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ナガキヤスヒロ

ナガキヤスヒロ の紹介

フリーのテニスコーチをしています。テニスにこだわること数十年。。。こだわりが強くて周りに引かれることも多いくらいですが、コーチとしてはアリかと。 こだわりはあるけど発表できない世の中ではダメだ!と思いブログを再開します。 以前のブログ=「身辺テニス情報」 オタク万歳!!

芯と、ねじれを感じる

手でラケットを持っているので、手から感じるラケットの動きを制御できれば、ボールの扱いが格段にうまくなります。

ラケットを力ずくで動かすと、ラケットが自然に動くべきところを抑え込む方に意識と力を使うために、ボールコントロールまで到達しません。

かりにそういう人がすごいショットを打っていたとしても、おそらく一種類のすごく強いショットの事を言っていて、スピンとスライスの打ち分けはおろか、相手を左右にコントロールする事さえ、そんなに広い範囲にはできないと思います。

 

というのは、一人のひとは、自分なりに決まった打席=テニスの場合にはフットワークを使って打点に入るときの位置決めのしかた=のとり方があって、力が入りやすいようにするために体のターンは抑え目で、安定した打点が必要になる「再現性」の為には打点の範囲は広くは取れないからです。

ボールはかならずネットの向こう側のコートに入れなければならず、そうすると打点でのラケット面の変化は角度にして20度程度が限界になります。

パワーがある、と自信のある人は腕を強く振る意識がありますから、せいぜいベースラインの幅=シングルスライン間とすれば8.23m=のコース変更ができるならかなりコントロールできるほうの人だと思います。

ボールの後ろからラケットを入れて、前=ネットの方に向かって力を籠めるわけですから、それしかできないのは当然です。

回転をかけることと、そこにパワーを乗せることが出来る人は、観察していると腕の芯というか、ラケットを振っても、ボールがラケットに当たってもまったくブレずにスピンの利いたショットを打てます。

ワタシは昔はスライスしか打てなかったので、柔らかく受け止めるような面の使い方=ボールの衝撃を柔らかくかわすために腕を自然にひねって面に乗せるような感覚で「打つ」というより「押し出す」ように打っていました。

「ナガキくんが打つとき音がしないんで気持ち悪い」とよく言われていましたが、ゲームをする時にはそれが相手の嫌がるプレーになるんだろうと思っていたので気にはしませんでした。

しかし、スピンが打てるようになると、やはり強打が欲しくなります。観察する対象はすごく強いショットを思い通りにコントロールする人。全日本に出ていたとか、県の上位とかの人とやると、そういうことがなぜできるのか、自分はいつかそういう感覚が身につく物なのかと、痛切に差を感じたものでした。

腕力があっても、コントロールが良くなったりはしません。ただ、ボールに負けるラケットの感覚があるために、筋力が欲しいと思った事は1度や2度ではありませんでした。

経験を積むごとに、わかってきたことがあって、必要なのは腕力ではなくて、ラケットの入れ方だということが分かりました。ラケットはボール(約60g)より5~6倍重くて、腕だけでもさらにその数倍重いわけですから、単純に考えて当たり負けるような要素はないわけです。

だから、当たるときのメカニズムが悪いわけですよね。

ボールの侵入方向に対して自分の動きのベクトルがあっていない。

腕を入れるスイングの方向も見直しましたし、そのためにテイクバックの仕方、フォワードスイングの面の向きなどは何度も修正しました。

打点は高さによって奥行きが決まるものだということもわかりました。肩の位置と腕を振る方向はどうしても関連するので、必要なベクトルを得るためには体のターンをしっかり行って必要な位置までボールを呼び込めば、かなり思い通りにインパクトができます。ただそれを確実に行うには、相手のショットのスピードがある中ではけっこうむつかしい。

そして、握りの中にラケットの動きを制御する「重心」と「支点」「力点」を感じるように持つこともわかりました。

握りはスイング方向と密接な関係があって、スイングとグリップがあっていない人はスイング自体が短くなる傾向があり、その分ショットが弱くなったり、浅くなりやすい傾向が出やすいものです。

 

出来る人としては、説明はできないはずです。感覚的にラケット面とボールを感じる能力が高いので、自分ではイメージからわかっていてできるものですから、できない人にどういって説明していいのかはわからないことが多いと思います。

出来ないところから始めた私は、そういう不思議な部分だと思っていたことの「説明」ができるようになることが目標でしたが、とうとうわかるようになってきました。

カテゴリー: 日記 | 投稿者ナガキヤスヒロ 09:56 | コメントをどうぞ

構えと、型

自分の打球フォームを、どこからイメージしていますか?

テイクバックの仕方?

振り始めた時の面の向き?

握り替えをするところ?

イメージですから、人それぞれでいいと思います。

よくないのは、ボールを一生懸命見つめていて、そういった準備が同時進行でなされているかどうかを自分で判断できないこと。

ワタシの場合はどうかというと、その時その時で注意を向けるところは違うかもしれません。

ただ、調子が悪い時とか、動作に改善点を見つけた時には、

構えている形

から見直すようにします。それで、原点からやってみることで自分にその動作が適しているかどうかもわかるし、楽なラリーでは問題なくても、すごい速い球を打ってくる相手には使えなかったりして、そこでその後に判断しようってことにもなります。

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ストロークの時の、レディポジションとフォア・バックそれぞれのテイクバックです。

テイクバックは私は体のサイズが小さいので、テイクバック自体はもっと大きく引くところまで持っていきますが、この写真ではグリップチェンジが完了しているところを見て欲しくて載せました。

特にバックハンドはこういう「型」を作ることで、ストローク戦の時にはかなり腕を突っ張った形まで大きく引きます。

240px-Justine_Henin

 

自分ではロンギ正幸選手がやっているのを見て真似してみたらすごく力が入るようになったのでそうしているのですが、イメージ的には右腕を後ろに突っ張って肩を大きく入れる感じをイメージしています。

なるべく一瞬で「型」にはいるようにするには、引き方の記事を以前に書いた時のように、利き腕側は体を擦るようなイメージで、近くからシュッと持っていくようにしています。

だから、構えの形(一番上の写真)のように、レディポジションから、スプリットステップが着地するときに腕が落ちるようにしておいて、そこからは下から体の近くを通って、最短距離でテイクバック完了するようにしています。

それはフォアもそう。

腕のどこが、というのを説明しづらいところがありますが、フォアのテイクバックの写真では、握りができていますね。

IMG_1558

 

右ひじを少し外側へ張るようにして、左手を使って決まった位置にラケットを押し込むようにしていくと、形が決まっているのでグリップチェンジをする際に迷うことも間違うこともありません。

ストロークのテイクバックは、引く大きさを可変させられるようにする必要があるものですが、その条件は、

打点に腕が入る

ようにすることです。

腕が入るっていうのは、打点で

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こんなような、送り出す動きができることです。

肘を外に張るのは、すぐに内側に入れればこの形になれるようにするからであって、その際に必要なグリップができていなければ狙って打てないので、ワタシの場合はすべてのシーンに対応する必然からこの型になりました。

