなんです。

だから自分専用ですよね。

学生の頃のサーブに自信のある当時は、ペアと組んで太陽がまぶしい方のサイドはワタシがサーブでいいと先に言っていましたし、デモンストレーションでなら、目を瞑って打っても普通に入るサーブでした。もうトスも見ないで大丈夫だったんです。いつも通りの場所にあるから、見えないからってビビらないでいつも通りにラケットを振ると本当にそこにボールがあるわけです。

体の内部感覚は、ラケットを振る腕の意識じゃなくて、体がどうやって立っていて、バランスを崩したりしないかどうかがわかると、それだけでも自信がつきます。

 

 

さて、こんなフォームの是非は置いといて、そのセンセイが教えてくれたことは、

「ネットすんな」と

「アウト(フォルト)すんな」ってことです。

入らないで悩んでいる時は、そのどっちかが必ず心配になるので、どうしていいかわからなかったわけで、それを邪魔している要素が「スピード」でした。

やっぱり上手な人とか、プロの試合を見ると、まずサーブのスピードで相手を圧倒して…みたいな勝手なイメージが、自分の身の丈に合っていないってことを教えていただいたんですね。

たか〜くあげて入ってるイメージを持つ時は、もちろんネットの心配なんかしないです。

距離のオーバーを気にしている時は、高く上げといて前にも振る、なんてバカなことはしません。

 

だから入ったんです。

 

そこんとこがわからない人は、コーディネーションがもともとよくない人(感覚的なラケットがボールを飛ばす感覚がフィードバックされてきても利用できない人)

それか、「スイングの仕方」にこだわってネットの向こうに意識がいかない人

 

だと思います。

 

ボール飛ばしてあそこに入れる、ってイメージのラインを自分の打球でトレースするにはこんな感じかな、っていうのがない場合は、一度、100球くらいやみくもに打ってみましょう。

実は、そんなにバラツキがないものなんです。

速いサーブを、正確にサービスボックスに入れる、ってことを考えなければ、あっちこっちに飛んで行かずに、たまにネットしたりたまにアウトしたり、たまに入ったりするだけで、大概は同じ方向に飛んで行って、同じような高さに飛んで行っていると思います。

てことは、その速いサーブのまっすぐの軌道だと、ネットを越えてサービスラインの内側に落ちるまでの距離がすごく狭い範囲の中に収めないといけないことがわかります。

そこで、その狭い範囲にしっかり打つ方法を探す人は、間違いですよね。

できるんならもう出来ているはずですから。

そこで、

ネットも、アウトもしない

 

のには、軌道を曲げなきゃいけないっていう発想を持たないといけないんです。

特にワタシみたいな背の低い人がやる場合はそうです。

この高い弾道を覚えた時に、

ネットの心配がないってそれだけですごいイメージが変わるな!って思っていたんです。

コーチを続けていて、いろいろな人の打ち方を指導するうちに、

そうやって打てば、前に振るってことじゃなくてボールは前に飛ぶように当てるけど、腕や身体は前には振ってないな、ってことなんですよね。

写真の、ヘッドは前に倒れてるけど、肩から肘までの上腕は顔より前に出てないあたりがそういうことかと思います。

カテゴリー: 日記 | 投稿者ナガキヤスヒロ 10:35 | コメントをどうぞ

ちょっと待って、片手バックハンドの・・・

片手打ちのバックハンドストロークで、個別に指導する時間があって気が付いたのですが・・・

バックハンドを「手の甲側で打つ」ショットだと思っていませんか?

見た目はそうかもしれませんが、手のひらの感覚を使って下さいね。

そもそも、そうすることで打点の位置がどの辺が良いのかとか、ボールを押す感覚みたいなものが得られます。

手の甲側では、「前から引っ張る」ようなラケットの扱いになってしまいがちで、それって腕も手もラケットよりも先にいかせる感じになっていますから、スイング中にラケットにボールが当たると、衝撃でラケットが重たく感じると思います。

