スピンをかけるのは必須

トップスピンが打てない時期が長かったワタシですが、30歳をすぎて打てるようになろうと課題に取り組み、もう15年くらい経ちました。よく考えたらテニス人生がいま30年くらいになっていますから、もう半分はトップスピンに取り組んでいた時期になるんですね。

でまあ、打てるようになったわけです。

必要な時に必要なだけのスピンが打てているかというと、そうでもありません。しかし、以前(=若いころ)に打てなかった理由だった「不安定」は克服した実感があります。

思うように打てないときってのが、まあ大体相手のショットが強烈な時です。サーブが速いときとか、ショットが強くて深いとき、そういう時にドライブ系の打ち方を意識してもフラットに近いショットになったりします。

スライスはテニスを始めたころから打てていたのですが、これも勢いのある深いショットや、予想よりも高く跳ねるようなショットの時には思ったように打てないものです。

そのへんの、なぜできなくなるか、という理由がわかってきました。

スイングで持っていこうとするからでした。

スイングは打点に入れるための要素であって、一様なスイングしかできなければ、打点に入るスイングの角度と、やってくるボールの角度が合わないときに、狙えない方向が出てくるということです。

狙えない、というよりか打点そのものを合わせるのが困難、ということです。

スイングは力を入れれば一瞬でラケットの動きを変化させられる、と体の中では認識しやすくて、それって人間の持っている感覚の中では、ラケットの動きがかなり速いものだと認識しているからなんだと思います。

例えば、鳥の仲間では、羽ばたきがゆっくりで長距離を飛べる仲間と、羽ばたきがとても早くて、空中でホバリングができるような種類がいるということも参考になります。

鳥や、ハエなどは、我々人間ができる動作スピードよりも反応や動きのスピードが格段に速い感覚を持っているんだと思います。

飛んでいるハエを捕まえようと思っても、あっという間に方向変換されて捕まえられません。スズメにむかって石を投げても、投げた瞬間にはいなくなっています。我々人間の動くスピードが彼らにはゆっくりしたものに見えていて、時間がそこにあることがわかるんだと思います。

スイングは一瞬でなく、振り始めてからインパクトまでは、じつは結構時間がかかるものだと思った方がいいと思います。

といって時間的には1秒もない時間ですから、体感できるのは一瞬でしょう。

かといって、バウンドが変化したり、思ったような弾み方じゃなかったとしてもラケットに当てることができるし、回転を多くかけようと思えばかけられたり、当たった時に詰まったような感じの時には無理やりネットを越すようにもっていったり、変化させられるものだったりします。

で、それが間に合うよなものだとも認識しやすい。

 

ただし、テニスの技術は「できるようになったぞ」と思えるようになるのは、狙ったらそういうショットが打てるようになったりするなど、『再現性』が上がった時だと思います。

いままで返せなかった先輩のショットに、ラリーで持ちこたえられるようになった、とか、ネットの高いところを通して落ちるようなスピンが打てるようになったとか、ボレーのストレートとクロスが簡単に打ち分けられるようになったとか、成功回数が増えるほど、「できるようになった」と自信がつくものです。

 

スイング全体の長さを十分に取れれば、それなりにパワフルなショットが打てるようになります。

スイング長があれば、運動エネルギーが増えて、ボールにぶつけるパワーがそれだけで上がるからです。力を入れても大して変わりませんが、スイングの長さ(フォワードスイングの長さが特に)を長くできれば明らかなパワーアップがあります。

その中で大事なのは「当て方」であって、スイングが長く、そして力強く速いものになればなるほど、正確に当てることがむつかしくなります。人間のやることですから、すぐにできるようになることではなく、訓練して感覚が磨かれるほどに上達していきます。

トップスピンでもスライスでも、飛来するボールの軌道に大して斜めにスイング軌道を作って入れていくことで回転がかかります。

要するに、来たボールにいちいち合わせるということが、フラットに比べて楽になるということです。

加えて、インパクトの時に作用する力のベクトルが変わるので、当たった瞬間に飛ぶ距離が決まるようなことになります。

それって、ゴルフのクラブが何本も必要なのは、フェースについている角度が違うことで飛距離が変わることを利用するからです。

スイング軌道がある程度一定になる中で、インパクト時にボールに入るフェースの角度が変わることで、しっかり振って遠くへ飛ぶクラブと、同じようなスイングでも近くで落ちるような角度のきついクラブがある。

あまり飛ばない方のクラブでは回転数が多くかかることになり、高く上げればバックスピンで戻るようなショットも打てます。

テニスではラケットは一本で、その角度を変える手首の形でスピンの量を決めることができます。

当たる瞬間の動きで変えようとする方が多いですが、イメージはできても実際には不安定になると思います。

低い球が滑るようにしてきたときと、高く跳ねて伸びてくるようなショットが来るときでも、安定してインパクトの形ができているときにはミスせずに返せると思いますが、同じ感覚で打てるような認識ではないと思います。

しかし、当たったボールが飛ぶ感覚と同時に、スピンがかかって軌道を曲げるような感覚が得られるのならば、狙ったインパクトさえできれば安定したショットが打てるようになります。

慣れなければいけない要素は、飛来する相手のショットがバウンド後にどんな動きをするか、軌道の予測に長けること。

それと、そこから自分の感覚でラケット面で受け止めて、かつ放り投げるときの要領でラケット面から出ていく感覚?のような「当たっただけで飛んでいくような持ち方」でボールに当たる位置にきちんと持っていけること。

ができるなら、どこを狙っても打てるようになるものなのかもしれません。

実際に、フェデラーが出現したときに、相手のショットがきつくても素晴らしいコントロールで簡単そうにポイントをとっていくのを見た時に、「なんでああいうことができるんだろう」と思ったものです。

打点への「ラケットの入れ方」がフェデラーは自由にできるんだな、と感心しました。

ボールが飛んでくる、というのは「コントロールしなければ」というプレッシャーが飛んでくるようなものですから、フェデラーのように自由にできるためにどんな訓練が必要だったのかは想像するのも恐ろしい?ことのように思えますが、その極意を得て彼の存在があったのだと思います。

 

どのシーンでどの回転が必要か、それは相手にその次のショットをどうやって打たせるかを瞬時に判断し、相手に攻撃をさせずに自分ができるだけフリーで打てるようになりたい、というのがフェデラーの戦略でしょう。

誰でもできるようになることではないと思いますが、そこの要素の部分だけを見れば、まずは回転をかけるラケットワークをものにしよう、ってことになると思います。


カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 09:14 | コメントをどうぞ