この形になれると、あとは打点にさえラケットが合えば、万能です。

テニスで「手首を使え」っていうのは簡単に言っちゃうのが危険な言葉ではありますが、スイングというのは元が「モノを飛ばす」動作。

手首は、手に持っているモノの重さに応じて動きが出るようにしていったほうが威力とコントロールとの両方が手に入ります。

この打点の見つけ方もそうやって考えれば簡単で、ボールを持って投げる時に、スナップを使う、短いスイングで狙って投げる時に、リリースする位置とそんなに変わらない。

要するにヘッドがシュッと動くようにするところを見つけます。

本題はそこからで、その動きに適した面の向きとヘッドが走る方向を理解できるかどうかです。

うまくマッチすれば、かなり自由にボールを扱えます。

バックハンドも、打点の位置がわかりづらい動作ではあるのですが、フリスビーを投げたり、手首の動作で投げやすいものを投げていくうちに、腕がどうなってくれればいいのかがちょっとわかります。

ワタシの場合はラケットを振りながら分かるようになったものなんですが、よく思い返してみれば、片手打ちのバックハンドになって、トップスピンが打てるようになって、それを試合で使えるようになるまで、実は18年くらいかかってるんです。

その後、さらにフォアハンドと比較しても大丈夫なくらい自信持って打てるようになるんですが、自分としては「バックハンドって…深っけーな…」って思ってました(笑)。

 

ボレーはボレーで、IMG_1553 IMG_1555 IMG_1557

こういう始動なので、構え自体が上がります。

それと、ラケットの位置を中心に、ボールをどっちの面で取るか、フォアかバックかの判断を自然に手がやるようなイメージで動きの中に入れている、というように意識しています。

反応は脳みそを通らずに、反射的にできる方を優先して、ボールよりも先に動作が始まったほうが、動き出してから打点に合わせたり、狙う方を判断したりするゆとりが出ます。

「よしフォア!」って頭で考えてから準備したら、きっと間に合わない、なんて思いながらそうやっています。

相手の球がマジで速かったりすれば、ボレーの腕の動きは本当にここまでで、あとは踏み込んでいくけど腰をターンさせることでボールを呼び込む形になり、打点に奥行きを持たせるようにできます。

腕の動きだけでできることは、ボールの到達点を予測していち早くそこにラケット面を合わせられることに自信のある形になれることです。

手首を固めたり、腕の重さを載せたりすることでラケットの反発力を活かせるようになりますから、スイング自体はすればあるし、しないで合わせるだけになるような厳しい場面でもなんとかします。

反応するときに速く腕を動かす、なんて意識をしていると、勢いよく腕を引いちゃったり、そのために余計なジャンプみたいな動きをしちゃったりして、空中で修正がきかずにうまく当てることすら難しくなります。

 

なんどもそういう「見えているのにうまくできない」経験をしてきた中で見つけた、自分の中ではいちばんシンプルな「型」です。

打球感覚を覚えるごとに、ボールの操作性も上がります。気づいた頃には、ドロップショットも瞬間的に判断してできるような時が出来ました。

足が一歩でも動かせるなら、同時につなぐのか、かわすのか、ドロップショットのようなテクニックを使うのか、体が動かせるような時間を感じることができます。

 

自分が一定の「型」を持つことと、ボールに先んじてその形になれる時に、自分の方にアドバンテージができることがわかれば、相手の球を返球することにプレッシャーを感じにくくなり、主導権を取りに行くようなラリーを展開できる自信がつきます。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 11:03 | コメントをどうぞ

迷うステップ=スプリット・ステップ

スプリットステップについて悩む人が割と多いという事は、コーチになってからほどなく分かりました。

だからワタシにとっては結構コーチとして「やらなきゃならない項目」だってことはわかっているんです。

で、かなりめんどくさいのもこういう項目。

教わりに来る人は、腕やラケットの使い方に悩むものだと思います。固定観念になってしまうのはワタシにとってお客さんに申し訳ないことなので、そういうテストをやる事が多いとかで、大丈夫な人ときちんと指導したり声を掛けたりした方がいい人とは判断するようにしています。

とはいえ、「打ち方」を教える段階では、気をつけてもらう動きは他にあることが多いものだし、そういう課題の時にはオープンスキル、何が起こるか分かっている状況に対してのフォーム作りになることが多いので、その練習の時にスプリットステップは必要ないものになります。

動作を最初から教える時に、スプリットステップをしてから動きの順序をすべて追ってもらった方が実際の動きに役立つものです(相手が打ったのがみえた→自分のインパクトのタイミングまでの時間にできる事を感じるために)が、球出しや、最初の一球がどっちに来るのかわかっている状況ではスプリットステップのタイミングをきちんとすることは難しいことかもしれません。

 

 

学校の名前は忘れてしまったのですが、ダブルスの強豪校で有名な高校の、ボレー練習を紹介した雑誌の記事があって、その練習を「ハンドボレー」と言うそうです。

コーチは球出しをして、わざとネットに当てます。だから打ち返すような球出しではありません。

プレーヤーは球出しとタイミングを合わせて、一歩踏み込んでラケットでネットを叩きます。

ネットの白帯を叩けばよく、フレームのエッジでトンカチで叩くような恰好でよい。

記憶はそこまでだったのですが、レッスンで紹介した時にやったのは、そこから段階を踏んでいくことにして、

球出しはネットに当てるままで、フォア側かバック側へランダムに出し、プレーヤーは左右を正確に判断してネットを叩く。

この練習、「ボールを上手く打たなきゃ」というプレッシャーから解放しているので、すごくよくボールを見ることになります。相手のラケットの動き、飛び出た瞬間のボールの方向、ボールの勢いや高さ・・・プレーするときに判断しなければならないことを瞬時に見分けます。

実際に打球するのはこの後。

自分がしっかりボールを見たうえで、ラケットをつかう、という項目のみが残っているので、複雑さが無くなり、動作や判断がシンプルになります。

一歩踏み込んでネットを触る、という動きを最初に要求されているので、早い人ではネットを叩く練習の左右の判断のうちに、そうでなくてもほとんどの生徒さんが、打球する練習の内に、スプリットステップを取らざるを得ないようになります。

相手が打つ前に、まだどっちか分からないから、迷う。それがスプリットステップになります。ジャンプすることではなくて、どちらへでもスタートできるようにするためのステップ。

 

1分くらい続けて打球の練習をすると、太ももがかなりキます(笑)。

でも、それでいいのです。ボレーの高度なラリーをするときは、必ず太ももがヤバい感じにキます。

ダブルスで、前衛がポーチに素早く出るには、そのくらいの構えと反応が必要になります。

あるいはポーチでなくとも、前衛側にボールが来た時に攻撃的に返せるようにしたり、それ以前にも油断なく構えるという意味では「まだ打たれていない」うちに準備の動きをし、相手の打球の瞬間に反応が正しくできるようにスプリットステップを踏むことが出来るようになります。

