テニスファンにとって唯一無二の最高のイベントとも言える、ウィンブルドン2015のクライマックスを今日の寝不足を覚悟してご覧になった方は多いことでしょう。
今回の決勝に進むまでのフェデラーの圧倒的なパフォーマンスから推測して、僕は神の腕を持つ男の勝利を強く予感していました。
試合が開始されていきなりフェデラーがサービスゲームをブレークされるピンチを迎えながらも難なくそれを脱し、以降はジョコビッチにつけいる隙を与えずに好調な滑り出しとなりました。
そしてこれまでと同様に相手がサービスキープすることにプレッシャーを感じて見せるほんの一瞬の弱気を攻め、先にブレークしてセットを先取りするという流れに入れるものと思ったのですが・・・
先日にフェデラーは神の腕を持つ男、ジョコビッチは類い希な才能と努力のスーパーエリートというイメージだと書きましたがちょっと違うなと気がつきました。
フェデラーが神の腕を持つ男であるのは間違いありませんが、一方のジョコビッチは「神の脚を持つ男」なのだと思い知らされました。
フェデラーのいつもならば簡単にノータッチエースを取れるはずのウィナー級のショットを、滑る芝コートの難しさを逆に利用してクレーのようにスライディングフットワークを駆使して追いついてしまうジョコビッチ!
どんな厳しい体勢に追い込まれても全く微動だにしない下半身を支える脚力によって、滅多に返球が浅くなることがなくあのフェデラーに(もう打つ手が何もない?!)と思わせてしまう神がかりの安定したストローク力!
昨日の世紀の対決を制した要因は、そんな神の脚を持つ男ジョコビッチの世界一のディフェンス力が勝利したということです。
これまでのウィンブルドンチャンピオンの大まかな系譜を僕が知っている限りで考えると、ボルグのトップスピン、マッケンローのサービス&ボレー、サンプラスからフェデラーへと続くより完成度の高いオールラウンドプレーへと進んできました。
そして今、新たな伝説のチャンピオンの最右翼ジョコビッチによってテニスの原点とも言えるアシニスの時代に帰ってきたのだと考えられます。
「アシニス」、それはテニスは「手ニス」ではなく「足ニス」なんだという一見するとジョークのようでありながら実は深い真実が込められた言葉なんです。
「テニスで勝つための秘策とかコツ?そんなものありはしない、あるとしたらただ走って走って走りまくることの出来る脚を持つこと!それがたった一つのテニスの王道だ!!」
こんな素晴らしい名言を内容だけは絶対に忘れないけど、誰が言ったのか?はちょっと思い出せません