力を入れても伝わらないような感覚のままでボールを打っていると、もっと力を入れなきゃいけないと体が判断してしまって、身体に力みを生みます。

腕に力を入れると、力っていうのは入りやすいところにしか入らないものですから、ストライクゾーンが狭くなると思うんですね。だから、力みのあるフォームだと、球出しのボールなら気持ちよく打てる感覚があるかもしれませんが、高すぎるとか低すぎるとかリズムが悪いだけで上手く打てなくなります。だから、打てていたとしてもおススメはしません。

ヒジ、痛めそうかもしれませんしね。

キャッチャーミットを構えているような感じ、というのがバックハンドのラケットを持つ時にワタシがイメージしている形。

なので、胸の高さくらいのボールがちゃんと打ち返せます。低いのも高いのも、面の感覚がつけばつくほどコントロールが効くようになります。

親指がグリップを下側から支えて、親指と人差し指のリングをつくって、その腹(手のひらになります)でラケットを後ろから押すような格好になるってことです。

これが分かってからはワタシのバックハンドの面の感覚は数年で飛躍的に向上しました。

バックハンドのドライブを打てるようになろうとしたのが30歳を過ぎてから。テニスコーチに戻ったのが36歳のころ。ラリーで安定したのは2年くらい。試合でメインにドライブを打てるようになったのは40歳になろうとしていました。

インドアのオムニコートが主戦場になって、イレギュラーバウンドもするし、硬いコートでバウンドがやや早くなって、対応していくうちに色々な感覚に体が反応するようになりました。

もうちょっとでフォアハンドにちかい感覚が得られそうな感じなんです。

打点のエリアの広さ

打点に入ってからのイレギュラーへの反応

威力

コントロール

回転

などの項目で、どうしてもフォアハンドの方がすべての感覚に勝っているものなんですが、追いつけそうな感じがあるんですよね。

それが、手のひらの感覚でラケットを扱うようになってから。

とくに、高い打点!手が届くんですよね。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 16:37 | コメントをどうぞ

Madrid の錦織を応援する

いやはや、勝ってますね!

もうホントつよい!びっくりするぐらい強いですね!

昨夜のキリオスは調子よかった。1stの確率もよく、しかも大事なシーンでセンターにエースを放り込んでくる。どうしてもブレイクが奪えない中、錦織はあせらずにじっくり機を待っていましたね。

フェデラーがウインブルドン決勝で、ロディックを相手にファイナルセットを延々と続けていく中、お互いに集中を切らさず、

自分のゲームをキープすること

相手のサーブからチャンスを見出すこと

の両方に精神を傾けていたのをふと思い出すような、緊迫した・・・というかもう、一瞬でも気の抜けない試合でした。

錦織もこの試合では1stの確率は7割を超えてきて、ファイナルセットに一度与えた以外にはブレイクチャンスを与えない堅実ぶり。ポイントリードされるような、0-30なんかもあったんですが、きっちりラリーに持ち込めば自分からは崩れない自信があるのでしょう。

先に展開されてもスライスが深く返っていたし、押し込んでいけばガスケ戦の時のようにコートの中に入って早いタイミングでウィナーを放っていました。

ゲームの終盤にウィナーを狙っていってアウトになるショットもあり、これが今夜のジョコビッチが相手の時にどうなんだろうって思ったりもしますが、あのショット1ミリでも弱気・・・ていうか迷いでもしたらカウンターで主導権を握られてしまうようなレベルの試合だと思いますから、あのくらい打って行ってオンラインで観客がどよめくようなフィニッシュじゃないと決まらない・・・そんなプレッシャーの中で打っているショットだと思います。

 

とくにジョコビッチは、打っても打っても崩れないように見えると思います。相手から「いったいどの作戦が通用するんだ」と見えてしまうような、そういうプレッシャーをものすごくかけてきます。

それだけに、以前に書いたこともありますが、センターにガンガン打っていったり、急に後ろに下がってペースを遅くしたりするとかでもしないと、全部とって甘くなったら見逃さずに襲い掛かってくるような感じのプレーですから、甘いコースや遅いプレーをするのがすごく怖いだろうなと思います。

けどワウリンカもシモンもそうやって苦しめてきていますから、バックハンドの得意な錦織が、王者のテニスをがっちり受け止めて見せることが、逆に相手にプレッシャーをかけることにもなるのではないでしょうか。

 