ちゃんと癖がつくまで鍛えれば、ですが。

反応の早い状態が作れるのなら、相手と距離のある、サーブ&ボレーなどのファーストボレーでも、あるいはストロークでの動きの中でも、そのステップの後の動きにゆとりが出るようになります。時間的な猶予が出来るので、あと一歩、それとどこを狙うかの判断などに役立ちます。

もうひとつ効果があります。

ポーチに行けそうなコースにボールが来ると、反応は出来るんだけど上手く足がでなかったりしてギリギリ届かないようなケースになってしまう人もいますが、これって下半身が伸びきってしまって移動が出来なくなっているケース。

反応しようとして全身に力が入るんだけど、それで一瞬でジャンプしてしまいます。それが、腕を振るための力と一緒になると、腕を横に延ばしてもジャンプは真上に飛んでしまったりして、腕が届かない。

必要なのは股関節にきちんと力のタメが出来ていることです。骨盤に向きが出来ていることでもう一歩がボールの方向に正しく出せるようになります。

ハンドボレーの練習で踏み込んでいくように作っていくと、伸びあがりではなくて沈み込みの要領でボールに近づく癖が付きますので、こちら側の意味でも良い練習だと思います。

 

 

カテゴリー: 日記 | 投稿者ナガキヤスヒロ 15:49 | コメントをどうぞ

「筋肉動作」と「骨格動作」

これですけどね…タイトルがカッコいい感じに書いてみたんですけど、ワタシ自身がこの言葉の解釈を正しくできているかどうかがはっきりしない部分がありまして、専門家の方が見たら他の言いかたがあるかもしれないので、もしか良かったらコメントください!

ラケットの引き方、っていうのを最後にいったん一通りの動作を細かすぎるところへ注目して書いてみたんですが、手首をつかう、みたいな前回の書き方も誤解の多いところかと思います。

手首は積極的に、あるいは意図的に動かしてテクニックにしようと思うとうまくいかないものです。全体のスイングを強力にしたり、急激に加速したりするときにラケットの重さや長さを支えきれなくて動くようになります。

だからそれは、動作によって生まれる動きであって、手首の動かし方を意識するとか、手首の筋力でラケットを扱うようなことがあると、意識はラケットワークまでで止まってしまって、ボールコントロールにはならないケースが多くなり、不安定な技術までしかできません。要するに、たまにできるけどたまに失敗する。⇒信用できない技術にしかならないってことです。

大事な場面で助けてくれるのが、信用のできる技術であって、それって訓練されている動きだから「考えなくても先に体が動く」まで使い込んでいる技術⇒プレッシャーが強くないとかなら、ほぼミスをしないで済む確実な技術です。

 

 

そこで、動作には一連の動きを全体的に調和をとって美しく終わるようにしたいということになります。

適切な打点でのスイングというのは、そのまま自然とフィニッシュまで連れて行ってくれるもので、例えば無理に振り切るような動きをしないと形にならないのは、打点の位置がスイングの自然な位置にないからです。

 

で、運動経験が豊富な方なら自然とできてしまうような動きを、そうでない人はちょっと苦労するとか、ぎくしゃくした動きでまるで自分の身体じゃないような動き方をすることになるんです。

 

 

スタートの一歩目がシャープに出ない人は、筋力があっても踏ん張り方がわからない、要するに骨で支える部分とくに関節の力の入る形になじみがない。

馴染み・と書いたのは他に言いようがないからで、やらせてみればできる動きを、テニスの動きでできない…みたいな感じなんです。

以前に生徒さんにやらせてみた一例を。

ボールが半分くらい入ったカゴを片手で持って、腕の力で上げ下げする。または、両手で持って身体を動かさずに上げ下げする。

それを、できるだけ速く動かす。

次に、同じ動作、これは両手でやった方がわかりやすいのですが、膝と腰をリズミカルに使ってやるようにします。

といってできない人は本当にアンバランスな動きをするものなんですが、イメージは、小さなエンジンの付いた草刈機みたいなやつの、紐を引っ張るとエンジンが始動する、っていうやつありますよね。地面において、その紐を勢いよく引っ張るときって腕だけだと引っ張れる長さが足りなくて、ひざを曲げて腰を引くようにして一気に引っ張る。

そのときの、勢いをつけるような形と腕の動きが連動します。

右、左、と交互に素早くやるのは、脚にリズムがあって、脚の筋力はかごのボールの重さをものともしないはずですから、腕だけの時よりもはるかに速いテンポで動かせます。

そして、腕がつかれない。

まっすぐ立っているときに、骨を支える筋肉がないとまっすぐも立てないものですが、そもそも骨がしっかりしていないと立っていることすら疲れます。

骨で体重を支え、ふらつきを筋力で補い、ということなんだと思います。

骨を動かす=ほとんどの場合は骨盤を通る動きに関連があると思います。

膝を動かすようにして太ももが動くと、骨盤の動きができます。その上の肩まで動きは影響します。自然に、ですから決まった形では決まった形にしかならないのは、骨の動きに約束があるからです。

 

ラケットを引く動作も、前々回のブログで書いたように肩と腰のひねりこみが必要になってくるわけですが、それも動きの中で自然に発生させるようにしたい。

とくにジュニアを教えるコーチが足を動かせ、と頻繁に言う、コーチによっては打ち方はあまり教えないけど毎回足の事だけはうるさいようなコーチもいます。

脚の動きを育てると、打ち方は決まってくるものです。踏ん張れば力が入る、ということを体験的に知ることが出来るからです。

リズムをとることは、ほとんどの場合膝の動きです。無意識でも、ひざは動作の中では車でいうサスペンションの役目をする器官ですから、体重を支えるのにバランスをとって衝撃を吸収してくれたり、次の動きへ方向変換したりするのに役立ちます。

一般クラスの人たちが打ち方に興味があって、脚を動かせと言われるのに変な顔になるのは、打った瞬間にわかるミスが、腕の動きが悪かったからだとじぶんで早合点してしまうからです。なぜなら、ちょうどよく腕がつかえた時には足を使った記憶がなくても納得のいくショットが打て、そうでないときにはラケット面からくる衝撃が自分の手には失敗したと打った瞬間にわかるからで、脚の動きが関連しているとは思えないからでしょう。

しかし、全体の動作の調和によって適切なリズムがある場合には、そこに立っているだけでもちょうどよい打点だったかもしれないし、そうでなかった時には自分が「合わせる」動作をせずに打点を迎えたせいでインパクトの違和感が出ているとは思っていないわけです。

最初の動きは、ゼロからのスタートでエネルギーが必要になる瞬間です。相手が打った瞬間にシャープな動きで初動が迎えられるなら守備範囲もひろく、ゆとりをもって打球出来る分、失敗は減らせるようになると思います。

 

