日別アーカイブ: 2016年7月2日

手首は「二軸関節」

前回は握る手の事で書きました。

手はラケットを感じる大事な器官なので、ラケットのどこが掌のどこの感覚とリンクしていて、ラケットの長さや重さ、軸の回転からくる力が掌にどうやってかかるかは一度でいいから考えてみるといいと思います。

↑簡単に言えば、前回の記事はそういうことを書きたかった。

 

その手を動かす、手首の事です。

手首は丸く動くので、マルチにどういう動きでもできそうな感じがしますが、動きを観察するとわりと制限があります。

自由に動くのは肩。その次が手首で、単純な動きしかできないのが肘です。

それぞれ、肩は「多軸関節」手首は「二軸関節」肘は「一軸関節」です。

手首の二つの軸はそれぞれの可動域が広いので、斜め方向にも動くような感じですが、動きは掌と手の甲の方向へ動く(掌屈・背屈)成分と、親指側と小指側に倒れる動き(橈屈・尺屈)だけで作られます。

 

例えば、ひもで縛った5円玉をくるくる回すのは、同じ軸回転で右回りも左回りも出来ます。手首の形を変えずに両方できます。

縄跳びを飛ぶように、縦方向の回転も出来て、前回しも後ろ回しもできますが、平面を回していた時とは前腕の角度を変えてあげないとできません。

この知識をテニスの、ラケットの扱い方にどう落とし込んでいくかっていうと、スピンとスライスの動きが最初のヒントになります。

もちろん、握り方もそこに関与してきます。

ラケットを持ちなれている人は、ご自身の癖が必ずついているので、わかりづらければ野球のバットのような、(平らな)面のないものを使って力の方向だけが分かるようにする方が考えやすいかもしれません。

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高い打点で力が入りづらい人は、握りを変えたり、打点を変えたりすることがラケットでは怖いかもしれませんが、こうやって円いバットの面をつかえば、手の形をどうやって上げると打ち返せそうで、そこからラケット面が垂直になるには打点の位置と握りをどうすればいいかが想像しやすいと思います。

バックハンドの握りが苦手な人も、こうやってバットでやったり、刀で斬るような動きをするうちに、どの方向に力の成分が必要かがわかってきて、握りと手首の形が必要になることが分かると思います。

一生懸命ボールを打つことももちろん必要な練習ですが、ラケット面とボールを飛ばしたい方向の方が先になって、握りを変えることが怖かった(普段通りに持っていないと=フォアのグリップでないと、ラケットの向きがわからなくなりそう)り、力加減でどうにかしちゃったりしてレベルアップの機会が遠のきます。

ごまかしていてもミスが少なかったり、そこでつないでほかのショットで十分に挽回したり勝ったりできる出来る要素があれば問題には感じないと思いますが、弱いところを攻められるとどうにも自分の展開に持っていけないのなら、やはり改善したいなぁと思う者ではないでしょうか。

トップスピンとスライスはこんな感じ。(フォアハンド)

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ちなみに、もちろん握り方が違うわけですが、どの力に対してどう握っているかっていう事を考えたいわけですね。

手首の力を入れてラケットの操作をするわけじゃないですけど、手首は動きます。

動かすんじゃなくて、ラケットの動きを助けてあげればいいわけですね。

左の写真のトップスピンを打っているときには、打点のあたりで面は安定していながら、腕を先にしならせておいて打点付近ではヘッドが良く動いてボールに適切なパンチ力を与えたい。

右の写真のスライスでは、面や手首のひねり動作を極力少なくして、安定した返球がしたいわけです。

腕の動作自体は、振り始めで掌が上向きになるような動きと、体の前まで振り出されたところで掌が下向きに返るような動きをします(フォア側ではスピネーション→プロネーションの動きをするってことです)

スライスの時にはスピネーションを大きすぎないように抑え、そのまま面を安定する方向へ振ると、下へ斬るような動きになります。

スピンの時にはプロネーションで掌が返るときにも面の向きが安定するように厚く持っていれば動き自体がパワーを出すことになります。

そのためには握りは2種類、最低でも持っておきましょう。

ラケットをつかんでいればテニスができる、のは初歩のテニスは出来るでしょうが、技は身につきません。

これと、
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これ
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前者の方は前腕とラケットの方向が一直線に見えるように持てば、フォアハンドのグリップにしかなりません。もちろんもう一個の写真の形から面を回すだけでもフォアのグリップになりますから、そこには許容範囲があることを含んでください。

この説明だとそうなりやすいってことを説明しているだけです。

こうやって握ることでバックスイングが完了して振り始めるころにうまくヘッドが下がった形になりやすく、極端に厚く持たなくても打点を前にしてボールの支えに手の形ができやすくなる。

下の写真は、前腕(尺骨)と直交するように(厳密に直角でなくてもいいんですが)持っている形になります。この握り方はギュッと握りしめるようにすることになることから、バックハンドの面になっても手首を固めてボールを弾き返すような形になれば、握りを薄くしやすくなります。

薄い握りを違和感なく持てるようになると、バックハンドやボレー、サーブやスマッシュを打つ練習にもよい効果がありますので、この二つを意図的に変えられるくらい握り慣れておくと、グリップチェンジで困らないようにすることが出来ます。

 

それで、こうやって握りを変えてみると、動かしやすい方向が違うことがわかると思います。

上の写真のフォアハンドの握りで持つと、トップスピンの方向に動かすのは楽にまわせて、なんなら手首で回すように扱ってもボールが飛んでくれそうな感じがします。

しかしスライス方向へラケットを動かすには、すでに指四本が下向きに手首を曲げ(尺屈)ているので、改めてそちら方向へ振るのが難しい感じがします。

下の写真のように薄い握りで持つと、トップスピン方向は動かせるけど面が回転するようになって角度が安定しない感じになっていて、スライス方向は手首を使うことはさほどないんですがスライスの写真のようにボールを受け止めてもブレずに持っていられるような感じがします。

 

そこいら辺が握りと関連した、ラケットの扱いのヒントになるかと思います。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 09:50 | コメントをどうぞ