・・・て考えているだけでもワクワクしてきます。テニスのレベルは錦織は世界のトップに既にいるのは誰もが認めている通りだと思いますし、この先のブレイクスルーは本当のチャンピオンになるための最後の壁だと思うしかありませんね。

今年の錦織の目標としているプレーは「爆発力」だといっていました・・・と解説の辻野隆三が言っていましたが、本人も周りもあとはそこだけだ、という認識も持っているんだと思います。

負けた試合はすごく勉強になり、今後の目標が明確になるものですが、

実際に勝ってみて初めて、その乗り越え方とか自信とかが身に着くものだと思っていますが、これだけ勝ってこれる錦織のレベルで、さいごのボスキャラを乗り越えるだけの爆発力って、どんななんでしょうね。

今夜の準決勝も楽しみにしています。

ウルトラ調子がいい感じで勝ってくれるのも良いですが、ワタシが本当に見たいのは「攻略法」をもってねじ伏せに行くようなテニスがないものか、錦織ならやってくれるんじゃないかとさえ思っています。

カテゴリー: プロ選手オタク, 日記 | 投稿者ナガキヤスヒロ 09:50 | コメントをどうぞ

手首を使うー握りによる制限

前回は、厚いグリップでの有用性、っていうタイトルだったのですが、その続きというか、どうしてそう考えたか、みたいな部分です。

硬式テニスは手首を使わないようにして打つ

と最初に聞いたことがあります。思いますけど、これは正しい。

これからテニスを始めようとするとしたら、その人にはそうやって教えた方がわかりやすい。

どういうことかっていえば、テニスの打ち方に、面の向きがきっかりわかるようにして打たないと不安定になる、ということを教えているわけですね。

だから、面の向きがわかるんなら、手首のことはあんまりもう言わなくっていい。経験者に向けては、より自然に打てて、パワフルにコントロール良く打つために、手首をがっつり固定しておいたら、その人にセンスがあったとしてもその上の技術をスポイルすることになると思います。

スイングする上で大事なのはボールをどうやって捉えたかわかる感覚的な部分で、手首を積極的に使うせいで不安定ならそれは固定しろって言った方がいい。

手首の力を使って打て、というような解釈をすると、おそらく上級技術の方から遠ざかることになります。

ボールにパワーを伝える運動の法則の逆を行く可能性が高いからです。

手首はしなやかにしておいて、自然とヘッドが走る位置でインパクトを迎えられるなら、スイングをある程度ゆっくり=インパクトの正確さを損ねない程度に=しても効率良くスイングの形が持っているパワーを利用できるようになります。

みんなそこが知りたいんじゃないのかな。

パワーを載せる、という解釈を、筋力を最大限に発揮できる…と勘違いしている人も多いような気がします。テニスの試合で、プロならグランドスラムで5時間や6時間なんていう試合をする可能性もあります。我々だって草トーに出れば、ワンセットマッチを1日に何試合もすることがありますから、一つのショットに筋力を最大限に…なんてやっていたら疲れちゃって勝てる試合も持ちこたえられなくなるんじゃないでしょうか。

体の中の、強い部分はどこか。パワーを担当するところ、また耐久性の強いところから動きを使うことができれば、疲労度は少なく、ボールに伝わるパワーは強く…それが効率良く打つ、ってことなんじゃないでしょうか。

 

今日はそんな中の、手首の話です。

手首は、どっちかといえば…いや、そんないわなくても、弱い方の器官です。例えば、手首をパタパタ扇ぐように使ってみましょう。何も持たずに。最大速で。

その次に、その手にラケットをもたせて、同じ速さで扱えますか?動作の回転半径が数倍になるので、それだけでも物理的に不可能なものなんですが、重さと長さに手首の力はあまり役に立たないことがわかります。

次に、腕を伸ばしてグッと力を入れて固定し、伸ばしっぱなしの状態で、肩の力で腕を振り回します。グルグルじゃなくて、ブンブンの方です。

手首でやるよりもだいぶ遅くしか動かせないと思います。

それで、ラケットを持って同じようにやってみましょう。手首の方ではガクッとスピードが落ちたと思いますが、もともとゆっくりしか振れなかったのもあって、今度はそんなにスピードが落ちないと思います。(もちろん、同じ速さで振るのは相当な筋力がいると思います)