カテゴリー: トレーニングオタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 09:19 | コメントをどうぞ

経験して、選択しながら育つ

一例ですが、スイングするときに手首を固定するかどうか、ということを最初のお題にして、テニスの初球の時代からの過程をかいつまんで順番に並べてみましょう。

 

・初心者のうちに…

ボールを打つと、気持ちよく飛ぶ、という経験をしてテニスにはまります。または、錦織選手のようなカッコいいプレーにあこがれて、はやくあんなふうにうまくなりたいと、強く打ってみたりするわけですね。

 

それで、勢いよくラケットを振るには、

§手首を固定しきれない

§というのは、自然なひねり動作が出るから

 

ラケットを勢いよく振るけど、習熟度が低い場合には

§コントロールする以前に吹っ飛んでいく

 

だから、手首をかっちり固定して「面の向き」をつよく意識して打つようにすれば心配ない

面の向きと、当て方への意識ができるとき

 

これで、ショットが入るようになります。

 

そして、ショットは入るようになったけど、入れるために面を気にしていると威力が出ない

⇒初球の間は、どうせ強いショットは続かなくて使えない(相手に打っても返ってこないし、相手に打たれても返すのが困難)

 

 

しかしいずれ、威力の無いショットでは相手に先にすごいショットを打たれてうまく返せないような場面が増えてくる

 

相手のショットが強くなれば、自分の当たりも次第に強くなってきて、多少強い手ごたえのショットになっても入れられる実感が出てくる

様々なショットへの対応の慣れが、自信につながる

 

面を固定しているおかげで、ミスらずに返していれば簡単には負けなくなった

今度は相手も堅実なタイプが出てくるようになり、ミスが少ないなかの勝負になると、やはり強いショットが打てるようになりたい

 

回転をかけられるようになれば、強いショットでも調整が利く

 

強いショットを回転をかけて打てるようにするには手首の動きが必要になるが、やはり手首を動かすと安定しない

 

握りを変えれば、手首を使う方向と面の向きを合わせられることがわかる

適切な握りの発見

 

当てる瞬間に決まった動きのラケット面を出せるようになる

適切な打点の発見

 

強く打っても、強く打たれてもコントロールができるようになる

自分のプレーへの自信・プレーの幅(自由度)への発展

 

堅実な相手に、打って勝てるようになった

自分のプレーやプレースタイルに自信をもっての勝利

 

さらに強い相手に挑戦したいというモチベーション

 

 

あっという間の妄想劇場でしたが、ワタシ自身はこんな通り道を通って、30年かけてここまで来ました。まだ走れるので、まだうまくなるかもしれないと自分にも期待が持てています。

 

ブログの中でも何度か書いたかも知れませんが、打球感覚が次第に上がってきているので、追いつけさえすれば今よりももっとミスを少なく、質の良い球で返球できるようになるんじゃないかと考えています。

 

この、太字になっているところの項目が皆さんが練習で欲しいものじゃないかと思います。具体的なフォアハンドのスイングの仕方のどの要素がどうの、スライスの打ち方がどうの、という細かい部分は個人の課題としてあると思いますが、自信を持つということはもうちょっとおおざっぱで、しかし「確かな手ごたえ」の一打が打てるようになっていくことでプレーに自信が出ると思います。

カテゴリー: 日記 | 投稿者ナガキヤスヒロ 09:28 | コメントをどうぞ

ラケットの引き方②

前回のこのブログで書いたことの捕捉というか、ウルトラマンくんではちょっと分かりづらい面もあったかなと思いましたので、捕捉も含めて書き直し、ということで「②」として投稿します。

スイングの力を効率よく、というのをテーマに、このところ実はシリーズ化していて、

「要素とか成分…」というタイトルで書いた頃のあたりから、考え方のもと、握りの重要性、手の中でラケットの感じ方がわかるなら手首の動き方、スイングのパワーの出る形としてトルクの説明…と進んできたわけです。

それで前回が、それだけ要素の絡みが出るのだから、ラケットを引くところから考えてみようという事で引き方の考察です。

今日はワタシがモデルになってます(笑)。

IMG_1545まずはレディポジションの形。

これを、こうしろってことを書いたんです。(ウルトラマンを使って)

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右脇の下のエリアを作るような格好になっています。この写真だけをみれば、イメージは右手で左腕を持ち上げるような形に――ですから、レディポジションで左手は右手よりも上にあるんですが、左腕を右腕のしたのエリアに入れるような、という説明の仕方になっています。

これって、

IMG_1558こういうことですよね。

右側の肩や腰を引く形になっているのが解ると思いますが、ラケットはまだそんなに後ろに引けていません。

「ラケットを引く」という言葉だと、先に手で持っているラケットを引く動作=手の動作というイメージが先に出やすいものです。というのは、手や腕は器用だし、気軽に動いてくれるから。

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こんな感じになります。これでもリズムが合っていて、振ればボールはちゃんと飛んでいきます。ラリーも十分に出来ますし、間違っているってことではありません。

ただ、対応が幅広くはならないと思います。なぜなら、肩と腰のターンが不十分だから。

下半身にタメをつくるように、膝を少し曲げても、腰のターンが少ないと

IMG_1549まあこんな感じですよね。

「肩が入る」っていう言葉がありますけど、具体的に肩がどこへどんなふうに入ると、何が起こってどういいことなのかが分かりづらい言葉ですよね。

この、手で引いている(ラケットをヘッドから引くような形)ような引き方だと、ラケットを振ることができる事は良いのですが、打っていく角度を変える(たとえば逆クロスに打つようなとき)に力を緩めるような握り方をして面の向きを変えないと出来ないと思います。それは、上半身のひねりこみが小さいから。

左手を斜め下側に入れるようにすると、左肩がぐっと前に出ます。それに伴って右側の腰が深く折れるようになります。

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こんな順序でぐうっと右腕を持ち上げるようにすると、腰と肩の位置がボールの新入方向に対して深くなり、見た目横向きになります。

この写真では下半身は写っていませんが、オープンスタンスになっています。

体重はひねることで自然と右足に乗る形になっているので、左足は自然に打点方向に踏み込ませてスクエアスタンスで打つことも、飛んでくるボールの勢いが強ければ踏み込まずにそのままオープンスタンスでも打つことが出来ます。要するに状況に応じて可変できる。

右ひじは後ろまで持っていけています。さらに言えばグリップの位置は、すぐにでも打点に入れられるように反転させる準備が出来ています。

スイングスタートでは、

IMG_1559 IMG_1561

 

さっきのテイクバック完了(上側)から、スイングスタートはグリップが打点方向に向けて動き始めるのに、ひじ関節が内側に入ろうとしてきているので、下の写真の方が肘の位置が身体の近くになっています。

一度この形になってしまえば、ボールが打点に入ってくるのにあわせて振りだせばいいので、振り子の勢いを使えますから、打点を前にとって面の向きが正しく出てくるときにはかなりの加速を貰っているはずです。

