ラケットの握り方を見ればその人がどういう打ち方をするかだいたい想像が出来ますが、なかにはその予想がまったく外れたりすることもあります。
たとえばフォアハンドストロークでフルウエスタンの厚い握りだったとしたら、まぁ十中八九はハードヒットそれもグリグリのトップスピンをかけるタイプだと察するのは容易です。
ところがフルウエスタンでいかにも高い打点でドカーンと打ってきそうな構えなので、そのつもりで見ていたら・・・何とスライス!なんてことがごく稀にあります。
それはその時だけスライスを打とうとしたのではなくそのフルウエスタングリップでいつも、まさかのダウンスイングなのです。
なんでそんなことになったのか聞いてみると元々は軟式テニスをやっていたのでグリップはその時に憶えたフルウエスタンだけど、数年後に自己流で硬式テニスを年配の知り合いから教わって始めたそうです。
その知り合いの男性はスライスしか打てないようで、その軟式出身の方に「ラケットはこうやって上から下に振り下ろしてボールを切り下ろしながら前に振るんだよ」と教えてくれたのでその打ち方が身に付いたということでした。
その時にグリップも少し薄めに矯正してくれたら良かったのですが、グリップについてはそのままで大丈夫だと言われたので、その方は何か打ちづらい気がしたけど従ったといいます。
この状態でもその方がラリーしたりゲームで相手のボールを打ち返すことは普通に出来ます。
だから特に改めなくても良いと言えば良いのですが・・・
本人にその握り方に合った打ち方にしたくないか、もしくは今のスライスにマッチした握り方に変えたいとは思わないか訊ねてみると「いや、このままで十分に打てるから良いですが変でしょうか?」と逆に質問されて困りました。
合理的観点からみるとどう考えてもそれは「変です」と断言したいところですが、ご本人がそれで楽しくテニスが出来るのであれば良いのかなと思って「いえ、別に変ではありませんよ、打球スタイルを限定したルールはありませんから」と答えておきました。
スライスは何でも返せちゃう便利な万能ショットで、いわばコンビニエンスストロークですからね今の時代にはマッチしているかも知れません