これ、トルクの話だと思えばいいんですね。トルクの強いところは回転数は上がらないけどパワーがある=低いギヤだと坂道を登るのに適しているけどスピードは上がらないってこと。

手首は器用だから細かく素早く、その分パワーはない。

腕(いまの場合は肩から)は手首ほど器用ではないが、大きなものを動かすのに十分なパワーがあり、それで足りない場合は体幹−足腰が直接それを補います。

手首を使ってヘッドを早く動かす、ってことは、腕のスイングを止めて行うってことになるので、早く動かせる気がしてもそこにパワーは乗らないってことなんです。

ただし、しなやかにムチのようになると、可動域に差が出るために角速度が増し、当たりは強くなります。

グリップを薄く持ってしなやかな動きをすると、ヘッドは打球方向に動いてフラットサーブのような(骨と筋肉の都合でひねり動作があります)ボールをひっぱたく動きをします。

ただし、その動きはラケット面も大きく角度を変える動きになるので、ストロークには不向きですね。

そこで、厚いグリップに持ち替えよう、ってことなんです。

フォアハンドの握りはフォアハンドストローク専用、バックハンドはバックハンドに握りを変える必要も、当然出てきます。

さて前回のこの写真。

IMG_0495野球のバット持ってます。

バットは円柱なので、面の向きがありませんが、これがちゃんとボールを捉えていれば、やはり前に飛ぶ。ラケットに持ち替えれば、グリップは八角形になり、面の方向がわかりやすくなるし、向けないととんでもない方向に飛んでいっちゃうのはわかるので、ここで向きができるように持てばいい。

そうすると、握りが厚くなります。

自分のグリップの持ち方と同じならそれでいいし、同じじゃないからできない、なんてことはないと思います。それでプレーできるかどうかは別。慣れの問題で解決できる可能性だってあります。これはリクツですから。

さてこの形、ラケット面が地面に垂直になるように持っていたとしたら、ちゃんと前に飛ぶし、スイングをきちんとしてここの打点に到達したとしたら、振り抜き方向はどこになるでしょうか?

先ほど書いたような、フラットサーブのようにヘッドが前に抜けるでしょうか?

手首の形をよく見てください。これ以上前に行ったら痛そうです。

腕もほとんど伸ばして使っていますから、これ以上スイングはあまり前方向にはいかないですね。

ラケットは顔の前に円を描くように上がっていき、腕は左手の方向にそれに伴ってついていきます。肩は重さを逃がすために前に出る動作をして、フィニッシュは左肩の前あたりに右手がやってきて、ヘッドはその高さよりも低めに終わるでしょう。

いわゆる「ワイパースイング」的な動きになります。

ラケットの重みに手首が耐えきれないとしたら、握りか手首があまりにも弱くて、スイングの力を受け取れない=ボールをコントロールする筋力もない、ってことになります。そういう場合はスイングのスピードを遅くしましょう。

運動方向には、慣性の法則がはたらきますから、ヘッドは前に行きたがるかもしれません。それは、その前のスイング方向があっていないということ。

ラケットは飛ばしたい方向に振るものではなく、ボールに当たるように振ること。それと同時に飛ばしたい方向に面が向けられるようにしていくと、スイング方向は自ずと決まってきます。

厚く握ることで、動かせる方向に制限を持たせられるようになるので、薄いグリップでラケットを立てるなどして同じように面の向きを作ったとしても、スイングの入る方向が変わりますから、どうしても同じようなショットは打てないものです。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 10:24 | コメントをどうぞ

厚いグリップの有用性と、ラケットの扱い

ワタシ自身は、薄いグリップでテニスに親しんできました。

ここ数年は、厚いグリップと、そのグリップに適したスイングを練習して、ストロークのレベルが上がりました。

わかりますか?テニス歴30年のテニスコーチが、ここへきて(40台半ばを過ぎて)ストロークのレベルが上がったんです。

おそらく、打ち方の基本は薄いグリップの人のようなスイングスタイルをしていると思います。

そしてながらく、ワタシのフォアハンドストロークを悩ませていたのは、自分で思っている以上にヘッドが落ちないことでした。そのことによって弾道をあげたり、回転数を上げたりすることが苦手で、またバウンドの縦の成分が大きい動きにうまくついていけないことがある––イレギュラーや、サーブの方がバウンドが伸びるなどの時に打点がずれて、ボールが浮く––のが、改善されたことと、打点を前にとってしっかり当たり負けない位置でインパクトを迎えることが安定してきて、今すごくストロークの調子がいいです。

