先日に買ったばかりのサザンオールスターズのCDアルバムを出勤途上の車のなかで聴こう思い、机の上にあったそれを手にとってテニスバッグに入れて出かけました。
最初の大きな交差点の信号待ちでそのCDをバッグから取り出して車のCDプレーヤーに挿入して、曲がかかる前に信号が青に変わりスタート。
サザンの軽快なミュージックがなかなか出てこないなと不思議に思っていたら、ようやく流れ出した音楽は何故かR・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」の荘厳なメロディ?!
信じられないことに僕は机の上にサザンのCDが置いてあると思いこみ、実際には別のクラシックの名曲集だったのにそれを手にしたときにも気がつかずバッグに入れて出してプレーヤーに挿入するときにもわからなかったようです。
こういう人間は催眠術とかマジックのトリックに簡単に引っかかるタイプなんだろうなと我ながら呆れてしまいました。
たぶんこういう思いこみはテニスの試合でも起こることで、実際に相手がとても強いと勘違いしてしまうとホントは実力が自分の方が上なのに負けてしまったり、またその逆もあり得ます。
それを防いだり上手く利用するためには、相手がものすごく良いボールを打ってきても(こんなショットが続くわけがない)と高をくくり、逆に相手に自分の最も得意な技を見せつけて過大評価を煽る。
大きな長丁場の公式戦では通用しにくいですが、草トーレベルや1Dayトーナメントではこの騙しのテクニックはけっこう使えると思います。
とりあえずカッコから入るというのはこの詐欺士戦略に欠かせないもので、相手から(この人はプロ選手か?)と見間違えられるような全身統一の一流ブランドウェアにシューズ、「どこかへご旅行ですか?」と思わず訊ねたくなるほどの無駄にデカくて派手なトーナメントバッグ、そして歴戦の勇者を物語るように手足にテーピングやサポーターはマストアイテム。
そんな出で立ちでクールに落ち着き払った表情でストレッチしながら、(あんな色のドリンクはいったいどこで売っているんだよ?)と思わせる独特なカラーの特性飲料を一口飲んでラケットバッグからビニールにくるまれたラケットを二~三本ほど取り出してテンションを試してから選んで立ち上がる。
もうこれで対戦者の気持ちはかなり萎えていることは必至で、(なんで第一試合からこんなプロ選手に当たるんだよ、ドローのミスなんじゃないか?)と逃げ出したい気分に追い込んでいることでしょう。
あとはアップ練習中にせっかくの騙し作戦を水の泡にしないように、くれぐれも苦手な素人まる出しスタイルなショットは絶対に打たないように注意することです。
ただし、フォアハンドとサービスだけは打たないわけにはいかないのでこの二つだけは「見せかけフェデラー」か「ジョコビッチモドキ」くらいのフォームで打てるようにしておきましょう。
とても古い話ですが、ちなみに僕はずっと昔に「ナリキリマッケンロー野郎」の騙し技にやられて大敗を喫してしまい、あとでそのナリキリ氏はバックハンドストロークがかなり苦手だったとわかってとても口惜しい思いをしたことがありました