てな訳でウィニングショットより新しいストリング、シルキー125が発売されます。
単張りは3月、120mロールは4月発売予定との事です。
今回のストリングはマルチフィラメントで、腕に優しいストリングを目指したとの事です。
・・・えー、自分の第一印象としては、いる?って感じでして。
ウィニングショットのブランドテーマとして「もう少し………ここをなんとかしたいって”こだわり”が原点、譲れないスタンス」ってサイトにもデカデカと書いてあるじないですか。
今までのウィニングショットのストリングって、テンション維持性能を持たせたポリのメビウスシリーズ、シリコンを配合したシリコンシリーズがあって、
同じマルチだと繊維2倍のブラックスパイダー、ゲキ細のシルバータッチがあって、
他メーカーと比べても個性的過ぎるストリングばっか出してきたじゃないですか?
それが今更何で腕に優しいマルチを新たに開発しようってなったのだろうか。
まずマルチの時点で柔らかくて腕に優しいって言うのがメリットじゃないですか。
じゃあブラックスパイダーで良いじゃんって思うじゃん?
ウィニングショットの言い分としては、シルキーは今までのラインナップに無かったポリウレタン使用のマルチフィラメント、だから腕に優しい、との事らしいんです。
あーなるほど?
確かにポリウレタンを使うとなると打球感は変わってくるよね。
どちらにせよマルチならポリウレタン未使用でも最初から柔らかいとは思うけど、確かに打ち味は変わる。
でも、ポリウレタンのマルチと言えば既に世の中に山ほどあるジャンル。
トアルソンのバイオロジックやライブワイヤー、彼らはそりゃもう凄まじい反発力と柔らかさのマルチフィラメントで。
そしてウイルソンのNXTシリーズ、テクニファイバーのナイロン全般、ここら辺になるとストリングの表面まで柔らかい。
よくあるポリウレタン系マルチってストリングの表面がベタついてて、使ってると滑りが悪くなる印象ですが、テクニのマルチになると中まで浸透させるような作りなんだっけ?それで何だか表面まで柔らかくて、滑り難さも緩和されるイメージがある。
X-ONEバイフェイズなんかはハイブリッドでジョコも昔使ってたし、一般ユーザーでもナチュラルの代用として使ってる方が多いと思います。
そんな感じで既に市場にはポリウレタンマルチが飽和している訳で、その中に新作をぶっこんで来る!
これはけっこう大変な事だと思いますねぇ。
腕に優しいマルチ、しかもめちゃくちゃ優しいのが欲しい!って言われても、まずテクニファイバーが第一候補に挙がるでしょ。
高級マルチのバイフェイズ? めちゃくちゃ柔らかいTGV? それとも反発力もあるNRG2?
それを押しのける、または差別化できるようなマルチを果たして用意できるのか。
そこをクリアできないと販売する側だってアピールし難い没個性的なただのマルチのひとつとして埋もれちゃいますからね。
そして、ストリンギングの際の手触りからしても第一印象は(・・・普通のポリウレタンマルチかなぁ)って感じ。
表面はややベタ付きがあり、トアルソンの旧バイオロジックみたいな感じ。
バイロジに限らず大半のポリウレタン系マルチって表面に妙なベタ付きがあり、それがスナップバックの邪魔をする・・・
まあ、昔はスナップバックなんて意識されてなかったでしょうし、そういう時代からある手法のストリングであれば、そういうもんでしょう。
令和の時代的に考えると、その表面だとポリとのハイブリッドの相性も良くなさそうだけどどうなの?ってところではありますが。
一応シルキーのターゲットとしてはデカラケユーザーやシニアプレーヤーだそうなので、まあポリとの組み合わせは考えなくても良いと言えば、良さそうですが・・・
というか、長らくポリしか張ってない30代前半の自分に縦横マルチの良さを感じ取れるのかと言われると・・・どうしましょーかねぇ(笑)
ストリングテスターではありますけど、ポリ大好き男がテストしてはたして上手くいくのか?