ということは、二度引きなどの余計なリズムを作らなくてよくなります。下半身に力があるので、打点が前に取れるような厚めのグリップであれば、当たったボールを押し出すように体の回転を使うことも出来ます。

手の位置が先に後ろへ大きく引く必要もなく、速い球に先に手首を出せる形を作れば、振り遅れずに打点に合わせることもできるようになります。

 

バックハンドの方が説明が分かりやすい面もあるので、両手打ちバックハンドの例でも見てみましょう。

同じような理屈で、引き方はこんな。

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右手が、左腕を下から持ち上げるような感じ。右手が下側になるので、自然とテイクバックではヘッドがタテになるようになります。左腕は肘ごと持ち上げられて、身体から少し離れます。

そして、肩と腰が「入る」形になる。下へ押し下げるようになるために重心も落ちて安定させやすかったりもします。

このままスイングを追っていくと、

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右手の動きよりも左腕の動きの方が大きくなっていき、その分だけゆっくり振ってもトルクが強くなります。

引いた右腕の外側を左腕のスイングが通っていく為に、回転半径が大きくなっていくという事です。

右手は打点に早く入ることで位置を安定させ、左手はやや遅れて外側から大きく現れてパワーを与えつつ押し出せるようになるので、スイングの形態も単に一例ではありますが、ひとつの「理屈に合った形」であると言えます。

 

フォアでも書いたようにヘッドの方から引くのもパターンのひとつですが、比較してみましょう。

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こんな形になります。このパターン、セリーナ・ウイリアムズがこんな感じじゃないでしょうか。

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世界のトップがこの引き方をしているところからしても、決して悪いとか間違いってわけじゃない。

トップ選手は、腕の動き方以前に、さきに腰と肩のターンがなされているので、スイングがしっかり力強く始められるのここの形であれば、同じようにスイングにパワーを載せることが出来ます。

要するに重要なのはインパクトであって、そこに上手くボールが入ってきて、「つかんで、はなすように」して軌道に乗せる様なイメージと合った感触で打てるかどうかです。

このセリーナのように打てていて上手な人には少しも文句はありません。

ただコーチとしてみていて、ラケットを引いていても腰と肩のターンがしっかりしている人はかなり稀です。

走るとほどけるような恰好だったり、ボールが速いと思うと早めに開いていってターンでつくるべきタメが無くなってしまったりすることがほとんど。

この、『下側から振り子を作る』ような引き方でやってみて、というアドバイスで姿勢が落ち着いて、そしてスイングのパワーを効率よく伝えられるようになったことも事実です。

それは、先に「肩が入る」形を作ることで打つ前に約束の形になっておくという事が出来るからだともいえると思います。

要素は要素であって、最重要項目もあれば、軽んじていても大きな影響がないような要素もある。

それがどんな高さのどんな勢いのボールでも対応が効く、という事かどうかの分かれ目になるのが小さな要素の方かもしれないんですね。

 

中級クラスでショットのスピードの出る男性のお客さんから、「こないだコーチの最上級クラスみたけど、あのスピードでなんでミスしないで打ち合えるのかわからない」という感想を聞いたことがありました。

その方もかなりのパワフルショットが打てる方なんですが、やはり続けて打てないし、重要なポイントでは思い切り打ったら入らないかも、という不安から打てなくなるそうです。

しかしこちらとしては、ショットのアベレージスピードが高いのは常に全力のショットを成功させているわけじゃなくて、その人にそう見えるのはアベレージであって無理はしていないから打てるんですよね。

思い切り力を入れてスイングすればスピードは出るでしょうが、距離を狙うのは難しいと思います。

上級者は、相手のショットを上手く受け止めて、反発のパワーもラケットから必要以上に逃がすことなく活かしているので、軽々と打っているようでも速い球に出来るという事ですね。

冒頭にも書きましたが、

ショットの成否はほとんどがインパクトの瞬間になされるものであり、

打点でのラケットの動きを把握するのには握りから得られる感覚が必要で、

ラケットの動きというのは手首の稼働範囲内であって、

手首の関節は二軸なので、あるていどの制約を持っているから約束通りに動くことになっていて、

ボールにパワーを持たせたいと言っても速く振ればいいというわけではなく、

腕を動かす肩がギヤの役目を持っているとすれば回転半径が大きい方がトルクは大きいことと、

大きいスイングは遅くなるのでラケットに当てるのが容易になる事と、

肘の曲げ伸ばしや手首のひねり方向などで打点にうまく面が合うようにすることでより強いスイングにすることが出来るということ、

さらにそこへ狙いをしっかりするには時間的な余裕が欲しいために引き方から考えた方がよいだろう

 

 

という事へ繋げてここまで書いてきました。

言葉で説明するとだいぶ多い文章量になるってことがわかりました(笑)。動かしてみれば、1秒足らずの動作です。一つひとつ、要素を掴むことで、全体のパフォーマンス向上になるかと思います。

 

すぐに100点満点のスイングやインパクトが出来る様にはなりません。自然にできる事はそこがセンスの良さになりますから、自然にできる事+これは足りなかったかな、という要素が組み合わさっていくことで上達の足掛かりになればと思います。

 

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 13:54 | コメントをどうぞ

ラケットの引き方

例えば、レッスンでちょっとしたアドバイスを与えて、その生徒さんが急に感覚がよくなった、ということは結構よくあることなんです。コーチとしては嬉し異瞬間ですよね。もちろんアドバイスを受けた生徒さんも「よしわかった!」って思うと思うんです。

しかしですね。

それがそのレッスンで身につくかっていうとそんなことはない。

今までそうやってこなかったからできなかったんだし、それがちょっとしたことでも気づかないポイントだからコーチに指摘されるんだし、それと、そのちょっとしたことが重要だとは思っていなかったからやらなかったっていうことでもあります。

動作の大多数の要素は、「考えなくても自然にできる」ことで処理されていて、ボールをよく見ることとか、見ながらうまくラケットに当てられるようにすることで「ちゃんとできた」っていう処理がうまくいったことになるはずなんですね。

テニスの動作に限らず、テニスを趣味にしている人の日常生活の中でも、自然にできることは気をつけなくても大丈夫なことに分類されていることなので、気軽にできます。

 

それって、「習熟している」という動作なので、その動作自体に対してプレッシャーがないんですね。

今まで通り、いつも通りにやっていれば大丈夫、と自信のある動作なんです。

そこを変えることって、難しいことではないんですけど、新しく習熟しなおす必要があって、必ず時間がかかる、いえ、時間をかけて記憶したものを書き換える必要があるものなんだと思います。

それだけに今日書こうとしている部分は、いじる意味を感じづらいところでもありますし、そこを直されて一時できるようになったとしても、すぐに元に戻ってしまう可能性の高い部分です。