片手バックハンドもコツがつかめてきて、ほとんどフォアハンドっぽくコントロールするイメージがついてきました。(まだ完成はしていないので、精度も悪いところがありますが)

 

このブログの記事でも何度か書いてきた、スイングの動作にはスピネーションとプロネーションの動きが混ざってくるのが自然であることが、大きなヒントになりました。

それまで、手のひらを打球方向に向けてインパクトする、イメージ的には薄いグリップの印象でしかスイングの動作と、その腕の形のあり方を検証してこなかったようなところがありましたが、昨年の秋頃から意識が変わって腕の芯があること、その延長上にあるラケットの芯をうまく当てるイメージを持つのに、グリップの持ち方を変える必要があることに気づきました。

グリップを変えると、スピネーションして手のひらが上向きになった状態でラケット面は垂直になる、セミウェスタンからウェスタンの握りになってきます。(フォアハンドの握りで説明しています)

この、手のひらが上向きになった形が空手チョップみたいな形なんですが、自然と肘が曲がって高い位置の打点が基本…みたいな形になります。そこに垂直の面を作ったラケットを手のひらに乗せれば、厚いグリップになるだろうってこと。

IMG_0495これバットですけどね。

IMG_0703

そうすると、腕がスピ→プロのひねりの動作があってヘッドスピードを上げる段階で、ラケット面の向きは安定してヘッドが下がったところから上がってくる、いわゆるワイパー的な動きをしてくれるようになります。

打点の位置の「自分の体の形」を覚えてしまえば、ボールを打つときに面が開きすぎたりあるいは振りが速くなりすぎて持ち上げられなくなったりすることがなくなってきます。慣れれば慣れるほど、だいたいこの辺で当たれば…というのをミスしなければ、ある程度の範囲に狙った通りに打てるようになるはずなんです。

薄いグリップで、手のひらの向きとラケット面の向きを一緒にするのは、腕を振り子にして最初にダウンスイングが起こり、スイングの下端を過ぎて少し前に出ると、スイングが上がり始めて、そこでちょうどラケット面が垂直になるように仕向けてあるようなものです。

球出しのボールであったり、ネットの高さからそう高くない、ちょうどバウンドが頂点から落ち始めたくらいの高さ=ベルトの高さから膝の高さまでの範囲=にボールが来たところがストライクゾーンになるような感じで、その打点のためのグリップであり、スイングの理想形?のようなものの形になってきます。

ずっと違和感があったのは、実際のラリーで、ベースライン同士の打ち合いになれば、バウンドの高さは鳩尾から肩や顔の高さに来ることが頻繁に起こります。

もちろん、膝よりも低い位置でとることもありますが、要するにストライクゾーンを広くとれるようにすることと、ライジング的な、バウンドの頂点からあまり落ちていなくても取らなければならない状況でもきちんと打てるようにするには、スクールで一般的に教えることになるイースタングリップよりか、もうちょっと厚めの握りで教えておいてもよかろう、ということになってくると思っているのです。

 

後ろから前にラケットを動かす時に、自然と腕のひねりの動作(スピネーションとプロネーション)が起こるために、打点がずれるとボールが上手く飛ばないようになる、というのは初級者の方が一様に悩むところだと思います。

厚いグリップは、例えば女性の方が大人になってからテニスを始めると多くの方がそこから抜け出せないで常にコーチからボレーやサーブの時に注意を受ける、ということがありますね。

要するに、腕をひねらなくても打てるような感覚が、厚いグリップにはあるわけで、その安心感から、その握りがとても安定して打ち返すことができて、すぐに自分たちでラリーを楽しんだり、試合ができるようになったりする要素になっているんだと思います。

 

かといって、厚いグリップには多様性がなくなるというデメリットがあります。

ワタシの生徒さんの中には、厚いグリップで慣れているのですが、腕をたたんで体そのものを打点に近づけてしまっては、ボールをうまく打つ感覚がわからない、という感想をずっと言っている方がいて、その握りでそのくらいのショットが打てているんだから自信を持てば?って言っても本人が感覚がないのですから、何か原因があるんだと思って与えたアドバイスは、