ライブワイヤーとかバイオロジックとか色々使った事はあるんだけど、ポリとのハイブリッドでしか使ってないしなぁ。
なので自分は基本、マルチ使う時はポリとのハイブリッドなんですけど、今回はやっちゃいましたよ単張りを。
やっぱちゃんと評価しなきゃって思って・・・
ラケットもメインラケットに張ってしまった。
もうちょっとシンプルなスペックのラケットに張った方がストリングの性能を手に取れるかなとは思うけども、これも真面目にテストする為ぞよ。
テンションは38ポンド。
ラケットは18×20なんでストリングが撓み難いタイプ、動き難いタイプ、ストリングの性能を感じるには少し難しいかもしれないタイプ・・・
まあでも一応、普段のストリングもポリ36ポンドぐらいで張り、デビルスピンなんて撓んでホールド感しっかり感じているので・・・。
さてさて、という訳でヒッティングですが、打球感はマイルド。
今回送られてきたシルキーは1.25mm。
細いゲージであれば食い付く打球感、ホールド感が出ると思うのですが、シルキーは1.30mmを張っているかのような、撓みが少なくマイルド感が出る。
それって少なからずラケットの18×20のストリングパターンが影響してるんじゃないかなと、張る前から危惧してた部分ではあるのですが、
でもポリウレタンを使ったマルチフィラメント、それも1.25mmとなれば、基本的には大きく撓み、ねっちょりとしたホールド感が強く出るものだと思います。
NXTとかエクセルとかを張ったらまさにそんなイメージじゃないでしょうか。
それら代表的なマルチ達、同じポリウレタン系マルチと比べると結構異なる味付け。
メーカー説明だと種類の異なる側糸を巻いているという事ですが、それなら確かに硬めになって撓みが抑えられるか、でもそんな極端に変わるかなぁ、とか。
・・・この側糸の部分、モノフィラメントの側糸みたいに細いモノをマルチの周りに巻いているのかな?って思ってテストしていたのですが、ウィニングショットの発表したパッケージだとマルチが3層構造になっているような感じになっていますね。
マルチ構造で、複数の種類を組み合わせてフィーリングを変える・・・狙った性能を達成する為にかなり考えられたんでしょうね。
材質や構造でやや硬めになったとしても、そこはポリウレタン使用のマルチだから打球感は柔らかで負担は感じさせない。
そしてグニャって掴んだら猛烈に反発して飛んでいくのがポリウレタン系なのですが、そこまで掴まないシルキーはパンッと弾きのある打球感。
ボールの飛び自体はそこそこあり、そこはやはりナイロン。
しかしNXTのような掴んで飛ばす強烈な反発力は無いのでパワーアシストは期待しない方がいい。
ポリウレタン系マルチは概ね殆どが反発力の高いストリングになると思うので、その中でやや抑え気味となるのは珍しい部類だと思う。
黄金スペックやデカラケに張る事を想定するなら、なおさら十分な飛びでしょう。
主な特徴は打球感と抑え気味の反発力の2つとなる。
スピン性能は・・・表面のベタ付きもあり、あと自分のラケットとか腕前もあり(笑)、特にコメントは無しかなぁ。
やっぱナイロンらしい飛び方で、その枠組みの中では上も下も無いってところか。
抑え気味の反発力とマイルド感のある打球感を思うとコントロール性能自体はあると思います。
ストリングとしては確かに柔らかく、しかし思った程は飛ばず暴発しない。
他のポリウレタン系マルチみたいな弾力性は無い代わりに、抑え気味のまとまった性能。
ただ、マルチフィラメントというのはポリウレタンを使っていないタイプだと今度は逆に柔らかく受け止めて飛び難いというタイプが多いので、コントロール性で選ぶなら普通のマルチでも良いですし、
腕への優しさという点でも、ポリウレタンを含んだシルキーの方が柔らかいですが、そうでないマルチフィラメントも柔らかいと言えば柔らかい・・・。
うーん、微妙な匙加減と言いますか、とにかく柔らかいマルチ!ならポリウレタンを含んだTGV、でも食い付くようなホールド感はあんまり好きじゃない・・・ってなったらシルキー?とか、
ナイロンで飛び過ぎは嫌かなぁ~・・・+柔らかければより良いかなぁ、みたいな流れでじゃあシルキー?とか。
強い個性が無いというところで、このストリングをお勧めするには選び手にきめ細かなな知識が求められるんじゃないかなと思いますね、ユーザー側にもショップ側にも。
シルキーの値段は3,685円で、マルチの中でも高価格帯かな。
柔らかさ勝負を挑むとしたらTGVは3,850円・・・コストパフォーマンスでは僅かに勝るものの、テクニの柔らかさは製造方法的に段違いだと思うので、性能面でどちらに軍配が上がるか。
トアルソンの代表的なポリウレタンマルチのライブワイヤーはほぼ同額3,630円、バイオロジックXXは2,860円、彼らはやたらと反発力が強いのでそこだけを見ると厳しい戦いに。
同じポリウレタン系と比べると、柔らかさはともかくとして反発力でかなり差をつけられていると思いますが、逆に言えばシルキーは抑え目でバランスがまとまっているとも言えるかなと。
個人的には細いのにマイルドな打感、というのがちょっとニッチですが他であまり見ない強みだと思います。