反応のしかた

がみなさん意識をあまりせずにやることで、そして人によって差の出るところでもあると思います。

ボールに追いつくのが遅い人

例えばダブルスの雁行陣で、ストレートにロブを上げられてチェンジするような場面。

意表を突かれたような感じでロブを追って、そしてそのロブに追いつけないで抜けちゃうような人がいます。

最初の反応が遅れたのでしょう。初級や初中級のクラスではよくあります。

しかしですね。シングルスコートの横幅って8.23mしかない。ダブルスコートいっぱいの横幅でも10.97mです。ラリーのポジションってシングルスラインの内側に立ってると思うし、入ってくるロブもシングルスラインのあたりでも結構いいコースじゃないでしょうか。

ロブ上がって、それが見えて、8m追いつかない?そんなわけないですよね。

なんどやっても追いつかない人に、じゃあボールと競争しようか、ってロブあげますよー、よーい、ドン!って走らせれば、大概の人はそんなに速く走らなくても大丈夫。ね、そんなに遠くないですよ、ってやっておくと今度からは大丈夫になります。

心理的に遠いんでしょうね。

 

でも、それだけじゃないんです。

 

こういう人の特徴は、走っている時にラケットを引いていない。

厳密に言い方を変えれば、肩と腰にスイングの準備ができていないんです。

走りながら、ラケットを引く力を入れるタイミングを計っている。

だから、必要以上に小股でちょこちょこ走る。これがまず追いつけない原因になることが多い。

追いつけたとしても…

そして、ラケットを引く勢いを利用してスイングしようとするんですが、引いて、力を入れて、振るっていうプロセスを踏んだ上でタイミングよくインパクトを合わせる、っていうのが結構合わないんですよね。

その人はよーくボールを見ながら走って合わせようとしているんですけど、追いついたあたりからやっと準備を始めるので、見ているこっちとしては危なっかしく見えます。

IMG_0606レディポジション

からの

IMG_0952 IMG_0957

 

フォアと、バックのテイクバック。

レディポジションの絵から、それぞれの脇の下の空間をイメージします。

フォアは右腕の下の、その空間に左手を、バックはその逆で右手を左腕の下の空間に、それぞれ入れようとするような形で、この写真のようになります。

こうすると、肩と腰が「入る」形になりやすい。

ラケットの動きを見ると、上から回していくようにしてサーキュラースイングの準備をしますが、そうやって腕の動きにイメージを置くようにすると、そこが合っていて、そしてできていたとしても腰からターンができなかったりします。

ジュニアの子に、よく球出しをするときに二つの打ち方をやってもらいます。

「最初に引き方を考えないで、走ってから間に合うように打ってみて!」

「この引き方(脇の下の空間に腕を入れる)をやってから走ってみて!」

どっちが打ちやすくなるかっていうと、100%後者の方で答えが返ってきます。

ジュニアの選手じゃなくて、初級のクラスでです。変にクセがついていないけどコーチとならラリーが出来る程度にボール慣れしている子。

 

特に両手打ちでバックハンドを打つような人は、右手が左手の内側に入るようにすることでコンパクトな形になり、スイングをすれば左手側(ラケットヘッド側)を右手側よりも大きくスイングすることになり、スイングのパワー伝達が良くなります。

左手を後ろに持っていく、ということでももちろん間違いではないしそうしないとラケットはうまく振れないかもしれませんが、サーキュラーの形にするなら、ラケットヘッドを最初に後ろに持っていかなくても大丈夫です。

どちらかというと大事なのは左腰を後ろに折るように準備すること。

そこで振り出す時のパワーが貯められていますから、腕だけを後ろに持っていくよりもよっぽど打ちやすくなります。

IMG_0953

 

こんな感じ。こっから

IMG_0954こういくのは自然でしょ?

この、上の写真みたいに右足から右腰のラインですね。この折り目がちゃんとできる人が結構少ないものなんです。

厳しいボールをあまりとらないでいると、準備の形に甘さが出て、手がリズムを取り始めます。手のリズムは、「勢いをつける」という動作を欲するので下半身に頼らずに腕だけでできそうという判断をしやすくなり、それが結局バウンドの読み違いやイレギュラーへの対応ができなくなり、打点を合わせづらくさせることになります。

下半身がこの写真のように最初に決まった形をすると、

①実は結構このまま走れる

②もう腕は打つ時までやることがない

③そうすると足を動かすしかない

ということになります。

足の動きは、飛んでくるボールの時間を計る、時計の秒針のような役割を持っていますから、最後の一歩がドンピシャで打点に合うように動くことができるようになります。

それも、器用な腕ではなく、その上にスイングをしなければならないところで時間を計って合わせていますから、全体の調和がとれた形でインパクトを迎えるように仕向けやすくなります。

 

そういう部分があって、心理的には心配な形(ボールを見ながら腕で合わせるがしづらくなる)と感じやすいのがこの形ですが、実際にフットワーク込みでやるようになる(ラリーやゲームを主体で考えるようになる)と、この形が必要であって、やらないとうまく打てないのがわかるようになると思います。

 

カテゴリー: 日記 | 投稿者ナガキヤスヒロ 08:46 | コメントをどうぞ

サーブの時の口

ホントは時間があるときにこないだ書いたところまでのこと(握りの事、手首の動きの事、回転トルクを利用する振りのこと)を総合的に考えると、「ラケットの引き方」ってどうなるんだろうというお題で書こうとしているんですが、今日はそんなに時間が取れないので別の話題で。

 

サーブ打つとき、口、どうなってますか?

①前歯むき出しタイプ

②上唇噛みタイプ

③下唇噛みタイプ

④あ~んって開けタイプ

⑤ベロだしタイプ

⑥むっつりタイプ(ノーリアクション)

ウインブルドンを見てたら、マレーは①でしたね(笑)。ラオニッチは…忘れた…①だったようにも思いますが。

ちなみにワタシは③です。

インパクトのあたりでは口は開いてるかも。

なんかそうしていないとトスアップしてからバランスを維持できないような気がして、そこで唇かんで耐える、みたいなイメージがありますね。

スピンサーブ打つとき最近「ぅんぅ~ぁあっ」みたいな変な唸り声が出ちゃうし(笑)。

サーブの時の呼吸法、ってあると思うんです。

コーチとして簡単に言えば、スイングするときにふぅ~って吐くことが出来るようにする。

バックスイングくらいで吸って、

トロフィーポーズでいちど止めて

スイングで「はっ」とか「ふぅっ」とか吐く。

その手順はそんな感じで、タイミングが人によって違うんじゃないかなと思います。

それが口に出たりするのかなと。

腹筋の力の入れ方っていうか、上を向いてトロフィーポーズになっているときの姿勢の維持に体幹ていうか、腹筋と背筋とのバランスの為だと思いますが、一瞬息をとめるようにするときに表情があると思うんですよね。

技術じゃなくて、癖の話でした。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 15:52 | コメントをどうぞ

