初心者の球出しはテニスを下手にする下地を作ってしまう可能性を秘めています。

ケルバー、ズベレフ兄弟を生んだ現代ドイツテニスの立役者でベッカー、グラフの幼少期のコーチでドイツテニスの総責任者でテニス学者のリチャード・ショーンボーン氏。
彼が長年の経験と研究を元に書いた著書で初めてテニスをする人たちへ述べていることを引用します。

[1] 一番最初にラケットのグリップを教えないコーチからテニスを教わるのは時間の無駄だからやめるべき。
[2] フォロースルーの位置を指導しないこと。
[3] 球出しはテニスとは別の競技だということを初めて試合をして悟ることになるのでやめるべき。
どうしても球出しをするならどこに来るかわからないランダムな球出しにするべき。

驚いたことにわたくしの経験した日本のテニススクールの十数校では真逆のことが十数年行われているのです。

[1]についての考察
最初にグリップを教えるのにはジュニアに関しては賛否両論があります。押し付けではなく自分で試行錯誤することにその人の独自性が生まれ無限の可能性を秘めているからです。
しかし、ウエスタングリップでスマッシュを打っている人に対してグリップを見ずに横向きで打ってくださいとアドバイスしている光景を何度も見ました。これはウエスタングリップだから前向きであり横向きをつくるのであれば先にコンチネンタルグリップを教える必要があると思います。
実はバドミントン教室のスマッシュでも同じアドバイスを受けて運動連鎖が途切れて下手になってしまっいる子供がいました。

[2]についての考察
大人のテニススクールでは日常的に「こうしない」と物まねをしてフォロースルーの修正指導が行われています。一例を紹介したいと思います。
その人はイースタングリップでフラット系の球を打っていました。「ラケットを下から」や「スピン、スピン」とワイパースイングのアドバイスを受けました。
実際にイースタングリップでストロークを打つと2つのアドバイスは非常にやりづらいことに気づきます。
[1]のグリップとつながっているわけですがグリップを見ずに厚いグリップが前提で教えられていたのです。
その人は打点が遅れているときにオーバーしやすいことに気づき遅れたときはスライスで対処しました。

[3]についての考察
前提条件として初心者を対象にしています。
練習したあとにゲームをしますが、テニススクールによって練習とゲームの質の差に愕然とした差を感じたことがありました。様々なテニススクールを経験することによりメニュー内容に大きな違いがあることに気づきました。一例を上げます。
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<初中級クラス>
Aスクール:クロスラリーやストレートラリーでアップ→反面クロスのボレーストローク等→全面を使った形式・テーマ練習→ゲーム
Bスクール:球出し練習30分~45分→コートを3分割しての個別練習→形式練習→ゲーム
Aスクールが圧倒的にゲームが上手いです。
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初心者の球出しによる弊害は次のようなことが考えられます。
[1] 空間認識が養われずらい→ボールがコートのどこにあるかという認識です。
ある実験があります。カエルを小さな箱に入れて育てるとその箱より高くジャンプしなくなるというものです。
[2] ボールがどこにくるかわかっていることが多く、どこにくるかわからないという不安要素の少ない状況下で習得した技術は実際のゲームとは異なると同時にプレッシャー下で崩れやすい。程度の差はあれプレシャー下の中で習得した技術は実際のゲームで生きてくると思います。
[3] [1]と[2]からテニスで大事な「予測」が養われず実際のテニスではワンテンポ遅れてしまう→緊張や混乱を生む→ミスが多くなるということが言えると思います。
リチャード・ショーンボーン氏は端的に「テニスとは別の競技の練習」と表現しています。
このワンテンポ違うテニスを最初に習得してしまうと後のテニス自体が下手になります。
最初が肝心とはテニスにも当てはまるのです。


カテゴリー: テニススクール | 投稿者ryu 02:17 | 1件のコメント

コメント(1)

  1. 素晴らしい知ったかぶりですね!
    勉強になります。

    ryu より: 10:34 返信

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