 

薄く持ってみて

 

だったんです。そうしたら、その人は打点から体が離れてうまく上体が立つようになり、軸がしっかりすることでコントロールの感覚がわかったような感じになったそうです。

こういうのは、コーチの経験ですよね。。。何週間かかって気づいたんだか。

そこで、ラケットの扱い方は大別して二つある、ということを初心者にも教え、状況に合わせてそこは二つともできるように覚えておきましょうというやり方で教えていくことにします。(ワタシも最近気づいたので、早速取り入れています)

もう一つの扱い方が、薄いグリップで行うことのできるボレーの

『届いてポン』

という感覚。

IMG_0794

 

これだと、写真が小さくて握りが見えませんね…ちょうど、腕の伸びている方向と、ラケット面の角度が一致するような感じになっています。

これだったら、遠くなってもにゅっと手を伸ばして届いた瞬間にタッチしてボールを飛ばすような感じで握れば、反発力でボールが返っていく。

ネットに対して正面向きに立ち、ボールが横を通り過ぎないように、手を伸ばしただけで面が出るようにする感じです。

これに対して厚いグリップの特徴は、それが「後ろから押すような形」になることで、ジュニアの頃からやっている人が大概握りが厚いのは、この「腕の支えの形」がしっかりするために力があまりいらないということになるからだと思います。

腕を縮めておいて、にゅっと伸ばすと、しなやかな動きでボールに当たる時にちょうど面ができる、そんな感じで当ててあげると、しっかり握って形になった瞬間にボールが当たる音がするようなタッチになります。

しなやかで短いムチの先端で、物を叩くような、そういうイメージの扱い方もあるんですよ、ということですね。

そうすると、手のひらのヒールの部分で包むような持ち方をしていないと、不安定になります。否が応でも厚いグリップではコントロールできない。

何しろボール以前にラケットの動きがコントロールできない感じになると思います。

初心者や初級者に、一度に二つも教えるなんて難しいんじゃないか、と思う人もいるかもしれませんが、それは経験者のおごりでしょう。

テニスの練習は、ワタシは算数のお勉強に例えることが多いのですが、これって足し算と引き算を一年生のうちに教えておくようなもので、これができないと掛け算や割り算なんかも分かんないでしょうね、っていうことです。

コンチネンタルでなくてイースタンを教えることが、厚いグリップと薄いグリップの中間のような感じでいろいろなことに対応の効く便利なグリップなんですが、便利な故に違いをはっきり教えきれないんじゃないかと思います。

そして、バックハンドのグリップや、ボレー、サーブに有用性が出ないような気もします。

バックボレーがうまく打てない人があまりにも多くて、その原因が「肩を入れる」形になることができないからなんです。

正面向きでバックハンド方向に手を伸ばしてタッチするだけで返せるのは、届いた瞬間にボールが飛ぶように面を固くするように握るだけで済むからです。

この、「当たっただけでうまく跳ね返せる」という手の感覚はサーブやスマッシュにとても役立つ感覚で、ボール投げがうまくできない(幼少期に経験のない動き)人にはそれだけで自然にインパクト=面の向いた方に飛んでいくという簡単なことに気づけるようになるはずです。

腕やラケットを振り回さないとボールが飛ばない、と最初のうちにはイメージがあるはずです。

ワタシも野球の経験から、テニスラケットも同じように振り回して自由にならないことに「テニスって超難しい!」と思ったクチですから、そういう人が多くてスクールが流行っているんだと思いますし。

でも振り回してるからうまく当たんないんだよ、っていうことにもそのうち気づきますよね。

その時にストロークの形とボレーのタッチの形の二つがあれば、とりあえず当てられれば、向きの方向に返ってくれる、という自信がつくじゃないですか。

だんだんテニスの真理に近づいて行っているような気がしています。

そんな浅いものじゃないでしょうけど、ワタシだって30年向き合ってるんですから、少しくらい底の方が見えるような経験をしてみたって良さそうなものです。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 21:53 | コメントをどうぞ