「回転トルク」を見落としがち

スイングスピードがあれば、ボールを強く打っていくことができますね。必要な時に強く打てれば、チャンスがあった時に決めようと思えば決められると思いますしね。

で、それには筋力がなければ重たいラケットを自由に扱えない、と思うのは、非力な人、非力だと自認している人に多いのではないでしょうか。

ワタシの場合は、基本が長距離走者で、持久力はあるけど瞬発力がないと思っていました。それで、必要な時に必要なラケットのスピードが出ないんだと。

ま、本当はスライスしか打てないからもともとスピードがなく、そこからトップスピンを覚えたけど急にボールのペースを上げても自分がそのラリーのペースについていけない感じもするし、当時はそんなことを考えてなかったと思うけど、自分のショットのスピードが上がっていく想像もしなかったんだと思います。

要素としてはほかにもあって、グリップが薄いことからスイングしている腕の強い形がインパクトの時に十分にできていなかったとか、打点が後ろの方にいきがちで(グリップが薄ければ当然なんですが)、それも今となってはスピードのでない一因だったと気づくとができました。

 

ラケットを動かす腕を、速く使うべきなのか?ということが今回のお題です。

答えは、そうできる人はそうでもいいし、そうしなくてもスイングスピードはあげられます。

aerokei fore 詰まってる?

グリップが厚い人のフォアハンドの、インパクト直前の”ある例”です。

普通にテニスをしている人には、ちょっと違和感ありませんか?

違和感の原因が、おそらく右ひじの位置が近すぎることに感じているのではないでしょうか。

普通にテニスをしていれば、その形ってこんな

フォア打点

ああ、またこの写真使っちゃった。使ったことあるやつって楽なんですよね。

で、やっぱりこっちの方がきちんとボールの後ろを支えているような感じに見えるし、そのままで大きくしっかり振り抜けていくことが約束されているのが想像できます。

ほんでまあ、フォローすれば、この上の写真の錦織は、基本こういう振り出しで、その後はこんな

follow

これだけ大きなスイングにもっていけるっていうことはかなり打点が前に、腕が体から離れているところにとれるってことなんです。

大きな振り=トルクがつよいってことになりますがもうひとつ。

大きな振り=速くは振れない

ということでもあるんです。

そこで、グリップの厚い人は打点を前に取る必要がある(グリップと打点の相関関係で)ことから、薄いグリップの人と同じだけ後ろに腕を引くことができたとして、打点までの距離が長くとれることになります。

と言っても、肩を中心に腕を振るわけですから、打点を前にとって面が垂直になるような厚い握りでは、既にスイング方向は水平から垂直に変わっているはずなんですね。要するに回転がかかるスイングになる。

回転はスイングと打球方向のベクトルの差によって生まれるものですから、吹かしたようなアウトをせずに強打を相手コートに入れられる武器になります。

 

ただし、遠回りさせては遠い距離のスイングスタートからインパクトまでが遅いスイングになって十分に力が入らない。そこで肘をたたんで(手首はインパクトの形を保っていないと打球時にブレる)腕を短くし、ヘッドのスピードを上げてまた腕を伸ばしていきながら重さを乗っけるようにインパクトしていきます。

腕を伸ばしていく途中でボールに当たるので、ベンドアームと呼ばれる形になりますが、その後は大きく振り抜いていくので錦織のフォロー(たぶんこのショットはベースラインかその後方から叩き込んだ強打でしょう)のように伸びて大きなフォームになっています。

 

写真で見ると、自分でやるときにこういう形になるように意識したスイング(スイング中にその形になろうとする)になりがちですが、実際のプレーヤーのスイングを見ると、本当にそんなところまで腕が伸びているのか不思議なくらいあっという間に体に腕が巻き付きます。小さいスイングに見えるってこと。

これは筋力でしょうね。スイングスピードを上げていってもブレない体幹の強さから、ラケットをラケットの重さでしか振れないような腕力でなく、筋力トレーニングを積んで、我々の想像以上にラケットの重さの影響の少ない腕の振りができるからでこそだと思います。

我々のレベルだと腕が体から離れてスイングをすればその分手首などの弱い器官でラケットの操作をするような感じになり、ブレやすくなります。そこに差がある。

小さいジュニアが一様に厚いグリップになるのは、筋力的に強いスイングにラケットを握る手が追いつかないからだと思います。

厚く握ることで腕とラケットになす角ができ、その分スイングが腕にかけるトルクが小さくできます。

そして打点を前に取るようにすることでスイングが十分に加速したところで面に合わせるようにできていくと、小さい体でパワフルなショットが打てるようになる。

 

じゃあ一般の、例えば女性とか、非力だと思っている人が厚く握ることでパワフルなショットが打てるようになるかって話ですよね。

答えは、理屈から言えば無論イエスです。

ただし条件があります。握りと面の意識が、打球方向やスイング方向とマッチしないように感じる期間が初期の段階に必ずあり、不慣れな時には握りが悪くてボールがどっちに飛ぶのかわからないし、ひどければ空振りとかだってします。

握りと打点の関係、手のひらとラケット面のイメージ合わせの関係、打球前の面方向とインパクト時の面方向の相違、スイングと力の入れどころの関係…そういったものの調和がとれてこないと、握りやすい、当てやすい、狙いやすいラケットの扱い方に行きやすくなります。

 

わかりやすいのは、面に手のひらを合わせて…って導入するイースタングリップですよね。スライスやボレー、サーブなどの握りへも意識しやすいので教えやすいグリップではありますが、私としてはきちんとグリップチェンジすることや、ストロークでの高い打点がラリーのシーンでは多くなること、また高い打点から攻撃的なショットを打つ発想が出やすいことなどからも、フォアハンドの握りは厚めに持つこと、そして先日書いたように、もう一つの握りからスライスやボレーの導入をして二つの感覚をラケットに対して持てるように初級の段階を過ごしてもらうことが理想かなと思うようになりました。

薄い握りでは腕を伸ばすように、スイングはわざとくらいのつもりでゆっくり大きく。

それができない人(ゆっくり振って打点をちゃんと取るのは割と難しい)は少しでも厚めに握って速くスイングし、打点にイメージを合わせてインパクトできるようにしていくことで、同じような強さのショット(回転や打球の軌道などには差がある)が打てるようになると思います。

 

薄い握りで腕をたたんでスイングスピードを上げれば面がブレるポイントでインパクトを迎えるようになりやすく、相手のショットが難しいときなどに結局ゆっくり振るとか面を合わせるだけとかになるでしょう。

見た目もヘッドがくるっと回るようで手首を使って振っているように見えるようになります。それでコーチや先輩に注意される。

厚く握っても打点が前で取れない、ボールを見ていないといつ打っていいのかわからないよ…みたいな初心者の人は、スイングしても打点が後ろで無理に肘や手首を使って面の向きを作ることになるので、十分なパワーが出なくなります。

