僕の自宅近所にある多摩川河川敷のテニスコートから見える景色は一部を除いて、ほぼ半世紀前と変わりがありません。
河川敷には建物などを作ることが出来ないのでずっとその辺りは昔のままで、草地と雑草雑木、そしてたくさんの桜の木があるのみです。
そして東京側の土手沿いには高層住宅は建築不可なので、今も河原から見えるのはほとんどが住宅の屋根とその上に広がる空だけです。
それは反対側の川崎市でも、ちょうどテニスコートから川の方に見える所には目立った高い建物はありませんからやはり子供の頃と同様の眺めと言えます。
だからここでテニスしていると昭和40年代の頃の景色と何も変わらず、散り始めた桜の花吹雪が一面に咲いた菜の花に舞い落ちる様が何か幻想のように感じられます。
もう何十年もこの変わらぬ素朴なテニスコートで、今もこうして元気にテニスしていられることがとてもありがたいことだとつくづく思います。
進歩や変化することも大切でしょうが、こうしたいつまでも変わらぬ場所を持てることは心の平穏と癒しをもたらしてくれる貴重なものです。
「他の場所や立場がどんなに望まぬ形に移り変わってしまっても、ここへ来くれば何とか安らかな気持ちになれるんだ」と、それが今の悩み事から開放してくれる唯一の手段かも知れません。
「その悩みっていったい何なんだ?」と思われるでしょうね、まだ詳しくは書けませんが・・・
「老兵は死なず、ただ去りゆくのみ」って心境に陥っているとだけ言っておきましょうか。