スイングも妙に窮屈そうな形になり、「ボールが近すぎる」みたいな注意を受けることになります。

自分のスイングスタイルに合った形というのを、握りにしても打点の位置にしても見つけることで、トルクの問題は消えていきます。

普通言われない要素ですが、うまく飛ばない人や、力を込めてもスピードボールにならない人は、回転トルクが強くなる位置や方法を知らないからだと思います。

 

カテゴリー: 日記 | 投稿者ナガキヤスヒロ 12:12 | コメントをどうぞ

スピンをかけるのは必須

トップスピンが打てない時期が長かったワタシですが、30歳をすぎて打てるようになろうと課題に取り組み、もう15年くらい経ちました。よく考えたらテニス人生がいま30年くらいになっていますから、もう半分はトップスピンに取り組んでいた時期になるんですね。

でまあ、打てるようになったわけです。

必要な時に必要なだけのスピンが打てているかというと、そうでもありません。しかし、以前(=若いころ)に打てなかった理由だった「不安定」は克服した実感があります。

思うように打てないときってのが、まあ大体相手のショットが強烈な時です。サーブが速いときとか、ショットが強くて深いとき、そういう時にドライブ系の打ち方を意識してもフラットに近いショットになったりします。

スライスはテニスを始めたころから打てていたのですが、これも勢いのある深いショットや、予想よりも高く跳ねるようなショットの時には思ったように打てないものです。

そのへんの、なぜできなくなるか、という理由がわかってきました。

スイングで持っていこうとするからでした。

スイングは打点に入れるための要素であって、一様なスイングしかできなければ、打点に入るスイングの角度と、やってくるボールの角度が合わないときに、狙えない方向が出てくるということです。

狙えない、というよりか打点そのものを合わせるのが困難、ということです。

スイングは力を入れれば一瞬でラケットの動きを変化させられる、と体の中では認識しやすくて、それって人間の持っている感覚の中では、ラケットの動きがかなり速いものだと認識しているからなんだと思います。

例えば、鳥の仲間では、羽ばたきがゆっくりで長距離を飛べる仲間と、羽ばたきがとても早くて、空中でホバリングができるような種類がいるということも参考になります。

鳥や、ハエなどは、我々人間ができる動作スピードよりも反応や動きのスピードが格段に速い感覚を持っているんだと思います。

飛んでいるハエを捕まえようと思っても、あっという間に方向変換されて捕まえられません。スズメにむかって石を投げても、投げた瞬間にはいなくなっています。我々人間の動くスピードが彼らにはゆっくりしたものに見えていて、時間がそこにあることがわかるんだと思います。

スイングは一瞬でなく、振り始めてからインパクトまでは、じつは結構時間がかかるものだと思った方がいいと思います。

といって時間的には1秒もない時間ですから、体感できるのは一瞬でしょう。

かといって、バウンドが変化したり、思ったような弾み方じゃなかったとしてもラケットに当てることができるし、回転を多くかけようと思えばかけられたり、当たった時に詰まったような感じの時には無理やりネットを越すようにもっていったり、変化させられるものだったりします。

で、それが間に合うよなものだとも認識しやすい。

 

ただし、テニスの技術は「できるようになったぞ」と思えるようになるのは、狙ったらそういうショットが打てるようになったりするなど、『再現性』が上がった時だと思います。

いままで返せなかった先輩のショットに、ラリーで持ちこたえられるようになった、とか、ネットの高いところを通して落ちるようなスピンが打てるようになったとか、ボレーのストレートとクロスが簡単に打ち分けられるようになったとか、成功回数が増えるほど、「できるようになった」と自信がつくものです。

 

スイング全体の長さを十分に取れれば、それなりにパワフルなショットが打てるようになります。

スイング長があれば、運動エネルギーが増えて、ボールにぶつけるパワーがそれだけで上がるからです。力を入れても大して変わりませんが、スイングの長さ(フォワードスイングの長さが特に)を長くできれば明らかなパワーアップがあります。

その中で大事なのは「当て方」であって、スイングが長く、そして力強く速いものになればなるほど、正確に当てることがむつかしくなります。人間のやることですから、すぐにできるようになることではなく、訓練して感覚が磨かれるほどに上達していきます。

トップスピンでもスライスでも、飛来するボールの軌道に大して斜めにスイング軌道を作って入れていくことで回転がかかります。

要するに、来たボールにいちいち合わせるということが、フラットに比べて楽になるということです。

加えて、インパクトの時に作用する力のベクトルが変わるので、当たった瞬間に飛ぶ距離が決まるようなことになります。

それって、ゴルフのクラブが何本も必要なのは、フェースについている角度が違うことで飛距離が変わることを利用するからです。

スイング軌道がある程度一定になる中で、インパクト時にボールに入るフェースの角度が変わることで、しっかり振って遠くへ飛ぶクラブと、同じようなスイングでも近くで落ちるような角度のきついクラブがある。

あまり飛ばない方のクラブでは回転数が多くかかることになり、高く上げればバックスピンで戻るようなショットも打てます。

テニスではラケットは一本で、その角度を変える手首の形でスピンの量を決めることができます。

当たる瞬間の動きで変えようとする方が多いですが、イメージはできても実際には不安定になると思います。

低い球が滑るようにしてきたときと、高く跳ねて伸びてくるようなショットが来るときでも、安定してインパクトの形ができているときにはミスせずに返せると思いますが、同じ感覚で打てるような認識ではないと思います。

しかし、当たったボールが飛ぶ感覚と同時に、スピンがかかって軌道を曲げるような感覚が得られるのならば、狙ったインパクトさえできれば安定したショットが打てるようになります。

慣れなければいけない要素は、飛来する相手のショットがバウンド後にどんな動きをするか、軌道の予測に長けること。

それと、そこから自分の感覚でラケット面で受け止めて、かつ放り投げるときの要領でラケット面から出ていく感覚?のような「当たっただけで飛んでいくような持ち方」でボールに当たる位置にきちんと持っていけること。

ができるなら、どこを狙っても打てるようになるものなのかもしれません。

実際に、フェデラーが出現したときに、相手のショットがきつくても素晴らしいコントロールで簡単そうにポイントをとっていくのを見た時に、「なんでああいうことができるんだろう」と思ったものです。

打点への「ラケットの入れ方」がフェデラーは自由にできるんだな、と感心しました。

ボールが飛んでくる、というのは「コントロールしなければ」というプレッシャーが飛んでくるようなものですから、フェデラーのように自由にできるためにどんな訓練が必要だったのかは想像するのも恐ろしい?ことのように思えますが、その極意を得て彼の存在があったのだと思います。

 

どのシーンでどの回転が必要か、それは相手にその次のショットをどうやって打たせるかを瞬時に判断し、相手に攻撃をさせずに自分ができるだけフリーで打てるようになりたい、というのがフェデラーの戦略でしょう。

誰でもできるようになることではないと思いますが、そこの要素の部分だけを見れば、まずは回転をかけるラケットワークをものにしよう、ってことになると思います。

カテゴリー: 打ち方オタク | 投稿者ナガキヤスヒロ 09:14 | コメントをどうぞ